beachmollusc ひむかのハマグリ


海辺の浅瀬は水産動物のこども達のゆりかごです
by beachmollusc
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海辺の自然を取り戻そう
 自然の恵みを後世に残すためには、その生態と環境を深く、よく知ることが基本です。

 海岸の浅瀬、干潟や砂浜は資源生物のゆりかごです。
しかし、それにおかまいなしに埋立てや海岸構造物の建設、水質汚染も加わって、日本中の水辺、海辺の環境は撹乱され、破壊されてしまいました。その結果、ハマグリなど干潟の動植物の多くが絶滅危惧種となっています。

 このブログでは、主に砂浜環境の保全を念頭において、日本各地の山、川、海の姿を調べて見てまわったこと、
そして2006年5月に移住した日向市の海辺と里山の様子や生き物などを紹介します。

このブログにリンクを張ることはご自由にどうぞ。

    - 自己紹介 -

大学院博士課程修了後7年間の海外での研究と28年余り大学教員をしていました。

海の無脊椎動物(貝、ヒトデ、サンゴ、クラゲなど)が専門、自称の学位は Doctor of
Underwater Marine Biology
(DUMB:バカセ)

楽観的な悲観論者または悲観的な楽観論者:生態的に無理をしている人類の滅亡は近いだろうが、それも自然の摂理じゃないのかな

せっかちな慎重派:ゆっくり
見極めて急いで集中的に
お仕事します

好きなもの:日本蕎麦が一番、パスタ・スパゲッティ、うどんもよし、つまりメンクイです

嫌いなもの:人混み、投棄ゴミ、マスゴミ、脳衰官僚

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カテゴリ:サルナシとマタタビ( 66 )


シマサルナシとキウイフルーツの系統関係

マタタビ属の各種について分子系統を調べた論文が色々と出版されています。日本国内でサルナシがキウイフルーツの先祖であるがごとき情報が広がっていますが、系統分類の研究結果を見るとサルナシとキウイはかなり遠い類縁関係にあるようです。

一方、シマサルナシは相対的にキウイフルーツに近い(祖先が分かれたのは比較的新しい)ようです。見た目もよく似ているので、ミニキウイという商品名を使ったらよいかもと考えています。(サルナシはベビーキウイとかキウイベリーとされて流通しています)

商品名がキウイフルーツと呼ばれているものには2つあり、Actinidia deliciosa(キウイ:オニマタタビ?) とA. chinensis(シナサルナシ)が区別されます。少し古い日本の文献などでは両者が識別されていなかったことで、シナサルナシとオニマタタビは同一とされています。実際には、この2種は緊密な類縁関係にあり、染色体の倍数化によって(2倍体のシナサルナシが6倍体のキウイになった)という仮説があり、それを支持する研究結果が報告されています。

Isozyme Polymorphism in the Genus Actinidia and the Origin of the Kiwifruit Genome
R. Testolin and A. R. Ferguson
Systematic Botany, Vol. 22, No. 4 (Oct. - Dec., 1997), pp. 685-700
http://www.jstor.org/stable/2419435

論文要旨の結論:
Actinidia deliciosa, the kiwifruit, (2n = 6x) and Actinidia chinensis (2n = 2x) share 34 of 40 alleles, and are consequently thought to be by far the most closely related species. Our results are consistent with the hypothesis that Actinidia deliciosa was derived by polyploidization solely from Actinidia chinensis without any other Actinidia species being involved.

シマサルナシの果実はサルナシの緑色の実と見かけがかなり異なっていて、褐色の果皮から見ても、表面的にはキウイフルーツそっくりです。

香川大学の片岡研究室の日本自生のマタタビ属植物の概要(サルナシ,シマサルナシ,マタタビ)のシマサルナシの果実についての部分を引用します。学術的に書かれているので一部を翻訳しておきます。

<果実は10~30gで,緑褐色から褐色で無毛ですが,表面に皮目(ひもく)を生じます.生育場所の環境により果実の色や皮目の発生程度は変化します.果肉は濃緑色で放射状に種子が入ります.可溶性固形物含量は10~18%で滴定酸含量は2%前後です.アスコルビン酸含量は20~50mg/100g果肉新鮮重が含まれ,ポリフェノールも多く含まれています.サルナシとは対照的に,タンパク質分解酵素(アクチニジン)の含量が極めて少ない特徴があります.食味は良好です.>

