beachmollusc ひむかのハマグリ


海辺の浅瀬は水産動物のこども達のゆりかごです
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海辺の自然を取り戻そう
 自然の恵みを後世に残すためには、その生態と環境を深く、よく知ることが基本です。

 海岸の浅瀬、干潟や砂浜は資源生物のゆりかごです。
しかし、それにおかまいなしに埋立てや海岸構造物の建設、水質汚染も加わって、日本中の水辺、海辺の環境は撹乱され、破壊されてしまいました。その結果、ハマグリなど干潟の動植物の多くが絶滅危惧種となっています。

 このブログでは、主に砂浜環境の保全を念頭において、日本各地の山、川、海の姿を調べて見てまわったこと、
そして2006年5月に移住した日向市の海辺と里山の様子や生き物などを紹介します。

このブログにリンクを張ることはご自由にどうぞ。

    - 自己紹介 -

大学院博士課程修了後7年間の海外での研究と28年余り大学教員をしていました。

海の無脊椎動物(貝、ヒトデ、サンゴ、クラゲなど)が専門、自称の学位は Doctor of
Underwater Marine Biology
(DUMB:バカセ)

楽観的な悲観論者または悲観的な楽観論者:生態的に無理をしている人類の滅亡は近いだろうが、それも自然の摂理じゃないのかな

せっかちな慎重派:ゆっくり
見極めて急いで集中的に
お仕事します

好きなもの:日本蕎麦が一番、パスタ・スパゲッティ、うどんもよし、つまりメンクイです

嫌いなもの:人混み、投棄ゴミ、マスゴミ、脳衰官僚

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宮城県石巻市横須賀海岸の砂浜侵食

■長面海水浴場を閉鎖 2006.06.29
砂浜の浸食深刻、保安林も危機
石巻市 原因不明 再開見通し立たず/
http://www.sanriku-kahoku.com/news/2006_06/i/060629i-nagatura.html

< 浸食による地形の変化が深刻化している石巻市河北地区の横須賀海岸で、長面海水浴場の砂浜の浸食が一段と進み、市は二十八日までに「海水浴客の安全が脅かされる恐れがある」と判断、海水浴場を閉鎖することを決めた。駐車場や保安林の一部までもが波に削られて危険な状態になっているためで、今後さらに進むと民家や水田に海水が流入する可能性も大きい。今年二月、市や県、東北大による研究会が発足して調査が始まっているが、浸食拡大の原因はまだ分からず、海水浴場が来シーズン以降、再開できるかどうかの見通しも立っていない。

 長面海水浴場は延長約八百メートル。六年ほど前から浸食が激しくなったといい、海水浴シーズンを前に市河北総合支所などが調査した結果、駐車場、保安林の一部が波で浸食され、満潮時には砂浜が消えてしまう状態と分かった。

 保安林の目の前はなぎさになり、大きな低気圧や台風が接近すれば、保安林が倒れ、民家や水田に海水が流れ込む危険性も大きいという。

 海岸を管理する県石巻土木事務所は昨年十二月から今年三月にかけて、北上川河口右岸から海水浴場まで約六百メートルに砕石を敷いて浸食が進まないようにする応急工事を実施。はだしやビーチサンダルで歩ける状態ではなくなっていた。

 河北町漁協の坂下健組合長は「昭和五十年代までは、なぎさから松原まで百メートル以上も乾いた砂浜が続いていた」と振り返る一方、「砂が海へ流出した結果、湾は二メートルぐらい浅くなり、波が立ちやすい状態になった。漁をするにも危険な状態だ」と指摘する。

 砂浜が消える原因について坂下組合長は「北上川河口周辺で二十年ほど前、砂の採取が行われたことがあった。それが原因とは断定できないが、初めは小さな環境の変化でも、次第に大きな変化につながるケースもある」とみている。

