beachmollusc ひむかのハマグリ


海辺の浅瀬は水産動物のこども達のゆりかごです
by beachmollusc
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海辺の自然を取り戻そう
 自然の恵みを後世に残すためには、その生態と環境を深く、よく知ることが基本です。

 海岸の浅瀬、干潟や砂浜は資源生物のゆりかごです。
しかし、それにおかまいなしに埋立てや海岸構造物の建設、水質汚染も加わって、日本中の水辺、海辺の環境は撹乱され、破壊されてしまいました。その結果、ハマグリなど干潟の動植物の多くが絶滅危惧種となっています。

 このブログでは、主に砂浜環境の保全を念頭において、日本各地の山、川、海の姿を調べて見てまわったこと、
そして2006年5月に移住した日向市の海辺と里山の様子や生き物などを紹介します。

このブログにリンクを張ることはご自由にどうぞ。

    - 自己紹介 -

大学院博士課程修了後7年間の海外での研究と28年余り大学教員をしていました。

海の無脊椎動物(貝、ヒトデ、サンゴ、クラゲなど)が専門、自称の学位は Doctor of
Underwater Marine Biology
(DUMB:バカセ)

楽観的な悲観論者または悲観的な楽観論者:生態的に無理をしている人類の滅亡は近いだろうが、それも自然の摂理じゃないのかな

せっかちな慎重派:ゆっくり
見極めて急いで集中的に
お仕事します

好きなもの:日本蕎麦が一番、パスタ・スパゲッティ、うどんもよし、つまりメンクイです

嫌いなもの:人混み、投棄ゴミ、マスゴミ、脳衰官僚

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カテゴリ:その他の貝類( 55 )


ホタルガイの仲間

厳しい正月寒波で冷蔵庫の中と外の温度が逆転しています。

夜間の屋外は氷点下で、屋内の最低は4度前後でした。

ミッキーは厚い毛皮を身にまとっているくせに案外寒がりです。暮れにホームセンターで買った半額セールのドッグベッド、ラージサイズの中に無理やり自分の体を押し込めています。前にあったもっと大きいドッグベッドの中のクッションを噛み千切ってしまったので、この有様です。
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今日は天敵さんの新年会に呼ばれました。お昼は食べずに昼過ぎに来るようにと言われ、12時にお宅の様子を見たら蕎麦打ちの準備中。そこで、1時までGIビーチで遊んでいました。珍しく、凧揚げの家族が来ていました。

干潮で干上がった砂の上に見慣れた筋模様のホタルガイ類の歩いた跡がチラホラあり、チョウセンハマグリの当歳の稚貝を食べているかどうかチェックするために捕獲しておきました。
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上は歩いている最中、干潮になった後で動き始めた場所から捕獲地点までの移動の軌跡がわかります。

全部で15個体を見つけましたが、歩いた距離は目測の推定で30センチから2メートル、平均は1メートル程度でしょう。砂の表面のすぐ下を潜ったままで歩き回ります。干上がる前の海水が被っていた時にも歩いていたかもしれませんが、その場合は砂が波の影響で動いていて、貝は自由に歩き回れないはずです。

稚貝を見つけて飲み込むのが干潮の時だけとすれば、歩いた距離の長短と餌の稚貝との遭遇率が比例関係になるはずです。ホタルガイの胃袋から出てくる稚貝の数が生息密度の指標になれば面白いでしょう。

今頃の当歳のチョウセンハマグリ稚貝は殻の大きさが1ミリ前後のはずで、砂の中でどのように分布しているのかを知ることが極めて難しい大きさです。ホタルガイ類が稚貝を食べてくれている状況を詳しく見て、その一端(発生量の多い少ない)が推理できるかもしれません。

ホタルガイの仲間としたのは、この仲間の分類が厄介なことになっているからです。殻の色彩変異が激しくて、形態が微妙に違う集団とあちこちで出会います。下の写真のメッシュは5mmです。
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砂浜の貝類の分類はどれもこれも問題含みなのが嫌ですね。
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by beachmollusc | 2011-01-03 19:35 | その他の貝類

Incurable oyster herpes カキのヘルペス症

ヘルペスウイルスの仲間は淡水と海水中に常在し、その中に悪性のものが含まれています。

コイヘルペス症が発生して鯉が殺処分になることがいまだに続いています。ニュースとして鳥インフルエンザや口蹄疫のように騒がれませんが、本質的に同様な現象です。

毎日新聞 2010年12月22日 地方版
ニシキゴイ:中国、輸入解禁打診 厳しい検疫条件に 有望市場、業者は苦慮 /新潟
http://mainichi.jp/area/niigata/news/20101222ddlk15020086000c.html

