beachmollusc ひむかのハマグリ


海辺の浅瀬は水産動物のこども達のゆりかごです
by beachmollusc
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
検索
カテゴリ
海辺の自然を取り戻そう
 自然の恵みを後世に残すためには、その生態と環境を深く、よく知ることが基本です。

 海岸の浅瀬、干潟や砂浜は資源生物のゆりかごです。
しかし、それにおかまいなしに埋立てや海岸構造物の建設、水質汚染も加わって、日本中の水辺、海辺の環境は撹乱され、破壊されてしまいました。その結果、ハマグリなど干潟の動植物の多くが絶滅危惧種となっています。

 このブログでは、主に砂浜環境の保全を念頭において、日本各地の山、川、海の姿を調べて見てまわったこと、
そして2006年5月に移住した日向市の海辺と里山の様子や生き物などを紹介します。

このブログにリンクを張ることはご自由にどうぞ。

    - 自己紹介 -

大学院博士課程修了後7年間の海外での研究と28年余り大学教員をしていました。

海の無脊椎動物(貝、ヒトデ、サンゴ、クラゲなど)が専門、自称の学位は Doctor of
Underwater Marine Biology
(DUMB:バカセ)

楽観的な悲観論者または悲観的な楽観論者:生態的に無理をしている人類の滅亡は近いだろうが、それも自然の摂理じゃないのかな

せっかちな慎重派:ゆっくり
見極めて急いで集中的に
お仕事します

好きなもの:日本蕎麦が一番、パスタ・スパゲッティ、うどんもよし、つまりメンクイです

嫌いなもの:人混み、投棄ゴミ、マスゴミ、脳衰官僚

リンク

ひむかのハマグリ(ブログオーナーのハマグリ情報サイト)
合津マリンステーション(熊本大学の逸見教授のブログ)
ハマハマ通信(国立環境研、中村泰男博士のハマグリ研究情報)
鹿児島の貝
海辺の散歩
きんのり丸漁師生活30年
しじみ漁にまつわるブログ
みやざきの自然
みやざきの緑と風
さるなしの里
NPO子どもの森(門川町)
宮崎と周辺の植物
高原町の自然をたずねて
一般社団法人エコシステム協会
NPOアンダンテ21
防災ブログ
日本の写真集(デジタル楽しみ村)
野のものたちの記憶(岩手県のfieldnote さんのブログ)
~自然彩々~夢庵
おっちゃんの何でもニュース
里山再生計画
原体験コラム
こやま・裏山・里山 リンク
自然と遊ぶリンク集
人気ジャンル
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧

カテゴリ:口蹄疫( 92 )


DEFRAの口蹄疫情報

イギリスのDEFRA (Department for Environment, Food and Rural Affairs) は家畜伝染病に関する政府機関であり、口蹄疫について真正面から取り組む責任を負っている。

その役割、目的は:

Our purpose is "to secure a healthy environment in which we and future
generations can prosper."

「私たちと次世代が繁栄できる健全な環境を保証するために」、オンライン自動翻訳でもこの程度はOK。

イギリスは口蹄疫のパンデミックで繰り返し散々な目にあった先輩国であるが、終息したらすぐ忘れるような国ではない。疫学調査を徹底して行う国であるが、2007年の場合はトンデモの世界が暴露された。

2007年の疫学調査結果の報告書から「まとめ」の一部を引用する。

http://www.defra.gov.uk/foodfarm/farmanimal/diseases/atoz/fmd/documents/fmd_epidreport2007.pdf

Executive Summary
1. The virus strain, type O1BFS, that caused the outbreak of Foot and Mouth
Disease (FMD) in Surrey in August 2007 has been shown beyond reasonable
doubt to originate from the nearby Pirbright site where a commercial vaccine
production plant and a research and diagnostic laboratory are co-located.
(2007年8月にサレーで発生した口蹄疫のウイルス01BFS株は発生場所の付近にある民間のワクチン製造所と検疫・研究所が一緒にあったPirbrightの施設内から出たものであることは疑う余地はない。)

5. Investigations indicate that release was most likely due to escape of live
virus from the drainage system that connects the vaccine production plant
to the sodium hydroxide treatment tanks on another part of the Pirbright
site. Movement of the virus off site was most likely from movement of fomites
created from soil, water or other material contaminated by effluent, and
deposited on the road from which the track to IP1 leads.
(ナマの口蹄疫ウイルスが漏れた経路は、ワクチン製造プラントから施設内の苛性ソーダ処理タンクとを結ぶ排水管からであったものと見なされた。ウイルスの施設外への移動は、漏れた排水で汚染された土壌、水、その他の汚染物が動いて、道路上に落ちていたものが初発農場へ運ばれたことによるらしい。)

外の項目で、施設から空気中の漏れ出しは否定されている。とにかく、オソマツでイギリスの面目丸つぶれである。しかし、きっちりと何が起こったかを検証し、後の改善につなげることが大切なので、不都合な真実の隠し事はしない所は見習うべきである。

日本からイギリスのDEFRA本部にテレビ局の取材チームが押しかけたが、先方は上のこともあって相当面食らっただろう。たしか、この問題の責任とか法的な係争はまだ決着がついていないし、DEFRAサイトのポータルページに口蹄疫の項目が出ていないのはなにか問題があるからだろうか。

DEFRAには一般の農場での口蹄疫に対する防疫指針を(fact sheet)、つまり要点を分かりやすいパンフレットとして公開している。これの日本語版を翻訳して日本の家畜農家に配布することを農水がやるべきだろう。
http://www.defra.gov.uk/foodfarm/farmanimal/diseases/atoz/fmd/documents/factsheet2.pdf

日本をはじめ東アジア各地におけるO血清型の口蹄疫に関する情報を取りまとめ、それを踏まえてイギリスでの対応を論じた記事がDEFRAサイトに掲載されている。(6月9日時点での情報)
http://www.defra.gov.uk/foodfarm/farmanimal/diseases/monitoring/documents/fmd-eastasia100610.pdf

これによると、中国の広東省で発生した株の口蹄疫ウイルスが日本と韓国の共通株であるとされている。ホンコンの土着株から変異したものが各地に拡散しているのかもしれない。

日本発の(農水の公式発表)日本語をGOOGLEの自動翻訳で英語に直した(そのため、若干間違っているかもしれぬ)と注釈があった。もちろん、OIE に提出された英語報告にもよっている。
[PR]

by beachmollusc | 2010-06-27 16:24 | 口蹄疫

近所のウシ小屋

日向市の口蹄疫発生農場は市内では最南部に近い場所だったため、移動制限(そしてワクチン接種ゾーン)の10キロ圏の北端が国道327号線ギリギリ、つまりわが家のすぐ南までとなっているらしいが、正確な境界位置は分からない。