 関係行政機関などが今年二月、「横須賀海岸侵食対策研究会」(会長・田中仁東北大教授、十五人)を組織。赤く着色した砂を投入して砂の移動量や方向を調べ、撮影年次の違う航空写真を使って浸食の変化を分析しているが、詳しい原因はまだ分かっていない。七月下旬の会合で浸食進行への対応をあらためて検討する。

 長面海水浴場は毎年、北上川河口右岸に広がる風光明美な横須賀海岸に開設され、期間中は一万人前後が利用してきた。昨シーズンは砂浜がわずかに残った状態で開設、六千五百人が訪れた。>


■横須賀海岸を本格改修 2007.01.07
石巻市・長面の低気圧被災
国が補助金、4月着工/
http://www.sanriku-kahoku.com/news/2007_01/i/070107i-kaisyu.html

< 県石巻土木事務所は、昨年十月六日の低気圧で壊滅的な被害を受けた石巻市長面の横須賀海岸の本格的な改修に乗り出す。国が災害復旧費として二億円を補助し、県独自の事業費を加えて、四月から工事を開始する。

 海岸の本格的な改修を前に、工事用車両が入る道路整備が急ピッチで行われている。海岸は脱衣所などの海水浴場施設の周辺まで浸食が進んでおり、土木事務所は警戒を強めている。

 横須賀海岸は、昨年十月の低気圧の被害を受ける前から海岸の浸食が進み、土木事務所は二〇〇五年十二月から海岸に岩石を並べ、砂が海に流出するのを防ぐ応急工事を進めていた。工事が完成に近づいた段階で、台風並みに発達した低気圧の被害に遭った。>


横須賀海岸侵食対策研究会のHPと関連情報(検討会の資料)に詳しい経過情報と周辺で行われた調査結果、過去の空中写真が掲載されている。
http://www.pref.miyagi.jp/kasen/kg_yokosukakenkyukai.html
研究会資料
http://www.pref.miyagi.jp/kasen/kaigan/yokosuka_ken1shi.pdf
http://www.pref.miyagi.jp/kasen/kaigan/yokosuka_ken2shi.pdf
第二回の検討会では鮎川港の潮位変化について1995年以降のデータを調べ、特に変化がないとして侵食を起こした原因とは認めていない。
このデータは、地元住民から出された「潮位が上がっているような気がする」という意見を受けていたように見える。

検討委員会はごく最近の海水準変化だけを見ているが、もっと長期の変動傾向を見ておくべきであった。{日本列島沿岸の年平均潮位=グラフ 海域Ⅱ}の鮎川港の年平均海水面の上昇がグラフで示されている。これから、最近数十年間で20センチ以上の海水面上昇が認められ、しかも最近の上昇傾向が明瞭である。
http://cais.gsi.go.jp/cmdc/center/graph/ayukawag.gif
e0094349_865776.gif

地盤沈下に換算して示した図。
http://cais.gsi.go.jp/cmdc/center/touhoku/touhoku.html#ayukawa
e0094349_855416.gif

この砂浜海岸はspitと呼ばれる地形であり、河口や潟湖の出口に形成されるものである。陸地と無関係に、砂が寄せられて盛り上がった一種の砂丘であるが、砂浜の勾配が緩やかになっているはずである。

空中写真で見ると、この海岸の保安林から汀線までの距離にゆとりが乏しい、浜の北側で汀線に向けて植栽し、その前面に護岸を建設したことが背景にあるようだ。

そして、地盤の上下変動は傾斜が緩やかな砂浜海岸の汀線に大きく影響すると思われる。

もし前浜の傾斜が1:100であれば、20cmの地盤沈下は平均位置での汀線の水平距離に換算して20mになる。干潮時の前浜の距離が100mだったら20m後退するはずである。現地の傾斜はおそらくもっと緩やかであろう。乾いた砂浜の{幅}が狭くなってきたのは当然である。

