beachmollusc ひむかのハマグリ


海辺の浅瀬は水産動物のこども達のゆりかごです
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海辺の自然を取り戻そう
 自然の恵みを後世に残すためには、その生態と環境を深く、よく知ることが基本です。

 海岸の浅瀬、干潟や砂浜は資源生物のゆりかごです。
しかし、それにおかまいなしに埋立てや海岸構造物の建設、水質汚染も加わって、日本中の水辺、海辺の環境は撹乱され、破壊されてしまいました。その結果、ハマグリなど干潟の動植物の多くが絶滅危惧種となっています。

 このブログでは、主に砂浜環境の保全を念頭において、日本各地の山、川、海の姿を調べて見てまわったこと、
そして2006年5月に移住した日向市の海辺と里山の様子や生き物などを紹介します。

このブログにリンクを張ることはご自由にどうぞ。

    - 自己紹介 -

大学院博士課程修了後7年間の海外での研究と28年余り大学教員をしていました。

海の無脊椎動物(貝、ヒトデ、サンゴ、クラゲなど)が専門、自称の学位は Doctor of
Underwater Marine Biology
(DUMB:バカセ)

楽観的な悲観論者または悲観的な楽観論者:生態的に無理をしている人類の滅亡は近いだろうが、それも自然の摂理じゃないのかな

せっかちな慎重派:ゆっくり
見極めて急いで集中的に
お仕事します

好きなもの:日本蕎麦が一番、パスタ・スパゲッティ、うどんもよし、つまりメンクイです

嫌いなもの:人混み、投棄ゴミ、マスゴミ、脳衰官僚

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2009年 05月 14日 ( 1 )


マッチポンプのマツクイムシ対策

昨夜8時半から9時にかけて自宅周辺で今年最初のホタルの発光を見ました。
ヒメボタルは1個体のみで、ゲンジボタルとヘイケボタルは数個体でした。
気温は約18度で十分に高かったようですが、湿度は約60%と乾燥していたので、土の中で待機している羽化成虫が出るのを控えていたかもしれません。出てきたものも、ほんのわずかな時間だけでした。

昨年に比べて約2週間早いこと、そして3種が同時にそろい踏みということは特記事項です。延岡や北川など、他所でも今年は早く出ているようです。

さて、夏が近づいてホタルだけでなくいろいろな昆虫が活動開始です。

今朝、小倉ヶ浜の中央部、赤岩川河口付近の松林をチェックしてきましたが、薬剤散布で立ち入り禁止の予告が出ていました。今年もまた、来週からはじまるようです。
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羽化するマツノマダラカミキリが枯れ松の中のマツノザイセンチュウを運んで、他の元気な松にマツ枯れが広がることを防止する(建前で)この生態系破壊の暴挙が行われます。

線虫とカミキリムシの幼虫が潜んでいるのは、枯れた(そして、感染していて枯れる前の段階で弱っている)松の木の中です。そして、海岸からよく見えますが、昨年のうちに枯れた松が放置されたままです。
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松林の中には枯れた松の倒木が多数あり、さらに部分的に枯れていて弱っている様子が見られるものが密生しています。松は貧栄養環境に適応する樹木なのでジャングル状態ではストレスが一杯であり、そのために弱っていると線虫に感染しやすくなっている(カミキリムシはそのような木を選んで幼虫を育てる)はずです。
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別の場所で、伐採して運び出された枯れ松が、海岸付近の空き地に山積みされているところを見つけました。

このように、松枯れに関与するカミキリムシと線虫の再生産システムを現地に温存したままで、薬剤散布を闇雲に行うというわけです。こういったやり方は「マッチポンプ」と称されます。

松枯れに関係するカミキリムシを殺す目的で薬剤散布すると、他の多くの昆虫はもちろん、土壌中の小動物や微生物からなる生態系を破壊します。また、松は土壌中の菌類と共生関係を維持しているのですが、薬剤がその共生関係にどのような影響を及ぼしているのか、誰も気にしていないようです。

松枯れとは、何らかの理由で弱った松を森林から取り除くメカニズムであり、「遷移」をもたらす仕組みでしょう。マツノザイセンチュウは、原産地のアメリカでは元気な松と仲良く共生しているそうです。

共生関係をうまく維持できない、線虫耐性の弱い日本の松はそれと仲良くできませんが、抵抗性の苗を選抜して育て、弱い松と交代させることが生態的に理に適った方策でしょう。この方策は実験的に進められているようですが、その一方で線虫とカミキリムシの増殖の手助けを続けながら、マッチポンプで薬剤散布をするのはいかがなものでしょうか。使用される薬の製造販売関係と、散布作業を請け負う事業者の「利益」だけのために松枯れ対策事業が行われることは納得できません。

事業予算の使い道としては、弱っている松と枯れ松の撤去と適正な処分、そして富栄養化した林床を松の生理に好適な状態に改善して維持するべきです。また、カミキリムシを食べる天敵の鳥を増やすために巣箱を設置するなどの方法があるはずです。殺虫剤で餌を奪われた鳥達が林から姿を消すような、強い味方を失うような税金の無駄になる、愚かな「対策」はやめてもらいましょう。
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by beachmollusc | 2009-05-14 11:52 | 環境保全