自宅から327号線に出るまでの農道・集落の生活道、約3キロの間、道を走りながら渓流の向こう側や農地越しに見えるウシ小屋は少なくとも5戸あり、さらに屋敷内で数頭飼養しているらしい農家が数戸ある。その他に、道端の塀越しにも小屋があるようだが、その中にウシの気配はない。

これらのウシさんたちの処遇がどうなったのかは全く分からないが、小屋の中でうごめいているウシの姿が見られるところも残っている。車の窓を開けて走っていると、牛舎付近では独特の臭気が漂っているが、車内ではワンコの匂いの方が強い。

これまで余り気にしていなかった牛舎を改めて見ると、その周囲は草ボウボウだったりしていて、サシバエややぶ蚊、そしてヌカカなどが沢山繁殖していそうである。

谷間の一角にやや規模が大きい畜舎があるが、その他は皆規模が小さく、牛舎は開放的である。
e0094349_984339.jpg

e0094349_9111221.jpg

e0094349_9112435.jpg

シートで周囲を囲んで目隠しをしているところもある。
e0094349_9103838.jpg

これらの小さいところは今後どうなるのだろうか。
[PR]

by beachmollusc | 2010-06-27 09:13 | 口蹄疫

ウイルスの水平伝播と吸血昆虫-アブについて

ダニとかブユも嫌な虫であるが、田舎では真夏になるといきなり上空から人間をめがけて襲ってくるアブは厄介者である。衣服の上から刺されても相当痛い。屋外にいる犬めがけても執拗に襲ってくるので、頻繁に捕虫網でキャッチして踏み潰している。このアブたちが出現する時期は口蹄疫シーズンとはずれているようなので、今の問題に関連しないだろうが、何か外の病気に関係しているかどうか調べてみた。

Bloodmeal Residues on Mouthparts of Tabanus fuscicostatus (Diptera: Tabanidae)
and the Potential for Mechanical Transmission of Pathogens
Authors: FOIL, L. D.; ADAMS, W. V.; McMANUS, J. M.; ISSEL, C. J.
Journal of Medical Entomology, Volume 24, Number 6, November 1987
pp. 613-616

Abstract:

Bloodmeal residues on the mouthparts of Tabanus fuscicostatus Hine,
which were interrupted in feeding on a pony, were measured using an
enzyme-linked immunosorbent assay (ELISA) for equine IgG. The
residues were estimated to be ca. 10 nl when the mouthparts were
harvested and assayed immediately after feeding. This estimate is
consistent with reported transmission of equine infectious anemia
virus by one T. fuscicostatus from a donor with ca. 106 infective
doses per ml of serum. The usefulness of this kind of study in evaluating
the potential for hematophagous Diptera for mechanical transmission of
pathogens is discussed.

上の論文はかなり古いものであるが、病原体ウイルスが吸血昆虫によって水平伝播される危険性を調べる研究調査の手法をアブの一種について適用したものである。

アブの仲間は吸血昆虫の中でも大型であり、ウシアブなどのように家畜を襲って吸血する場合、病原性ウイルスを大量に取り込んで次の獲物を襲って伝染させるかもしれない。飛翔力もありそうで、広く分散するかもしれないので、要注意であろう。

日本語の文献で見つけたものを下に2つ示す。

抗体陽性牛を吸血したアブからの牛白血病ウイルスの分離
石田 秀史 , 若林 光伸 , 本間 裕一 , 樋口 良平 , 渡辺 大成 , 鍋谷 政広 , 鳥屋 雄司
日本獣医師会雑誌 50(9), 519-522, 1997-09-20

野外における吸血アブによるウシ白血病ウイルスの水平伝播について
大島 寛一 , 岡田 幸助 , 沼宮内 茂 , 米山 陽太郎 , 佐藤 繁 , 高橋 喜和夫
日本獸醫學雜誌 43(1), 79-81, 1981-02-25

Risk factors associated with within-herd transmission of bovine leukemia
virus on dairy farms in Japan
Sota Kobayashi ほか6名
BMC Veterinary Research 2010, 6:1 
http://www.biomedcentral.com/1746-6148/6/1
この最新報告には、ウシ白血病の水平感染リスク、つまり同じ農場内で広がるリスクについて検討した結果を報告している。その中で、アブが多い場合に感染率が高くなったことが示唆されている。

下のかなり古い総説論文にはアブの仲間が媒介する病原体のリストがある。

ANIMAL DISEASE AGENTS TRANSMITTED BY HORSE FLIES AND DEER FLIES
(DIPTERA: TABANIDAE)
Author: Krinsky, William L.
Source: Journal of Medical Entomology, Volume 13, Number 3,
8 December 1976 , pp. 225-275

アブの仲間が媒介する病原性ウイルスに関しては:
"tabanids are mechanical vectors of the viruses of equine infectious anemia,
vesicular stomatitis, hog cholera, and rinderpest"

馬伝染性貧血 http://ss.niah.affrc.go.jp/disease/fact/17.html
水胞性口炎 http://ss.niah.affrc.go.jp/disease/fact/06.html
豚コレラ http://ss.niah.affrc.go.jp/disease/fact/19.html
牛疫 http://ss.niah.affrc.go.jp/disease/fact/01.html

以上の家畜伝染病のエース級が含まれている。
[PR]

by beachmollusc | 2010-06-26 21:50 | 口蹄疫

宮崎県内の鹿の数は?

