beachmollusc ひむかのハマグリ


海辺の浅瀬は水産動物のこども達のゆりかごです
by beachmollusc
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海辺の自然を取り戻そう
 自然の恵みを後世に残すためには、その生態と環境を深く、よく知ることが基本です。

 海岸の浅瀬、干潟や砂浜は資源生物のゆりかごです。
しかし、それにおかまいなしに埋立てや海岸構造物の建設、水質汚染も加わって、日本中の水辺、海辺の環境は撹乱され、破壊されてしまいました。その結果、ハマグリなど干潟の動植物の多くが絶滅危惧種となっています。

 このブログでは、主に砂浜環境の保全を念頭において、日本各地の山、川、海の姿を調べて見てまわったこと、
そして2006年5月に移住した日向市の海辺と里山の様子や生き物などを紹介します。

このブログにリンクを張ることはご自由にどうぞ。

    - 自己紹介 -

大学院博士課程修了後7年間の海外での研究と28年余り大学教員をしていました。

海の無脊椎動物(貝、ヒトデ、サンゴ、クラゲなど)が専門、自称の学位は Doctor of
Underwater Marine Biology
(DUMB:バカセ)

楽観的な悲観論者または悲観的な楽観論者:生態的に無理をしている人類の滅亡は近いだろうが、それも自然の摂理じゃないのかな

せっかちな慎重派:ゆっくり
見極めて急いで集中的に
お仕事します

好きなもの:日本蕎麦が一番、パスタ・スパゲッティ、うどんもよし、つまりメンクイです

嫌いなもの:人混み、投棄ゴミ、マスゴミ、脳衰官僚

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カテゴリ:口蹄疫( 92 )


野生動物と口蹄疫感染調査関係の参考論文

政府として口蹄疫に感染したかもしれない野生動物の調査が行われるのかどうかわからない。本来なら、県と国が協力し、不安材料はきちんと押さえておいて、リスク管理:対策が必要かどうかを判断しておくべき事柄の一つである。しかし、口蹄疫の想定外だった蔓延に振り回された対策本部では、野生動物に注意を向ける余力もなく、積極的に調査するタイミング(発症が外見から判断できる時期)を逃してしまったようである。

今後は血液採取で抗体検査する感染確認となるから、サンプルの採取も困難になり検査できる場所が限定され、実行が難しいだろう。農家の再開で、家畜のいる農場で個別に野生動物の侵入・接近を防ぐ自衛策も念のために考えておくべきかもしれない。

イギリスで1970年代に行われた鹿の各種の口蹄疫感染実験において、ニホンジカも対象に含まれていた。その結果発表された論文3編の中の1つに感染させられたニホンジカの臨床経過が詳しく記録されているはずである(論文の本文がまだ入手できていない)。

The Deer Initiativeサイト( http://www.thedeerinitiative.co.uk/) で口蹄疫に感染発症した各種の鹿に関するガイドとして( http://www.thedeerinitiative.co.uk/pdf/guide_disease_footmouth%20170909.pdf) を掲載している。

また、当時イギリスのPirbright Institute for Animal Healthでこの実験を手がけた
Dr. Paul Gibbs(現在アメリカのフロリダ大学副学長)が"Foot-and-Mouth Disease
in British Deer"というタイトルのパワーポイントファイルを作成していて、それを
The Deer Initiativeの広報担当から提供してもらっている。

ちなみに、この(registered charity:登録慈善団体)The Deer Initiativeサイトには、一般市民から行政、そして専門家の情報源としてイギリスの野生鹿の管理に関するあらゆる側面の情報が網羅されている。 そして、鹿に関係するあらゆる政府と民間の機関、団体がこの団体のメンバーとなっていて、協定を結んでいる。

The Principles of The Deer Accord
(鹿に関する協定の原理・原則)

A sustainable and balanced population of wild deer.
(野生鹿の持続可能なバランスの取れた個体集団)
A humane, responsible and sensitive approach to the management of wild deer.
(野生鹿の管理における人道的、責任ある、そして細やかな取り組み)
An experienced and knowledgeable capability in deer management.
(鹿の管理における経験と知識をもとにした対応能力)
An informed public understanding of deer management.
(啓蒙された一般市民の理解の上に成り立つ鹿の管理)
A partnership approach to reducing the adverse environmental and economic impact of wild deer.
(野生鹿による環境と経済的な悪影響を軽減するための協働をめざす)

日本では鹿と猪の管理が農水省と環境省の行政管轄の谷間に挟まっていて、狩猟と駆除が優先されるまま、総合的な取り組みは期待できそうにない。しかしながら、野生鹿と猪の問題に関する参考情報を集積しておくことは、口蹄疫問題以外にも役に立つこともあるだろう。

検索して見つけたもの、その中で引用された孫引きも含めた学術論文をリストアップしておく。
論文要旨は、それぞれが掲載されたアドレスで見ることが出来る場合が多いが、ないものもある。

(次の2編:赤外線放射温度計を用いた動物の体温測定で口蹄疫を発症している部位の体温上昇を見つける方法を実験的に説明している)

Mike R. Dunbar, Shylo R. Johnson, Jack C. Rhyan, Matt McCollum 2009
Use of Infrared Thermography to Detect Thermographic Changes in
Mule Deer (Odocoileus hemionus) Experimentally Infected
with Foot-and-Mouth Disease
Journal of Zoo and Wildlife Medicine Jun 2009 : Vol. 40, Issue 2, pg(s) 296-301
http://www.bioone.org/doi/abs/10.1638/2008-0087.1?journalCode=zamd

Rainwater-Lovett, K., J. M. Pacheco, C. Packer, and L. L. Rodriguez. 2009.
Detection of foot-and-mouth disease virus infected cattle using infrared thermography.
Vet. J 180:317–324.
http://www.sciencedirect.com.

Linda D. Highfield, Michael P. Ward, Shawn W. Laffan, Bo Norby and G. Gale Wagner
The impact of potential mitigation strategies on the predicted spread of foot and mouth disease in white-tailed deer in south Texas
Preventive Veterinary Medicine
Volume 94, Issues 3-4, 1 May 2010, Pages 282-288

Elbers AR, Dekker A, Dekkers LJ. 
Serosurveillance of wild deer and wild boar after the epidemic of
foot-and-mouth disease in The Netherlands in 2001.
Vet Rec. 2003 Nov 29;153(22):678-81.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/14682541

Linda D. Highfield, Michael P. Ward, Shawn W. Laffan, Bo Norby,
and Gale Wagner 2009
The impact of seasonal variability in wildlife populations on the predicted
spread of foot and mouth disease
Vet Res. 2009 May–Jun; 40(3): 18.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2695039/

L. D. HIGHFIELD, M. P. WARD, S. W. LAFFAN, B. NORBY and G. G. WAGNER  2010
Critical parameters for modelling the spread of foot-and-mouth disease
in wildlife
Epidemiology and Infection (2010), 138:125-138
http://journals.cambridge.org/action/displayAbstract?fromPage=online&aid=6701008

P. Sutmoller & R. Casas Olascoaga 2002
Unapparent foot and mouth disease infection (sub-clinical infections and carriers): implications for control
Rev. sci. tech. Off. int. Epiz., 2002, 21 (3), 519-529
http://www.oie.int/boutique/extrait/20sutmoller.pdf

McVicar J.W., Sutmoller P., Ferris D.H. & Campbell C.H. (1974).
Foot and mouth disease in white-tailed deer: clinical
signs and transmission in the laboratory.
In Proc. 87th Annual Meeting of the United States Animal Health Association
(USAHA), 13-18 October, Roanoke, Virginia. USAHA, Richmond, Virginia, 169-180.

