beachmollusc ひむかのハマグリ


海辺の浅瀬は水産動物のこども達のゆりかごです
by beachmollusc
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海辺の自然を取り戻そう
 自然の恵みを後世に残すためには、その生態と環境を深く、よく知ることが基本です。

 海岸の浅瀬、干潟や砂浜は資源生物のゆりかごです。
しかし、それにおかまいなしに埋立てや海岸構造物の建設、水質汚染も加わって、日本中の水辺、海辺の環境は撹乱され、破壊されてしまいました。その結果、ハマグリなど干潟の動植物の多くが絶滅危惧種となっています。

 このブログでは、主に砂浜環境の保全を念頭において、日本各地の山、川、海の姿を調べて見てまわったこと、
そして2006年5月に移住した日向市の海辺と里山の様子や生き物などを紹介します。

このブログにリンクを張ることはご自由にどうぞ。

    - 自己紹介 -

大学院博士課程修了後7年間の海外での研究と28年余り大学教員をしていました。

海の無脊椎動物(貝、ヒトデ、サンゴ、クラゲなど)が専門、自称の学位は Doctor of
Underwater Marine Biology
(DUMB:バカセ)

楽観的な悲観論者または悲観的な楽観論者:生態的に無理をしている人類の滅亡は近いだろうが、それも自然の摂理じゃないのかな

せっかちな慎重派:ゆっくり
見極めて急いで集中的に
お仕事します

好きなもの:日本蕎麦が一番、パスタ・スパゲッティ、うどんもよし、つまりメンクイです

嫌いなもの:人混み、投棄ゴミ、マスゴミ、脳衰官僚

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カテゴリ:津波と地震( 19 )


日向市の塩見川河口で見られた2011年3月11日の津波


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by beachmollusc | 2012-02-01 12:36 | 津波と地震

大津波による赤崎(小泉海岸)の離岸堤の変化

赤崎(小泉海岸)の砂浜消滅は3月14日のブログ(http://beachmollu.exblog.jp/i32/3/)で速報を出しました。

津波の前と後の空中写真を比較したら、津谷川河口の砂洲で出来ていた砂浜がえぐられて海岸線が大きく内陸に移動していました。海岸にあった垂直護岸と避難路の階段、そして松の海岸林がほぼ完全に消滅していたことに衝撃を受けました。

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大津波で変化した海岸線の空中写真を再掲します。

自分が撮影した3月5日の写真は、地震・津波後に水没した砂浜の上で撮影したものだったので、小野寺さんから送られてきた津波後の4月10日の写真との直接的な比較はできませんが、離岸堤などの明確な構造物の変化は読み取れます。

国道45号線の津谷川の上の橋は、橋脚が残っていますが本体は流失しました。
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津波前の河口は砂の堆積で閉塞状態だった(ただし、サケの遡上路の確保のため浚渫されていた)ものが大きく開き、砂洲が消滅しました。
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堤防の上の道路は形が残っていますが護岸が相当痛んでいます。
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津谷川の堤防道路から砂浜に出る手前の駐車場とトイレが破壊され、浄化槽がむき出しになっています。
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その近くにあった3階建ての建造物は姿をとどめていますが津波にのまれたようです。

松林の本体は根こそぎになったようですが、一部で根株だけ残っています。
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砂浜の砂を足止めしていた離岸堤は空中写真で見てわかるように5基ありました。

下の3月5日に撮影した自分の写真では北側の3基が写っています。
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サーファーが駐車場と海岸にいました。津波の時もいたはずですが、無事に逃げ延びたでしょうか。
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4月10日の小野寺さんの写真では、河口からもっとも遠い、砂浜から岩礁の移行部の沖に設置された離岸堤だけが原型をとどめています。2番と3番は一部が見えますが、4番と5番は水面上に姿がありません。
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河口に近い、おそらく砂の堆積層が厚くなっている所で、離岸堤は地震・津波の影響で埋没したのかもしれません。(海水中の状態を見ないと実態はわかりませんが、一番北側の(岩盤上の?)離岸堤が形をとどめていることから、それ以外は単に下に向けて沈んだのではないかと想像しています)

