beachmollusc ひむかのハマグリ


海辺の浅瀬は水産動物のこども達のゆりかごです
by beachmollusc
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海辺の自然を取り戻そう
 自然の恵みを後世に残すためには、その生態と環境を深く、よく知ることが基本です。

 海岸の浅瀬、干潟や砂浜は資源生物のゆりかごです。
しかし、それにおかまいなしに埋立てや海岸構造物の建設、水質汚染も加わって、日本中の水辺、海辺の環境は撹乱され、破壊されてしまいました。その結果、ハマグリなど干潟の動植物の多くが絶滅危惧種となっています。

 このブログでは、主に砂浜環境の保全を念頭において、日本各地の山、川、海の姿を調べて見てまわったこと、
そして2006年5月に移住した日向市の海辺と里山の様子や生き物などを紹介します。

このブログにリンクを張ることはご自由にどうぞ。

    - 自己紹介 -

大学院博士課程修了後7年間の海外での研究と28年余り大学教員をしていました。

海の無脊椎動物(貝、ヒトデ、サンゴ、クラゲなど)が専門、自称の学位は Doctor of
Underwater Marine Biology
(DUMB:バカセ)

楽観的な悲観論者または悲観的な楽観論者:生態的に無理をしている人類の滅亡は近いだろうが、それも自然の摂理じゃないのかな

せっかちな慎重派:ゆっくり
見極めて急いで集中的に
お仕事します

好きなもの:日本蕎麦が一番、パスタ・スパゲッティ、うどんもよし、つまりメンクイです

嫌いなもの:人混み、投棄ゴミ、マスゴミ、脳衰官僚

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<   2008年 02月 ( 17 )   > この月の画像一覧


熊本県天草に遠征中

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天草の白鶴浜にて七年ぶりの貝類調査でしたが、海岸が階段になっていて、絶望的な状態でした。チョウセンハマグリの古い殻を拾っただけでおしまい。
前回いたナミノコのいる気配もなし。
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by beachmollusc | 2008-02-29 18:20 | 風景

野焼き

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2月24日日曜日の午前中、自宅周辺の(耕作されていない)田んぼで野焼きが
行われました。参加した小原集落の皆さんは、手際よく作業を進めていました。
枯れ草の塊に火がつくと、威勢よく燃え上がります。風の強い日にはできない
仕事です。後にセイタカアワダチソウの枯れたものだけが燃え残っていました。

野焼きは農耕において重要な作業の一つです。草むらに潜んで越冬するような
農業害虫を一掃すると言われています。
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by beachmollusc | 2008-02-27 08:57 | 日記

無意味な義務放流

豊かな海つくり、などという行事が、やんごとない方々とか子供たちを巻き込んで、日本各地で繰り広げられている。マスコミは(水産資源問題の現実には眼を向けないまま)これを好意的に報道し、一般市民は水産資源を養う努力が続けられている、と受け止めているだろう。このような官民あげての努力にもかかわらず日本の漁業生産の衰退が改善されずにいるのはなぜだろう。

下の図は日本の漁業生産量の経年変化である。1980年代のピーク時代には約1200万トンあった養殖を含む全漁獲量が、最近の実績で600万トン前後と半減している。
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海外の漁場から締め出され、遠洋・沖合漁業の燃料コストは増大し、漁船員にはなり手がいなくて、海外から「研修生」という現代版「ジャパ行きさん」制度を国の補助金でやっているしまつ。沿岸漁業の建て直しが重要課題であるが、水産庁は小規模漁業者を絶滅させるような行政運営を強化している。さらに、漁獲量の減衰を補う形で伸びてきた養殖は頭打ちになっている。一部の水産関係者によって「大本営」とあだ名を付けられている水産庁は、行政の手詰まり状態を打破するために、南氷洋商業捕鯨の再開による日本漁業の建て直しを訴えることで、当面の仮想敵「過激派、自然保護団体」に市民の関心をそらせる作戦をとっているようだ。