Keane, C. 1927. The outbreak of foot and mouth disease among deer in the Stanislaus National Forest. California State Dep. Agric. Mon. Bull 16:213–226.

(さらに追加する予定)
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by beachmollusc | 2010-07-25 21:05 | 口蹄疫

野生鹿の口蹄疫感染調査の情報

野生鹿の感染調査に備えて役に立ちそうな情報を集めているが、イギリスでは鹿の個体群の増大の結果生じる(口蹄疫に限らず)様々な人獣の感染症について鹿が関与する危険を認識し、その疫学調査について論じた論文のタイトルが見つかった。下がその論文要旨である。(本文の閲覧が有料なので著者にファイル送付の依頼メールを出した)

Wild deer as a source of infection for livestock and humans in the UK.
Böhm M, White PC, Chambers J, Smith L, Hutchings MR.
Vet J. 2007 Sep;174(2):260-76. Epub 2007 Jan 25.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17258479

Abstract
Wild deer can feature in the epidemiology of a wide range of livestock
and human diseases in the United Kingdom by representing a source
of disease via various transmission routes. This review highlights current
and possible future infections of deer in the UK which may have an impact
on livestock and/or human health. Increases in deer abundance as well
as range expansion are likely to exacerbate the potential for disease
persistence due to the formation of multi-species deer assemblages,
which may act as disease reservoirs. Climatic changes are likely to have
a direct impact on the presence and abundance of various pathogens
and their vectors, so that with a warming climate exotic diseases may
play a role in future UK livestock and wildlife disease management.
This paper highlights the need for a monitoring strategy for wildlife
diseases, in particular infections in wild deer, in the UK.

グーグル翻訳を元にして日本語を書き直してみた。上が機械翻訳で下が直してみたもの。

ワイルド鹿は家畜やイギリスでヒト疾患の広い範囲の疫学の様々な伝送路を介して病気の原因を表す機能することができます。このレビューは、英国のどの家畜に影響を与える可能性があります鹿の現在および将来の感染をハイライト/や人間の健康。鹿豊富に増加だけでなく、範囲の拡大は病気の貯水池として行動することが病気の永続性多種の形成のために鹿の群集の可能性を悪化させる可能性があります。気候変動は、プレゼンス、様々な病原体とそのベクトルの豊富に直接的な影響を持っている可能性が高いので、地球温暖化の気候エキゾチックな疾患は、将来、英国の家畜や野生動物の疾病管理の役割を果たすことではあります。本稿では、野生の鹿の特定の感染症では、英国の野生動物の病気の監視戦略の必要性を強調する。

英国における野生鹿は、様々な経路を介して広範囲にわたる家畜と人間の疫病の発生源となることで、疫学調査の対象として特筆されるべき存在です。この総説では、現在そして将来において家畜や人間の健康に強い影響が及ぶかも知れない鹿の感染を取り上げます。鹿の個体数の増加および生息範囲の拡大は、疾病が溜まりこむような複数種の野生鹿の集団を形成し、病気が持続する可能性を大きくする恐れがあります。気候変動が様々な病原体とその運び手の増加に直接影響する可能性が高いので、気候温暖化に伴って海外から侵入する疾患が将来的に英国の家畜と野生動物の疾病管理の中で存在感を増すでしょう。本稿では、英国の野生動物、特に野生鹿の感染症の監視戦略の必要性を中心に取り上げました。

学術的な論文要旨のような、抽象化と簡略化の権化となっている文章を機械翻訳で読むことはまずできないようである。この要旨では具体的なポイントを述べていないので、中身が見えない「悪い要約」となっている。

さて、口蹄疫に感染したイギリスの鹿(ニホンジカを含む)の外部症状の写真と説明文を自由に使ってよろしい、という許可が著者から来ている。その情報の元になった3論文は要約しか読んでいなかったので、改めて本文のファイルを著者Dr. Gibbs(現在フロリダ大学、副学長)にお願いしている。

ここでは論文タイトルだけ示しておく。

E. P. J. Gibbs, K. A. J. Herniman and M. J. P. Lawman 1975
Studies with foot-and-mouth disease virus in British deer (muntjac and sika) :
Clinical disease, recovery of virus and serological response
Journal of Comparative Pathology Volume 85, 361-366

A. J. Forman, E. P. J. Gibbs, D. J. Baber, K. A. J. Herniman and I. T. Barnett 1974
Studies with foot-and-mouth disease virus in British deer (red, fallow and roe) :
II. Recovery of virus and serological response
Journal of Comparative Pathology Volume 84, 221-229

Studies with foot-and-mouth disease virus in British deer (red, fallow
and roe) : 1. Clinical disease
A. J. Forman and E. P. J. Gibbs 1974
Journal of Comparative Pathology Volume 84, 215-220

依頼した論文が来るのを待ちながら、次回からのブログで、感染した鹿の画像の説明を少しずつ進めてみたい。
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by beachmollusc | 2010-07-25 09:52 | 口蹄疫

口蹄疫の殺処分から救われた子牛の話 (子羊の訂正)

お詫び:写真の子牛が白くて毛がわりと長かったので羊の仔と間違えました。イギリスには白い牛がいることを忘れていて、英語のcalfも偶蹄類の仔と思い込んでいました。羊の仔はlambだったので、もっと早く気がつくべきでしたが、勘違いをコメントで教えてもらって、やっと気がつきました。皆さん、ゴメンナサイ。

白い毛の長い子牛の写真:
http://www.pigglywiggly-photography.co.uk/assets/images/db_images/db_White_Calf3.jpg

イギリスのBBC放送サイトには2001年の口蹄疫の詳しいアーカイブ情報があるが、それをながめていると今回の宮崎県で発生した口蹄疫を考える上で参考になる事例がいろいろでてくる。

発症農場の近隣で全頭が殺されていたはずだったのが、生まれたばかりの子牛が処分された仲間の死体の中で5日間生き残っていて、ニュースで大きく取り上げられた結果、政府が処分しないことに決めたという。生後12日の子牛、フィーニックス(不死鳥)という名前である。その写真を下に貼り付ける。

In Pictures: Foot-and-mouth: One year on
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Phoenix, a 12-day-old calf, hit the headlines when he was spared from
slaughter when found alive after the rest of the herd was culled. Under
the media spotlight MAFF decided to allow Phoenix to live.
9/13

新聞(ガーディアン)でもフィーニックスについて大きく取り上げている。
http://www.guardian.co.uk/gall/0,8542,443237,00.html
Phoenix risen from the ashes
Ross Board, 11, with his pet calf Phoenix, saved from slaughter after
surviving the cull of the rest of her herd. The calf was reprieved on
April 25 after a government change of policy on slaughter on
"contiguous" farms.
e0094349_2147536.jpg