農水のHPにある口蹄疫の関係省庁リストをチェックしてみたが、
環境省がありません。
http://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/katiku_yobo/k_fmd/kankei_syoutyou.html

口蹄疫ウイルスのキャリヤーとなる可能性がある(すでになっているかもしれない)ニホンジカの生態や行動などの情報をオンラインで探してみたら、結構見つかった。特に熊本にある森林総合研究所九州支所の矢部恒晶を中心にした調査・研究報告が出版されている。

森林動物研究グループ
http://www.ffpri-kys.affrc.go.jp/situ/zoo/main.htm
グループのメンバー (2005.12.27 現在)
グループ長
矢部 恒晶(やべ つねあき)
研究テーマ 鳥獣研究(おもにシカ)

上のウエブ・サイトには鹿に関する情報は開示されていない。また鹿に限らず業績目録やそのpdfファイルの開示も行われていない。5年前のスタッフリストが出ていたが、HP情報の更新を行う係がいないのか。

研究調査の報告を調べるツールは複数あるが、CiNiiで「ニホンジカ」と「九州」のキーワード検索で19件ヒットした。ただし、pdfファイルで内容が読めるものは10件だけ。

九州におけるニホンジカ特定鳥獣保護管理計画の現況
矢部 恒晶
哺乳類科学 = Mammalian Science 47(1), 55-63, 2007-06-30

上の報告には九州各県における「特定鳥獣保護管理計画」について概観が述べられている。

宮崎県内の鹿の推定数は大雑把に6万頭程度、熊本でも同じくらいと想定されているらしいが、推定精度は極めて低いようである。これらは糞粒の数からの推定である。

樹木年代学的手法による山地流域のニホンジカ生息密度・分布域の時間的変化の再現
櫻木 まゆみ , 丸谷 知己 , 土肥 昭夫
日本林學會誌 81(2), 147-152, 1999-05-16

上の論文では林業で幼令樹を増やして造林地で鹿の繁殖を増大させたことが記録されている。

宮崎県の全面積の約7割が山林であって、その山林面積の約7割が人工林、つまり林業地となっている。言い換えれば県の面積の約半分で林業をやっていて、その多くが放置林となっているのが現状である。鹿の個体数の増大は、自然林を伐採して植林面積を増大させた結果と考えられる。そして、植林された杉やヒノキの若い樹木の幹の皮を鹿が「食害」、つまり餌に利用するので木が枯死する「林業被害」が生じている。山の麓では農地に美味しい餌がたっぷりあるので、そこにも大挙してやってくる。もちろん牛の放牧地でも常連である。鹿を人間が一生懸命増やしている一方で、補助金での駆除事業ということになり、宮崎県内だけでも毎年6000-8000頭の鹿が狩猟などで殺されている。

上の論文以外に、宮崎県椎葉村にある九州大学演習林をフィールドとした研究報告がいくつかあった。

宮崎演習林における哺乳類目撃数のモニタリング 著者多数(2010年)
九州大学農学部演習林報告 || 91 || p29-33
https://qir.kyushu-u.ac.jp/dspace/bitstream/2324/17059/1/bkuf_091_029.pdf

上の報告で、演習林内で鹿が圧倒的多数目撃されている(1年間の調査期間中、日中業務の最中に見かけた鹿はのべ2000頭近くで、猪は25頭)。これから鹿は日常的に見られることがわかる。

CiNiiでは出てこないが、別途学術情報検索で出てきた報告のなかに有益なものが2件あった(下)。

九州大学演習林近辺で発信機をつけて放したオスメスそれぞれ1頭の鹿について行動範囲を追跡した結果が報告されている。メスの行動範囲は狭いようであるが、雄鹿は繁殖行動に伴ってとても広く動きまわるようである。頭数が少なく、期間限定であるので全貌を知るには程遠い。このような重要な研究テーマに経費を投入しないで、林業被害の対症療法対策、駆除捕獲事業ばかりやっている行政の問題である。

九州中央山地におけるニホンジカのホームレンジ
矢部恒晶, 小泉透, 遠藤晃, 関伸一, 三浦 由洋
日林九支研論文集, No. 54, 131-132, 2001年
http://ffpsc.agr.kyushu-u.ac.jp/jfs-q/kyushu_forest_research/54/54pr014.pdf

上の論文の続報があれば見たいものである。

シカ用生け捕りワナEN-TRAPの試作·適用
遠藤 晃, 土肥 昭夫, 伊澤 雅子, 矢部 恒晶, 辻 高史
哺乳類科学 Vol. 40 (2000) , No. 2 pp.145-153
http://www.jstage.jst.go.jp/article/mammalianscience/40/2/40_145/_article/-char/ja

琉球大学理学部の伊澤教授(私がつけたあだ名は「猫娘」)が著者のメンバーとなっているが、これは沖縄でケラマジカ捕獲作戦に参加したため。

このワナで動物を傷めないで捕獲して生態調査を行う、ということらしい。矢部さんも加わっているし、宮崎県での口蹄疫の疫学調査には生け捕りワナを活用したらよいかもしれない。今後の調査・研究で鹿の感染実験やキャリヤー化の確認も必要であろう。
[PR]

by beachmollusc | 2010-06-24 19:42 | 口蹄疫

ヌカカの仲間が媒介する偶蹄類のウイルス病

ミシシッピ大学の昆虫学と植物病理学学科から出ているオンライン雑誌にヌカカの類が鹿の伝染病ウイルスを媒介するという情報があった。Bluetongue (直訳すれば青い舌)という牛も感染する病気である。

Midsouth Entomologist
An online publication of the Mississippi Entomological Association and the
Department of Entomology and Plant Pathology, Mississippi State University

http://midsouthentomologist.org.msstate.edu/pdfs/Vol3_1/vol3_1_012.pdf

Current Topics in Medical and Veterinary Entomology: Results of a Roundtable
Discussion [pdf] これから該当する部分を抜粋して引用する。

Bluetongue is a vector-borne disease of ruminants caused by a virus
of the Reoviridae family and biologically transmitted by the Culicoides
midge. Deer in Mississippi have succumbed over the past few years to Blue
Tongue (BT), which might look like foot and mouth disease (FMD). The biting
midge (Ceratopogonidae) has been shown to be a BT vector and there was
a large deer die-off in Louisiana during the summer of 2008.


2008年にルイジアナ州で鹿の大量死がこの病気で起こったとあるので、さらに調べてみた。

VECTOR-BORNE DISEASES, SURVEILLANCE, PREVENTION
http://ddr.nal.usda.gov/bitstream/10113/41316/1/IND44341525.pdf

Detection of Bluetongue Virus RNA in Field-Collected Culicoides spp.
(Diptera: Ceratopogonidae) Following the Discovery of Bluetongue
Virus Serotype 1 in White-Tailed Deer and Cattle in Louisiana

M. E. BECKER, W. K. REEVES, S. K. DEJEAN, M. P. EMERY, E. N. OSTLUND,
AND L. D. FOIL
J. Med. Entomol. 47(2): 269-273 (2010)