コイヘルペスウイルス病に関する情報  新潟県ホーム 農林水産業
①コイヘルペスウイルス(KHV)病とは
・ コイヘルペスウイルスにより発症するコイ(マゴイ、ニシキゴイ)特有の病気で、コイ以外の魚には感染しません。
・ 人に感染することはありません。
・ 感染したコイを食べても、人体には全く影響ありません。
②本県の発生状況
・ 平成20年は、5市11件(16尾)について、KHV病が確認されました。
・ 平成21年は、7市町15件(35尾)について、KHV病が確認されました。
・ 平成22年は、3市4件(10尾)について、KHV病が確認されています。(10月22日現在)

http://www.pref.niigata.lg.jp/suisan/1215457295621.html

ウイルスによる感染症がそれに感受性が高い動物の密集した集団に広がると、治療ができないのでウイルスを消滅させるためにホストも一緒に抹殺ですから、水産養殖でもっとも恐ろしい問題です。少し前に真珠養殖のアコヤガイが大量死した問題もこの仲間のウイルスが関連していたようです。(別の海面養殖でホルマリンを海に流していたことが原因として騒がれていましたが、その汚染ストレスがウイルスに対する感受性を高めた、あるいは抵抗力を失った、のかもしれません)

野生の魚貝類でもヘルペスウイルス感染で大量死が起こっていることが知られています。南オーストラリアでマグロの生簀養殖の餌として漁獲されていたイワシの仲間が大量死した事件が1995、1998年の2回起こっています。これは「海に異変」というタイトルで前に書いた文章をブログ(本年8月31日)に掲載してあります。
http://beachmollu.exblog.jp/13162725

このカキにウイルス症が発生している問題は本ブログでも以前に取り上げています(本年8月11日)。
牡蠣のヘルペスウイルス感染症 http://beachmollu.exblog.jp/13075739/

2010年12月8日のニュージーランドの新聞でカキの大量死に関するニュースが出ていました。
The New Zealand Herald
Incurable oyster herpes behind big shellfish die-off
By Hayden Donnell and NZPA   2:16 PM Wednesday Dec 8, 2010
http://www.nzherald.co.nz/nz/news/article.cfm?c_id=1&objectid=10692929

Ministry of Agriculture and Forestry (MAF) scientists today announced they have found ostreid herpesvirus-1 (OsHV-1) in oyster samples from affected farming areas.

北半球でもフランスからアイルランド、そしてイギリスで悪性のOsHV-1ヘルペス症が広がっていますが、ついに南半球のニュージーランドで発生が確認されたようです。これは養殖されるカキの稚貝を全滅させるようです。

ヘルペス症は温度依存性が高く、夏の高温時期に発生しやすいのが特徴の一つです。そのため、「悪いことは何でも地球温暖化のせい」シンドロームのマスコミの絶好の餌となります。

日本原産のカキ(マガキ)が欧米をはじめ世界中に移植されて養殖されていますが、今回の悪性ヘルペスはマガキに対して特に影響があるようです。

同じ記事によると、ニュージーランド原産のカキは感染しないとテスト結果がでているそうです。
New Zealand's famous Bluff oysters have tested as negative for the disease.

NZの農水省の発表によると、このウイルス症は国際獣疫のOIEのリストに載っていないので貿易について移動制限がない、つまりウイルスの国際的な拡散を「積極的に」防止する約束にはなっていないようです。

But MAF said today that OsHV-1 was not listed as a mollusc disease by the
World Organisation for Animal Health (OIE), "meaning it is not an issue of
concern in oyster trade".

そいうわけで、次の夏には日本で発生する順番が来てもおかしくありません。カキ養殖の種ガキを自給できる海域で、外からウイルスの侵入を防止していれば大丈夫でしょうが、種の国内と国際貿易において防疫はどうなっているのでしょうか。水産庁がこの点で全く信頼できないので、国内発生はおそらく時間の問題となるでしょう。

フランスでは、このウイルス症が2008年に確認されてから、ほぼ大西洋と地中海の領海内の全域に拡大したようです。アイルランドがそれに続き、今年はイギリスで発生しました。

これら各地の発生経過を詳しく追っているフランス語のブログがあります。

Regard sur la pêche et l'aquaculture
Pêcheurs et conchyliculteurs font l'actualité!!!

http://aquaculture-aquablog.blogspot.com/2010/06/mortalite-des-huitres-2010-sauve-qui.html

ブログ主から了解はまだですが、とりあえず、図を借りて説明します。

フランスでカキ養殖が行われている海域の地図:
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2010年にヘルペスが拡散した経路です。
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フランスやイギリスでは、日本の筏からの垂下養殖と違って、潮間帯に設置された棚の上でカキを育てます。
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OIEのWAHIDサイトに関係各国からカキヘルペス症の報告が上がっています:
Weekly Disease Information
http://www.oie.int/wahis/public.php?page=weekly_report_index&admin=0
その中で、今年の夏に報告されているアイルランドで全土に広がっている様子をフランス語のブログでも掲載していました。
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イギリスでは毎週WAHIDに経過報告を出していますが、解決していません。ただし、水温が低くなってからの拡大は起こっていないようです(来年の夏に再度広がるでしょう)。