一方、河川の資源、アユ、ウナギ、シジミそしてハマグリなどについては河川漁協に対して行政指導による「義務放流」という制度があるようだ。漁業権の認可条件として、これらの主要な(減衰の著しい)資源の増殖につとめなさい、ということらしい。日向市の行政資料をオンラインで調べていたときに、ハマグリやアサリが放流されることに「補助金」が支出されていることを見つけ、当地に移住してから河川漁協の理事長さんなどとの情報交換を通じて、その実態がいかなるものかを知った。結論は、今の姿でこの「公共事業」を継続することは無意味であり、税金の無駄遣いに過ぎない。なお、ハマグリが河川漁業の対象になっていることは不思議なことかもしれないが、宮崎県では外海に生息するチョウセンハマグリが海域漁協の(第一種)漁業権対象となっているのに対し、河川の河口部に生息するハマグリは河川漁協に対して漁業権が認められている。

ウナギの放流は、河口部でシラスウナギを養殖のために大量に採って、産卵・再生産するべき親ウナギに育つものの数を減少させていること(その乱獲を行政として適正に管理していないこと)に対する補償が目的であるはずだ。そのために必要な放流用ウナギは、天然ウナギがどこかで余っているわけではないから、養殖されたものから間引くしかないことになる。ここで、ウナギ類各種(ニホンウナギ、ヨーロッパウナギほか)はウナギ、ハマグリ類各種(ハマグリ、チョウセンハマグリ、シナハマグリほか)はハマグリと言って、分類はもちろん資源の系群(ストック)の識別に全く無関心である水産庁は、総称の範囲にあるものならば「どの種でも放流してよろしい」という行政をやってきた。これは多分、水産庁の官僚たちが「いきもの」としての水産生物に関心が乏しく、生産・流通する「もの」としてしか興味がなかったということを裏付ける証拠であろう。

ブラックバスやカムルチーなどは遊漁対象として多くの人々に親しまれている一方で、在来種、特に琵琶湖などの固有種に生態的な悪影響を及ぼすとして環境保全問題になっている。しかし、ヨーロッパウナギやアメリカウナギがすでに外来種として日本に定着していることはほとんど知られていないし、問題としてとりあげるメディアもない。関係者たちは、いずれ成熟して海に出て河川や湖沼から消えてしまうだろう、と「期待」しているだけかもしれない。

大西洋のウナギたちは、ニホンウナギと同じように、成熟した個体がそれぞれ多くの別々の出発点から回遊して、結果的に大体同じ海域に集合して産卵集団を形成するようである。同じ場所に集まって同時に放卵・放精しないと子孫は出来ないので、それぞれが集合する目的地に到達するような仕組みを持っているのだろう。日本や中国沿岸から出発するヨーロッパウナギの成熟した個体の運命やいかに。日本でヨーロッパウナギが大量に放流されてから、親ウナギに育つまでの時間は十分に経過しているので、そろそろ、再生産した外来シラスが混ざってとれているかもしれない。また、ヨーロッパウナギとニホンウナギが交雑した雑種も誕生しているかもしれない。しかし、そのようなことが実際に起こるためには多数の親ウナギが産卵回遊に出ていなければならないだろうから、多分調べても検出できないと想像される。ニホンウナギにはもちろん、ヨーロッパウナギにとっても日本の河川や湖沼は住みにくい環境になっていて、放流されても成熟するまで育つ個体は少なかっただろう。

外来種としてのヨーロッパウナギが在来種のニホンウナギに対して生態的な優位性を持っていて、生存競争関係で悪影響を及ぼすかもしれない、という見解もある。しかし、現実を見つめれば、餌や生息場所などについて生態的な競争関係が発揮されるような「健全な」環境が大きく失われている。つまり、資源を増強させるための種苗を放流しても、十分に生き残れないような生産環境を構造的に完成させている。その結果として、予算が消化されるだけで、流通業者の利益があるだけで資源について何の経済効果も検証されない放流事業が蔓延しているようだ。ウナギの放流事業の場合は、特異的な産卵生態のおかげで、放流効果の検証・実証が極めて難しい。それをよいことに、行政主導の放流事業には養殖場の落ちこぼれになった規格外の個体が中心になり、外来種までが充当されてきたというお粗末。いったい何をやっているのだろう。