ABSTRACT

In November 2004, bluetongue virus (family Reoviridae, genus Orbivirus, BTV)
serotype 1 (BTV-1) was detected for the first time in the United States from
a hunter-killed deer in St. Mary Parish, LA. In 2005, sera surveys were
conducted on three cattle farms near the area where the deer was found,
and BTV-1-seropositive cattle were found on two of the three farms; in 2006,
sera surveys from the cattle on the three farms did not detect any BTV-1-
positive animals. The purpose of this study was to survey ceratopogonid
populations at the three farms and test field-collected specimens for the
presence of BTV and epizootic hemorrhagic disease virus (family Reoviridae,
genus Orbivirus, EHDV). Miniature CDC light traps and New Jersey traps were
used to capture ceratopogonids on the three farms from January 2006
through November 2007. In total, 3,319 ceratopogonids were captured,
including 1,790 specimens of 10 different species of Culicoides. IR-RT-
polymerase chain reaction (PCR) was performed to screen for BTV and
EHDV in 264 pools representing 2,309 specimens collected at the farms.
All positive samples were sequenced for serotype determination. Five
pools of 275 (1.8%) were positive for BTV. Pools of four species of
Culicoides were found to be positive: Culicoides crepuscularis (Malloch),
Culicoides debilipalpis Lutz (two pools), Culicoides haematopotus Malloch,
and Culicoides furens (Poey). The amplicons of the positive specimens
were sequenced and found to be identical to both BTV-17 and BTV-13. During
our study, no BTV-1 transmission was detected in cattle, and no BTV-1 was
detected in specimens of ceratopogonids.

話が込み入っているようであるが、野生の鹿にbluetongueウイルス血清型-1がアメリカで初めて見つかったのは最近のことで、その近辺の農場で牛に抗体が検出されたことで、ヌカカの体内にウイルスがあるかどうか調査された。

検索してみたら、ベルギーなどでも同じウイルス病が牛に発症していて、ヌカカの調査が行われている。感染する動物は口蹄疫と共通で、偶蹄類である(ただし、豚は含まないらしい)。

Quantifying the wind dispersal of Culicoides species in Greece and Bulgaria
E. Ducheyne, R. De Deken, S. Bécu, B. Codina, K. Nomikou, O. Mangana-Vougiaki,
G. Georgiev, B.V. Purse, G. Hendrickx
Geospatial Health, 2007

Abstract.

This paper tests the hypothesis that Culicoides (Diptera: Ceratopogonidae)
species can be propagated by wind over long distances. Movement patterns
of midges were inferred indirectly from patterns of the spread of bluetongue
outbreaks between farms (using outbreak data from 1999-2001 for Greece,
Bulgaria and Turkey) and then matched to concurrent wind patterns. The
general methodology was to determine wind trajectories to and from each
outbreak site based on the horizontal and vertical wind components of the
European ReAnalysis-40 (ERA-40) dataset from the European centre for
medium-range weather forecast (ECMWF). Forward trajectories (downwind
or where the windvectors pointed to) and backward trajectories (upwind or
where the wind-vectors originated from) were calculated for each outbreak
for the period from one week before to one week after it had been recorded.
These wind trajectories were then compared with the general outbreak
patterns taking into consideration the different serotypes involved.
It was found that the wind trajectories could be matched to the temporal
distribution of the outbreak cases. Furthermore, the spread of the infected
vector via the calculated wind trajectories was corroborated by molecular
evidence. The conclusion is that the methodology presented is appropriate
for quantifying the risk of spread of infected Culicoides midges by wind and
that this approach could form an important component of a regional
early-warning system for bluetongue.

bluetongue病のヨーロッパ各国での発生データを気象(風向)と照らしあわせて解析し、ギリシャ、ブルガリア、トルコの間に広がったパターンは風でウイルスを持ったヌカカが運ばれて伝播したものとして説明できる。南ヨーロッパでは、このウイルス病の広がりのリスクを予報する手法として適していると結論した。

ヌカカの仲間はとても小さい昆虫であるが、刺されると極めて痛い。いわゆる「ブユ」である。
(訂正:ブユはヌカカと異なるグループの吸血昆虫であって、しばしば混同される。)

この仲間には種類も沢山あって、複数の家畜の病原体ウイルスを媒介することが確認されている。口蹄疫についての情報はないが、それに良く似た病気であるbluetongue病を媒介するし、野生動物と家畜の間の感染リンクともなっているらしい。

家畜の監視伝染病 > 届出伝染病 > ブルータング
http://ss.niah.affrc.go.jp/disease/fact/27.html
編集:動物衛生研究所・動物疾病対策センター・疫学情報室、文責:九州支所、山川 睦生

ブルータング(bluetongue)
対象家畜:牛、水牛、しか、めん羊、山羊
1.原因
 レオウイルス(Reoviridae)科、オルビウイルス(Orbivirus)属、ブルータングウイルス(Bluetongue virus:BTV)群に属するウイルス。10分節からなる2本鎖RNAをゲノムに持つ。24の血清型の存在が確認されている。
.疫学
 日本を含む世界中の熱帯・亜熱帯・温帯地域に分布し、牛、水牛、しか、めん羊、山羊等の反芻動物に発生する。ウイルスに対する感受性はめん羊が最も高い。ウイルスは吸血昆虫(主に体長1~3mmほどのヌカカ)によって媒介され、伝播するため、その流行には季節性(夏~秋)がある。接触感染はない。
[PR]

by beachmollusc | 2010-06-23 22:30 | 口蹄疫

ヌカカは口蹄疫ウイルスを媒介するだろうか

サシバエに関する情報を一通り調べて、オンラインで見える資料や文献の内容を把握できたので、次はヌカカの問題も調べてみる。

日向市の山間部に移住してから、心配だった蚊はほとんど気にしなくてよいことが分かったが、その代わり、気温が20℃を越える時期になると、ヌカカの訪問が盛んになり、肌を露出させることができなくなる。屋外にいる犬の周りにものすごい数のヌカカがまとわり付くので屋外用の蚊取線香を常時点火している有様である。飛翔する時間帯は朝夕が中心で、日中と夜間は少なくなる。

わが家の1キロ圏内には鶏舎と牛舎が複数あるが、おそらくそれらの周囲がヌカカの発生源となっているのだろう。犬の散歩中にメマトイも襲い掛かってくるが、それについては後で調べてみる。

家畜の病気を媒介する吸血昆虫(ヌカカ)の調査と採集装置の改良
動物衛生研究所、九州支所 堀脇浩孝
http://konarc.naro.affrc.go.jp/oshirase/2009/support/03_horiwaki.pdf