表面に皮目があることはキウイの果実の表面の皮毛と似ています。

可溶性固形物含量とは糖度に相当しています。さっぱりした甘さとわずかな酸味があります。つまり食味が良いということの背景になっています。

アスコルビン酸とはビタミンCのことです。ポリフェノールと共に抗酸化作用があり、健康維持、特にウイルス対策には効果があると思われます。丁度インフルエンザが流行する時期に実るので、食べると体によい果実の一つです。

アクチニジンの含量が少ないので、キウイフルーツの食感と異なり、しつこさが感じられません。

シマサルナシの固い実を縦と横方向に切って、中を見るとキウイフルーツ(大きい方)の断面とそっくりです。
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固いうちに収穫したシマサルナシの実は放置しただけでは熟さず、追熟にエチレン処理が必要、野外では霜が当たるようになってから熟し、実は落果しないようです。

北浦と北川の境界の山頂(山ノ神山)で見つけたシマサルナシが熟すのは今月末の頃とおもわれるので、天気が良い日に収穫に出かける計画です。
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by beachmollusc | 2009-11-24 14:54 | サルナシとマタタビ

寒波の影響

昨日は訪問者の応対で部屋から薄着のまま外に出て、ズルズルしている間に寒気がして、さらに喉が急に痛くなりました。こりゃイカンと葛根湯を飲んで暖かくして一晩休み、今朝は回復してOKです。葛さんありがとう。

庭に植えた、3年で背の丈まで育っているポポーの木ですが、葉がほとんど落ちています。その落ちる前に黄色に染まった大きな葉は見事です。来年こそは初めての実をならせることでしょう。
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2度目の冬を迎えるポポーの苗もほぼ全部が落葉して裸ですが、なぜか1本だけそれに抵抗中です。
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その脇で古いホダからシイタケが一つ出ていました。

新しいポポーの苗を育てるため、アメリカから取り寄せた種を鉢に植えておきました。これは冬の間の冷却期間がないと発芽しません。来年の初夏に、忘れた頃に芽を出すでしょう。

すっかり忘れていたのですが、昨年イワオさんが植え込んでくれたシマサルナシの茎から苗が育っていました。葉が少し変色していて、落葉が近いようです。
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草刈で上の部分をちょん切られたようですが、本体は無事です。これら3本の苗が大きく育ってくれるように竹の目印を立てました。来春伸びはじめたら、それぞれに高さ2mくらいの支柱を立てる計画です。
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by beachmollusc | 2009-11-19 09:36 | サルナシとマタタビ

シマサルナシの収穫

15日は香川大学の片岡研究室で分析されるサンプルとなるシマサルナシの果実を採集に出かけました。北風がやや強く、数日前の大雨の影響も若干気になりましたが、自宅周辺は狩猟解禁で狩猟犬が騒がしいので、ミッキーを連れて避難行動を兼ねています。

最初は北方町の布引林道の細長い実ですが、高切鋏が届く範囲は前回の調査の時に片岡さんが全部切り取っていました。林道の下側斜面(崖)に生えている木に絡んでいたので下に降りられません。そこで、ロープの先に水を入れたペットボトルを縛りつけ、木に向けて投げて絡ませ、手繰り寄せました。やっとのことで必要数を確保しました。

その次は、国道388号線から北浦に向かい、熊野江林道を登って変な形の実がなっているシマサルナシです。正常な実も大きさがマチマチになっていて、小さいコブコブの塊もあります。これも林道の崖下の木に絡んでいて、届く範囲の実は少なくなっていましたが、サンプルは何とか確保できました。
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熊野江林道をそのまま登って、接続する森山林道から鏡山に出ました。ここでは日曜日とあって、かなりの観光客が車で来ていました。森山林道の道筋にあちらこちらでツツジが咲いていたのが奇妙です。
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鏡山から国道10号線の市棚に向けて下山する途中で、その後に向かう松瀬・歌糸林道のある尾根筋が見えますが、あたり一面が伐採された跡地です。
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この周辺は、北川の支流で日本一美しい渓流と思われる小川とその支流の水源地です。

北川と北浦の境界線となっている松瀬・歌糸林道の尾根道にたどり着く前の道はかなり荒れていて、倒木の破片や崩れ落ちた岩を除けながら、所によっては取り除きながら走りました。しかし、頑張って走った成果は期待通りです。