イギリス本土での発生はKENTの1箇所だけです。
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しかし、イギリス領(王家の領地)、フランス本土の沖にあるジャージーで発生しています。
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イギリス国内でヘルペス症が拡散しないように隔離海域が設定され、その中の養殖カキは全て処分されたようです。下の地図で赤く塗られた場所がそれです。その他の海域でもコンパートメントを指定して、それぞれ他のゾーンとの間で移動させないルールを決めていると思われます。それでも海では海流で自然拡散も起こるでしょう。
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この悪性ウイルスに対する耐性を獲得した一部の個体の子孫が生き残って、それから集団が復活するのを待つことしかできないと想像されます。

コイのヘルペスの場合、国際貿易で鯉とそれを容れた水に付着したウイルスが拡散したと考えられています。

カキの新興ヘルペスウイルスでも、国際的に種も親も移動が進んでいて拡散してしまっている可能性が高いようです。

ニュージーランドでは遺伝子検査で今年になって確認されたのですが、1990年代から侵入していたのではないかと想定している研究者がいるようです。

フランス人はカキが特に好きで、海外領土のポリネシアやニューカレドニアなどでも養殖しています。日本のJICA関係プロジェクト、アメリカの太平洋諸島の水産養殖援助などで、日本のカキの移植・養殖プロジェクトは目白押しでした。しかし、高水温の熱帯諸島でマガキは養殖が難しく、全面的に失敗に終わっています。それに高温で活性化するヘルペスウイルスが絡んでいたとしても不思議ではありません。
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by beachmollusc | 2010-12-31 10:07 | その他の貝類

ホンビノスガイ

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館山まで日帰りして埼玉に戻ったところです。

電車で南浦和駅から西船橋駅に約一時間かかります。西船橋からはレンタカーで京葉道路と館山自動車道を走って約二時間かかります。

館山自動車道の終点の近くに道の駅があり、魚を売っている店の店頭にあったホンビノスガイを買いました。
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by beachmollusc | 2010-11-01 18:34 | その他の貝類

牡蠣のヘルペスウイルス感染症

牡蠣の新しい伝染病の話題は、先週のナショナル・ジオグラフィック・ニューズで取り上げられたが、2008年にフランスから始まり、最近イギリスに飛び火して感染が確認されていて、現在ヨーロッパの海で拡大中の牡蠣のヘルペスウイルス病について説明する。

ナショナル・ジオグラフィック・ニューズの一部を下に引用する。

Oyster Herpes: Latest Symptom of Global Warming?
Rachel Kaufman for National Geographic News
Published August 6, 2010

The New Oyster Herpes

Herpes-infected shellfish aren't new to science, but in 2008—the first year
a huge increase in mortality rates was detected in France—Ifremer
detected a new variation of the virus.

Like the other strains of herpes that affect mollusks, OsHV-1 μvar
attacks young oysters during breeding season, when the mollusks'
bodies are so focused on producing sperm and eggs that the oysters
have no energy to maintain an immune system, Renault said.

But OsHV-1 μvar is "more virulent than strains we identified before,
" Renault said, adding that the virus is so efficient at killing its hosts
that it can wipe out 80 percent of the oysters in a bed within a week.

That death rate is the only outward sign something's wrong, he added,
because a oyster herpes have no visible symptoms, and diagnosis is
possible only through lab testing.


<新規の牡蠣ヘルペス病>

 貝類がヘルペスウイルスに感染することは昔から知られている。しかし、2008年にフランスでそれによる死亡率が増大していることが初めて判明した。IFREMER(フランスの海洋・水産研究機関)は新しく変異したウイルスを確認した。
 (IFREMERの)ルノーによると、他のヘルペスウイルス株と同様、OsHV-1(カキ・ヘルペス・ウイルス-1変異株)は繁殖期に若いカキを攻撃する。繁殖期の貝は卵子と精子の生産でエネルギーを使い果たしていて免疫系を維持する余力を失っている。
 このウイルス変異株は「前に見つけている株より毒性が強い」、また、このウイルスは宿主を効率的に殺すので1週以内にカキ棚の80%を抹殺できる。
 この高い死亡率だけが、何か悪いことが起こっていることが外見から判断できる唯一の手がかりである。このヘルペスウイルスは特に眼に見える症状を出さないので実験室で試験しないと(感染が)診断できない。(
以上、意訳した)

例によってこれは地球温暖化に結び付けるにはもってこいの話題であるが、これはむしろ海の水質汚染がウイルスの変異をもたらした結果であろう。ヘルペスウイルスの類は海水中では常在性のウイルスであるが、新しく強毒化した株が出現し、温度が上昇して牡蠣が産卵した後に体力が弱った時期にホストを攻撃して殺すようになった「新変異株のウイルス」による新興感染症のようである。