Photo: Chris Ison, PA

口蹄疫が発生した農場の近隣(3キロ以内)は家畜を全部殺処分するという当初の防疫方針を変更し、この羊を処分しないことを首相が最終的に決めたとある。イギリスの世論が口蹄疫が発生した農場の近隣農場で感染していない家畜を全て殺して処分していたことに怨嗟の声が上がり、フィーニックスを殺すな、という世論の高まりを受けた政府が、その声を重く受け止めたことがわかる。

フィーニックスの特例のおかげで、獣医師が感染していないと確認した近隣農場での牛の自動的殺処分はしない方針変更がなされたらしい。

下のミルクをもらうフィーニックスの写真は再びBBCサイトから。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/1298362.stm
e0094349_22164719.jpg

Mr Brown insisted the change in culling was not a "relaxing" of the rules,
but amounted to "refinements" of the government's previous policy.
(ブラウン首相は殺処分の方針転換について、ル-ルを「緩和した」のではなく、前のルールを「緻密にした」と主張。)
Phoenix was reprieved as a result of the government's decision
(フィーニックスはこの政府の決定により処分をまぬがれた)
"These refinements can be expected to provide some relief from automatic
slaughter of cattle," he said.
(「この緻密化によって、近接農場の牛の自動的な殺処分がいくらか救われるように期待できる」と首相の弁。)

政府の方針転換は、世論に負けた修正ではなく、やり方を進歩させたのだという強弁が面白いが、結果として激しく蔓延した口蹄疫に対する国民の恐怖と希望とを奇跡的に生き残っていたフィーニックスが具象化させたようである。口蹄疫終息後に出版された本や論評などがこの「出来事」を取り上げて、当時の社会心理などについて様々な角度から分析している(情報検索で多数見ているが省略する)。

2001年3月に始まったイギリス口蹄疫は各地に広がり、約2000例まで発生農家がでて、9月に入ってやっと終息した。その間の日ごとの発生数のグラフがDEFRAから出ている。
e0094349_22452588.gif

フィーニックスが救われた4月25日には大発生が峠を越えてかなり下火になっていたことも、この時点での殺処分が緩和された背景にあるのだろう。

日本の口蹄疫でも種牛問題救済が社会現象となっている。民間の種牛に関しては「処分のために」特別措置法がわざわざ作られ、それを基に強制的に処分された。その特措法による民間種牛の救済に国として進めなかった背景には県有の種牛の移動特例問題があった。県有種牛の最終的な運命はまだ分からないが、これが民間種牛の救済の可能性を阻んでいたことに多くの人が気づいていないようだ。
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by beachmollusc | 2010-07-23 22:30 | 口蹄疫

家畜の遺伝子資源の保全

政府が決めた口蹄疫対策マニュアルにみずから反し、特例と称して種牛移動が実行された。これが連鎖的に民間所有の種牛の悲劇を招き、畜産関係者そして関心を持った市民の多くに葛藤と心の傷が残されたのは間違いない。国と県の双方の行政の不手際と事前の準備がなされていなかった油断から、このような悲劇を招いてしまった。

イギリスのDEFRAから発信されている情報で見つけたが、イギリス国内の家畜の希少遺伝子資源を保全する目的で、口蹄疫の発生時に巻き込まれて希少価値がある系統を失う事態を避けるために通常の殺処分と緊急ワクチン(後で殺処分が義務付けられる)接種をしない「例外規定」が設けられている。

下のURLに案内されている情報が、農家に対するガイドラインになっている。希少家畜遺伝子資源の保全のための登録は義務ではないが、いざと言うときに登録されていないと殺処分の免除対象とはならない。
FMD: UK Breeds at Risk Register
http://www.defra.gov.uk/foodfarm/farmanimal/diseases/atoz/fmd/about/riskreg.htm

Article 15 of the European Union Council Directive 2003/85/EC on
community measures for the control of Foot and Mouth Disease
(FMD) places a responsibility on member states to establish a list
of holdings where animals are kept for purposes related to the
conservation of animals that are indispensable for the survival
of that breed or in other words rare breeds, so that they may
benefit from any special measures that may apply at the time of
an FMD outbreak.  (以下略)

EUの規則の中の条項では、希少品種の家畜を保全するための特別な規定は国ごとに定めることになっている。それによって口蹄疫が発生した時に特別扱いされることが可能になる。

イギリスには国内で作出された独自の品種の家畜がそれぞれの動物ごとに沢山あるが、その保全のための取り組みが1973年に設立された民間組織のRare Breeds Survival Trust: (http://www.rbst.org.uk/ )で進められている。イギリス政府はこの機関に業務委託して希少な家畜の登録をしているらしい。牛、豚、山羊、羊だけで、馬や鳥は対象外。なお、豚はその他の家畜と別個に登録される。

DEFRAサイトには農家向けのチラシが掲載されている。
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対象となる動物の品種のリストが公表されているが、下がそのファイル。
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イギリスと日本とで種牛などの作出や維持管理のシステムが異なるだろうが、このような事前登録で遺伝子を保全する上で重要な家畜を登録し、口蹄疫が発生した時に特別扱い(処分対象にしないように)することは可能になるはずである。EUがこのような制度を決めている事実は、OIEコードと矛盾していないことを意味するだろう。

日本政府、農水省が、海外の口蹄疫対策情報、特に発生時のきめ細かな改善努力に対して注意を向けていなかったことが、今回の種牛問題で露見したと思われる。10年前と同じマニュアルのまま、移動制限のなかで貴重な遺伝子資源を守る問題に直面してしまったので、整合性の無いやり方でルールを牛だけに曲げて適用し、その結果が今回の混乱を招いてしまった。特別措置法はワクチン接種の強制を盛り込んだが、重要な遺伝子を持つ個体の保全策を(もちろん感染拡大のリスクを広げないように厳重な方法をとることを条件にした上で)盛り込まなかった。接種を強制するルールで農家に圧力をかけ、抵抗できないようにする対策を採っただけであり、救済は全く想定されていなかった(法を制定した時に民間の種牛の存在は知られていた)。

政府によるルール違反はお構いなしのまま、民間の種牛がルールにしたがって(半強制的)殺処分された、この官尊民卑に思える行為のねじれと理不尽さには大きな疑問が残る。
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by beachmollusc | 2010-07-20 20:15 | 口蹄疫

2010年、宮崎で発生した口蹄疫ウイルス

農水省からOIEに提出された報告で、今回宮崎県で発生した口蹄疫ウイルスの由来について「不明」とされている。このウイルスがどこからどうやって日本国内に侵入したのかという情報は、今後の再発防止に非常に重要な点であるが、農水省はほとんど何も表明していない。由来が分かっていても何かの理由で表に出さない(出せない)のであれば、それをちゃんと説明すべきであろう。

FAO、国際食料農業機関の口蹄疫情報にはイギリスの動物衛生研究所で解析された世界中の口蹄疫ウイルスの類縁関係を系統樹として示し、個別のケース、例えば日本の今回のO/JPN/2010(NIAH)についての詳細がHPで公開されている。

塩基配列が解析された検体数が日本から1例だけというのが腑に落ちないが、配列が国内に入ってから変異を重ねていれば、その解析によって伝染経路が推定できるはずである:イギリスでは2007年にそれが実際に行われ、全経路が把握されている。日本の動物衛生研究所で同様な疫学調査が行われているのだろうか。