(貝類の放流について、次回につづく)
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by beachmollusc | 2008-02-26 09:58 | 評論

資源変動と海流

昨年の初夏(?)に生まれてから数千キロの旅を続けてきたシラスウナギが日本の河川、
河口に接岸する時期のピークを過ぎようとしている。

今年度のシラスウナギ漁はきわめて不漁となっているようだ。

ウナギはどうやって来る(回遊)
http://www.unagi.jp/maker/process/trip.html
光の乱舞 シラスウナギ漁・・・高知・四万十川河口http://osaka.yomiuri.co.jp/season/20080206kn05.htm
水面彩る「シラスウナギ漁」 吉野川・那賀川河口で本格化
http://www.topics.or.jp/contents.html?m1=2&m2=&NB=CORENEWS&GI=Kennai&G=&ns=news_120157134231&v=&vm=1

出発点である産卵海域が黒潮源流の東沖にある。卵から孵化したレプトケファルスは
西にゆっくりと時間をかけて流されてから、黒潮に乗って、急速に北上してくるらしい。
その時代に食べる餌が良くわからないのが、卵からの人工飼育でネックとなっている

黒潮源流海域では北東からの貿易風で表面海水は西に向かって流れているだろうが
産卵期から後の時期は貿易風が弱まり、流れも弱まっていることだろう。そして上下の
水深移動をやっているらしいので、下層の反対向きの流れなどで拡散を続けるだろう。
黒潮本流で流されると、黒潮の東側で乗った後で、流軸の西側に運ばれにくくなると
想像される。

黒潮は浮遊して受動的に流動しているものを南から北に運ぶが、その流軸を中心に
して東西の表層流動のバリアーになっているらしいことに注意が必要である。たとえば、
イセエビの浮遊幼生は、黒潮の西側海域に運ばれるチャンスが乏しいらしく、九州西岸
の沿岸南下流が卓越していることもあって、日本海にはほとんど流れて行かないようで
ある。

黒潮の流域沿岸の主な漁場でイセエビの漁獲量は同調して増減する傾向がある。

シラスウナギの漁獲量について主な河川ごとのデータがオンラインではわからない。
これは、おそらく、九州西岸は除いて、太平洋の黒潮流域沿岸で年度ごとの増減が
シンクロしているのではないだろうか。この想像が当たっていれば、それはウナギの
単一ストック仮説を裏付けることにもなるだろう。また、台湾などでのシラスウナギの
接岸量の変動もシンクロしているかもしれない。

さて、中国大陸の河川に泳ぎ着くシラスウナギの量はどのくらいだろう:これがよく
わからない。もし中国沿岸で大量にシラスが漁獲されるならば、それが高値を呼ぶ
日本に流れてこないはずがないし、中国がヨーロッパウナギのシラスを大量に輸入
することも必要ないだろう。黒潮が西方向の流動のバリヤーとなっているならば、
台湾以西に向かうシラスは少ないだろうし、さらに日本海まで流されるものも少ない
だろう。しかし、イセエビと違って、ウナギは日本海沿岸でかなり漁獲されているよう
なので、このあたりがどうなっているのか、知りたいものである。

以上のような想像や空想はウナギを扱っている専門家は当然気づいているだろう。
このような海洋学的、生態的な全貌が、ウナギが自然界から消える前に解明される
ことになるだろうか。

<追記>
上を書いて投稿したすぐ後に、注文してあった本「ウナギ 地球環境を語る魚」 井田
徹治著、岩波新書1090 (2006年6月出版)が配送されてきて、一気に読み終えた。

学術、社会の両面について調査して取材され、文章も読みやすい良い本です。
これを読んで新しく知ったことは特になく、自分がわからなくて困っていることはやはり
わかっていないことだったのを再確認できた。