この場所のシマサルナシは大きな果実がたわわに実っていて、しかも採取の手が届く範囲にわんさかあります。それが2本近接している上に、他に2本実がなっている蔓を見つけています。ゆっくり探せばさらにありそうな、シマサルナシの宝庫です。
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葉が黄色くなり、柔らかくなりだした実が少しありましたが、ほとんどは固くて熟していないようです。熟した頃に追加の採取に出かけるつもりです。

同じ林道でブドウのミニチュアのような実が生っている蔓植物を見かけました。食べられるサンカクヅルに似ていたので採取して持って帰りました。
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さて、これは食べてもだいじょうぶでしょうか。
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by beachmollusc | 2009-11-16 08:32 | サルナシとマタタビ

新潟県十日町市のサルナシ園、結いの里

11月1日正午前、新潟県のJR柏崎駅に到着する頃から空模様が怪しくなり、予報どおりに寒波の雲が空を覆いだしました。昼食後に柏崎中央海岸と鵜川の河口を見て回ってから、雨が降る前にサルナシ園を見学するべく十日町市の結いの里を目指してレンタカーで1時間ほど走りました。
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結いの里のシンボルキャラクターはムジナです。ムジナ(貉、狢)とは、主にアナグマのことを指す、とのこと。

あいにく到着した3時頃は土砂降りの雨の中で、結いの里の社長さんと情報交換し、従業員さんの案内でサルナシ園を見学しました。

この農園では色々なこと(農村体験ツアーなど)をやっていて、サルナシの果実と加工品(ジャムと果実酒)の生産販売をしています。近くの温泉地訪問のかたわら、ここに来るお客さんが多いそうです。

施設は市の学校が使っていた農業実習用の農園と畜産施設の跡地を建物ごと借りて使っています。
http://www.nagumoyui.com/nagumoyui/
建物の前にはジャンボカボチャのコンテストに出品された作品がずらっと並んでいました。

訪問した11月のはじめは、すでに果実の収穫が終わっていて、サルナシの本体の多くは落葉していました。
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面白かったことは、雪国でのサルナシ栽培のために棚が維持できないことで垂直の支柱を使っていたことです。

ここでは収穫時期にサルナシ狩りをやっています。さらに、サルナシ100株について(各1万円で)オーナー(これぞ、株主)を募集して里親になってもらっています。オーナーの8割は地元ですが2割は関東地方を中心に各地に分散していて、埼玉や東京のオーナーの名前を見かけました。
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サルナシ類のような小さい果実を収穫するのは手間と費用がかかります。そこで、観光農園としてお客さんに収穫してもらうこと、それを発展させてオーナー制を取り入れることは良い工夫です。
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by beachmollusc | 2009-11-07 11:45 | サルナシとマタタビ

青島のウラジロマタタビ

27日に青島のウラジロマタタビをチェックしました。蔓に残っていた果実を10個ほど採取しましたが、予想通り過熟状態で、地面には茶色になった実の成れの果てが落ちていました。
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サルに先取りされた様子はありませんが、鳥につつかれたような実が一つ残っていました。
この株の実はウラジロマタタビとしては大きいので、挿木で苗を作るほか、種からも実生苗を作る計画です。

青島から日向市に戻る途中で県道22号線のシマサルナシをチェックしました。これは小丸川渓谷沿いの県道22号線にありますが、道路からよく見える場所の実は誰かに先を越されていたようです。枝がかなり痛んでいました。
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残っていた実を採取し、枝の一部を切り取って、サンプルを香川大学の片岡研究室に送りました。

これからJRで埼玉経由で柏崎に向かいます。ブログの更新は、できる範囲で携帯メールで送ります。ノートPC、モバイルでもできますが、ウイルス対策とパケット通信のコストがかかるのでやめました。
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by beachmollusc | 2009-10-28 05:36 | サルナシとマタタビ

北方のウラジロマタタビ

延岡市北方町の山中で見つけておいたウラジロマタタビの実を調べてきました。結果としては、見に行くのが遅すぎました。ウラジロマタタビの実が熟すのは10月上旬よりも前のようです。海岸と海辺の勉強会を続けていた間に収穫の適期が過ぎたようです。

まず、林道の入り口がある下鹿川を目指して県道214号線の細道を登りましたが、比叡山と矢筈岳が青空を背景にして見事な景観です。
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前回訪問時に工事中の、がけ崩れ地点は修復が終わっていました。

