beachmollusc ひむかのハマグリ


海辺の浅瀬は水産動物のこども達のゆりかごです
by beachmollusc
検索
カテゴリ
海辺の自然を取り戻そう
 自然の恵みを後世に残すためには、その生態と環境を深く、よく知ることが基本です。

 海岸の浅瀬、干潟や砂浜は資源生物のゆりかごです。
しかし、それにおかまいなしに埋立てや海岸構造物の建設、水質汚染も加わって、日本中の水辺、海辺の環境は撹乱され、破壊されてしまいました。その結果、ハマグリなど干潟の動植物の多くが絶滅危惧種となっています。

 このブログでは、主に砂浜環境の保全を念頭において、日本各地の山、川、海の姿を調べて見てまわったこと、
そして2006年5月に移住した日向市の海辺と里山の様子や生き物などを紹介します。

このブログにリンクを張ることはご自由にどうぞ。

    - 自己紹介 -

大学院博士課程修了後7年間の海外での研究と28年余り大学教員をしていました。

海の無脊椎動物(貝、ヒトデ、サンゴ、クラゲなど)が専門、自称の学位は Doctor of
Underwater Marine Biology
(DUMB:バカセ)

楽観的な悲観論者または悲観的な楽観論者:生態的に無理をしている人類の滅亡は近いだろうが、それも自然の摂理じゃないのかな

せっかちな慎重派:ゆっくり
見極めて急いで集中的に
お仕事します

好きなもの:日本蕎麦が一番、パスタ・スパゲッティ、うどんもよし、つまりメンクイです

嫌いなもの:人混み、投棄ゴミ、マスゴミ、脳衰官僚

リンク

ひむかのハマグリ(ブログオーナーのハマグリ情報サイト)
合津マリンステーション(熊本大学の逸見教授のブログ)
ハマハマ通信(国立環境研、中村泰男博士のハマグリ研究情報)
鹿児島の貝
海辺の散歩
きんのり丸漁師生活30年
しじみ漁にまつわるブログ
みやざきの自然
みやざきの緑と風
さるなしの里
NPO子どもの森(門川町)
宮崎と周辺の植物
高原町の自然をたずねて
一般社団法人エコシステム協会
NPOアンダンテ21
防災ブログ
日本の写真集(デジタル楽しみ村)
野のものたちの記憶(岩手県のfieldnote さんのブログ)
~自然彩々~夢庵
おっちゃんの何でもニュース
里山再生計画
原体験コラム
こやま・裏山・里山 リンク
自然と遊ぶリンク集
人気ジャンル
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧

<   2008年 11月 ( 17 )   > この月の画像一覧


小倉ヶ浜(dissipative beach) と延岡の長浜(reflective beach)の差異

11月24日、平岩地区の活性化講演会の講師として「アカウミガメとハマグリの生態」という題で地元の住民の皆さんにお話しました。参加者の多くは高齢者でしたが、皆さんに熱心に話を聞いていただきました。地元の宝である小倉ヶ浜の自然景観と環境を保全するための基礎情報、特に松の拡大植林で砂浜を狭めること、さらにそれをガードするための護岸建設の害悪を説明しておきました。

先月、10月2日には、平岩小・中学校(一環教育)で上級の生徒さんを相手に保護動物であるアカウミガメを守ることについて話をしましたが、とても熱心に話を聴いてくれて、活発なよい質問がありました。将来、地元の自然をよりよく理解して大切に守る担い手に育つことを期待します。

地元住民の意識が高ければ、行政が暴走して公金を乱費しながら自然を壊すような事業をやる事への歯止めになるし、よりよい自然を取り戻すこともあり得るでしょう。そのためのインプットを繰り返すことも重要であると実感しました。次は行政に携っている地元のお役人さんたちの意識改革に迫りたいと思います。

小倉ヶ浜が宮崎市の砂浜海岸の二の舞とならない様に、地元の住民と行政が一体になって考えるような環境設定をして、日本の海岸では稀になった広い遠浅の砂浜とその周囲を含めた自然を保全できるようにと望んでいます。科学的な情報を元にして、(一部の利に走った)自然の摂理に適っていない海岸事業を住民の頭ごなしに決めさせないことが鍵でしょう。