3月5日の写真で見ると、垂直護岸の河口部のコーナーで、津谷川に面した部分に大量のテトラポッドがありました。また、その海側にも砂に埋没したテトラポッド群の上部が見えました。
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津波後の写真で見た限りでは、これらのテトラポッド群は残っているような気がします。

小泉海岸は海水浴場であり、サーフィンスポットとしてよく知られているようです。
http://www.rias.miyagi-fsci.or.jp/mt/kankou/k_sea.html

YouTube動画で昔の姿を見ることができます。

サーフィンのメッカ小泉海岸海水浴場(遊泳禁止区域)2010/08/11
http://youtu.be/-yAHoKf6yko

小泉海岸海水浴場1 2010/08/11 宮城県気仙沼市
http://youtu.be/DwUOt0-chE0

Junior Open! (CHIAKI7755 さんが 2010/08/03 にアップロード)
http://youtu.be/z8yWmw_UmJA

これらの動画の背景になっていた圧倒的なテトラポッドの離岸堤が水面下に沈んだようです。
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by beachmollusc | 2011-05-17 09:50 | 津波と地震

大津波による気仙沼市本吉町大谷海岸の変貌

長須賀海岸の南西にある大谷(おおや)海岸沿いにJR気仙沼線の線路があり、砂浜の東よりにある大谷海岸駅には道の駅(ハマナス・ステーション)が併設されていました。

長須賀海岸(=御伊勢浜)の海岸林と護岸が壊滅状態となったのに比べると、大谷海岸の駅前と西側のハマナス公園の階段護岸、そして松林の一部は残っているようです。

津波の1週間前に自分が撮影した大谷海岸の様子は前のブログで紹介しました:
beachmollusc ひむかのハマグリ : 3月4日朝の大谷海岸
http://beachmollu.exblog.jp/14433061/

4月10日に小野寺さんによって撮影された被災1ヶ月後の大谷海岸の写真を送ってもらいました。そのいくつかを下に紹介します。

道の駅を海側から見たところ(遠景)と(近景)
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二階がレストランになっていましたが、その屋上まで津波で浸水したそうです。
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道の駅の屋上から見下ろした東側の大谷海岸の様子
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同じく、西側に見える大谷海岸の様子
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道の駅から線路をまたいで砂浜に降りる階段があって、浜にはコンクリートの階段護岸があります。
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大谷海岸の砂浜の西よりで垂直護岸と海岸林が激しく損壊しています。
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下のYOUTUBEの映像で津波後の大谷海岸の様子がはっきりと記録されています。(他にも映像はいろいろありますが、これが一番わかりやすい)

http://youtu.be/3T6CWVxEEP8
2011.4.17宮城県気仙沼市大谷海岸
no8blue1no1life さんが 2011/04/27 にアップロード
2011年4月17日現在の大谷の海沿いの状況
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by beachmollusc | 2011-05-15 09:09 | 津波と地震

津波による長須賀海岸(御伊勢浜)の変貌

3.11に三陸海岸を襲った大津波で砂浜海岸がどのように変化したのか、それは空中写真だけではわかりません。

津波の1週間前に本吉町の3つの海岸(赤碕:小泉海岸、大谷海岸、そして長須賀海岸:御伊勢浜)を歩いて自分で撮影した写真映像と見比べることができる写真を現地の小野寺氏から送っていただきました。

まずは長須賀海岸(地図では御伊勢浜)で、4月10日撮影、津波の1ヵ月後の状態です(近景と遠景)。
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次は津波前に自分で撮影した画像です。

護岸も海岸林もほとんど消えてしまいました。津波の引き波で破壊され、海側に押し流されたらしいとのことです。
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海水浴場のコンクリートの垂直護岸には津波の時の避難路として階段が設置されていました。

ここは白砂青松の砂浜海岸として環境省の「快水浴場百選」の一つに認定されていました。ちなみに日向市の伊勢ヶ浜も快水浴場百選の一つです。

コクガンの渡来地として日本の重要湿地500の中にも含まれています。
http://www.sizenken.biodic.go.jp/wetland/83/83.html
カモメ類に混じって黒い見慣れないカモのような鳥が浜辺にいましたが、それがコクガンだったのか。
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YOUTUBEサイトでも画像情報があります。
震災後 気仙沼 お伊勢浜  http://youtu.be/IKD8ntwtUps
震災後の気仙沼 御伊勢浜  http://youtu.be/eDgjMTlNNfA
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by beachmollusc | 2011-05-13 18:59 | 津波と地震