海水面の上昇で汀線がゆっくりと陸側に移動し、大きい波浪が当たりやすくなっていたところに洪水や強い台風の波浪で砂浜侵食の引き金が引かれたと思われる。2002年に連発で来た台風が特に効いたのであろうが、沖に砂が移動して出来たサンドバーが陸側にビーチサイクルで戻る前に護岸を強化して、前浜の侵食地形を固定化し、さらに後の台風で悪化させたように思われる。

漁協の組合長が指摘していて、委員会資料でも明らかであるが、浜の砂は移動して堆積パターンが空間的に変化している。ここの委員会の委員たちはビーチサイクルという概念を持っていたのであろうか。地域的に地盤が沈下し、海水面の上昇が続いている砂浜海岸で前浜を維持したければ、セットバックしかないだろう。

傾斜が緩くて広い砂浜は大波を砕けさせる効果が大きく、海岸の最良の「防波構造」である。しかし、そこに護岸などの大波が当たって砕けるような硬い構造物があれば、嵐の時に洗掘現象が起きて、砂が沖に移動する。

護岸が国の援助でさらに強化されるようである。離岸堤を使ってトンボロ効果で砂を繋ぎとめても、これまでのような地盤沈下(海面上昇)が続けば、砂浜は構造物ごと沈下を続けるであろう。

{追記}

「変化する日本の海岸」、小池一之・太田陽子〔編〕、古今書院〔1996〕、とかその他の海岸について書かれた本をおさらいしてみた。

自分が頭の中で見ていることと、一般的に言われていることが整合していない、つまり疑問に感じていることの中で一番大きな問題は、河川から海へ流れてくる土砂が減れば海岸で侵食が起こる、という概念の妥当性である。

ここで取り上げた横須賀海岸で起こったことは、沿岸流による沿岸漂砂に影響を与えるような構造物が存在しないこと、つまり砂浜侵食問題を極めて複雑にしている要素を考慮しないでよさそうなことで、問題の本質と考えている地盤と海水面の高さの変動の影響がストレートに出ていたと思われる。

横須賀・長面海岸は北上川の河口にある砂州として出来た堆積地形であるから、川からここに運ばれている土砂がどのようになっていたか、という点も重要であろう。これは検討委員会でも取り上げられているが、流出土砂の実態がわからないためにスルーしている。ただし、河床から土砂を浚渫している量については経年変化などを示しているが、それを侵食に関連付けることはできなかった。

この場所ではかなり綿密な調査をしているが、重要な見落としとして、すでに指摘した海水面の長期変動(地盤沈下)のほかに、海底で砂でなく泥が堆積している水深の情報を面的に調べていないことがある。

河川から海に運ばれる土砂には大小の石塊から粗い砂、細かい粒、そして粘土やシルト、コロイドまでがあるだろう。通常の流量で運ばれるものは相対的に重要ではないかもしれないし、大きい方の粒子は特に動かないと考えられる。つまり、洪水で一気に流されている土砂の実態が重要である。

洪水で運ばれて河口周囲に堆積した土砂の状態については情報が乏しい。しかし、海底の堆積物をコアとしてくりぬいて、堆積の履歴を調べることは行われている。隆起した平野の部分でも、土質調査としてボーリングコアのデータが無数にあり、その中に見られる「海成層」という海底で堆積した部分の履歴から、堆積時の環境が推定でき、時代も年代測定で推定されている。

現在の状態で、平野の河口から沖側の浅い海底で堆積物がどのようになっているかは大体想像できるが、実際の表面堆積物の採取やボーリング調査のデータを見ないと、地域特性による部分がわからない。横須賀海岸は平野ではなくて、沖側がかなり急に深くなる谷になっているようなので、その影響を考える、つまり海岸の流動砂が深い方へ移動したまま戻れなくなる程度を推定する必要がある。それを知るためには、海岸に直角に、岸から沖に向けて一定水深ごとにボーリングコアをとって調べるべきである。まず表面で泥しか堆積していない深さを調べ、そしてその下に嵐の時に運ばれていた砂があるかどうかをさらに沖までチェックするのである。