{ここから本題}

さて、小倉ヶ浜に見られる広い緩やかな傾斜の砂浜海岸がどのように形成されたものか、そして今後もし海水面が上昇した場合にそれがどのように変化するか、その答を探ってみたい。

地理的に近い砂浜海岸と対比させると、たとえば延岡市の長浜の砂浜と小倉ヶ浜は砂浜のあり方がまるで違っている。長浜は五ヶ瀬川・祝子川と北川というかなり大きな流域のある河川が大量の土砂を運んで出来た河口の三角州の海側にある。海岸線の長さは長浜が7キロ余りで、小倉ヶ浜が4キロ余りである。

小倉ヶ浜と長浜は共に日向灘のはるか外洋から寄せて来る波浪、特に波長の長いうねりを直接受け止めている。どちらの海岸線も北北東から南南西にかけて同じように緩やかな弧を描いている。つまり、砂浜に当たる波浪について見ると大きな差異はなさそうである。しかし、長浜は遠浅海岸とはなっておらず、サーフィンが出来るような波は見られない。ここは、海岸線の直近で波が砕けるような、専門用語としてreflective beach(波浪のエネルギーが弱まらないで直接海岸に当たる)となっている。それに対して小倉ヶ浜は岸から離れたサンドバーで大波が砕け、岸に向かってそれが繰り返されるdissipative beach、波が繰り返し砕けてそのエネルギーが弱まって汀線に至る海岸である。(これらの用語に相当する日本語は存在しないようなのでとりあえず英語を使っておく。)

長浜と小倉ヶ浜の海岸をほぼ同じ時に撮影した空中写真(下の写真、1993年5月25日に海上保安庁が撮影した、撮影時間は12時半の前後で4分違い、おそらく干潮の時、縮尺は同じ)を比べてみよう。小倉ヶ浜の汀線付近では砂が濡れて黒く見える範囲が広がっていて、潮間帯(前浜)が露出し、そこに波が砕け、さらにその沖に離れて白い波の列が出来ている。一方長浜では潮間帯部分が狭く、そこに直接当たって砕けた波が見えるが、沖に離れた砕け波は河口の近くを除いて見られない。
e0094349_2026068.jpg

二つの海岸で見られる潮間帯の広さの差異は、すなわち前浜部分の傾斜角度の差異である。空中写真が撮影された時間の海水面の高さ、すなわち潮位は、計算サイトの潮汐によると、
http://keisan.casio.jp/has10/Menu.cgi?path=
細島で干潮は14時42分、天文計算潮位は12.5 cm であった。これが正しければ、写真が撮影された時は最干潮の約2時間前であり、潮位は低下中で、この日の最低水位にかなり近づいていたはずである。つまり、潮間帯のほぼ全域が空気中に露出していた状態が撮影されたものと想定される。前浜の砂が濡れていることは、この想定を支持している。

長浜の海岸の後背地は低平な河口デルタである。小倉ヶ浜では、長浜と異なり、大きな河川が流れ出ていないが、どちらもリアス海岸の岩盤の上での砂泥の堆積によって形成されたものであろう。しかし、河川から供給される砂泥の量は二つの海岸で大きく異なっているものと想像される。

長浜海岸の状態を1947年に米軍が撮影した空中写真を国土変遷アーカイブhttp://archive.gsi.go.jp/airphoto/ で見ることが出来る。その後に国土地理院と海上保安庁が撮影した最近までの空中写真と見比べて海岸の変化を読みとることができる。アーカイブでは2005年に撮影されたカラー空中写真があるので、上の1974年(国土地理院)と1993年(海上保安庁)の写真と比べると変化が読み取れる。

長浜に出ている五ヶ瀬川と北川の上流には戦前の古い時代のものを含む複数のダムが建設されている。それらの流域のダム建設が長浜の砂浜に影響を及ぼしたかどうかであるが、写真からは、砂浜部分での主な変化として南側で新延岡港が建設されただけに止まっていて、特に潮間帯の状態が変化したようには思えない。長浜の南部で見られる局所的な変化は前のブログですでに報告した。http://beachmollu.exblog.jp/8565641/