砂浜海岸の地震による圧縮沈降

東日本大震災で東北地方の海岸平野が水没したこと、それに伴って砂浜が消失したことがわかりました。

大地震では、場所によって、地盤の隆起や沈降が起こります。しかし、海岸の(沖積)平野や河口デルタなどでは、堆積物のcompactionによる沈降が伴っていると想像されます。この英語に対応する日本語は「圧縮」ですが、水を含んだ堆積物の場合、堆積物(土砂)の間隙にある水が土砂粒子の圧縮で押し出されて「締まる」ことを意味します。

埋立地が大地震の時に「液状化」に伴って水が湧き出て地面が沈降する現象は、これと同様です。今回は千葉県浦安市などで大規模なインフラの破壊が起こったことが知られています。

大昔の大地震を探る調査では、実効的な密度が異なる水、砂、礫、岩石、人工物(木材)などが上下に移動した痕跡を見つけ出すための発掘が行われます。特に液状化による「噴砂」の痕跡が過去の大地震を見つける有力な指標になります。

東北地方太平洋沖地震災害1 水田の地割れと液状化・噴砂 (農山漁村の今昔物語)
http://blog.goo.ne.jp/arimay/d/20110410

東北地方太平洋沖地震災害2 水田の液状化・噴砂孔
http://blog.goo.ne.jp/arimay/d/20110411

寒川 旭
地震考古学 ―遺跡で調べる地震の歴史―
生産研究 55, 417(2003) .
http://www.jstage.jst.go.jp/article/seisankenkyu/55/5/417/_pdf/-char/ja/

大地震による堆積物の圧縮(それに伴う地面の沈下)がどの程度なのか、それを専門に調べた論文・報告はみつかりません。堆積物を載せている岩盤も同時に上下移動しているので、分離して評価することは難しいでしょう。この問題に関連する地質専門家に問い合わせてみましたが、よくわからないようです。そこで、砂浜の圧縮沈下について小倉ヶ浜の砂を使って簡単な予備実験をやりました。

実験には直方体のガラス水槽(内面が85x85、高さが200mm)を使いました。
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海水を入れてから、小倉ヶ浜の砂(細砂)を少しずつ落とし込んで、物指しの目盛で下から130mmまで埋めました。上澄みの海水は適宜取り除いています。(底から砂の表面までは140mmです)
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次にガラス壁を横から繰り返し軽く叩くと砂の層が沈降して海水の上澄みが現れます。軽い振動で約10mmほど沈下しました。
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その後さらに、水槽を持ち上げてテーブルの上に落とすことを繰り返し、さらに10mmほど沈降しました。
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最終的にどこまで圧縮できるのか確かめていませんが、静かに堆積した砂の層が振動によって上下に15%程度まで圧縮されることがわかりました。

実際の沖積平野の砂浜で地震の振動でどこまで圧縮(地面の沈下)が起こりかを知るためには、詳細な現場の堆積状況についての情報と、それが地震の振動でどのように応答するかを見積もらねばなりません。また、砂の自重と波浪の振動による圧縮がどのように関係するかも調べないと予測できません。

一般人には砂浜はどこでも同じように見えるかもしれませんが、それを構成する砂の粒子の起源と性状(比重や磨耗度など)は多様であり、砂を載せている地盤のtopography起伏や砂の層の厚さも変化に富んでいます。砂浜の生物・生態研究は極めて遅れていますが、地球科学の分野でも同様に遅れています。基礎研究が進んでいないまま、海岸工学で構造物中心の防災対策がやみくもに進められていることは問題です。

今回の地震と大津波で、砂浜に建設された(莫大な税金が投入された)構造物が徹底的に破壊されました。その実態を徹底的に調査して、今後の防災で柔軟な発想のもとで生態と環境破壊を伴わないような道を探るべきでしょう。
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by beachmollusc | 2011-04-25 11:01 | 津波と地震