1例しか記録されていないが、その情報を韓国や中国のウイルスのデータにつき合わせて比較すれば類縁関係が近いかどうかが分かる。

Reference Laboratory for Foot-and-Mouth Disease (WRLFMD)
Genotyping Report
Date: 5 May 2010
FMDV type O
Country: Japan
Period: 2010
No. of isolates: 1

http://www.wrlfmd.org/fmd_genotyping/2010/WRLFMD-2010-0000J%20O%20Japan%202010%20v2.pdf
e0094349_13223755.gif

上の図のように、宮崎のウイルスはホンコンのものと一致率が最も高く(634/639)、韓国のものともかなり近い(630/639)。このデータは国内ですでに報道されているものであるが、その後に追加されるていてしかるべき情報が見当たらない。VP1だけでなく、全塩基配列を読み取る作業も行われているはずであるが、まだ作業が終わっていないのだろうか。

FAOが公表した既存のデータを見ただけで、常在国の中国から日本と韓国にホンコン経由で拡散したような印象を受ける。アメリカの専門家がPROMEDという情報交換サイトで広東由来というようなコメントを出していたが、FAOのデータを詳細に分析すれば分かるのかもしれない。

最近、中国から日本に観光目的で来る制限が緩和されたが、すでに多くの観光客が中国と韓国から宮崎県にも入っている。宮崎県では特にゴルフ観光が目玉になっているらしく、プレー料金が高くて季節が限定される韓国からの客が多いようである。国内客が減少して経営が苦しい宮崎県のゴルフ場は積極的に誘致しているのだろう。日向市の市議会議員の一人も誘致に熱心である。

高病原性鳥インフルエンザの時も(渡り鳥でなく)アジア起源であって、おそらく人間が運び込んだウイルスが発端だったに違いないと想像している。渡り鳥の飛来は基本的に南北の回廊があって、東西ではない。3年前に「ヒトの関与について」疫学調査を厳密にやっていなかったようであるが、そのツケが今回取り立てられたとしか思われない。国境防疫について県も国も丸腰のまま、口蹄疫に関しては10年前のそのままであった。

海外からの観光客について統計数字をオンラインで調べてみたが、国別などがさっぱりつかめない。それはともかく、国外から宮崎に入るルートで、日本人が先方に出かけて帰国する場合も含め、入国者の防疫対策がしっかりとられていたのだろうか。その情報は探しても見つからないが、国の責任でしっかりやってほしい。
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by beachmollusc | 2010-07-20 14:03 | 口蹄疫

農業情報研究所の記事(食料・農業・農村政策審議会)

職場を去ってから一人で研究所を立ち上げ、余生を将来の希望に託す情報伝達にささげる同世代の人たちが色々な分野に見られる。

今日発見したのはそのような私設研究所からの記事である。

<海外の事情を十分に、また適切に知らされていない日本国民 の情報ギャップを多少なりとも補い、適切な行動の選択に資したいというのがこのボランティア活動の動機です。>

これは、わが意を得たり、の活動。
口蹄疫関連の記事があったので、丸ごと引用したい。

農業情報研究所http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/index.html
<当研究所の所員は、およそ30年間、国立国会図書館調査及び立法考査局で、農業・食料・農村、環境、国際貿易等の問題の調査・研究に携わり、2000年に定年退職した北林寿信一人です。(自己紹介から)>

今日の話題:(一部の)過去記事

7月8日に開かれた「食料・農業・農村政策審議会 平成22年度 第3回 畜産部会」が「生産から流通、販売にわたる酪農及び肉用牛生産のあり方を根本的に考え直す時期にきており、中長期的な視点に立ったビジョンを示し、政策の転換を図らなければならない」とする「酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針(案)」を答申した。

 「酪農及び肉用牛生産は、そもそも人間にとって食料にならないものを牛に給餌し、牛肉、牛乳・乳製品等の形で人間に食料を供給するのが本来の姿である。また、酪農及び肉用牛生産は、人間にとって重要な動物性たんぱく質の供給源であるとともに、飼料生産による水田の有効利用等を通じた農地や環境の守り手であると同時に、地域を支える重要な産業、食育の場であるなど、様々な役割・機能を有している。こうした酪農及び肉用牛生産の役割や機能を維持・発展させていくためには、輸入飼料への依存体質から脱却して、自給飼料を有効活用し、食料自給率の向上と環境負荷の低減、資源循環に資する酪農及び肉用牛生産に転換し、地域や経営における生産条件、生産者の創意工夫や主体性を活かした多様な経営の実現を図らなければならない」という。

 まさに、輸入トウモロコシを主体とする配合飼料に依存する戦後の規模拡大・効率化路線からの大転換である。特に「肉用牛については、食肉卸売市場における評価が脂肪交雑に偏りがちであることから、主に黒毛和種の生産においては、その特徴である脂肪交雑の多い霜降り牛肉の生産に重点を置く傾向が強く、結果として、このことが輸入された飼料原料を主体とする濃厚飼料への依存度を高める一因となった。一方で、消費者においては、霜降り牛肉だけでなく、健康志向の高まりを背景に、脂肪交雑は多くない牛肉に対する嗜好も増えている」からと、「適度な脂肪交雑の和牛肉等の生産を促すとともに、こうした牛肉の販路の確立を図る必要がある」としたことは画期的だろう。

 飼料価格の高騰もこのような「基本方針」の転換を促すことはなかった。この転換を後押ししたのは、明らかに口蹄疫である。飼料価格高騰は、多くの犠牲を生みながらも何とかやり過ごすことができた。しかし、土地非利用型大規模畜産は、今回のような口蹄疫見舞われればひとたまりもないことがはっきりした。それが転換を決定的にしたとすれば、口蹄疫の教訓は最大限に生かされたことになる。


口蹄疫問題は多面的で複雑な要素が絡まりあっていて、「〇〇が悪かった」という表面的な問題だけでなく、現在も混乱を続けている種牛問題の背景にも切り込まないと、国と県の対立の根底が見えてこない。

霜降り牛肉信仰を背景にした高価な嗜好食品で金を稼ぐことを県の畜産振興の政策に置いていることは、輸入飼料の依存性から、その価格高騰などによって収益性が不安定になる結果をもたらした。これは輸入に依存する石油燃料を使ってハウスで熱帯果樹を栽培することも同様である。嗜好品の生産は一時的に儲るかも知れないが、生産者が自立して持続的に経営できるかどうか疑問である。

宮崎県は、国内はもちろん世界的に見ても、太陽と水に恵まれた自然環境を活かし、持続的で健康的な農業生産に今後の活路を見出すべきではないか。自然豊かな環境を守り、グリーンツーリズムと健康食品生産基地としてのイメージアップこそが「セールスポイント」として重要視される時代となっている。その認識ができない金の亡者は県を滅ぼすに違いない。
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by beachmollusc | 2010-07-13 20:27 | 口蹄疫

口蹄疫ウイルスの鹿の感染調査

鹿の林業と農作物被害は全国的に広がっていて、有害鳥獣駆除の最重要ターゲットとなっている。

平成16年度の都道府県別ニホンジカ狩猟実績から、島ごとにまとめて表を作り直した(沖縄は除く)北海道はエゾジカ、九州はキュウシュウジカなどと亜種単位で識別されているがここではニホンジカとして一緒にしている。