1.背景
わが国では、西日本を中心に、牛の流産・早産・死産ならびに奇形胎子の出産(いわゆる異常産)を起こす牛の疾病が毎年のように流行している。これらの疾病の一部はヌカカなどの吸血昆虫によって媒介されるアルボウイルスの感染によって引き起こされる。
牛のアルボウイルスを媒介するヌカカ(Culicoides 属)(図1)とは分類学上はハエ目に属し、体長は1~3mm 程度の微細な昆虫で、世界中で1,400 種以上が知られている。なかには、ほ乳類や鳥類から吸血し、吸血の際に人や家畜のウイルス、寄生虫などを媒介する種類もいる。ヌカカは、その微細さのため、捕集や取り扱いが難しく、わが国では動物衛生研究所以外では専門的に調査を行っている機関はない。
牛のアルボウイルス病の予防のためには、その流行状況の把握、ウイルスを媒介するヌカカの分布や活動時期ならびに、ヌカカからのウイルス分離、分離ウイルス株の性状解析が欠かせない。これらの調査には、専門的な技術や長時間の作業を要するものが多く、しかも継続的に行う必要がある。本発表では、一般の人にはなじみの薄い衛生害虫ヌカカを紹介し、その調査の一連の作業内容とそれらの効率化のために技術的な改良を加えた点を紹介する。


ヌカカの吸血源と発生源 東北農業試験場
http://www.tnaes.affrc.go.jp/periodical/singijutu/H12/pdf/chiku_pdf/709.pdf

研究のねらい
ヌカカ(写真)はウシの異常産や流行熱などの病原を媒介する吸血害虫である。ところが体長が1~2mmと小さいために種の同定が困難なうえ、成虫の吸血源や幼虫の発育場所すら不明な種が多く、防除に関する研究も一般に不十分である。そこで、ヌカカの生態を明らかにするため、季節消長、吸血源、発生源を調査した。


研究の成果
① 盛岡市内の放牧地と牛舎において、ライトトラップによりCulicoides 属(双翅目、ヌカカ科)に属する15種のヌカカを採集した(表1)。個体数の多い種のうち、ミヤマヌカカ、シナノヌカカ、ニワトリヌカカは年に複数回の発生であったが、ナミヌカカは年1回の発生であった。
② 吸血個体が得られた8種の吸血源を酵素結合抗体法(ELIZA)で調べたところ、2種がウシとヒツジから、4種がウシから、2種がニワトリから吸血していた(表2)。
③ 放牧地では、流水やその周辺の湿った土壌からウスシロフヌカカ、キブネヌカカ、ホシヌカカ、ニワトリヌカカが発生し、牛糞の混入した日陰の裸地土壌からマキバヌカカが発生した。牛舎周辺では、堆肥場やパドックの牛糞が混じった土壌からキヤマヌカカが発生することがわかった(図)。

(図表は引用していないが、元のpdfファイルから参照できる)

ヌカカの飛来には光が関係していて、ライトトラップで効果的に捕獲できるし、窓の反射を防ぐことで飛来数を抑えることができるそうである。

牛や鳥などの温血動物ごとに特化したヌカカの仲間、多数の同類が種分化しているようである。そしてウイルス性の様々な疾病を引き起こしているということであるから、口蹄疫の伝染に関しても、ひょっとすると関与しているかもしれない。

わが家に飛来している種類を突き止め、発生源を推定できれば、この悩みからある程度開放されるかもしれない。田舎暮らしを楽しむためには、この意外な厄介者の対策を必要としていることを移住前には気がつかなかった。畜産が盛んな地域の田舎暮らしを考えている場合の重要な注意事項の一つであろう。
[PR]

by beachmollusc | 2010-06-22 16:47 | 口蹄疫

サシバエによる豚のウイルス病の感染実験

アメリカ昆虫学会の2008年の学会発表でサシバエが豚のウイルス病のヴェクターになるかどうかを検証した実験結果の報告があった。下のURLに発表要旨があったので、読んでみた。

The 2008 ESA (Entomological Society of America) Annual Meeting,
November 16-19, 2008
http://esa.confex.com/esa/2008/techprogram/meeting_2008.htm

Monday, November 17, 2008 - 9:59 AM
0570
Vector potential of stable flies (Stomoxys calcitrans) for transmission of porcine
reproductive and respiratory syndrome virus (PRRSV)

Kateryn Rochon, Wes Watson and Rodney B. Baker

PRRS virus is responsible for important financial losses in the swine
industry in the U.S. and worldwide. The virus replicates in macrophage
cells of infected pigs resulting in pneumonia and late-term abortions in
sows. The link between outbreaks in separate farms within an area
despite biosecurity measures remains unclear. House flies (Musca domestica)
and mosquitoes (Aedes vexans) can transmit the virus from pig to
pig under laboratory conditions. Stable flies are commonly found around
swine facilities and their persistent biting gives them potential as
mechanical vectors of PRRS virus. We have investigated the vectorial
potential of stable flies in the transmission of PRRS virus under laboratory
conditions. Groups of stable flies fed blood containing PRRS virus or flies
intrathoracically inoculated with the virus were sacrificed at different time
intervals to determine virus persistence in the gut and hemolymph.
In transmission experiments, groups of virus-fed flies were also placed
on naïve pigs for four subsequent blood meals, and the pigs monitored
for signs of the disease. Active virus was recovered from stable fly guts,
but detectable virus decreased with time, suggesting no virus replication
in fly tissues. Intrathoracically inoculated stable flies had ~1,500 times
more PRRSv copies/ml 48 h post inoculation compared to virus-fed flies.
Transmission of the virus to naïve healthy pigs was unsuccessful under
the current experimental conditions although all fly groups tested positive
with virus isolation.