石巻市横須賀海岸の松林と砂浜の消失

ひむかのハマグリ: 宮城県石巻市横須賀海岸の砂浜侵食 2008年9月18日
過去記事で下のようなコメントを残している。

<ひょっとすると、これから近いうちに起こる(と予想されている)1936年の同タイプの地震で地盤が隆起するかもしれない。もしそうなれば横須賀海岸は隆起して砂浜がめでたく復活するだろう。しかし、その時は海岸に建設されたコンクリート構造物が地震で砂の中に埋没したり、いろいろなことが起こるに違いない。>

3年前の予想は完全に覆って、今回の大地震と津波の後で横須賀海岸の砂浜(長面海水浴場)の砂浜とそれにつながっていた北上川(追波川)の河口のsand spit(砂嘴)が消滅した。

平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震による被災地の空中写真
http://saigai.gsi.go.jp/h23taiheiyo-ok/photo/photo_dj/index.html
石巻の海岸部については、3月19日に撮影された空中写真がオンラインで公開されている。その写真から横須賀海岸の様子を見て唖然とした。
http://jmc.gsi.sakura.ad.jp/h23taiheiyo-ok/photo/sanrikukaigan/thumb/C24/12087.jpg
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海岸地形の変化は「国土変遷アーカイブ」サイトの1990年の空中写真と

比べればわかる。
http://archive.gsi.go.jp/airphoto/ViewPhotoServlet?workname=TO901X&courseno=C4&photono=15

下の写真は1975年撮影、国土地理院の
空中写真 CTO-75-26_c10_30
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大津波の被害を受けた北上川河口域と雄勝湾
投稿者: YomiuriShimbun | 作成日: 2011/03/15
http://www.youtube.com/watch?v=CQvLygKcc_k
大津波に襲われた宮城県石巻市の北上川河口域と、雄勝湾沿いの集落を15日、上空から撮影した。建物は破壊され、地図上は陸地となっている地域が広範囲に水没していた。雄勝湾には、大量の瓦礫が浮かんでいた=読売ヘリから 西部本社写真部 足立浩史撮影 2011年3月16日公開
http://www.yomiuri.co.jp/stream/

この海岸では明治と昭和の三陸沖地震津波を受け、さらに1960年のチリ地震津波の被害があったので海岸に松の防潮林を二重にしていた。その松林は全て消失し、後背地の住宅は破壊され農地は水没している。

松林の植林について下のような記録がある。

日本の川と災害(kasen.net)
黒松十万本植付記念碑
http://www.kasen.net/shore/04miyagi/nagatura/ishi.htm

浜の松老いて姿を整えて
数来る災害肌身で守らん

昭和二十八年より一万本宛
十年間約十万本植栽す


 昭和六十年一月建立
  宮城県海岸林長面保護組合長 木下政義記
(桃生郡河北町長面 鉱泉松原荘近く)

日本の海岸>宮城県の海岸>長面海岸
http://www.kasen.net/shore/04miyagi/nagatura/index.htm

津波ディジタルライブラリィのサイトには、三陸津波などの古文書がアーカイブされている。
http://tsunami.dbms.cs.gunma-u.ac.jp/TSUNAMI/TDL_top.html

この情報サイトには防潮林に関する実例として横須賀海岸(=長面海岸)に関する詳しい記録があるので、以下に引用する。

http://tsunami.dbms.cs.gunma-u.ac.jp/xml_tsunami/xmltext.php?info=93%20reportmetatab%20reportsectab

2.桃生郡河北町大川長面海岸林 

本地は追波湾に面し,追波川と長画浦との間に位置する海岸砂地造林地で林帯の巾員は70m内外で延長1粁余に及ぶクロマツ林である。林帯後方の部落は,農家20戸耕地30haを有する半農半漁の部落であるが,海岸砂地造林の実施に伴い内陸部へ砂の移動が防止されたため,昭和30年には約5haが開畑され,内約1haの開田が行われている。

事業は海岸砂地造林事業として昭和28年度より実施したが,砂地造林が進捗して次第に汀線に近くなったので,昭和32年度よりは前画に防浪柵編工を施工して波浪による砂地の移動を防止している。
昭和34年度までの実施面積は7.9haに達した。