以上のような調査結果が出れば、川から出てきた土砂が海岸でどのような運命を辿っているかを推定できるはずである。これには海洋学、堆積学の専門家の助力を求めなければならない。

次に横須賀海岸の問題から離れ、一般の平野部の海岸に眼を移してみたい。

ほとんどの平野の河川では、大きな川の本流はともかく、その支流や中小河川では河川改修が極めて積極的に行われてきている。その目的は大雨の洪水時に増水した分をすばやく海に流すことと考えられる。つまり、これによって過去と現在の河川の土砂流出特性は変化してしまっただろう。そして、細かい土砂、すなわち海岸まで運ばれて海で堆積する分は、他の条件に変化がなければ、より流出しやすくなっているはずである。

洪水時の流出土砂の供給源は流域の斜面崩壊が重要であろうが、これは戦後の山林の荒廃で悪化していたのがその後人工林の拡大で緩和されたようである。しかし、最近では奥山で人工林の皆伐が進んでいて、その後のケアも杜撰であり、斜面崩壊や土砂崩れは激化しているように思われる。つまり、全体的に土砂の海へ向けての流出は増大傾向にあるだろう。

ダムの建設で土砂がそれにトラップされ、さらに河川で河床に土砂が堆積し、かさ上げされるので洪水の危険が増しているといわれる。さて、これらは海に流れ出るべき細かい土砂成分を本当に減少させているのだろうか。

斜面の傾斜が急な部分が終わってから、平野部の海岸で川から海に流れ出ているものは、粗い砂か、それよりも細かい成分が圧倒的な量を占めているだろう。陸上部分で扇状地となって、粗い土砂は堆積して、残りが引き続き海に流れて行くだろう。データがないので憶測であるが、海に到達できるのはシルトと粘土粒子がもっとも多いのではないだろうか。ダムや河床に溜まっている土砂のほとんどは流されなかったので留まっているのだろう。洪水の時にダムから放水されている水のなかに細かい土砂の粒子は含まれていない、つまりその水は澄んでいるだろうか。

以上は憶測と推測であるが、一般的に言われている単純な説明:海岸の砂の「供給の減少→砂浜侵食」説が堆積の実態調査から検証されるべきであることを指摘しておきたい。

{追記、9月26日}

鮎川験潮所のデータがしばしば変調をきたし、設定のやり直しを繰り返しているが、これは地震による地盤の変化のせいだろう。

まずこの験潮所が開設されたすぐ後に、1897年2月22日のM7.4の宮城県沖地震とマッチした海面変化を記録している。これは小さい海水準上昇(地盤沈下)である。

1936年(昭和11年)11月3日に発生した宮城県沖の地震:深さ61km、M7.4。これは験潮記録をばっちり動かしていた。ただし、地震後の数年間で40cmあまりの地盤の隆起である。この地震で狂った基準を設定しなおしたらしいが、その後は海面上昇(地盤の沈降)が続いている。

1978(昭和53)年6月12日、宮城県沖、M7.4。その影響(地盤沈下)が潮位データに相対海水面上昇として現れているようだ。

東北地震、2003年5月26日、宮城県気仙沼沖の深さ71kmを震源とするマグニチュード7.1、モーメントマグニチュード7.0の地震。2005年8月16日宮城県沖の地震、宮城県沖の深さ約40kmでM7.2。これらは共に鮎川での海面上昇を加速したようである。

宮城県の周辺では今年も大きい地震、岩手・宮城内陸地震:2008年6月14日、M7.2があった。これはプレートの地震ではないが無関係ではないだろう。

ひょっとすると、これから近いうちに起こる(と予想されている)1936年の同タイプの地震で地盤が隆起するかもしれない。もしそうなれば横須賀海岸は隆起して砂浜がめでたく復活するだろう。しかし、その時は海岸に建設されたコンクリート構造物が地震で砂の中に埋没したり、いろいろなことが起こるに違いない。
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by beachmollusc | 2008-09-18 08:07 | 評論
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