ニホンジカの狩猟実績 (平成16年度)
       オスジカ  メスジカ     計   面積(平方キロ)当たり
北海道    21,861  23,277   45,138    0.54
本 州    26,694  12,198   38,892    0.17
四 国     2,784     343    3,127    0.17
九 州     13,143   8,828   21,971    0.52
合 計     64,482   44,646  109,128    0.29

四国のイノシシ被害は深刻であるが鹿ではそれほどではなく、メスジカの狩猟を認めない(保護している)県もある。面積あたりに換算すると北海道と九州が同じくらいで断然高い。

九州の森林被害地では1平方キロ当たりの鹿の生息密度がおおよそ10頭以上と推定されている。

日本全体の森林面積は国土の約66%といわれ、その中で人工林が占める割合が約4割といわれている。(森林・林業学習館 http://www.shinrin-ringyou.com/ )

宮崎県は森林面積が約7割で、その内人工林が7割という、県土の半分が人工林という全国屈指の森林・林業県である。山頂、尾根はもちろん、谷津田の畦までびっしりと杉が植えられているし、山間部の渓流沿いの林道は杉の大木の木陰になっていて昼でも暗いところが大部分となっている。河畔林は滅多に残されていない。多くの場所で伐採期になっていて皆伐で山肌が大きく切り開かれた部分がモザイクになっている。再植林された場所もあるが、最近は刈りっぱなしの放置プレーが多い。宮崎県の山林は隣接する熊本や大分などと同じように激しく荒れている。

[2010.07.01]エコツアーカフェTOKYO31
毎月第1木曜日はエコツアーカフェTOKYO
生態系復元の切り札?「オオカミ復活」
——赤ずきんちゃん気をつけて。オオカミなんか怖くない
ゲスト:日本オオカミ協会 朝倉 裕氏
「オオカミの復活こそ日本の自然を守る」と語る日本オオカミ協会の朝倉裕さんをゲストに迎えます。

「シカと森toオオカミ 日本の森が危ない!情報求む!」
http://blogs.yahoo.co.jp/pondwolf39/archive/2010/7/2
日本エコツーリズムセンターでの話 (抜粋)
⑤ シカが増えた原因は何か
・ では、なぜシカは増えたのか。
・ 増やす要因は二つ
1. 温暖化して弱い個体でも越冬できるようになった
2. 森林伐採、人工林化の過程で、シカのエサが増えた
・ 減らせない要因が二つ
1. 狩猟圧力が消えた
2. 捕食者オオカミが絶滅していた
<今の日本の自然は、人間が壊しているのではなく、内部から壊れ始めている。
それを防ぐには、捕食者オオカミの復活によって「自然調節機能」を回復するしかない。>


オオカミ再導入計画を主張しているpondwolfさんのブログで、絶滅したオオカミの復活によって日本の自然(森林)を何とかしたい、という論理にはいささか違和感がある。生態ピラミッドが高次捕食者によって安定を保たれるという「環境原理主義」は、人間が関与しなければ成立するかもしれない。しかし、そのような教科書の中のお話が実際の野外で成立することは極めて珍しいだろう。

日本の森の自然を壊してきたのは林野庁を頂点にした1950年代後半からの全国的な拡大造林政策の結果である。鹿が増えたのは山林を伐採して植林して餌付きの生息場所を拡大したことが主因であって、オオカミの絶滅とは大きなタイムラグがあると考えられる。

さて、九州山地では宮崎県椎葉村の九州大学演習林をフィールドにした鹿の生態調査・研究が熱心に進められていて、多数の報告がオンラインで公開されている。

九州大学宮崎演習林におけるニホンジカの生息密度と下層植生の変遷
村田郁恵ほか著者多数、 九州大学農学部演習林報告 90, 13-24, 2009-03
https://qir.kyushu-u.ac.jp/dspace/bitstream/2324/17048/4/p013.pdf

<本研究では1980年代以降に天然林の下層植生の変化とニホンジカによる造林地への被害が報告されている宮崎演習林において, これまでに出版, 蓄積された文書データの解析と勤務職員への聞き取り調査からニホンジカの生息密度の変遷とその森林への影響を検証した. ニホンジカは1976年から1984年の間に増え始めた. 生息密度の増加とともに1985年に人工林ではじめて被害が発生し, 1987年より食害対策が継続されてきた. 1986年には天然林の優先的な下層植生であるスズタケの消失が始まり, 2001年にはその9割が消失した. スポットライトセンサスおよび糞粒法による生息密度調査の結果, 宮崎演習林のニホンジカは2000年代に入っても20頭/km^2以上の高い生息密度を維持しており, 造林木の育成と天然林の更新に大きな影響を与え続けていることが明らかになった.>

上の論文要旨からも、鹿の被害が起こり始めたのは最近の出来事であることがわかる。

井上幸子ほか:九州大学宮崎演習林におけるニホンジカの生息密度と下層植生の変遷
http://www.forest.kyushu-u.ac.jp/pdf/workshop13/inoue.doc

樹木年代学的手法による山地流域のニホンジカ生息密度・分布域の時間的変化の再現
櫻木 まゆみ , 丸谷 知己 , 土肥 昭夫
日本林學會誌 81(2), 147-152, 1999-05-16
上の論文では林業で幼令樹を増やして造林地で鹿の繁殖を増大させたことが記録されている。

九州の生息地におけるニホンジカの行動
矢部恒晶・小泉透(2003) 九州の森と林業 65, 1-4.
http://www.ffpri-kys.affrc.go.jp/kysmr/data/mr65.pdf

矢部恒晶・小泉透(2003) 九州中央山地小流域の造林地周辺におけるニホンジカのスポットライトセンサス  九州森林研究56:218-219
http://ffpsc.agr.kyushu-u.ac.jp/jfs-q/kyushu_forest_research/56/56pr009.PDF

小泉透・矢部恒晶・椎葉康喜・井上晋(2004) 距離標本法によるニホンジカの密度推定
九州森林研究57:131-134

第3期特定鳥獣保護管理計画 (ニホンジカ)
九州脊梁山地シカ広域一斉捕獲推進会議(平成18年設立).
行政界及び国有林、民有林を越えて分布するニホンジカについて、九州森林管理局、九州地方環境事務所(オブザーバー)及び大分県、宮崎県、鹿児島県、熊本県. で情報交換、連絡調整
http://www.pref.kumamoto.jp/uploaded/life/1008967_1015849_misc.pdf

このような事業がまさに継続中!(H24年まで)

口蹄疫と野生鹿の調査・対策にはこれらの調査実績、蓄積がある森林関係の研究グループの協力を得て、環境省・林野庁・九州各県の共同事業とし、矢部恒晶氏あるいは九州大学の専門家をチーフにした箱罠などを使った生け捕りで、宮崎県の口蹄疫発生農場を取り囲んだ地域で鹿を捕獲し、疫学チームに検査サンプルが渡るようにデザインするべきであろう。
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by beachmollusc | 2010-07-12 09:52 | 口蹄疫

猪が人里の周辺で増えたわけ

鉱脈社出版のみやざき文庫38「罠猟師一代 九州日向の森に息づく伝統芸」、飯田辰彦著、2006年、とOXFORD 大学出版のThe Social Badger, Hans Kruuk 著、1989年が相次いで配送されてきたので読書三昧を続けている。
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BADGERというのはアナグマの英名(EXITE翻訳ではムジナ)、ニホンアナグマは亜種とされている。