今回の津波来襲を現地において,目撃した部落民の言による波高は2m位で,最前線にある防浪編柵を越えて前砂丘に押し寄せたが,この砂丘で津波の林内への侵入が防止された。
この事から考えると次のような効果が認められる。

(1)敷巾が広く砂草によって安定した人工砂丘は,波浪が天端を越流しなければ相当の波浪を防止することが出来る。但し天端が歩道等のため横断されている場合は其所が欠潰の原因になり易いので津波高汐の際に土俵等で補強を要する。

(2)砂丘の根固のため人工砂丘の脚部に施工する防浪編柵は人工砂丘の保護に効果がある。

第9図 長面海岸林見取図 其の 1
http://protea.dbms.cs.gunma-u.ac.jp/TSUNAMI/tsunami_data/chile93/image/chile93_039_a.jpg
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第10図 長面海岸と林横断図 其の 1
http://protea.dbms.cs.gunma-u.ac.jp/TSUNAMI/tsunami_data/chile93/image/chile93_039_b.jpg
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同じ資料から続いて引用する:

5. 今後の問題点 

(1) 技術上の問題点 

(1) 海岸線の変化について
石巻以南の海岸線は大体砂浜が次第に発達して,汀線が次笛に前進しつつあるが,部分的には河口の河川改修や人工突堤等の海岸構造登物によって,海岸が意外の侵蝕や堆砂を生じておるような現象も見られるので,この海岸前進の現象と相待って,之等の海岸線の変動を或る期間調査研究する必要があると考える。

(2) 防潮林の理想型について
防潮林は単木の集合体であり,その構造の如何が防潮機能に大なる影響を及ぼすのであるが,防潮林の理想型は如何なる型式のものが最も有効であるか,又その林帯巾は最小何程で最大は何程までかを科学的に説明したものはない。少くとも防潮機能を発揮する最小の巾と最も,経済効果の高い防潮林型の方式を考究して防潮林造成のため基準を示す必要があると思う。

以上のように、長面海岸の津波に対する防御のための防潮林の歴史的な経緯や設計について記録を見た。これら先人の防災に対する積み重ねを一瞬にして崩壊させた今回の大津波の破壊力を再認識しなければならない。

被災前の横須賀海岸周辺の様子をいくつかの動画でみることができる。

[V0310] 陸前10:北上川河口の長面海岸から長面浦を周遊
http://www.youtube.com/watch?v=tFpLvkJ0jrw

Nagatsura beach.今日の長面浜。
http://www.youtube.com/watch?v=mb9UKp6MnQA

To the beach of Nagatura(長面浜へ)
http://www.youtube.com/watch?v=B8UfnFuW0A8
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by beachmollusc | 2011-03-30 21:09 | 津波と地震

気仙沼市、大島の浦の浜と十八鳴浜

平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震による被災地の空中写真(評定図)
http://saigai.gsi.go.jp/h23taiheiyo-ok/photo/photo_dj/index.html

この写真と国土地理院がオンラインで公開している1977年撮影の空中写真を比較すると、大津波の被災地の海岸の様子、特に港や砂浜の変化を知ることができます。

気仙沼の大島の港周辺について写真の縮尺と方位を合わせて比べてみました。
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34年前の写真と並べてみると、浦の浜の港周辺では埋め立てが進んでいたこと、集落や農地が変化していたことがわかります。港の周辺が市街地になっていたのが大津波によって壊滅的になっています。

昔の津波の伝承で、遡上高度より下に家を建てて住まないように注意を促す石碑が三陸海岸一帯にあるそうです。海岸周辺の低地、特に埋立地は公園などにして、丘陵の斜面の農地を住居にしていたら被害状況は大幅に違っていたかもしれません。しかし、急斜面に家を建てて住むことは、がけ崩れの危険があることも難題でしょう。

このような美しい自然環境と景観に恵まれた島で暮す人々にとって、利便性と防災を両立させることの難しさが感じられます。

大島の鳴き砂の砂浜海岸は大津波で砂がさらわれて消えてしまったようです。
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この浜の砂は石英が主体であって、周辺の岩石(砂岩)の風化によって供給されていたものと思われました。