研究者レベルで東アジアのウナギ資源に関する情報交換の組織が出来ていることは
初耳であったが、水産庁をはじめ行政の取り組みが無いに等しいことは再確認した。

著者が締めくくりで書いた文、「日本人はどこかで、ウナギとの付き合い方を間違って
しまったのではないだろうか。小川や水田、溜池や干潟といったウナギにとって重要な
場所を次々と破壊した結果、ウナギはいつの間にか遠い存在になってしまった。」
全く同感である。

写真は塩見川の河口(小倉ヶ浜)に集合していたカモメ(多分セグロ)たち。
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by beachmollusc | 2008-02-24 11:58 | 評論

ウナギのストック

ストック(STOCK)という言葉は水産資源学では「系群」と呼ばれている。その学問的な定義はあいまいなところが残っているが、水産資源を持続的に利用する、つまり資源動物の再生産を維持し、(生産力の余剰から間引く)漁獲(とその基礎となる生産環境の保全)を続けるように科学的、合理的な管理を目指すための基礎単位と考えればよいだろう。
参考図書:
Stock Identification Methods: Applications in Fishery Science
Edited by Steven X. Cadrin, Kevin D. Friedland and John R. Waldman 
736ページ Elsevier/Academic Press (2004)
(この本の複数の章で、ウナギ類のストックについてかなり詳しく述べられている)

生態学の一分野として発展中の保全生態学では野外生物の集団を守る(あるいは有害生物を管理:排除する)ための基礎単位をどのように捉えるべきか、という課題がある。水産学と同様に、野外の生物集団を人為的に管理することが目標になった場合には、その繁殖・再生産の単位が時間的、空間的にどのようになっているのかを理解して具体的な方策を考えることになり、その単位は水産学の系群とほぼ同様な概念となる。ウナギの場合は水産資源の一つであると同時に河川・湖沼の生態系の中で高次捕食者として重要な野生動物であるから、水産学と生態学を融合させた広い視野での調査研究が必要である。

ウナギのストックを考えるためには、海洋学的な問題、つまり産卵場所とタイミング、そこで生まれた卵・稚仔魚の流動・分散などに関する情報が重要であることはいうまでもない。これについては東大海洋研究所の塚本研究室の皆さんなどの努力によって解明が進められてきた。産卵場所と産卵期がほぼ特定された結果から考えると、日本だけでなく東アジア全体のニホンウナギのストックは、おそらく同じ狭い海域から生まれ出て広がっているのだろう。これから解明されるべき重要な問題は、その産卵場に集まってくるウナギ、言い換えれば産卵集団を構成する親ウナギたちはどこからどのくらいの数が来ているかであろう。日本沿岸から産卵場に旅だっているものはどのくらいあって、どの程度貢献しているのだろうか。

ニホンウナギたちの未来:このままの状況が進むと絶滅が待ち受けているかどうかを占うためには何を知る必要があるのだろう。ニホンウナギの単一ストック仮説が正しければ、日本だけの資源管理の取り組みでは不十分となることは明らかである。クロマグロの漁獲を日本沿岸でいくら自主規制しても、東シナ海の産卵場に回遊する親マグロを台湾や中国の漁船が乱獲したらおしまいになるのと同様であろう。http://www.nissui.co.jp/academy/market/08/market_vol08.pdf

東アジア諸国の共有財産となっているウナギ資源については、国際協力によって維持管理できるような「枠組み」を構築しなければならないが、水産庁(と外務省)はこの重要課題を放置してきたのではないだろうか。これは資源の分捕りあいのための政治的な利害調整の次元のみでやるべき課題ではなく、科学的な情報を十分に集めて合理的な判断を下せるようにする必要があるだろう。日本はウナギの最大の消費国であり、リーダーシップをとるべき立場にある。

写真は宮崎県南郷町の港の駅にて2月13日昼、県知事が来てカツオの無料配布が行われる寸前。
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by beachmollusc | 2008-02-23 10:08 | 評論