イギリスから来た本でアナグマの食性が詳しく書かれていたが、雑食性であるが主食がミミズということだったので、かねてから気になっていた猪の食性を調べなおしてみた。イギリスのアナグマは木の実、果実、根茎などの植物性の餌とか昆虫も食べるし、ウサギなど動物の死骸を何でも食べる。

猪とアナグマの食べるものが共通であるとすれば、アナグマが日本国内で増えていてもいいのではないかと想像してみた。しかし、アナグマは縄張りを持って穴居生活をするのでそれに適した地形地質が重要だから、猪のように爆発的に増えることはなさそうである。しかし、夜行性のくせに今年の春に林道で繰り返しアナグマと昼間に遭遇したことから、日向の周辺では個体数が増えているのかもしれない。

罠猟師一代、と言う本は日向市東郷町在住の鉄工所の経営者で、猟期に宮崎県北部で主に猪を狙ってくくり罠で捕獲する林豊さんを取材した猟の現場の見聞記である。
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この著者は締めくくりで、猪や鹿の被害が増えたのは山林で餌が不足したものが里に下りてくるからだという「定番」の説明をしている。本の中では山の猪はドングリなど植物性の餌を食べていて油が乗っているが、里の猪は雑食性で味が落ちるようなことを言っている。しかし、これは眉唾だろう。

ミミズについてはイギリスで行われた戦時中の研究で、栄養価が高く、牛肉に劣らないという分析結果がだされたとbadgerの本に書いてあった。食用ミミズの実用化は行われなかったが、もし食料不足の危機が迫ったらミミズのハンバーガーが食卓にあがるかもしれない。その時は耕作放棄地が活用できるだろう。南氷洋まで行ってクジラを捕獲して食料にするよりも地元で未利用食料資源を確保する方が健全である。(南氷洋で商業捕鯨をやりたい水産会社は日本にない:水産物製品が輸出できなくなる。チョウサホゲーは科学の名をかたる水産庁の利権保持、天下り先確保事業以外の何物でもない)

さて、1970年代以降、日本で猪が急激に増えてきたのは耕作放棄された水田の面積が増えたことと強い相関関係があるそうである。

現代農業 2000年(平成12年)8月号 巻頭特集
鳥獣害から田畑を守る
 
生長する猿害防止柵“猿落君”でサルを山に帰そう
(奈良県大塔村のみなさんと県鳥獣害対策チーム)……編集部
侵入防止の合わせ技でイノシシを防ぐ……江口祐輔
イノシシが知らせてくれていた!?―江戸時代の猪飢渇から何を学ぶか― ……編集部
シカは足元の網が苦手……安岡平夫/足立年一
トンネルに薬液注入、ヤケドさせてモグラ退治……永岡謙治
この頃注目の鳥獣害防除機・製品案内

上の「イノシシが知らせてくれていた!?...」は下のURLで内容を読むことができる。その一部を引用する。
http://www.ruralnet.or.jp/gn/200008/kant.htm
水田放棄地はイノシシの楽園
 イノシシが一気に増えた1970年代とは?

 イノシシの研究を長年やってこられた東京農工大の神崎伸夫先生は、イノシシの個体数のおかしな変化に気づきました。島根県内では1970年代に入って、一気に個体数が増加し、分布を拡大しているのです。

 これはどういうことでしょう?

 そこで、捕まえたイノシシに発信器を取り付けて、イノシシの行動を追うことにしました。

 すると、イノシシは移動と定着を繰り返していたのです。つまり、A地区に10日ほど定着したら、その後移動して800m先のB地区に今度は20日間ほど定着、さらに1.5km離れたC地区に8日間定着する、…こんな具合なのです。この行動は性別や季節に関係ないこともわかりました。

 ではどんなところに定着しているのか、調べてみることにしました。

 すると、谷津田と呼ばれる谷沿いの水田放棄地が定着場所だったのです。そこはイノシシには絶好のすみかだったのです。

 谷沿いだから水は豊富にあります。そこにはイノシシの大好きなミミズやサワガニがいます。そして放棄地にはクズやワラビが生えるのですが、その根っこがまたイノシシの好物なのです。そしてススキも生えてきます。ススキはイノシシの巣材として利用されます。ネヤにも適しています。そして人も来ない。谷沿いの水田放棄地はまさにイノシシの楽園に近い条件を備えていたのです。

 神崎先生の研究によると、イノシシは9月頃に脂肪が少なくなります。その脂肪を補給する上で、一番効率的な食べ物はミミズなのですが、そのミミズは水田放棄地に一番多い。秋、イノシシは、放棄水田でミミズをあさります。そしてイノシシがふと目を上げると、そこにはイネの穂が風に揺らいでいる。お腹の空かしたイノシシに、トタンの柵や電気柵は無力です…。

 水田でのイノシシ被害はこうして起きるのではないか、神崎先生は推測しています。

 さて、これで70年代に入ってイノシシが急増した理由がわかりました。71年から始まった減反政策によって、まず第一に山間の効率の悪い水田が減反されました。そのような水田にはクズやワラビが侵入し、ススキも生えてきます。サワガニやミミズも得られます。水田は減反政策によってイノシシの楽園と化し、イノシシの個体数増加と分布の拡大につながっていったのです。

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イノシシは山間部でクズやヤマイモなどの根茎を掘って食べ、草地で山ミミズ(日向ではカンタロー)を掘り出して食べる。ドングリは季節性があるので、それが多いときはため食いするが、依存しているわけではなさそうである。アナグマがミミズを主食とするのは一年中安定している食料だからである。

山で林業(皆伐地と苗木の植林が餌場をつくったこと)にともなって増えた鹿と一緒に、麓で耕作放棄地の餌を求めてイノシシが里に降りてきている。そして、畜産農家が中山間部の放棄水田が多い地域に多く立地するようになったので、これらの野生動物と家畜の接触状態が急速に増加している。こういった状況の変化を認識した上で、行政が口蹄疫問題で野生動物の感染について当然注意するべきだったのに、しかるべき取り組みをしなかったことは残念なことである。

最後っ屁:鹿は林野庁の乱暴な林業政策で増え、イノシシは農水症の減反政策で増え、それぞれで被害が増えていることは皮肉なことである。その対策は典型的なマッチポンプ事業となっている。
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by beachmollusc | 2010-07-11 19:23 | 口蹄疫

海外のwagyu事情と種牛問題

個人的には脂肪分が多い肉が苦手で、(滅多に食べないが)ビーフステーキは(炭に近くなるまでよく焼いて)脂身は全て取り除いてワンコに食べさせて大喜びの顔を眺めている。マグロのトロや養殖ハマチも避けるし、トンカツなど豚肉は食べない。サンマも脂肪分はワンコ行き。チキンは別の理由で食べないのでご馳走に呼ばれるとお互いに気まずくなるのでなるべく逃げている。宮崎に移住して4年過ぎたが、これまで地元産の牛肉は全く食べず、昔オーストラリア暮らしの時になじみのlean(脂身が少ない)オージービーフしかいただいていない。というわけで、これまで脂肪分がちりばめられた和牛に対して(食欲をもとにした)興味が全くなかった。