影響を受けている牡蠣はマガキである。マガキは日本から欧米に種苗が供給されて移植された貝である。牡蠣は海のミルクと呼ばれているほど欧米で嗜好されている貝であり、フランスではマガキの養殖が盛んであるが、それが過去数年で壊滅状態に陥っているらしい。

フランスとEUからの情報を基にした日本の食品安全委員会から出ている情報:
食品安全委員会 食品安全関係情報詳細
欧州連合(EU)、カキヘルペスウイルス(OsHV-1 μvar)に関連したマガキ死亡率増加抑制対応策として理事会指令2006/88/ECの実施を定めた委員会規則を公表
資料日付 2010(平成22)年3月2日
http://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu03111090305

このヘルペスウイルスは人間の健康に影響がないので、ノロウイルスなどとは違って食品としての安全性について問題は生じない。しかし、養殖を壊滅させる強力な伝染病であるので、まるで口蹄疫問題の海洋版である。

イギリスではフランスからの飛び火感染を受けてテレビと新聞のニュースが出ている。

インデペンデント(新聞)サイトのニュース:
The Independent Home > Environment > Nature
http://www.independent.co.uk/environment/nature/herpes-outbreak-endangers-oysters-2034329.html

Herpes outbreak endangers oysters
By Jennifer Cockerell
Saturday, 24 July 2010

An outbreak of the herpes virus in oysters could be potentially "devastating"
for stocks of the shellfish, experts have warned.

Samples taken from the Pacific oyster species harvested off the coast
of Whitstable, Kent, have tested positive for the incurable Oyster
Herpesvirus type 1 (OsHV-1). It is the first time it has been detected
in stocks in the UK. It had previously been detected in France, Jersey
and Ireland.

The movement of oysters has now been banned in the area in an
effort to contain the outbreak, with The Swale, Thames and north
Kent coast within the inclusion zone. Inspectors from the Fish Health
Inspectorate investigated after the company Seasalter Shellfish
noticed a high mortality rate among its Pacific oyster stocks.
Its managing director John Bayes said he feared a "total wipeout"
of the shellfish.


<ヘルペス病の発生によるカキの危機>

専門家はカキのヘルペスウイルス病の発生が「資源破壊」を起こすかもしれないと警戒を呼びかけている。

ケント州のウイスタブル沿岸で収穫されたマガキの資料から、治療不能なカキ・ヘルペスウイルス1型の陽性反応があった。イギリスのカキ集団から最初の検出である。これはフランス、ジャーシーそしてアイルランドですでに見つかっている。

発生を抑えるため、スウェイル、テームスそして北ケントの海岸で隔離海域からのカキの移動が禁止された。魚類衛生検査所の検査官がシーソルター貝類会社で調査したところ、そのマガキ集団で高い死亡率を認めた。会社の支配人ジョン・べいズによれば、貝が全滅する恐れがあるという。


BBCでも同じ内容のニュースを流している:
BBC News  23 July 2010
Movement ban after virus is found in Kent oyster stocks

Fish health inspectors visited Seasalter Shellfish in Whitstable
The movement of oysters from parts of the Kent coast has been banned
after a form of herpes wiped out shellfish stocks at a Whitstable farm.

Fish health inspectors visited Seasalter Shellfish in the town after the
producer reported a high mortality rate in its Pacific oyster stocks.

They said samples tested positive for the OsHV-1 virus which has
decimated stocks in France in recent years.

A containment area has been declared in The Swale, Thames and
north Kent coast.

日本では野外で貝殻の採苗器を海中に垂下し、それに付着するカキの稚貝を育てる養殖が標準であるが、欧米のカキ養殖では屋内施設で産卵誘発させ、人工受精させ、発生した浮遊幼生を海水タンクに入れて給餌し、種苗生産を行うことが多い。その際にカキの浮遊幼生が大量死することが見られ、ヘルペスウイルスが関係することが多いらしい。ヘルペスウイルスの類は水温が高いと貝の細胞内で眠っていたものが急に増殖するようである。また、貝類がいる周囲の海水中に普通に漂っているものかもしれない。弱った個体を片付ける生態的な役割を持っているのだろうが、変異して強毒化すると密集して生息する貝類集団に疫病となって急速に破壊的な影響を及ぼすだろう。

愛媛県の真珠貝養殖で大量斃死が起こったことがあるが、ウイルス病だったはずである。以前、南太平洋で真珠貝各種の移植が盛んに行われ、それが疫病を誘発したことがある。

外見では症状が明らかでないウイルス性の伝染病の危険は不用意な「移植・放流」事業につきまとう。日本中にコイヘルペスウイルスの感染がすでに広がっているが、カキでも今回ヨーロッパで発生した強毒性のウイルスの侵入を許せば、養殖が地域的に壊滅する恐れがある。移植放流について防疫・検疫にあまりにも無頓着である水産庁を叩きなおす必要があるだろう。