評価書の怪

ウナギ資源増大対策事業、という題目の平成14年度に9,000万円あまりが執行された事業の評価書を改めて眺めてみたら、不思議なことがてんこもりである。
http://www.maff.go.jp/soshiki/kambou/kikaku/hyoka/14/shudan_sheet/14shudanh69.pdf
ウナギに関する事業であるから、滑ってつかみどころがないのは当然かもしれない。

政策目標を見ると「資源増大対策」ではなくて資源の減少(実際は衰退)に関する対策事業である。「ウナギの資源量、資源補給量等の把握と人工種苗生産技術の開発」を二本柱としていて、ウナギ資源の持続的な利用(水産物の安定的な供給)を達成するために、「主要養殖生産国の持続的利用枠組み構築」という国境を越えた極めて野心的な概念図を示している。この資源衰退問題の根源は国内にあることぐらいは本事業の調査前にわかっていただろうが、水産庁が主導して国際間で「枠組み」を作る、ということは日本を反面教師として海外に情報提供するという意味なのだろうか。

この事業の達成度は、406%とされている。何がそのすばらしい成果の分母と分子になっているのか示されていないが、これは水産庁の担当者が、自分たちの(書類を作り財務省から予算を獲得して委託先の研究センターに回す)努力を正当に評価したものであろう。406%ということは、想定していた予算目標の4倍が認められたのかな。それにしても、この6という端数は何だろう。

政策目標との関連、という項目には、目標値(目標年度)として平成18年度(つまり14年度から5カ年計画か?)に2,016千トン(つまり約200万トン、4桁目までの端数は何を意味する?)の指標名:関係漁業生産量(主な栽培漁業対象魚種、海面養殖業等)の維持及び増大、が示されている。それに対して実績値が1,995千トン(ほぼ200万トン)。これがこの資料の最大の謎である。

統計数値によると、平成16年度の日本全国のウナギの生産量は天然で約600トン、ウナギ養殖の生産量は日本全国合計で445の経営体が21,777トン。これらの数字から、2万トン余りがウナギの全年間生産量であるが、200万トンという上の実績値の数字は一体全体何を示しているのだろうか。また、何がどのように本事業のおかげで「増大」したのだろう。

2008年2月12日公表の漁業・養殖業生産統計年報 > 平成16年漁業・養殖業生産統計年報(政府統計の総合窓口 e-Stat http://www.e-stat.go.jp/ からダウンロードできる)

日本のすべての漁業(海面、内水面、養殖)による生産量は、年間約600万トン(その約2割が養殖)となっている。200万トンとはその三分の一に相当し、海面、内水面の養殖業の合計約120万トンよりもはるかに大きい。

この事業評価書の締めくくり、総括意見は[廃止(一部)及び有効性、効率性の改善]としてあり、<本事業のうち、ウナギ資源の調査は必要性が低下しており、有効性、効率性について改善が必要なことから、本調査を廃止することを前提に検討を行い、重点化を計るなどして事業の見直しが必要である。>

えーーーー、400%の達成率の事業の総括が資源調査の廃止ですか。確かに調査を継続しても、資源が減少を続けていることが浮き彫りになるだけで、目標達成の助けにはならない。

人工種苗生産はなんとか進んでいるので、これだけを継続させるというのが水産庁の立場のようである。資源を増やし、持続的に利用できるようにするためには、何がどうなって資源が衰退しているかを把握して、その「対策」を講じることが求められる。しかし、水産庁はこれについて完全にそっぽを向いているように思われる。

ウナギの資源がなぜ減少したのか、定性的には誰もが「知っている」ことであろうが、具体的な数量的な証拠を出して因果関係を推定できるように示した調査結果がでているようだ。

ウナギ減少ダムのせい 四万十川は影響軽微  2006年11月04日 高知新聞の記事。
http://www.kochinews.co.jp/0611/061104evening01.htm
<河川の流域面積当たりのダムの貯水量が、河川に加えられた環境改変の大きさの指標になるとみて、四万十川や利根川などについて漁獲量との関連を分析した。
 すると、貯水量が少ない四万十川や筑後川は漁獲量の減少率が低く、貯水量の大きい利根川や那珂川、江の川などは減少率が高いことが分かった。貯水量が中程度の肱川や球磨川は、減少率も中程度だった。>(部分引用)