海上保安庁水路部が出版した沿岸の海の基本図として、延岡の海底地質や地形が調査された結果が5万分の1の海底地質構造図と調査報告書として刊行されている。これによって、長浜と小倉ヶ浜沿岸の海底の様子が良くわかる。
e0094349_2028339.jpg

上の海底の基底(岩盤)の等深線を比べると長浜の浅海部の海底が複雑な地形をなしていて、単一の緩やかな傾斜面となっている小倉ヶ浜とは顕著に異なっている。しかし、水深50mの等深線はどちらの海岸でも汀線から約5km沖にあって、それ以深の大陸棚の海底地形に大きな差異は無いようである。海底に堆積している砂は長浜の方が全体的にやや細かく、北の五ヶ瀬川と北川河口の沖では砂泥の堆積も見られる。これは、小倉ヶ浜で中央粒径が0.1mmあまりでよく淘汰された砂が一様に堆積している状況と大きく異なる。
e0094349_2029284.jpg

基盤上の堆積層の厚みのデータもあるが、長浜では海底基盤の地形が複雑なことを反映させてムラがあり、一様な小倉ヶ浜と比較することは難しい。しかし、小倉ヶ浜に比べて長浜沿岸で全体的により厚く堆積しているようには思われない。言い換えれば、長浜に流れ出てから沿岸に堆積した土砂の量は、小倉ヶ浜のよりも圧倒的に多かったとは考えられないだろう。

何が長浜海岸と小倉ヶ浜の砂浜潮間帯(前浜)の傾斜の違いをもたらしたのか、海底地形や堆積物からそれを説明することは難しいようである。長浜の砂浜が海に向かって広がる傾向はこれまでも見られなかったことは、五ヶ瀬川・北川流域から運びこまれた土砂は三角州の拡大に貢献していないようである。一方、小倉ヶ浜には流域面積で比べて極めて小さい塩見川と赤岩川が流れ出ているが、ここでも砂浜の拡大や縮小は特に起こっていないようである(空中写真で見た過去60年間について)。

小倉ヶ浜の北側はリアス海岸であって尾末湾があり、そこには大きい流域をもつダムのない五十鈴川が流れ出ている。湾内には向ヶ浜という砂浜が河口に出来ているが、前浜に砂礫が堆積した急傾斜の浜を造っている。この湾は中央部が落ち込んでいて、砂泥が堆積している。五十鈴川がこの湾に運び込んだ土砂は外洋に出ないで堆積しているようであるが、その層厚は小さい。向ヶ浜についての過去ブログ: http://beachmollu.exblog.jp/8564146
また、小倉ヶ浜の南には事実上流出河川が存在しない金ヶ浜の砂浜があり、さらに南には耳川という大河川が出ている美々津の海岸がある。美々津の海岸侵食問題についてはすでに前のブログで紹介した。
http://beachmollu.exblog.jp/8721714

山地に大きな流域面積を持っている河川がありながら、長浜、尾末湾、そして美々津海岸では海岸低地や三角州が広がっているようには見えない。それに対して、流出する河川が土砂を大量に運び込んではいないように思われる小倉ヶ浜では、傾斜の緩い遠浅の砂浜海岸が出来ていて、今のところ砂浜侵食とは縁がなさそうである。これらの状況、特に小倉ヶ浜の好運は何がもたらしているのか、関係する情報を集めて考えてみた範囲では皆目見当がついていない。(空想の段階であるが、1000年スケール、完新世の間に大陸棚の上の海水準変動、特に縄文海進とその後の海退がもたらした沿岸の堆積状況の変化をモデル化する必要を感じている。)
[PR]

by beachmollusc | 2008-11-27 20:29 | 海岸

秋が深まる小倉ヶ浜

ワンコx2をつれて小倉ヶ浜の最南部、漁港の手前の浜を歩きました。
砂浜が平坦化しているのは比較的荒い波が寄せていた証拠だと思います。
e0094349_1915428.jpg
e0094349_19268.jpg

台風の大波が来なかった年でしたから、海岸植物は健在で、それが枯れだして黄色になっています。記憶違いでなければケカモノハシだったと思いますが、サーファーたちが通る道筋の脇で
盛り上がった砂をよく固定しています。
e0094349_195542.jpg
e0094349_195161.jpg