この砂浜が復活するかどうかの見通しですが、昔から繰り返し津波の影響を受けていて、それにもかかわらず消えていないことが今後の復活の期待につながります。どのくらい時間が掛かるかは予想できませんが、島の人々が生活を再建するのと歩調を合わせてくれるかもしれません。

国土変遷アーカイブのサイトをチェックしてみたら、気仙沼大島の空中写真を米軍が1947年に撮影していました。
http://archive.gsi.go.jp/airphoto/ViewPhotoServlet?workname=USA&courseno=M638&photono=47

この写真はダウンロードできないのでコピーしていませんが、1947年当時の十八鳴浜は健在でした。昭和三陸大津波は1933年でしたから、その時砂浜が消えていたとしても、急速に復活したのかもしれません。

大島の田中浜も津波で砂浜が消えてしまっていますが、ここもいずれ回復するでしょう。
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しかし、せっかくの美しい自然の砂浜の上を埋め立てたことが信じられません。
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by beachmollusc | 2011-03-29 08:59 | 津波と地震

気仙沼の大島

気仙沼、大島の十八鳴浜については前に紹介しました。

beachmollusc  ひむかのハマグリ 3月5日 (現地から携帯写真で投稿)
十八鳴り浜 http://beachmollu.exblog.jp/14370449

気仙沼大島観光協会ホームページ
http://www.k-macs.ne.jp/~oshimahp/

この日は、小野寺さん(愛犬エルが一緒)と東北大の佐藤さんと3人と1匹連れで、佐藤さんの車に乗ってカーフェリーで大島に渡りました。その途中でカモメがフェリーの乗客から餌をもらっていました。

大島の集落はほとんどが海岸近くにあって津波に飲み込まれ、その後は気仙沼市と大島を連絡するフェリーが津波で使えなくなったそうです。報道によると、米軍の艦艇が島の住民に生活物資の補給支援をやっているようです。

大島では十八鳴浜の後で、亀山(標高235m)の展望所まで登りましたが、寒風が強かったので早々に退散し、帰りのフェリーまでの時間は港の食堂・みやげ物店で過ごしました。

お土産に買った椿油です。
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お店の人たちの安否が気がかりですが、お名前を知りません。

亀山の展望所で撮影した港付近、浦の浜の写真です。
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港の外には筏が一面に浮いていました。牡蠣の養殖の筏でしょうか。

港の反対側の田中浜方面を撮影した写真です。
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海岸近くの集落はほとんどが津波に飲み込まれたのではないかと思われます。

この島には「みちびき地蔵」の伝説があります。
まんが日本昔ばなし 「みちびき地蔵」
http://www.youtube.com/user/shurikens3
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by beachmollusc | 2011-03-28 21:06 | 津波と地震

深井戸の異変

日向市の山中にある住居の敷地内に、2007年夏に深井戸を大分県の専門業者に掘削してもらいました。
http://beachmollu.exblog.jp/6121938

深さは104.5mで、この地点の標高が50mプラスですから、最深部は海面より下に届いています。

水中ポンプが設置された深さは52mで、内径100mmの鋼管パイプの中からパイプのスリット(30mより下に断続的に配置)を通して入ってくる地下水を汲み上げています。

この地点の地層は、地表から2.3mまでが茶色の表土、6.1mまで赤色の粘土、その下は褐色の泥岩と粘板岩(頁岩)がほとんどでした。90mのところから下に厚さ4.7mの非常に硬い灰色の砂岩層がありました。

この近辺の地質図を見ると、四万十帯の日向層群の岩盤、すなわち深海底で堆積したシルト・粘土が固まってできたた「頁岩」が基盤となっています。つまり、この深井戸は不透水性の頁岩の中にできた数箇所のひび割れから湧き出ている地下水を採っています。

大地震のあった翌日、12日土曜日の午前中に、近所に住むトット君が友人達を連れて遊びに来てくれました。井戸水の異変に気がついたのはトット君です。透き通っていた井戸水が牛乳のような白濁状態になっていました。