下鹿川から棚田の見事な猪の内谷を通って山中に入ると、前回はなかった「ふれあい道標」が立てられていました。前回はこの「行き止まり」まで進んでから引き返して、橋を渡って「ふるさと林道」に出ました。
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林道を少し進むと蔵田と大保下への路線が分岐していますが、これらの幹線については道標があるので迷子にはなりません。枝道が縦横に走っている山中の林道ネットワークで、道しるべが無いことが普通ですが、北方町はドライバーに親切です。

蔵田に向かう登り道にウラジロマタタビの実付きの株が2本あります。1本は赤色を帯びた綺麗な果実を付けていますが、もともと実の数が少なかったのが、1個しか残っていませんでした。
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別の株は大きい実が沢山なっていたのですが、すでに黄葉が進み、果実は完熟を過ぎた状態で、残っているものは少数です。これはこれで種を採取できるので、届く範囲で採集しておきました。
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採集の後は、蔵田に向かわずに大保下に向かいました。

この道は鹿だらけのようです。前にも複数の場所で出会いましたが、今回も2箇所で遭遇しました。
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逃げる鹿のお尻が白いのが面白いのですが、これは何の印でしょうか。

大保下から県道215号線で山を下り、国道218号線に出て、北浦の浦城海岸に立ち寄ってナミノコガイのサンプルを採集しました。ウネリがあって、ナミノコガイたちは上げ潮の中で盛んに波踊りをしていました。
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by beachmollusc | 2009-10-21 11:57 | サルナシとマタタビ

サルナシの収穫と紅葉

雲一つ無い秋晴れの中、サルナシとウラジロマタタビの実を採取するべく、南郷から椎葉、日之影を回ってきました。同行して、おサルさんのように木に登って頑張ってくれたのは、ご近所の黒田さんでした。

樫葉から大河内に向かう度川・大藪林道は舗装工事が終わって、ダート部分はなくなっていました。その道沿いのサルナシの巨大なオス株をながめているのが黒田さんですが、さすがにこれには登れません。
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結果的に、サルナシ、特にウラジロマタタビの実を採集するベストのタイミングは逃し、低地(標高200m台)の日之影の株は過熟状態で、地面に沢山落ちていました(実が大きく、鈴なりだったもので、期待していました)。ウラジロマタタビの収穫は数週間前にするべきでした。

それでも、樫葉と大河内の標高1000m前後のサルナシは、まさに完熟で、枝から採って食べてみたら甘くて適度な酸味があり、味覚は上々です。

写真は左の大きい実が日之影のもの、右が大河内のものです。
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どちらもウラジロマタタビで、植物分類ではサルナシの亜種または変種とされていますが、ウラジロマタタビは2倍性でサルナシが4倍性という染色体数から見て、原種は南日本に分布するウラジロマタタビであって、北日本に分布域を広げたサルナシはそれから派生したものと考えた方がよさそうです。

樫葉オートキャンプ場に立ち寄ってみましたが、前の訪問の後に草刈がされ、管理棟前のススキが消えていました。前のブログで紹介した古い新聞などは消えていましたので、行政によって完全に無視・放置されているわけでなく、誰かが様子を見ているかもしれません。しかし、槙鼻峠で案内表示が道路脇に倒れたまま苔むしている姿が哀れです。
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樫葉オートキャンプ場の施設は電気は止められていて使えませんが、水道は生きていますので、立派な炊事棟とトイレは使えます。炊事棟の調理台はベッドになる、と黒田さんが半分冗談を言っていました。また、大工さんとして、施設の建物を見て、税金がたっぷり使われていることを証言してくれました。

樫葉から大河内にかけて、三方山の周辺の自然林はすばらしい紅葉の最中です。黒田さんは美味しいサルナシの実をとって食べてから、紅葉を楽しみ、とてもご満悦でした。
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人工林の伐採後に放置された山腹で白いススキの穂が一面に見られた景観は皮肉にも美しいものでした。
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これで視界の中に荒れた伐採地や杉畠、そしてがけ崩れが見えなければ最高の景観となります。また南郷の神門から樫葉・大河内へのアクセス林道のボコボコ状態を修復すれば、一般車での観光ドライブも容易になります。日向市の市街地から車で1時間半程度で到達できる場所です。
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九州大学の演習林がある三方山の登山、樫葉の巨樹と滝、紅葉の鑑賞など、自然に触れて楽しめる所に立地したオートキャンプ場が見捨てられている状況はどうにかできないものか、と思われてなりません。渓流釣りがホビーの黒田さんはこの周辺一帯で釣り歩きを経験していますが、演習林の周りは禁漁です。