IFREMERの研究グループが貝類のヘルペスウイルスに関する学会講演発表のスライドを公開している。
https://www.was.org/Documents/MeetingPresentations/AQUA2006/WA2006-789.pdf

Crassostrea gigas spat mortalities and oyster herpesvirus detection in France:
surveillance data from 1997 to 2005
C. Garcia, L. Miossec, I. Arzul, B. Chollet, C. François, J.P. Joly, M. Robert & T. Renault
AQUA2006, Firenze, Italy
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by beachmollusc | 2010-08-11 14:56 | その他の貝類

ハマグリ稚貝の天敵がウヨウヨ

昨日も今日も早朝に冷え込んでミッキーの飲み水に氷が張っていました。太陽熱温水器の給水管の接続部が氷の圧力に負けて外れ、水漏れが起こっていたのを本日の午前中に修理しました。昨年の寒波の時は漏れて流れた水が凍ってツララができていましたが、今年はそこまで激しく凍りません。

海では午後の干潮がよく引くようになっています。昨日の午後3時前にGIビーチにでかけました。
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ミッキーは広くなった砂浜の上で走り回り、ご機嫌です。
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ホタルガイ(ムシボタルかもしれない)が出ているかチェックしたら、ものすごく沢山いました。チョウセンハマグリの0歳の稚貝の天敵です。プールのようになっているラネルの周囲の湿った場所に集中していました。
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砂の表面のすぐ下を潜航して進むので、歩き回った跡が良くわかります。
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この巻貝は1センチ未満の小さいものです。下のスコップはミニチュアです、念のため。
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とりあえず80個体ほど集めて持ち帰りました。1日たっても食べかすのチョウセンハマグリ稚貝の殻が吐き出されていません。まさか、殻が消化されて消えるようなこともあるかもしれません。

昨年の夏に生まれて冬を越すチョウセンハマグリ稚貝の大きさは1ミリ前後と思われます。それを丸呑みして食べるのがOlivella、つまりホタルガイの仲間です。昨年は潮間帯での発生数が少なく、採集数がわずかでしたが、今年は豊作です。捕食者がたくさんいるということは、餌も多いということでしょう。

生まれてから半年の0歳稚貝を見つけるのは至難の業ですが、ホタルガイの胃袋の中から見つけるのは簡単です。ホタルガイを捕獲する小型のドレッジを使って、潮間帯だけでなく沖にも集団がいるかどうか、それが天敵として重要であるかどうか、採集調査するべきです。

ホタルガイ・ムシボタルは潮間帯の最下部に出現します。しかし、集団の本体は水深5m前後にいるかもしれません。小倉ヶ浜ではこの天敵に関する基礎調査がなされていませんが、鹿島灘などでのデータを見るとサンドバーの沖側に集中分布している可能性が高そうです。潮間帯にウヨウヨいるということは、沖にはものすごい数がいて、稚貝をパクパクやっているかもしれません。
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by beachmollusc | 2010-02-21 19:48 | その他の貝類

ヒメババガイではなくて、ヒメバカガイ

姫様がクソババなどというステキな言葉を発する姿を是非見たいものですが、それはさておき。

小倉ヶ浜では全域にヒメバカガイが大量に打上げられています。北端のGIビーチも例外ではありません。
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波の収斂する場所に集中しているヒメバカの殻は大体同じような大きさで、ツメタガイに捕食された穴が開いていないし、殻に損傷がなく、二枚が揃っています。肉は残っていませんので、沖の海底で死んで綺麗になってから後で、海底の砂上を上向きに運ばれたようです。

小倉ヶ浜では、この貝は潮が引いて露出する潮間帯には生息していないようです。チョウセンハマグリをとりまく生態環境を知るために、沿岸の貝類相やヒトデ類など捕食者の定量的な生息分布調査をやるべきですが、日向市の水産担当は何をやっているのでしょう。予算消化をどうしょうか、と悩んでいるかもしれません。

ヒメバカガイは半世紀前の調査で見つかっていない貝であって、鹿島灘からチョウセンハマグリの稚貝と一緒に運ばれて放流されたものが繁殖したのではないかと思われます。これがチョウセンハマグリの稚貝と生態的に餌の取り合いで競合するのか、あるいは天敵に捕食されるターゲットとなって盾のような関係になるのか、詳しく調べて見たいものです。

今回のヒメバカたちの大量死が何を意味するのか、さっぱり分かりません。夏から秋にかけてチョウセンハマグリの大きい貝も稚貝もかなりまとまって斃死し続けていました。貝類にもウイルス性の疫病が知られていて、環境悪化が引き金となって発症することも考えられます。雨が降った後に斃死が目立ったのは汚染物質の影響が関与した可能性を示唆しています。

小倉ヶ浜の中央に流れ出る赤岩川の流域で注意してみていますが、今年は例年の冬に数多く見られていた水鳥のサギ類とカモ類が完全に姿を消しています。
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by beachmollusc | 2010-01-29 18:33 | その他の貝類