霞ヶ浦、北浦再生事業に取り組んでいるNPOあさざ基金のサイトに「カムバックウナギシンポジウム」の講演要旨が掲載されている。その中に上の新聞記事で紹介された調査を行った研究者の発表が含まれている。
http://www.kasumigaura.net/asaza/index.html

写真は日向市内の塩見川でくつろぐカモ。
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by beachmollusc | 2008-02-21 09:08 | 評論

うなぎが絶滅する日(その2)

河川(そして汽水域、河川に上らない個体、海だけで暮らすものが発見されている)でニホンウナギが何年かけて成魚になって産卵場に向かうようになるか、という点を知りたくて情報を集めようとしてみたが、明快な数字が見つからない。

内水面重要種資源増大対策事業(ウナギ資源調査)というのが全国的に展開されてきた。(水産庁が日本水産資源保護協会に委託し、日本水産資源保護協会が各県へ再委託。平成15年度に水産庁と日本水産資源保護協会との委託事業が終了)

このように、資源そのものが危なくなってからしか調査をやらないのが日本の水産(行政)の特徴でもある。増大しないようにする対策と見えるから、「資源増大対策事業」という言葉はどこかが変ですね。国の官僚が予算獲得行事に臨むときに「アピール」するための用語にはこのようなヘンテコがよく見られる。

鹿児島でのウナギ資源調査報告がオンラインで見つかった。
http://www.agri.pref.kanagawa.jp/suisoken/naisui/news/2001/74_unagi.htm
それから引用:
<今後の課題
 本調査結果を踏まえた淡水域でのウナギの生態に関する今後の課題を列記すると、
・なぜ漁獲ウナギは大きく雌に偏っているのか?
・梁で漁獲されるウナギは産卵回遊なのか、季節的な移動なのか?
・産卵回遊に向かうウナギはいつ、どのようにして海へと向かうのか?
・稚ウナギはどこでどういう生活をしているのか?
・海水の影響のある河口域に生息するウナギは遡上するウナギと異なるのか?
等、未だウナギの生態については淡水生活期ですら殆ど解明されていないといっても過言ではなく、ニホンウナギという種の存続のため長期的、総合的な調査が必要であるものと思われる。>
だそうである。

資源を守り、持続的に利用するための情報に関して肝心なことは何もわかっていない、というのが現状なのか、と驚くばかり。ウナギの養殖関係の技術革新は目覚しかったと思われるが、資源調査のような、直接お金にならないことは後回しであったということであろう。

大分県でも資源調査が行われた:
http://www.mfs.pref.oita.jp/planning/paper/H15/H15jihou66.pdf

吉野川のある徳島県の調査では:
http://grwww004.pref.tokushima.jp/suisan/books/jiho/h11/h11-46.pdf

これらの報告を見ると、簡単な捕獲調査結果と環境パラメーターの数字を出しておしまい。調査予算もわずかで、日常業務のかたわら予算消化の、つまり「ついでの仕事」であろう。

国のプロジェクトというものの実態がこれである。

元締めの水産庁で総括している情報としては:
http://www.maff.go.jp/soshiki/kambou/kikaku/hyoka/14/shudan_sheet/14shudanh69.pdf
結局、天然ウナギの消滅の前に採卵して全生活史の段階を人工的に育てる完全養殖技術の開発が間に合うかどうかに賭けている、としか見えない。

上では大淀川の調査結果の一部が出ているが、宮崎県ではいかがなものかと調べてみた。県の水産試験場の百年史の試験研究課題一覧:
http://www.suisi.miyazaki.miyazaki.jp/pdf/02.pdf
* 昭和45年度、ウナギ種苗の安定的供給に関する試験
* 46年度、黒潮離接岸と宮崎県におけるシラスウナギ漁との関係
* 50年度、国産ウナギ越冬試験
* 55年度、塩酸オキシテトラサイクリンによるウナギ薬浴後の体内残留性
* 平成8年度、シラスウナギALC標識試験:アリザリンコンプレキソン(ALC)による標識、つまり生きている動物体の硬組織を染色する手法
以上が掲載されていた。

