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beachmollusc ひむかのハマグリ


海辺の浅瀬は水産動物のこども達のゆりかごです
by beachmollusc
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海辺の自然を取り戻そう
 自然の恵みを後世に残すためには、その生態と環境を深く、よく知ることが基本です。

 海岸の浅瀬、干潟や砂浜は資源生物のゆりかごです。
しかし、それにおかまいなしに埋立てや海岸構造物の建設、水質汚染も加わって、日本中の水辺、海辺の環境は撹乱され、破壊されてしまいました。その結果、ハマグリなど干潟の動植物の多くが絶滅危惧種となっています。

 このブログでは、主に砂浜環境の保全を念頭において、日本各地の山、川、海の姿を調べて見てまわったこと、
そして2006年5月に移住した日向市の海辺と里山の様子や生き物などを紹介します。

このブログにリンクを張ることはご自由にどうぞ。

    - 自己紹介 -

大学院博士課程修了後7年間の海外での研究と28年余り大学教員をしていました。

海の無脊椎動物(貝、ヒトデ、サンゴ、クラゲなど)が専門、自称の学位は Doctor of
Underwater Marine Biology
(DUMB:バカセ)

楽観的な悲観論者または悲観的な楽観論者:生態的に無理をしている人類の滅亡は近いだろうが、それも自然の摂理じゃないのかな

せっかちな慎重派:ゆっくり
見極めて急いで集中的に
お仕事します

好きなもの:日本蕎麦が一番、パスタ・スパゲッティ、うどんもよし、つまりメンクイです

嫌いなもの:人混み、投棄ゴミ、マスゴミ、脳衰官僚

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口蹄疫 - 種雄牛6頭の避難先の検証

5月22日農水省発表で、避難先の尾八重牧場で6頭中1頭の種雄牛が口蹄疫陽性の検査結果を確認したという、地元関係者にとっては痛恨きわまりない結果が出てしまった。

宮崎県における口蹄疫の疑い事例の160例目~171例目について
http://www.maff.go.jp/j/press/syouan/douei/100522.html

発生事例171番として下のURLに経過の概略が記載されている。
http://www.maff.go.jp/j/press/syouan/douei/pdf/100522-01.pdf

(確認場所) 西都市尾八重
(飼育頭数) 6頭(種雄牛6頭)
(経過等)
5月13日、高鍋町の宮崎県家畜改良事業団から現地に移動、現在、経過観察中。
19日、及び20日に、検体を動物衛生研究所に送付。

検査結果陽性 (22日未明 判明) 1頭


陽性が確認された牛は防疫対策のため(ただちに?)処分されたと思われる。

27日までの検査で、残る5頭に陽性の検査結果が見られていないらしい。

高鍋の防護シェルターから運び出されてちょうど1週間で、6頭中1頭だけが陽性であるったことは、口蹄疫の防疫において重要な情報となることは間違いない。牛がウイルスに暴露されてからの潜伏期間の長さや、その個体差に関する情報が得られることになる。極めて不幸な事態であるが、再び同じような結果をもたらすことが無いようにするための教訓として、事実関係を正確かつ詳細に記録して情報を残してもらいたい。

高鍋に残された49頭の内、27日までに1頭に口蹄疫の症状が現れた(また、他の1頭では、それ以前に発熱が見られたが、口蹄疫の症状とは認識されなかったらしい)と報道された。その検体の陽性確認の前に殺処分が進められるようであるが、未発症の個体を含め、防疫情報を得るための検査を省略してはならない。

全滅を避ける目的で2箇所に6頭と49頭が分けられたのであったが、どちらにも感染した牛が現れた。そして、一般的に考えられている潜伏期の長さ(その幅が大きいので明確でない)である1週間間隔で独立して陽性になったことは、何を意味しているのか、それについて今後の精査が待たれる。

尾八重の牧場跡地に運び込まれた6頭は、ニュース画像を見た印象では、空気中に漂っている微粒子にウイルスが存在するだろうということ、つまり至近距離の空気感染対策が施されていなかったらしい。1頭ずつ密閉された入れ物、たとえば海上コンテナーなどに入れられて、酸素は中で供給され、炭酸ガスを吸収するような装置(潜水するのと同じ)を用いていたかと想像していたが、どうやら単にトラックの荷台の上に乗せて、ウイルスの感染に無防備のまま移動したようである。これで、近隣で爆発的にウイルスが増えている所を通れば、感染しない方が奇跡とも言えるだろう。

13日に尾八重の牧場跡地に運びこまれて、応急的に整備された畜舎に収容されたらしい(情報公開は不明確)。そして、アクセス道路の林道は5月17日に通行止めとされた。報道によれば、現地で新しく畜舎を建設中であって、今頃は移されているのだろう。万全の準備のもとで種牛の避難が行われたと県が言っていたらしいが、泥縄以外の何者でもない(おまけに、避難先が運搬の途中で変更されたらしい)。

偶然であるが、4月下旬、つまり5月13日の避難・移動の約2週前に、現地の様子がブログ「宮崎の風景」の記事で写真とともに掲載されていた。

ひむか神話街道(西都~渡川間) 記事は5月7日の掲載
http://audeo.blog73.fc2.com/blog-entry-163.html
このブロガーにお願いして、ファイルサイズが大きい現地の写真を提供していただいた。
移動後に収容されたらしい場所の様子をここで再度紹介する。

道路沿いに眺峰館という建物があって、そこには休憩場所とトイレがあるらしい(自分は利用していない)。
口蹄疫 - 種雄牛6頭の避難先の検証_e0094349_13481450.jpg

牧場跡地には壊れかかった畜舎があったようである(自分はそこまで踏み込んでいない)。
口蹄疫 - 種雄牛6頭の避難先の検証_e0094349_1349591.jpg

畜舎のところだけ拡大したのが下の写真(クリックで拡大)。
口蹄疫 - 種雄牛6頭の避難先の検証_e0094349_13495645.jpg

グーグルアースで現地の衛星写真(フランスのスポット衛星が撮影)を切り取って、建物と道路の関係を下の写真で示す。(もし間違いがあったら、ご指摘いただきたい)

発生農家の分布とその1日ごとの変化を見ることができるように有志の方がグーグルアース・サイトに画像を掲載している。これから感染拡大の様子が良くわかる。
https://sites.google.com/site/aftosama/
口蹄疫 - 種雄牛6頭の避難先の検証_e0094349_13512429.jpg

以上のように、避難先の準備と整備状況を含め、このオペレーション自体が極めて泥縄的であったことは否定できないだろう。関係者がパニックに陥っていたためと気の毒に思われるが、避難先の山頂からウイルスを広域に飛散させるリスクは充分に考慮されていたのだろうか。阿蘇や霧島方面には放牧場が多数あるだろうから、風に乗って拡散したらどうなるか、想像した上での行動だったのだろうか。移動中の防御体制が空気感染を全く考慮していなかったことから、恐らく考えていなかったのだろう。

ここからの二次感染が遠方で起こらないように祈るしかない。

by beachmollusc | 2010-05-29 13:58 | 口蹄疫
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