豚に肺炎と流産を引き起こすウイルス病の病原体porcine reproductive and respiratory syndrome virus (PRRSV)がどうやって防疫体制が厳重になされている一定区域の離れた豚舎の間で伝染するのかわかっていない。(実験室でハエと蚊は豚の個体間でウイルスを伝染させることがわかっている)。

この研究観察では、サシバエの体内でこのウイルスは増殖しないで、消化管と血リンパ内で減少した。ウイルスに汚染された血液を吸血したサシバエを豚と一緒にしておく感染実験で、設定された条件では豚に感染は起こらなかった。

以上のように、サシバエがウイルスを持っていても豚に感染を引きおこさなかった事例が報告されている。満腹状態だったサシバエが豚を刺さなかったのか、刺しても豚の防御レベルを圧倒するパワーが足りなかったのか、よくわからない。

狙った結果が出なかった研究成果であっても学会発表するのはアメリカらしくて偉い。日本だったら、狙った結果が出るまで食い下がるか、「良い結果」が出なくて結局あきらめるかだろう(日本人の学生の実験指導をしていた経験では、ねらい目が外れるとすぐあきらめる傾向がみられた:失敗から学ぶことが重要であることを高校教育まで否定され続けているからだろう)。

サシバエの吸血嗜好性は牛と馬に極めて強いらしい。英名stable flyは馬小屋で馬糞から発生することが多かったから命名されたのだろう。豚の実験で結果が出なくても、それほど驚かなくても良いのかもしれない。
[PR]

by beachmollusc | 2010-06-21 21:20 | 口蹄疫

サシバエとWNVとペリカンの大量死の関係

アメリカ、モンタナ州でウエストナイルウイルスに感染したペリカンの雛が大量死している事件を調査中に、サシバエによるウイルス媒介が起こっているらしいことが発見された。

Suspect Identified In West Nile Deaths Of Pelicans
http://www.sciencedaily.com/releases/2007/09/070928135604.htm

ScienceDaily (Oct. 3, 2007) — Stable flies are the latest suspect that may
be involved in the West Nile virus deaths of hundreds of pelican chicks at
the Medicine Lake National Wildlife Refuge in northeast Montana. West Nile
virus killed 800 to 1,000 pelican chicks in 2003, averaged 400 in each of the
next three summers and more than 600 this year.

上のニュース記事を見て、研究調査報告を捜したところ、下の論文が見つかった。

Surveillance for West Nile virus in American white pelicans, Montana, USA,
2006-2007.
Johnson G, Nemeth N, Hale K, Lindsey N, Panella N, Komar N.
Emerg Infect Dis. 2010 Mar;16(3):406-11.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20202414

Abstract

West Nile virus (WNV)-associated deaths of American white pelican
(Pelecanus erythrorhynchos) chicks have been recognized at various
nesting colonies in the United States since 2002. We evaluated
American white pelican nesting colonies in Sheridan County, Montana,
USA, for an association between WNV-positive pelican carcasses and
human West Nile neuroinvasive disease. Persons in counties hosting
affected colonies had a 5x higher risk for disease than those in counties
with unaffected colonies. We also investigated WNV infection and blood
meal source among mosquitoes and pelican tissue type for greatest
WNV detection efficacy in carcasses. WNV-infected Culex tarsalis
mosquitoes were detected and blood-engorged Cx. tarsalis contained
pelican DNA. Viral loads and detection consistency among pelican tissues
were greatest in feather pulp, brain, heart, and skin. Given the risks
posed to wildlife and human health, coordinated efforts among wildlife
and public health authorities to monitor these pelican colonies for WNV
activity are potentially useful.

上の論文からペリカン集団にウエストナイルウイルスが広がって雛が大量死している問題は、イエカの類を介して人間に広がる恐れがある。蚊が吸血した血の中にペリカンの遺伝子が確認されている。この論文ではサシバエについて言及していないが、イエカと同様にリスクがあるかもしれない。

West Nile virus was first detected in the U.S. in 1999 in New York. Between 2001 and 2004, the virus spread rapidly across the U.S.
(ウエストナイルウイルスはニューヨークで1999年に発見されてから2004年までにアメリカ大陸を横断して広がった。つまり、南米大陸原産、脳細胞の炎症をおこすウイルスであって、日本脳炎ウイルスと同類)

CDCサイトに掲載されているウエストナイル熱患者、蚊、野鳥などの分布はアラスカやハワイを除くアメリカ全土に広がっている。2009年の年間合計発生数の分布図を下に引用する。
e0094349_81815.jpg

Final 2009 West Nile Virus Activity in the United States

This map reflects surveillance findings occurring between January 1, 2009 through December 31, 2009 as reported to CDC's ArboNET system for public distribution by state and local health departments.
http://www.cdc.gov/ncidod/dvbid/westnile/Mapsactivity/surv&control09Maps.htm

鳥による広域拡散が疑われていたが、どうやら媒介する蚊(Culex tarsalisイエカの一種)そのものの分散が重要だったらしい。

ScienceDaily (Mar. 2, 2010) — Mosquitoes -- not birds as suspected -- may
have a played a primary role in spreading West Nile virus westward across
the United States, according to a study by researchers at the Johns Hopkins
Bloomberg School of Public Health. The study is among the first to examine
the role of mosquitoes in the dispersion of West Nile virus across the U.S.
and is published in the March 2 edition of Molecular Ecology.
http://www.sciencedaily.com/releases/2010/03/100301193011.htm

Population genetic data suggest a role for mosquito-mediated dispersal of
West Nile virus across the western United States

MEERA VENKATESAN and JASON L. RASGON
Molecular Ecology Volume 19 Issue 8, Pages 1573 - 1584
Published Online: 8 Mar 2010

ABSTRACT
After introduction, West Nile virus (WNV) spread rapidly across the
western United States between the years 2001 and 2004. This
westward movement is thought to have been mediated by random
dispersive movements of resident birds. Little attention has been
placed on the role of mosquito vectors in virus dispersal across
North America. The mosquito vector largely responsible for WNV
amplification and transmission of WNV in the western USA is Culex
tarsalis. Here we present population genetic data that suggest
a potential role for C. tarsalis in the dispersal of WNV across
the western USA. Population genetic structure across the species
range of C. tarsalis in the USA was characterized in 16 states
using 12 microsatellite loci. structure and geneland analyses
indicated the presence of three broad population clusters.
Barriers to gene flow were resolved near the Sonoran desert
in southern Arizona and between the eastern Rocky Mountains
and High Plains plateau. Small genetic distances among populations
within clusters indicated that gene flow was not obstructed over
large portions of the West Coast and within the Great Plains region.
Overall, gene flow in C. tarsalis appears to be extensive,
potentially mediated by movement of mosquitoes among neighbouring
populations and hindered in geographically limited parts of its range.
The pattern of genetic clustering in C. tarsalis is congruent with
the pattern of invasion of WNV across the western United States, raising
the possibility that movement of this important vector may be involved in
viral dispersal.

http://www3.interscience.wiley.com/journal/123314461/abstract?CRETRY=1&SRETRY=0

蚊は広域分散しないという先入観から、アメリカ大陸を東から西に急速に横断して広がったウエストナイルウイルスは感染した鳥が運んだものと想定されていた。しかし、感染の広がり方が鳥の移動パターンと合致しないことなどから蚊の分散の役割についての検証が行われ、蚊の集団について分子系統遺伝の調査によって蚊が広範囲に分散していることが判明した。従って、感染した鳥の間で地域的に広がると見るよりも蚊そのものの広域分散が重要ではないか、と考えられる。