トット君が12日に撮影したプラスチックコンテナの水です。水面に浮いている緑色は藻類です。
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ポンプから汲み上げた井戸水は2トンタンクに満たし、それを重力で水路に流していました。貯水タンクの水位が下がると、自動的にポンプを起動し、タンクが満杯で自動停止です。水路には常に流れている状態です。

地下水を流している水路の一部にトロ箱を置いて、カワニナやサカマキガイなどのホタル幼虫の餌を飼育していたトロ箱などが真っ白に見えます。

同じ状態は日曜日にも続いていたので、日向市の環境整備課のMさんにメールで異常事態を通報しました。Mさんは月曜日に保健所の人と一緒に来宅し、土曜日に汲んでおいた水と、濁りの程度がやや低下した新しく汲んだ水のサンプルを検査用に持ち帰りました。

昨日のメールで水質検査結果の報告を受け取りました。

             白濁水   やや白濁
pH            6.5     6.5
硬度(パックテスト)   50     50      以下単位はmg/L
アンモニア       <0.2     <0.2
硫化物         <0.1     <0.1
鉄            <0.2     <0.2
銅            <0.5     <0.5
亜鉛           0~0.5    0~0.5
りん酸          <0.05     <0.05
亜硝酸性窒素     0.05     0.02
硝酸性窒素       <1      <1
6価クロム        <0.05   <0.05

<参考> 飲料水(井戸水・地下水)水質検査
http://w-21.net/dron/water/kensa2.htm

今回の簡易検査の結果の範囲で特に異状はないようです。

pHが6.5と、やや酸性になっていますが、以前自分で計測した値は中性の7.0より高かったと記憶しています(水が酸性になるとカワニナなどの貝類の貝殻形成に影響が出る懸念があるため、チェックして安全を確認)。

濁ったままの水の中にいたオタマジャクシ(アカガエルが水路で産卵していた)やカワニナに異状が見られなかったので、水生生物に「直ちに悪影響を及ぼす」問題ではなかったということです。

白濁は次第に収まり、1週間経過後には元のような透明な水が汲み上げられています。

問題の白い濁りはコロイド状であって、汲み置いた後に2日経過しても上澄みもできなかったし、ほとんど沈殿しませんでした。その正体を検査してもらうことを期待していましたが、通常の「飲料水としての」簡易検査だけです。重金属汚染がないことがわかっただけでした。

そもそも透明だった地下水が一時的に白濁するということが、東日本の大地震の直後に(あるいは直前から起こっていて見過ごしていた可能性もある)見られたことは警戒すべき現象かもしれません。南海大地震の時に温泉水が白濁したという記録が残されているからです。

巨大地震の地震波が震源から遠距離に届くことはよく知られていますし、揺れがなくても場所によって何らかの影響を受けて地層境界での変化があってもおかしくないでしょう。そして地下水に変化が起こることも。

今のところ、井戸水の濁りと大地震との因果関係を考察できるような論理的な道筋は見つかっていませんが、偶然として片付けることは引っかかります。
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by beachmollusc | 2011-03-26 08:33 | 津波と地震

地層が訴えていた巨大津波の切迫性

砂浜海岸の環境保全に関連して地盤変動との関係情報を集めていた時、地質調査所(産業技術総合研究所)の宍倉さんと房総半島や九十九里浜の地盤変動のことで情報交換をしました。

宍倉さんは現在「活断層・地震研究センター 海溝型地震履歴研究チーム長」という肩書きで、サイエンス・ポータルで緊急寄稿を発信しています。

地層が訴えていた巨大津波の切迫性
http://scienceportal.jp/HotTopics/opinion/180.html

本文の一部を抜粋して引用:

仙台や石巻の平野に広がる田んぼで穴を掘ると、地表から深さ数十センチのところに厚さ数センチの砂の層が観察できる(図左)。これが過去の巨大津波を示す地層の証拠、津波堆積物である。津波堆積物は海底や海岸の砂礫(れき)が津波の営力によって内陸に運ばれて堆積し、地層として保存されたものである。つまり津波堆積物の分布を調べれば、過去の津波の浸水範囲を知ることができる。東北大学や筆者らの研究チームによるこれまでの地道な地質調査により、宮城県から福島県の沿岸各地で貞観地震の津波堆積物が発見され、その分布範囲は当時の海岸線から内陸約3~4 キロまで分布していることが分かっていた(図右)。つまり過去にも今回の地震と同様に、仙台や石巻の平野を一面浸水させるような規模の巨大津波が生じていたのである。