樫葉オートキャンプ場の利用には、樫葉にアクセスする林道沿いの度川上流での渓流釣りや川遊びがリンクされていれば利用者があったでしょうが、いくら立派な施設を建設しても、箱つくりだけで魂を入れない行政の取り組みは情けないかぎりです。
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by beachmollusc | 2009-10-19 09:03 | サルナシとマタタビ

山ノ神の恵み

18日の林道探索のターゲットは、シマサルナシを狙って北川と北浦の境界をなす尾根筋を走りました。

林道、松瀬・歌糸線は国道10号線と388号線を結ぶ県道43号線の松瀬の赤い橋を渡ったところが起点で、松葉小学校(6月に北川やっちみろ会のホタル博士育成講座で現地鑑賞会を実施した場所)の約3km南になります。
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この林道は麓に近い部分はかなり古い時代にしっかりと舗装されたらしい様相を示していましたが、上に登ると路面が相対的に新しい舗装となり、しかも重量物を運んだトラックによってぐしゃぐしゃにされたような、わだちの凹みのある路面が続きました。どこの林道でも似た傾向がありますが、新しい舗装部分は極めて弱いようです。

大型機械の導入で林業を振興させるという建前ですが、それにあわせた林道の開設や舗装の強化では「手抜き」工事が広がっているのでしょうか。痛んだ路面補修が追加受注につながるので、出来上がり検査で表面だけ見てもわからないし、適当に壊れやすく工事がなさているのかもしれないという気がします。

尾根に上るまでの林道は壊れた路面に集中させられて周囲を見る余裕がありませんでした。猿が目の前を横切っただけで、鹿の姿はなし。

尾根筋の標高は500mくらいで、道の両側が急傾斜で谷になっています。しかし、樹木が茂ったところが大部分ですから、万一車が転落しても木にひっかかって助かるでしょう。道幅は十分あるのでスピードを控えれば問題はありません。

尾根筋では日当たりの良い斜面下から伸びた樹木に絡んで林道脇まで登って茂ったシマサルナシとウラジロマタタビが次々に出現しました。その中で、今まで見た中で最大級の大きさの果実をたくさん実らせたシマサルナシがありました。ひどい道を我慢して走ったのが結果オーライです。
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大きさも実の付きも良いので、味がよければ栽培する元株候補の筆頭となることでしょう。

この場所の近くに今は亡き「緑資源機構」の看板が残っていました。
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この民有林での造林の費用を負担したのが廃止された緑資源機構で、看板の地図表示がH11年度です。造林は民間の事業者が受注したようです。地主は判を押す以外は何もしないでよいのでしょう。
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緑資源公団は平成15年に独立行政法人化されて緑資源機構と名称変更され、平成20年に機構が廃止されたので、この看板が立てられたのは、その間のことでしょう。とにかく、かなり新しい看板です。

見取り図(地図)にある区画内の林道を少し歩いて現場を見ましたが、一面に茂ったススキ(カヤ)の背が高くて見晴らせません。
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この場所では、造林(植林)する前の段階で皆伐されて、一部でスギが植林され、他はそのまま放置されたような印象を受けました。

緑資源機構は大規模林道だけでなく、このような民有林での分収林契約での山地環境改変に手を広げていたことがわかりました。このような事業は林野庁の天下り機関である独立行政法人が公金を使ってやってよいことだったのか、大きな疑問符がつきます(巨額の負債を積み重ねるだけ)。そして、何十年もの期間の契約事項を守ることなく廃止され、後始末は名前だけ変えた森林農地整備センターによるわけです。

植林された樹木が何十年も経過して大きく育った後で伐採して、その販売代金を地主、業者と主催者(緑資源)で山分け、分配するのが分収林契約です。ここでもスギ畠を作っているようですが、スギは水源涵養に役立たないでしょう。

山の斜面を丸坊主になるまで伐採して「水源涵養」とはこれいかに。一番肝要なポイントを言葉巧みにごまかすことは役人の得意芸です。

また、単一種で全国的に大規模に造林して需要と供給バランス無視では経済性が怪しくなるのは当たり前です。緑のオーナー制度という「原野商法詐欺」は分収林契約の行き詰まり(相手の山林所有者が見つからない)から考案されたもののようです。マスゴミは緑資源機構の談合事件で盛り上がったようですが、その裏に隠れている根本的な問題は見えていないようです。