日本脳炎ウイルスとウエストナイルウイルスは兄弟分と見てよいほどよく似ている。感染発症する動物の範囲が同じ(ヒト、馬、鳥類)でイエカの仲間が媒介する。日本脳炎ウイルスがコガタアカイエカによって媒介され、それがアジア大陸南部から日本にやってきていることは前のブログで紹介したが、ウエストナイルウイルスを媒介するイエカの類も同様に広範囲に(風に運ばれて)広がっているらしい。

蚊やサシバエなど疫病をおこすウイルスのベクターとなる可能性がある昆虫が遠距離に拡散、飛翔してウイルスを広げる可能性がこれまで過小評価されていたと考えられる。口蹄疫の拡散における疫学調査の対象としてサシバエなどの昆虫を軽視してはならないだろう。
[PR]

by beachmollusc | 2010-06-21 08:57 | 口蹄疫

サシバエによる病原性ウイルスの伝播

サシバエが口蹄疫ウイルスを野生動物と家畜、あるいは家畜から家畜に伝染させる可能性について調べていて、口蹄疫ウイルスに関して実際に検証されていないことがわかった。そこで、他の疫病のウイルスではどうなっているのか情報を集めてみた。

本題に入る前に、有益な情報源として、西オーストラリアではサシバエ問題に関する専門サイトがあった。

Stable Fly Action Group (SFAG)
http://www.stableflyactiongroup.org.au/index.html

SFAG's primary objective is...
to develop strategies to eliminate the stable fly (stomoxys calcitrans) problem.

サイト内でサシバエの被害について動物や人ごとにビデオ映像で解説している:
http://www.stableflyactiongroup.org.au/video.html

下のURLにはサシバエを他の似たハエ類と識別するための画像ポスターがある:
http://www.stableflyactiongroup.org.au/fly%20breeding%20associated%20with%20horticulture%20and%20livestock.pdf


本題に戻るが、まず、馬が感染するインフルエンザに似た発熱を起こすウイルス: 馬ライノウイルス1型 (ERhV-1), について研究論文が出ていて、それが口蹄疫ウイルスと極めて近縁であることが分子系統遺伝的に明らかにされている。

Equine rhinovirus 1 is more closely related to foot-and-mouth disease virus
than to other picornaviruses
F Li, G F Browning, M J Studdert, and B S Crabb
PNAS February 6, 1996 vol. 93 no. 3 990-995
http://www.pnas.org/content/93/3/990.

abstract
Equine rhinovirus 1 (ERhV1) is a respiratory pathogen of horses which has
an uncertain taxonomic status.
(中略)
The phylogenetic trees confirmed that ERhV1 was more closely related to
FMDV than to other picornaviruses and suggested that ERhV1 may be a
member, albeit very distant, of the aphthovirus genus.

この病気は馬版のインフルエンザであり、一緒にいる馬の間で伝染性が非常に強いことも口蹄疫と共通している。感染した馬は熱を出し、鼻水をたらし、咳き込んだりして、2-3週間で回復する。この病気が離れた場所に伝染する場合はサシバエが関与しているかもしれない(状況証拠から)。

........................................................................................................
サシバエがエイズウイルスをチンパンジーからヒトに渡したかもしれないという新説がドイツのマックス・プランク研究所のグループから2002年に発表された。

Transferability of HIV by arthropods supports the
hypothesis about transmission of the virus from apes to man.

Eigen M, Kloft WJ, Brandner G.
Max-Planck-Institut für Biophysikalische Chemie, Göttingen, Germany.
meigen@gwdg.de
Naturwissenschaften. 2002 Apr; 89(4):185-6.
Erratum in: Naturwissenschaften 2002 Jun;89(6):280.

Abstract

The primate Pan troglodytes troglodytes, a chimpanzee subspecies, has
recently been defined as a natural animal host of the human immunodeficiency
virus (HIV). Apes are traditionally hunted in Africa and are offered for sale
in open-air meat markets. The bloody carcasses are regularly covered with
blood-feeding flies, amongst them possibly the stable fly (Stomoxvs
calcitrans
L.) a cosmopolitically occurring biting fly. This fly is the
effective vector for the retrovirus causing equine infectious anemia
[corrected]. According to laboratory experiments, the infectivity of ingested
HIV is not reduced in the regurgitates of this fly. These findings are combined
to explain the mechanism for a possible primary transmission of HIV from ape
to man.

HIV(エイズウイルス)は、20世紀の前半にアフリカで、チンパンジーに見られた同様なウイルスから変異してヒトが感染するようになったと推定されている。ハンターが仕留めたチンパンジーのウイルスがヒトの傷口などから侵入して広がったという説があるが、この新説では、アフリカで食用とされたチンパンジーの肉にサシバエがたかって、ウイルスを持ったサシバエがヒトを刺して伝染したものではないか、という。

上の論文を受けて、科学的に解説したニュースがいくつか出ている。下はその一つで、長文であるが引用する。重要なポイントでは日本語の説明を加えた。

BBC NEWS
Thursday, 14 March, 2002, 00:23 GMT
HIV epidemic blamed on flies

Flies may have spread infection via open wounds

Blood-sucking flies may have been to blame for the HIV epidemic being
unleashed on humans, scientists suggest.

Many Aids researchers believe the HIV virus jumped species from
chimpanzees to humans at some point in the first half of the 20th century.

They think humans were first exposed when simian immunodeficiency
virus (SIV), the monkey version of HIV, got into open wounds of game
hunters in west or central Africa.

However, German scientists think stable flies may be responsible for HIV
invading humans, according to an article in New Scientist magazine.