たまにはデンデンムシ

山の中でであったハンサムなデンデンですが、大きさは径が1センチ弱で形はごくありきたりです。木の葉の上に止まっていましたので樹上性でしょう。陸産貝類の図鑑(保育社、東正雄著)の中に図解されているものではセトウチマイマイというのがよく似ています。
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名前に関係なく九州に分布している種で、殻の模様は極めて多様であると記載されていました。
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by beachmollusc | 2009-07-04 19:25 | その他の貝類

Olivella情報

飼育中のOlivellaたちに食べさせるため、釣具店で冷凍オキアミを買ってきました。細かく千切って飲み込める大きさにして水槽中に入れると、砂の中からモゾモゾと這い出て、餌にかぶりつきます。食べ残しはヒメスナホリムシに任せています。一緒に入れておいたシチクガイは砂に潜ったままで、出てきません。ムシボタルやホタルガイは小さい水槽で飼育できますので、ペットにもなります。

数日前にペアが少なくとも6時間以上同じ姿勢でしたので、おそらく交尾していたのでしょう。
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この属の巻貝の繁殖については古い情報がいくつかありますが、卵の入ったカプセルを自分達あるいは別の貝の殻の上に産みつけるようです。沖縄ではそれを一度だけ見たことがありますが、カプセルから孵化して出てきた稚貝が浮遊せずにすぐ親と同じように這い回りました。

2001年卒業の福原さんの卒論テーマとして、沖縄のムシボタル近縁種(オオシマボタルかもしれません)の生態を調べてもらいました。琉球大学サーバーではホームページの中に学生の卒論、修論を掲載していたのですが、すでに消え去りました。最近では、卒論は滅多にありませんが、修士論文や博士論文を大学のホームページで閲覧できるようにすることが世界的に広がっています。大学のサーバーで先生や学生の論文をネット公開することを義務付ける時代が迫っています。

福原レポートでは4月から12月までのフィールド調査と室内飼育実験でライフサイクルを追いかけました。その結果、一年を1サイクルとする繁殖周期があることがわかりました。小さい貝ですので、年間に数サイクル繰り返すだろうという予想がみごとに外れたのです。砂浜の小さい二枚貝、キュウシュウナミノコは飼育実験では最短で2ヶ月で親になり、野外では年に数世代ができると見ていますが、それとは対照的です。

日向市のオリヴェラがどのようなことになるかわかりませんが、年に1世代だけであれば、色彩型の多型の遺伝様式を調べるためには年数がかかります。飼育の手間はかなり面倒ですが、貝類の遺伝を調べるためにはキュウシュウナミノコを貝のショウジョウバエにするしかなさそうです。
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by beachmollusc | 2009-04-07 18:39 | その他の貝類

Olivellaの胃袋の中身

ムシボタルとホタルガイの境界がわからなくなったので、とりあえずオリヴェラの一種にしておきますが、Olivellaで検索すると人名がかぶるので、貝類関係に絞り込むのが難儀です。
特に論文情報で、オリヴェラさんたちが大勢出てきて、関係ない分野の業績の山を築いています。

小倉ヶ浜の最南部と最北部で干潮の時にオリヴェラたちの這い跡が見られますが、中央部ではなぜかみつかりません。脇本海岸でも中央部で見つかりませんでした。

過去の経験では、沖縄をはじめ、わがオリヴェラの生息するゾーンは潮間帯ではなくて、亜潮間帯にあるようです。つまり潮が引いて露出するところには「はみ出しモノ」がいるのかもしれません。エクアドルでは潮間帯で波踊り、サーフィンをしているオリヴェラの大群が見られるというのは驚きでした。

波が立っている砂浜海岸で砕け波のできるバーの周辺で砂の中の貝類をサンプリングするのは至難の業です。サーファーの協力を得ないと無理かもしれません。専用の小型ドレッジをつくってサーフボードからロープで引っ張って海底をさらうようにしたいものです。

砂浜海岸の沿岸部でごく浅い場所の貝類の生態分布調査は極めて少なく、データが乏しいのです。鹿島灘ではチョウセンハマグリの資源管理情報の一環として稚貝の分布調査などがあります。ホタルガイがチョウセンハマグリの稚貝を食べていたことの発見も、その成果の一つです。

大和田ほか(2007)は相模湾の平塚沖でドレッジ採集による貝類の出現状況を報告しました。

大和田 正人、 吉田 奈央、 佐藤 武宏、 金沢 謙一 (2007)
Science Journal of Kanagawa University Vol.18 pp. 77-80
海産無脊椎動物の相互作用と形態・適応の進化、および、人間活動がこれらに与える影響 : 相模湾平塚沖浅海の貝類と海底環境
Morphological and Adaptational Evolution Caused by Interaction between Marine Invertebrates, and the Effect of Human Activity on It : Mollusks and Bottom Environment in the Shallow Water of Sagami Bay off Hiratsuka