情報は古いが、「みやざきの自然」サイトで、宮崎県の河川の魚(5)という解説記事がある。
http://miyazaki.4zen.jp/011/15/index.html
ウナギ養殖が発展した陰で河川の天然ウナギの漁獲が激減していった様子がグラフで示されている。

ウナギの養殖では海から河川に上るシラスを捕獲して池で育てる。そのシラスの量が国内需要を満たさず、一時はヨーロッパウナギの稚魚を輸入して育てることも行われたが、結局それは日本国内では定着しなかった。しかし、中国ではヨーロッパウナギをシラスから育てる養殖が発展することになった。

シラスウナギの[池入れ」、つまり養殖池に使われた量の情報がネットでだされているのでそれをグラフ化してみた。(うなぎネットサイトhttp://www.unagi.jp/)

ヨーロッパウナギのシラスを使っているのは中国だけかどうかわからないが、とりあえずニホンウナギのシラスからの養殖を日本、韓国、台湾で競っているとして、中国は除いてグラフにしてある。中国が最大のウナギ養殖生産量を誇っているが、それがヨーロッパウナギ資源の存続を脅かしているようである。
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日本では国内での供給が減り、台湾などからの輸入で支えられてきた。しかし、台湾がシラスウナギの輸出禁止を打ち出してきたので、日本のウナギ養殖の種苗供給における混乱は避けられないだろう(密輸など、裏道があり、産地表示は滅茶苦茶となる)。
http://mainichi.jp/select/world/scene/news/20080204ddm007030143000c.html

資源保全管理のコストを負担しないで自然から収奪を続けてきたつけが取り立てられていると考えられる。
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by beachmollusc | 2008-02-20 11:00 | 評論

北小倉ヶ浜

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小倉ヶ浜の最北端で、塩見川の河口の北側にはすばらしい干潟状の砂浜が広がって
います。日中の干潮が夜の干潮よりも良く引くようになるのはこれからですが、すでに
干潮時には広々と砂浜が広がり、レンコン(漣痕)、つまり波が作った海底の砂の模様
が取り残されています。このような、河口部の遠浅の砂浜には一見何もいないようにも
見えるでしょうが、ここがハマグリなどの稚貝のゆりかごです。
アミ類などの小型甲殻類についてまだ調査していませんが、砂浜で稚魚時代をすごす
魚の餌が豊富であれば、魚たちのゆりかごともなるでしょう。

川の魚であるアユもその一つであって、その稚魚が沿岸部ですごす時期の成育環境
を守ることが大切です。また、河口部、汽水域はウナギやアカメ(宮崎県ではマルカ)
の生命線になっているようです。

水産動物には河川と海を生活史の中で移動しながら利用するものが多く、それを分断
するような河口堰などの構造物の建設や水質汚染で生命線が途絶えることになります。
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by beachmollusc | 2008-02-20 08:08 | 海岸

うなぎが絶滅する日

鰻を食べることは日本の重要な食文化の一つであるが、その根底がぐらつき始めているようだ。食品スーパーなどには鰻の蒲焼が山積みされているが、それが消える日がくるだろうか。

2000年代に入ってフィリピン海のニホンウナギの産卵場がピンポイントで解明されたが、そこに向かって産卵回遊する親ウナギが消えるという事態になることさえ懸念される。

ウナギは一生の最後に産卵して死ぬこと、産卵場所から海流に乗って流動してきた稚魚集団が限られた期間に限られた場所にまとまって接岸する生態から、その管理を誤ると資源が崩壊する危険が常に付きまとっている。そして、日本だけでなく東アジア全体のウナギの生息場所が水質汚染などで悪化を続け、さらに養殖のためのシラスウナギの乱獲が産卵親になる個体数を減少させている。日本の天然ウナギの漁獲がいまだ消えていないことがむしろ不思議なくらいな状況と思われる。下の図は日本の天然ウナギの年間漁獲量統計をグラフに示したものである。
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ニホンウナギの問題は後で詳しく論じるとして、日本人が(間接的に)大量に消費しているヨーロッパウナギ資源の動向はどうであろうか(ヨーロッパウナギのシラスが中国に運ばれて養殖されてから日本に来ている)。