口蹄疫勃発をきっかけに和牛について調べていたところ、海外で飼養されているwagyuに関する英文情報がいろいろ見つかったが、日本語でそのような情報はまるでないのが驚きだった。どの畜産分野でも国際化が急速に進んでいるが、和牛でも国際マーケットの拡大を受けて海外の多くの国で大規模な生産体制ができつつある。特にニュージーランドは力を入れているようで、日本語の案内をしている生産者のサイトもある。

ただし、日本は牛肉に高い輸入関税をかけているので、海外の和牛生産者はアメリカや日本以外のアジア諸国を販売先のターゲットとしている。それらの国々でも日本の和牛の輸入は順調に増えているところで口蹄疫が勃発した結果、OIEによる清浄国復帰の認定があるまで日本からの牛肉輸出は原則としてできない。

和牛ブリーダーズ
ニュージーランドのきれいな牧草地で育つ和牛
http://brownrigg.co.nz/jpn/wagyu-breeders/
(ブラウンリッグ農事会社の)全額出資子会社の和牛ブリーダーズLtdは、日本国外で最大規模に当たる和牛育成事業を展開し、高級食肉産業の先頭に立つため良質の血統と繁殖技術へ投資しています。

世界最高の肉とされる和牛を生産する鍵はその血統にあり、その味わいと柔らかさに勝るものはありません。

和牛ブリーダーズLtdは、日本の肥育牛市場へ子牛を統合輸出してきた実績を基に12年前に設立されました。
 (以下略)

牛の畜産ニュースサイトで和牛生産の世界的な広がりが紹介されたのは2年前:
Tuesday, May 13, 2008
Wagyu: A Lesson in Marketing from Japan
JAPAN - Ever since the Japanese wagyu meat hit foreign shores its value
has sky-rocketed. Wagyu, famous for the lavish upbringing of cattle, is
now regarded as one of the highest quality meats in the world, a lesson
that many producers are trying to replicate across the globe.

http://www.thecattlesite.com/news/22827/wagyu-a-lesson-in-marketing-from-japan

ニュージーランドとオーストラリアへ和牛が導入されたのは1990年台であるが、その元を辿ればアメリカである。日本政府は1960年代から和牛の遺伝子(精液も含む?)の輸出禁止を法律で定めている。しかし、1976年にアメリカの大学が研究用に4頭の種雄牛を入手し、その後1993-4年には30頭のオスと200頭のメス和牛が日本人ブリーダーによってアメリカに渡ったという(その後はなし)。オーストラリアには別途に日本から精液と子牛が導入されたという記事もあった。

BRIGGS RANCH
http://www.briggsranchgenetics.com/index.html
Introduction of Wagyu into the U.S.
Wagyu were developed in Japan about 100 years ago from
native cattle, Korean cattle, and some European breeds. They
were bred for many years as draft animals used for cultivation.
Since the Japanese did not consume beef until after W.W.II, the
primary selection process was geared for cattle that had readily
available energy. This quick energy is supplied by small fat cells
within the muscle tissue. The more fat cells, the more energy,
for pulling a plow. These intermuscular fat cells are called marbling,
which also is the component most responsible for taste and tenderness
in beef. In the U.S., marbling is the best measure of quality in meat.
Generally the higher the amount of marbling the higher the grade
of meat.


日本は明治維新の後で、土着の牛と、韓国やヨーロッパから導入された様々な牛との交配で、地域ごとに独自に耕作用に改良されていた系統ができていた。太平洋戦争前の日本では、牛は使役が中心で、力が強い:筋肉中に脂肪分が多い系統ができていたが、その脂肪分が高いことが肉質の味覚と柔らかさを高めた。

(「霜降り」marblingとなった肉が結果的に高級牛肉として世界的に認知され、近年のグルメブームで特にアジア各国で人気が高まったわけである)
(中略)
The use of Japanese Wagyu genetics will dramatically
increase meat quality even in the first cross. Therefore the demand
for Wagyu genetics that will produce high quality beef for domestic
consumption as well as for export has increased during the past 2
or 3 years in North America. Japanese Wagyu cattle are the best
source of genetics in every market where quality is important.


和牛に特有の遺伝形質(脂肪の蓄積)を活かし、他の系統間との交配で肉質を高級化し、アメリカ国内そして輸出で需要が急速に高まっている。そこで、和牛は高品質牛肉マーケット用にもっとも効果的な遺伝子資源である。

上の説明のような歴史的な偶然から世界に名だたる「和牛」が生まれ、英語でもwagyuと呼ばれている。

和牛の遺伝的解析とそれを基にした、交配と品種改良は海外で精力的に行われ、着実に成果を上げているらしい。アメリカ和牛協会のHPでは毎年の協会メンバー会合で発表された研究事例やマーケット情報が掲載されている。今年の総会は10月に予定されているが、昨年までの活動内容やさまざまなテーマで研究発表が公開されている。

American Wagyu Association http://www.wagyu.org/

Dr. Holly Neibergs: Genetic Structure of Wagyu Effects on Breeding Programs
http://www.wagyu.org/2009Talks/NeibergsReno.pdf
ワシントン州立大学の学者による、アメリカに導入された和牛の遺伝子解析情報がパワ-ポイントで説明されている。導入された和牛の起源が少数であり、近親交配が続けられていることが問題となっていて、今後の繁殖をどのように遺伝的に管理するかが説明されている。

上の発表を見ると、かなり高度なレベルであって、聴衆の繁殖農家もおそらくレベルが高いだろう。アメリカの大学では合衆国政府による国家的戦略としての農学研究助成でLAND GRANTというプログラムで高いレベルの基礎研究が行われた。(海洋資源、水産研究に関しては SEA GRANTという同様な研究助成があり、私もグアム大学に勤務していた時にシャコガイ類の養殖についての基礎研究を行った)。アメリカがこのような基礎研究に投資するのは国家の食料安全保障そして経済的な優位を保つためである。日本は農林水産を軽視し研究投資に力をいれず、工業製品輸出で稼いで食糧輸入するという政策をとってきたが、これを今後も続けるのは自滅の道を歩むことになるだろう。

口蹄疫の勃発で、アジアのマーケットで人気が出ていた和牛や中国向けの粉ミルクが日本全体で輸出停止となり、それに乗じてニュージーランドやオーストラリア、そして米国の和牛生産と輸出がさらに伸びるだろう。和牛の品種改良、交配や飼養技術について海外の生産者は共通言語で情報交換を行っていて、急速に進歩していると思われる。日本独自の試行錯誤で非常に長い時間がかかるといわれる「優秀な種雄牛」の作出についても各国で科学的に進められれば大きく時間短縮されるかもしれない。

種牛と後代検定をキーワードにしてCiNiiの学術論文検索をしてみたらヒット数ゼロ。

宮崎県畜産試験場の報告163件の中で下の2編が肉用牛の育種関連テーマのようである。

受精卵移植技術を活用した肉用牛の後代検定成績
井上 和也 , 原 好宏 , 中原 高士 [他]   宮崎県畜産試験場研究報告 (12), 1-5, 1999-12