この調査の結果で、水深6m~20mの範囲の海底でホタルガイが採集されています。(ただし6mより浅いところは調査されていません)

オリヴェラ集団の分布する中心がサンドバーの沖側にあり、もしそこがチョウセンハマグリの初期稚貝の定着する場所に一致していたら、稚貝のオリヴェラによる捕食が資源変動に大きな影響を及ぼす可能性が考えられます。いずれ、この点を確認する必要を感じていますが、まずは何時繁殖しているか、浮遊幼生から稚貝が定着する時期を特定するのが先決です。

オリヴェラの胃内容物をチェックすることは、通常のドレッジ採集では極めて探しにくい大きさである1mm未満の稚貝の存在を間接的に知ることにもつながるでしょう。

小倉ヶ浜の最南部、潮間帯で3月11日に見つけて冷凍保存していた3個体のオリヴェラの胃袋をチェックしてみたところ、1個体はカラッポでしたが、他の2個体(どちらも殻長約13mm)はチョウセンハマグリとナミノコガイ類のごく小さい稚貝を食べていました。
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食われていた連中は、おそらく昨年の夏時期に繁殖したものでしょうから、最初の冬を越した稚貝の大きさがわかります。写真のチョウセンハマグリの稚貝は2mm前後で、ナミノコガイ類(フジノハナガイと思われる)は1~2mmでした。このサイズは、先だっての脇本海岸で見られたように大量発生していたら砂をメッシュで篩って簡単に探し出せますが、生息密度が低い時や、分布に偏りが強いときは見つけるのが困難でしょう。小倉ヶ浜の昨年生まれのチョウセンハマグリ稚貝の調査に先立って、現在の稚貝の大きさがわかっていることは有益です。

{追記}
Olivella の種の同定に悩んでいるので、昔の画像ファイルを探し出しました。その他サンプルが探しずらい場所に眠っているので、昔のサンプルの整理を行うまで現物を見比べられない状態です。右が沖縄本島(地点不明)と左が鎌倉海岸産のムシボタルと思っていた貝です。大きさは殻長9mm前後。
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微妙な差異が見られるのですが、どちらもかなり個体変異があるので少数の個体を見ても何も言えません。小倉ヶ浜のオリヴェラも、集団として30個体以上並べると「オイオイ」の世界がはじまります。集団遺伝の実態を確認するべきでしょう。

この属の貝は卵を(お互いの?)殻の上に産みつける習性があるようなので、それを楽しみに飼育を始めました。昔、沖縄で卵から孵化した稚貝を見た記憶があります。
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by beachmollusc | 2009-03-27 09:01 | その他の貝類

surfing gastropod Olivella semistriata 

博士論文の的となったOlivella semistriataという巻貝について興味をひかれて調べています。
パナマムシボタルという和名が付けられています。(久しぶりに微小貝サイト訪問)
http://shell.kwansei.ac.jp/~shell/pic_book/data32/r003128.html
カリフォルニア湾からブラジルまで分布、という不思議なことが書いてありました。
カリフォルニア湾は太平洋、ブラジルは大西洋に面しています。
NBII Image Gallery (National Biological Information Infrastructure)
というサイトでデジタル画像が提供されています(自由に利用できる画像です)。
http://images.nbii.gov/details.php?id=69713&cat=Mollusks
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この画像を使って、Sanibel Island in Floridaの砂浜でこの貝と遊んだ思い出を記していたブログがありました。砂浜にウジャウジャいたようです。http://acobox.com/image/1282

NBIIサイトではニカラグアの太平洋岸産の標本を写真で示しています。灰ムラサキ色とオレンジの殻色の変異を比べてみることができますが、胎殻の様子を見ると、驚いたことに二つの標本で全く違いますが、オレンジの方はそれを失ったようにも見えます。ここでも太平洋と大西洋にまたがって分布しているような記述がありました。

エクアドルの研究論文を見ていると、汀線付近で集中していて、生息密度が極めて高いようです。著者は論文の中で、スナホリガニの一種とホタルガイの一種が多い理由として濾過食を考えているようです。スナホリガニは確かに濾過食者でしょうが、ホタルガイは?なので、論文のファイルを送ってもらうように依頼メールを出しました。マクラガイ科の巻貝が濾過食をやるとはにわかには信じられません。しかし、高い密度で潮間帯に生息する場合、肉食では相手に困るかもしれません。ナミノコガイ類でも海岸線1mあたりに1000個体の桁で生息することが珍しくありませんが、濾過食者として海水中に漂っている細かな有機物を食べています。