オランダではヨーロッパウナギを国の絶滅危惧種のレッドリストに掲載しているが、全世界をカバーするIUCNのレッドリストには載っていない。http://www.iucnredlist.org/search/search-basic

http://home.planet.nl/~hwdenie/redlistfishes.pdf
オランダの淡水魚についてのRED LISTにはヨーロッパウナギの漁獲量の推移の例が出ている。1945-1995年、IJsselmeerでの漁獲量は年間4000トンからその1割程度まで落ち込んできているが、年変動を平準化した減少率は10年間に約4割とされている。そして、この傾向はヨーロッパ全域に及んでいるとされている。

北大西洋の国際水産研究機関、ICESサイトではヨーロッパウナギの漁獲量と加入(指標)の推移をグラフで示している。シラスウナギの加入調査は1920年代から続けられているが、その1980年代以後の急激な落ち込みがヨーロッパウナギ資源の危機を示していると思われる。
http://www.ices.dk/marineworld/photogallery/eel-trends-big.gif
1980年より前の水準に比べて、最近のシラスウナギの加入は1-5%の水準であり、回復傾向が見られない(年変動がはげしいのがシラスの加入の特徴であることはニホンウナギと同様)。
http://www.ices.dk/committe/acom/comwork/report/2007/oct/eel-eur.pdf
漁獲量も落ち込んでいるが、これは数十年前の加入に依存しているので加入量の激減状態がヨーロッパウナギの漁獲量の減少を加速するのは今後のことになるだろう。ヨーロッパでもウナギの養殖が増大中である。

http://www.natureserve.org/explorer/servlet/NatureServe?searchName=ANGUILLA+ROSTRATA
上のURLにアメリカウナギについて詳しい情報が集約されている。こちらは減少傾向にあるが、レッドリストについての検討対象にはなっていないらしい。アメリカウナギはヨーロッパウナギの漁獲量減少を受けてヨーロッパ向けの輸出が増大しつつある。

ウナギ全般について一般向けのよい本が出版されている。
"Consider the Eel"
by Richard Schweid (Univ. of North Carolina Pr., 2002)
日本語訳も出ているが、これは水産物としてのウナギをめぐるお話が中心であって、アメリカやヨーロッパのウナギ事情のルポが面白いが、日本の状況についての記述は皮相的である(ウナギとドジョウをまぜこぜにしたところもあった)。
(つづく)

<追記>
ヨーロッパウナギがワシントン条約の附属書に掲載され、国際間の取引が規制されるようになっていることを記しておくべきだったのを忘れていた。

話が古くなってきたので下に記した話題は省略していたが、水産資源を守る趣旨で内水面で広く行われている「義務放流」の矛盾を指摘しておく必要を感じたので追加する。

日本の川にヨーロッパのウナギがいる?その具体的なデータとウナギの「義務放流」についての漫談:岡 英夫、2001年6月(初出2001年2月)が(株)いらご研究所のサイトで紹介されている。
http://www.irago.co.jp/TEXTS/research_frame.html
http://www.irago.co.jp/documents/MANDAN3.HTM

神奈川県のウナギ漁業と放流: 
義務放流についてのデータが漁獲量データの経年変化と一緒に示されている。
http://www.agri.pref.kanagawa.jp/SUISOKEN/naisui/news/99/99unagi.htm
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by beachmollusc | 2008-02-19 10:21 | 評論

つらら

朝の気温が氷点下3度以下の日が続いています。
太陽熱温水器の配管の接続部がいかれた所から漏れでた水が上から滴り続けて、
下の方で見事なツララを作りました。
よく晴れているので、昼間は温水器から熱湯が出ます。
e0094349_10174824.jpg

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by beachmollusc | 2008-02-18 10:24 | 日記