肉用牛 宮崎県における黒毛和種種牛の育種価評価の現状
原 好宏 , 永田 建一 , 中原 高士  宮崎県畜産試験場研究報告 (16), 1-9, 2003-12

後代検定と牛のキーワードで下の論文が出てきた。

国内情報1 肉用牛広域後代検定の概要:都道府県域を越えた黒毛和種育種資源の交流促進
藤原 信一  畜産技術 (603), 26-28, 2005-08

独立行政法人家畜改良センターにおける肉用牛改良の取組み
谷本 保幸 , 藤原 信一  肉用牛研究会報 87, 2-8, 2009-06-20

独立行政法人 家畜改良センター http://www.nlbc.go.jp/index.asp
社団法人 家畜改良事業団  http://liaj.lin.gr.jp/
社団法人 宮崎県家畜改良事業団  http://www.mwia.or.jp/ (口蹄疫関連情報なし)
以上の連携、情報交流はあるのだろうか。

肉用牛、種牛に関してオンラインで調べてみたが何も見えない。
(上に引用したタイトルはすべて要約も本文もオンラインでは読めない)

少し古い論文であるが興味深いものがあった。オンラインで全文が読める。

石川 巧: 和牛育種改良と「製品差別化」
人間と社会 3, 67-82, 1992-04-01
http://ci.nii.ac.jp/naid/110004672499

この論文で記述されている、中山間地で見られた事例:種雄牛の人気を支えるための農協による「自作自演」の評価システムによって小規模農家が振り回されている状態は今も続いているのか、国内で和牛の育種改良が科学合理性から乖離しているのは本当だろうか。人工授精と卵子移植技術の進歩で交配・育種による差別化は意味を成さなくなっているということは本当なのだろうか。全国的に牛の零細家畜農家の淘汰が進んでいるらしいが、その背景には「集約化、規模拡大」という危険な綱渡りを推し進めている行政と農協の協働があるのではないだろうか。宮崎県の種牛が(国の?)特別な宝であり、民間で飼育された種牛は違うといわれた後で、事情が変わってお宝の仲間に加えるということになったことは、首を傾げざるを得ない。
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by beachmollusc | 2010-07-10 14:51 | 口蹄疫

野生動物の資源利用と管理

口蹄疫が野生動物に感染しキャリヤー化した可能性があることについて、特に野生の鹿と猪についてどのように調査すればよいかを現行の狩猟および有害鳥獣駆除事業と絡めて考えてみた。それは畜産農家の周辺で感染したかもしれない野生動物の捕獲検査と、もしキャリヤーが見つかった場合に畜産農家で口蹄疫の再感染を防ぐための隔離・捕獲対策が必要になるからである。さらに、野生動物の行動圏に行政の区割りは関係ないので、当面は宮崎県から近隣の各県に移動拡散が起こらないように配慮する、つまり狩猟行為が野生動物の拡散を招かないように銃器使用と狩猟犬に頼らないことも大切であろう。

このような野生動物の対策事業を進める上で、狩猟者やその団体組織に丸投げをしてはならない。しかし、実際に捕獲するためには専門技術を要するので、捕獲道具とその管理をゆだねるエキスパートが実行しなければならない。また、事業コスト(人件費など)をどうするのか、捕獲した「獲物」をどのように取り扱うのか、などの詳細について知恵を絞って「つめ」をしなければならないだろう。

以上のことを踏まえて、くくりワナ猟の経験者が出版した「ぼくは猟師になった」(千松信也 著、リトルモア、2008年)はとても良い参考図書である。もちろん、箱ワナとか鹿の大量捕獲技術とか、現場での色々な工夫についての情報もある。

鹿と猪による林業被害と農作物の被害が増大しているので、公的な補助事業も広く実施されている。オンライン情報を見ると、中央組織から地域行政まで多数の情報があふれている。下に代表的なサイトを紹介する。
 
NOSAI団体の鳥獣害対策(5面・NOSAI)【2010年2月4週号】
http://nosai.or.jp/mt/2010/02/post-816.html

中山間地域を中心に野生鳥獣による農作物被害が深刻化している。NOSAI団体では、侵入防止柵や箱わなの設置など農家が取り組む鳥獣害対策を支援しようと、地域の要望に即したさまざまなリスクマネジメント(RM)支援活動を展開。さらに、行政や農林漁業団体で組織する鳥獣害対策協議会にも参加し、より効果的な損害防止に努めている。
(中略) 
 効果的な鳥獣害対策には地域ぐるみの面的な対策が必要とされる。NOSAIの組合等の「鳥獣被害対策協議会への参加」は106組合(52%)で、「今後参加予定」が23組合(11%)。協議会に参加し、地域の被害防止計画に沿って防護柵の設置などを行う場合、農林水産省の「鳥獣被害防止総合対策事業」(補助率2分の1以内)を使うことができ、19組合(9%)が同事業の交付金を活用している。
(以上、引用)

大分県野生鳥獣被害対策実施 にあたっての考え方
http://www.pref.oita.jp/16210/hogo/data/honbun2.pdf

第10次鳥獣保護事業計画(熊本県)素案
http://www.pref.kumamoto.jp/invited/opinion/h18/choujyuu_hogo/pdf/gaiyou.pdf

宮崎県は鹿児島県と同様に県としての有害鳥獣対策事業および、それに必要な調査活動を行わず、市町村にゆだねている。

鹿児島県サイトでは有害鳥獣の捕獲について下のように説明している。
【有害鳥獣捕獲手続きの概要】
有害鳥獣捕獲には,法人捕獲及び一般捕獲の二つの方法があります。
法人捕獲
毎年恒常的に被害を及ぼす野生鳥獣について,市町村等がその鳥獣による被害発生予察を行い,市町村長等があらかじめ捕獲申請を行うことによって,捕獲許可を受けて,捕獲を行う方法です。
一般捕獲
野生鳥獣による被害が発生した場合に,被害者等が捕獲申請を行うことによって,捕獲許可を受けて,捕獲を行う方法です。


有害鳥獣駆除以外の一般狩猟は県単位で種目ごとの免許が毎年更新され、猟期の終了時に免許の回収と捕獲実績の報告が求められている。

大分、宮崎、熊本などでの駆除及び狩猟の実績データを見ると、鹿と猪は各地で毎年コンスタントに捕獲されているので、今後もこの傾向は続くと見てよいだろう。そこで、発想を転換し、単なる邪魔者の除去という観点からでなく、これらの動物タンパク資源の利用を積極的・持続的に行い、機械的な防御方法を併用した被害の軽減を図るという図式で、事業そのものの基本設計の変更をするべきであろう。

鹿については蝦夷ジカのソーセージの人気が高まっているそうである。
エゾシカ協会ニューズレターから
http://www.yezodeer.com/topics/newsletter/newsletterindex.html
北海道庁は2006年10月、「エゾシカ有効活用ガイドライン」を策定・公表しました。
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/NR/rdonlyres/4B511A50-014F-4C67-93FE-7BCB2136077A/929252/HPezosikaguideline.pdf

九州でも、県ごとにバラバラでなく、全域で鹿と猪資源の有効利用から地域産業として育てるべき時期になっているであろう。そのためには、九州農政局を中核にして、野外集団の資源動態の基礎調査と情報集約、加工製品の開発研究と流通システムつくりなどの活動、さらに独立して収益を出せるようになるまでを資金的に支えるべきではないだろうか。効果が出ない駆除事業をダラダラ続けるのは行政の怠慢としか思えない。
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by beachmollusc | 2010-07-09 09:19 | 口蹄疫