微小貝サイトで改めてホタルガイ属の各種について画像を見比べました(緑色の4種が日本産、日本沿岸種で浅海産の記載種は、いまのところ、こんなところでしょうか)。
Olivella semistriata (Gray, 1839) パナマムシボタル
Olivella petiolita (Duclos, 1835) Arrow Dwarf Olive クサビムシボタル
Olivella japonica Pilsbry, 1895 ホタルガイ 蛍貝
Olivella signata Lischke, 1869 ハナアヤメ 花菖蒲
Olivella pulicaria (Marrat, 1871) オオシマボタル
Olivella fulgurata (A.Adams et Reeve, 1850) ムシボタル 虫蛍

Olivella floralia Duclos, 1835 フロリダのホタルガイの仲間
Olivella watermani McGinty, 1940 ウォーターマンムシボタル (仮称)
Olivella volutella (Lamarck, 1811) エスコバルボタル
Olivella nivea (Gmelin, 1791) West Indian Dwarf Olive ニシインドムシボタル
Olivella dama (Wood, 1828) Dama Dwarf Olive メキシコムシボタル
Olivella baetica Carpenter, 1864 Beatic Dwarf Olive マクラガイの一種
Olivella biplicata Sowerby I, 1825 Purple Dwarf Olive エヒメボタル
Olivella mutica Say, 1822 Variable Dwarf Olive ハダカムシボタル

エヒメボタルはアメリカ産の種を産地を間違えて命名したようです。

貝の名前に産地をつけるのはやめるべきです。たとえば、長崎県平戸島が模式産地であるキュウシュウナミノコという貝は、現在までに、北海道からベトナムまで記録されています(ただし、分類が怪しいので検討が必要です)。産地にちなんで命名されてはいませんが、チョウセンハマグリも困った名前です。

奄美・沖縄産のオオシマボタルというのは、胎殻が濃い紫でないとか何かの理由でムシボタルと区別されたのかもしれませんが、同種の変異ではないかとも思われます。しかし、地理的に隔離されている沖縄のムシボタルは本州沿岸のものとかなり違っているようなので、その点はナミノコガイでもキュウシュウナミノコでも同様です。同種とはどこまで同じか、という根源的なところで悩ましい例が山積みになっています。

パナマムシボタルに話を戻せば、中央アメリカで太平洋と大西洋の両側に同種が分布する沿岸動物はあったかしら、という疑問がわきました。パナマ地峡ができてから数百万年が経過し、その時間の経過で遺伝的な分化が進んでいて、先祖は同じであったが両側で別種に分化したと考えられる、多くのよく似た種がペアで見られます(姉妹種、ただし兄弟種とは呼ばない)。

パナマムシボタルの胎殻は浮遊幼生時代を持たない型のように思えるので、地理的に分散する能力は大きくないかも知れません。そのような(直接発生による)限定的分散型の小型の沿岸動物の一般傾向は、地域的な種の分化です。数百万年あれば、太平洋と大西洋の両方で別種になっている方が自然のような気もします。とにかく変な貝なので、詳しく調べてみるべきでしょう。

Metz, G. 1995. Observations on the behavior of some Costa Rican Olividae.  The Festivus. v. 27, no. 7, p. 86-87.
http://orton.catie.ac.cr/cgi-bin/wxis.exe/?IsisScript=OET.xis&method=post&formato=2&cantidad=1&expresion=mfn=026289
上の論文にはコスタリカの砂浜で観察されたパナマムシボタルとAgaronia propatula (ヒロクチマクラガイ)の生態が記録されています。前者が潮間帯で波間において、砂の中に潜ったまま表面に足を花弁のような姿で広げて餌を待ち構えている様子が写真で示され、その餌は引用ですが(二枚貝、カイアシ類、等脚類など)で、肉食です。ヒロクチマクラはパナマムシボタルを餌食にしていることが観察されています。

パナマムシボタルは潮の干満のリズムに合わせて移動し、砕け波が上下するスワッシュゾーンに留まり続ける行動を見せました。ナミノコガイ類の潮間帯移動の様子と似ていますが、餌が異なるようです。

ヒロクチマクラの捕食行動は、スワッシュの中で目玉を砂の上に突き出し波間に飛び出るフジノハナガイなどを待ち構えるキンセンガニの行動とは違い、砂の中を歩き回ってパナマムシボタルを探すようなので、ツメタガイ類の捕食行動と同様です。

鹿島灘ではホタルガイがチョウセンハマグリの小さい稚貝を食べていた例が報告されています。
浜田サツ子 1973 チョウセンハマグリ稚貝の害敵ホタルガイの食性
貝類学雑誌 Venus : the Japanese journal of malacology 32(3), 94-96.
これは表題で想像されるような「食性」に関する詳しい観察ではなくて、別件の調査で採取された少数のホタルガイがチョウセンハマグリ稚貝を食べていたらしい(体内から出てきた)というだけの記録ですので、行動面から確認するために飼育観察が必要です。また、日向灘には密度は高くありませんがマクラガイが生息していますので、こいつもついでに調べてみましょう。
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by beachmollusc | 2009-03-01 09:01 | その他の貝類