過去の巨大津波は貞観地震だけではない。貞観地震の津波堆積物よりさらに深く掘り進めると同様の地層の証拠が数層見つかる。巨大津波ははるか昔から繰り返し起こっていたのである。地層の積み重なりを丹念に調べ、各種の分析から津波の発生時期を検討した結果、その繰り返し間隔は約500~1000年間隔であることが解明された。貞観地震からの経過時間を考えると次の巨大津波はいつ来てもおかしくない状況にあったのだ。

(中略)

仙台や石巻の住民の方々は、1978年の宮城県沖地震(マグニチュード7.4)のような地震はよく記憶にとどめているが、この地震では津波被害が小さかった。このため地震の大きな揺れがあっても、その後に大きな津波が来るという意識はほとんどなかった。ましてや海岸から3~4 キロも離れた内陸部にいる人は、まさか自分のいるところまで津波が浸水してくるとは夢にも思わなかったであろう。われわれはその意識を少しでも変えようと、これまでも微力ながら努力してきたつもりである。かつて内陸奥まで浸水する津波があったという事実を一人でも多くの方々に伝えようと、津波浸水履歴図という地図を作成して、住民の方々に無料配布しようという計画も以前から進めていた。

しかしわれわれ研究者の思いは、うまく行政に伝わらないことも多かった。500~1000年に1回という地質学的な時間スケールのメガイベントは、行政もこれまで実感がなかったのである。2004年にインド洋沿岸に大きな津波被害をもたらしたスマトラ島沖地震(マグニチュード9.1)という例があってもそれは対岸の火事であった。筆者がかつてある地方自治体の防災担当者に巨大津波の可能性について説明した際には「お宅らの研究は迷惑だ」とさえ言われたこともある。だが実際に巨大津波が起こってしまった現在、行政だけでなく多くの国民が、今われわれが生きるこの時代にも地質学的なメガイベントが起こり得るのだということを理解していただけたと思う。


メガイベントの周期が1000年スケールの場合、人の一生で出会う確率は大変低いものです。しかし、周期性の根本になっているはずのプレート境界と周辺で何が起こっているのか、についての基礎研究を推進させる努力を求めるべきでしょう。

海底の地形図を見ると、海溝で沈み込んでいるプレートが上に乗せて一緒に動いている海底火山列の歴史が気になります。海底火山や海底堆積物の一部が海溝を乗り越えて大陸地殻の上に「付加体」として積み重なっていること、そして地下深く潜った部分で性状が変化しながら水分が遊離したり、火山活動を誘引したりするモデルができています。宍倉さんたちが行っている、地道な基礎研究と観測の積み重ねが必要です。

同じ著者の過去の記事は西日本の巨大地震と津波についての意見です。

東海・南海『連動型』巨大地震の発生予測
http://scienceportal.jp/HotTopics/opinion/83.html

今のところ、連動型地震が生じた時期の解明は完全ではないものの、BC(紀元前)300年ごろ、AD(西暦) 300年ごろ、1361年の正平地震などが明らかになっており、一番最近のものが宝永地震(1707年)で隆起した群集であることを確認している。400~600年間隔ということは、宝永地震から300年余り経た現在、早ければ次の地震が連動型の巨大地震となる可能性があるのだ。

これらの成果は、ハンマーを片手にひたすら海岸を歩き、地道な調査の積み重ねによって得られたものである。現在進行している事象を探るため、高価な観測器機の整備が進んでいるが、将来を推し量るためには、過去を知らなければならない。そのためには地形、地質のフィールドワークこそが最も効果的な方法なのだ。

しかし、残念ながら近年、フィールドワークが軽視され、大学でもフィールドサイエンスを志す学生が減少しているようである。資金や人材の不足により、大地震の将来予測において重要な「過去の情報を得る」という手段がなくなってしまうことが危惧(きぐ)される。今一度フィールドワークの重要性を再認識しなければならないだろう。

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by beachmollusc | 2011-03-25 21:32 | 津波と地震