Most blood-sucking insects pose no risk of passing on HIV, including
mosquitoes, which inject saliva through one tube and suck up blood
through another.
(吸血性の蚊などのほとんどの昆虫は唾液を注入する管と血を吸う管が分かれているのでエイズウイルスを伝播させる恐れはない。)
However, stable flies, which bite humans, could be an exception and
are known to transmit equine leukaemia virus between horses.
(しかし、ヒトを刺すサシバエはその例外となるだろう。馬の白血病ウイルスを伝染させる→後で訂正)
When feeding, they scrape skin to make a wound, suck up blood and
regurgitate some on the skin next time they feed.
(サシバエは吸血する際、皮膚の表面を掻き壊して傷を負わせて血液を吸うが、その一部を次の吸血の時に皮膚の上に吐き出す。)
Any viruses in the regurgitated blood can invade the body through the
wounds made by the flies.
(吐き出された血液中にウイルスが含まれていれば、サシバエがつくった傷口から体内に侵入できる)
Unlike other blood-sucking insects that regurgitate blood, the stable fly
does not digest the blood it regurgitates.
(他の吸血昆虫と異なり、サシバエは吐き出した血液を消化しない)
Gerhard Brandner of the University of Freiburg, said: "The anterior part of
the mid-gut where the regurgitate is kept is just for storage and is free of
digestive enzymes.
(「サシバエの中腸の先端部で吐き出し血液が貯蔵されるだけで、そこには消化酵素が出ていない)
"That's our key result, and is a precondition for transmission of HIV."
(これがエイズウイルスの伝播を可能とする基本条件であり、本研究の重要な結果である)

Distractions

If the flies sucked up virus-tainted blood from the chimps, they could
transmit it when they feed on humans, they believe.

They speculate that sporadic cases of HIV transmission via stable flies
may have happened for years but gone unrecognised.

If these rare infections still happen at all, they now pale into insignificance
alongside the explosive spread of HIV through unprotected sex.

It is a point reinforced by Professor David Mabey at the London School of
Hygiene and Tropical Medicine.

He said: "It's an interesting theory and no more.

"The trouble with all these stories is that they distract attention from the
main public health message, which is 90% of infections are transmitted
by sex or from mothers to infants.

"So the message is to practice safe sex and not to worry about being
bitten by flies."

Beatrice Hahn at the University of Alabama in the USA, who first reported
finding HIV infections in chimps in 1999 does not think the German research
should be taken seriously until further research backs it up.

She said: "There's no shortage of hypotheses of how SIVcpz made the
jump to humans and this is just another one.

"The task at hand is to find out for sure what happened and back it up
by hard evidence."

この仮説は否定はされていないが、人間の間でエイズウイルスが伝播する経路としては無視できる程度のリスクであり、チンパンジーからヒトへの伝播経路についてはこれの外にも様々な仮説が提起されている。

口蹄疫ウイルスのサシバエによる伝播を考える場合、上の仮説のポイントで:ウイルスに汚染された血液がサシバエの体内で消化されずに家畜や野生の偶蹄類に運ばれて吸血の際に伝染してしまう、つまり、羽化した後でも、感染動物を吸血した状態で飛散してウイルス感染を広げる可能性を示唆している。汚染堆肥の中などで発生していなくても、サシバエは口蹄疫ウイルスを拡散させる恐れが考えられる。
[PR]

by beachmollusc | 2010-06-20 10:30 | 口蹄疫

口蹄疫-風評と実態の識別ができない人たち

宮崎県内で今のところ足踏みしている口蹄疫ウイルスであるが、発生源が消えない限り、いつどこに飛び火するかわからない。特に隣接県では厳戒態勢をとっていて県境の封鎖はしていないが通行制限と車両消毒を強化し、ぴりぴりしている。九州各県で競り市の停止などで畜産業全体が甚大な損害をすでに受けている。「被害」を受けているのは宮崎県だけではない。

ところが、発生源の宮崎の住民で危機意識が乏しい自己中心人間がかなりいるようだ。県内のサーファーが発信している複数のブログを見ていたら、県外から誰も来なくなったことを嘆いたり、隣接する某市で行われる行事について宮崎からの参加を見合わせるように「要請」がでているのを「風評被害」だと言って被害者意識丸出しのボケナスがいた。これについては某県知事も某政府高官なども「遺憾の意」を表したらしいが、そのようなことは口蹄疫を完全に鎮圧してから後で言ってほしい。

風評被害を避けるためにウイルスが潜んでいる(症状が出ていない家畜でも感染後の潜伏期にウイルスを増大中で、体外にも出している)かもしれない家畜を搬出制限区域から「早期出荷」などという「トンデモ」対策を考えた政府の対策本部のアンポンタンもいたが、これは幸い別の事情(処理能力が足りず、汚染地域を通行しなければならないし、移動制限のルールの意味を無視する「特例」:ルール違反)で破綻した。

風評被害とは根拠のない理由で「いわれのない」被害を受けることを言うはずである。宮崎県内で防疫対策が(選挙対策と絡んで)ようやく強化されて爆発状態から鎮火の方向に進んでいるのかもしれないが、ワクチン・ゾーン外の{搬出制限=搬出促進ゾーン}に飛び火が相次いでいる。

非常事態宣言」を1ヶ月も前に出したのは誰だったのか。宣言を出したことを忘れたわけであるまいが、それを受けての強化された対策による結果が出ているだろうか。

宮崎県知事の動静をブログなどで見ていると、対策本部が国の手に移り(つまり県の本部長はただの連絡係:実態は初期鎮圧の失敗という実績のために職務から更迭で、前の農水大臣は敵前逃亡であるが、知事はそれができないまま憔悴状態)。たしかに不運で気の毒ではあるが、自分は被害者の代表ではなくて責任重大な加害者でもあることを認識できていないようである。県民の多くを不幸のどん底に陥らせ、隣接各県に多大な迷惑をかけている結果責任は極めて重い。

風評被害でなく、今後の実際の経済被害はしだいに極めて厳しくなってくるはずである。畜産だけでなく、宮崎県産品の多くが、特にこれまでイメージ作戦で伸びていたものほど重大な影響を受けるだろう。応援フェアなどの善意の人たちが大勢いても、それは全体の中の一握りにすぎないと思われる。もしも長期間流通が途切れたら何が起こるか、代替商品が取って代わって置き換えられてしまったら、それを挽回できるだろうか。多くの畜産農家が再起できるようにするための道は極めて険しいはずである。

早期の口蹄疫の鎮圧を願ってきた関係者の望みをかなえられなかった国と県の対策本部は鎮圧後に解散であろう。

日向市から都農を中心とした国営パイロット事業で無理な計画と気象災害で経営破たんした農家は事実上放置された。川南を中心とする児湯郡の畜産業の復興の行く末がどうなるのか、県の財政が疲弊し、国の経済財政運営も怪しいなかで、口蹄疫鎮圧後は急速に社会的に忘れられるに違いない児湯の住民の苦闘と苦悩が続くだろう。
[PR]

by beachmollusc | 2010-06-20 08:09 | 口蹄疫