看板には「山ノ神山」という地名が書かれていたので、この辺は山ノ神の在所でしょう。今回、山ノ神からシマサルナシの優良株という山の幸を恵まれたのは幸せでした。しかし、この山を荒らした天下り法人の元締め官庁に天罰が降るのは何時になるでしょうか。
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by beachmollusc | 2009-09-19 09:44 | サルナシとマタタビ

布引林道のシマサルナシ

今日は北方(延岡市)の林道でサルナシ類を探索してきました。五ヶ瀬川の南の布引林道と北の林道下鹿川(しもししがわ)・蔵田線です。

布引林道は、北方の中心地に近い川水流を起点にして五ヶ瀬川沿いに西に走る極めて古びた林道です。全線舗装してありますが、経路の大部分でガードレールとU字溝がなく、道路が水路になっている所があちこちにあり、落ち葉、落石、路面痛み箇所が多く、オートバイで走るのは危険でしょう。
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低い場所は農地で、山腹では造林地が広がっていて、見晴らしが良い場所としては伐採跡地の上を通過するわずかな場所だけでした。そこで五ヶ瀬川の天馬大橋(たぶん)が見えました。
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国道218号線沿いに「よっちみろ家」という北方の生産者直売の店プラス蕎麦屋がありますが、布引林道はそのすぐ近くで終点です。

終点にかなり近い、山を下り始めた場所で、実がたくさん生っているシマサルナシを発見しました。(実がなかったものはそれまでに2箇所で見つけました。)
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このシマサルナシは、これまで見つけたものとかなり違っていて、実が細長くなっていました。
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布引林道の途中には布引滝という落差27mの滝があるそうですが、車ではアクセスできません。

この林道は、途中で廃線となった高千穂鉄道の軌道の下をくぐって立体交差していました。
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by beachmollusc | 2009-09-06 19:15 | サルナシとマタタビ

哺乳類によるサルナシ類の種子散布

サルナシ類などの果実を食べて種子をばら撒く、種子散布動物の生態について研究調査情報を探していたら、東京農工大学の小池伸介と森林総合研究所の正木隆の共著論文が見つかりました。これは、対象がツキノワグマ、タヌキ、テンの3種となっていて、猿や鳥類が含まれていないのが残念ですが、基本となる調査手法が糞採取によるものなので調査できる相手が限られています。

出版が新しく、既存文献を網羅していて、引用文献がリンク表示されているのがとても便利です。

小池 伸介, 正木 隆 (2008) 本州以南の食肉目3種による木本果実利用の文献調査
日本森林学会誌 Vol. 90, No. 1  pp. 26-35
http://www.jstage.jst.go.jp/article/jjfs/90/1/90_26/_cit/-char/ja/

上に引用されていますが、7月23日、自分が訪れた久住高原にてフィールド調査でテンの食性が報告されている論文があります。

荒井秋晴・足立高行・桑原佳子・吉田希代子 (2003) 久住高原におけるテンMartes melampusの食性.哺乳類科学 43: 19-28.
http://www.jstage.jst.go.jp/article/mammalianscience/43/1/43_19/_article/-char/ja

野外の山中でテンと出あったことは数回ありますが、夜間に限られます。これが小動物だけでなく、多くの植物も食べる、さらに樹上に登って果実を食べるということはこの論文を見て初めて知りました。

久住高原の山腹でドライブしてみて、牧場草原の少し上、久住連山の西を走るやまなみハイウエイ(11号線)の道路沿いにサルナシがずらっと並んでいるので驚きました。ツルウメモドキが多くて紛らわしかったのですが、交通量が多くて車をノロノロ運転できず、暑かったので、車から降りて歩きながら詳しく見るのは秋が深まってからにしようと思っています。

上の論文では、テンの果実に対する食性について久住連山の南東で調査されています。サルナシの結実する時期は、通常は9月から10月ですが、早めの8月に結実した1998年にはその月にも糞から高い出現頻度を示しました。また、秋から冬にかけてアケビ、そしてキカラスウリとモミジカラスウリを食べているようです。

ツヅラフジ科の実を食べているかどうか、リストをチェックしてみましたが、出ていません。

テンは人里近くから林縁までの様々な植物の実を、結実シーズンに、くまなく食べているようですが、秋が深まると、美味しくて栄養がある山の幸、豊富な果実を食べている姿が眼に浮かびます。ただし、昆虫類やサワガニが主な餌となっているようです。

写真は7月23日に走った久住高原の牧場地帯です。
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by beachmollusc | 2009-09-03 09:06 | サルナシとマタタビ