[PR]

by beachmollusc | 2008-11-26 19:06 | 海岸

近未来の環境

日本第四紀学会の町田ほか編、地球史が語る近未来の環境、という本を注文してあったのが昨日配達されていた。本の包装が大きくてポストの中に入らず、外にはみ出ていたらしく、今朝見たら包装の段ボールと本の表紙カバーなどが噛み千切られて散乱、本体も危うく読めなくなる寸前で回収、作業を楽しんだワンコたちが幸せそうな表情で出迎えてくれた。写真は上下の角が噛まれてしまった本の成れの果てである。本の惨状は地球の近未来を示唆しているのかも。しかし、読むのに支障はなく、午後になってから3分の2ほど読んた(150頁余り)。今夜中には読了するつもり。日本第四紀学会というのは日本国内にひきこもって、ろーかるデータの記載ばかりやっているような印象を持っていたが、最近では国際的な視野で日本発のグローバルな仕事を進めている研究者がいることは頼もしい。
e0094349_17153964.jpg

地球温暖化と海面上昇、という第2章の著者は東大の横山裕典、これがかなり面白かった。「縄文海進―そのとき氷は融けていたか」そして「西九州の海底遺跡と海水準」などの話が目から鱗がポロポロで、地球表面の変形を視野に入れるべきことが理解できた。おかげで、以前からなぜなんだと不思議だったブラジル沿岸の海岸平野と海水準変動の様子が北アメリカ大陸の大西洋沿岸とは大きく異なる理由を理解できた。(ブラジルの海水準変動は日本と似ている)

産業技術総合研の斎藤文紀の第3章、アジアの大規模デルタ、にはタイ国における地下水くみ上げによる地盤沈下がチャオプラヤ河の河口デルタ平野の海岸線を大きく後退させた話があった。これまでに1mの地盤沈下で海岸線は約1km後退したそうである。とにかく河が土砂を大量に運んで海に向かって年間10-20mの割合で広がっていたデルタ平野で海岸を侵食する海面低下の効果は絶大である。沿岸侵食の結果で海中に電柱が林立する様子が見られるというのが凄い。(ネット上で画像は発見できず)

新潟平野では2mの地盤沈下が起こっていて、海岸侵食が起こっている地域と地盤沈下の地域がピッタリ重なっているのだから、それが海岸侵食の主要因であることは容易に理解できるはずなのに、行政当局が海岸侵食の要因としてあえて軽視していることは大変おかしい。
http://beachmollu.exblog.jp/8615692
宮崎平野北部でも沿岸部の地盤沈下が砂浜の侵食と絡んでいる気配があるが、行政当局はこれをスルーしたがっているかもしれない。

[追記]

上高地では砂防ダム建設や河川改修事業で自然改変(破壊)が進められ、相当メチャクチャになりつつあるらしい。国立公園として自然景観と生態系を保全するはずだった場所で、防災という錦の御旗をたて、それも自然環境への侵入者である人間側の営利活動などの都合を優先させるということで、河川の自然の営みが生み出した生態系を拘束する、一時的な姿に固定するための人工化で、結果として生態系そのものを破壊する「公共事業」が行われていることが報告されていた。立教大学の岩田修二の「国立公園上高地の未来像」という章である。

この件で重要なポイントは、海岸の問題でも全く同じ図式であるが、国立公園の管理のあり方として、「林野庁の土地を環境省が管理する」、そして「管理人は地主に口を出せない」という誰のための行政であるのか訳のわからない姿である実態である。公園利用が優先され、その管理手法は自然に対する干渉として行われ、その公園の姿を生み出した自然の営みを尊重しないまま人工化する、という自然破壊行為を税金を使って続けている、というのは狂っている。
[PR]

by beachmollusc | 2008-11-21 17:10 | 評論

寒波襲来

今朝の冷え込みで初霜と初氷が見られました。

日向市といっても標高20mの山中ですから、放射冷却のきつい真冬の朝には叩いても簡単には割れないような厚さの氷が張ることがあります。

今回の寒波は真冬並みだったのでしょう。1mmくらいの氷がワンコの飲み水用のステンレス容器の中で出来ていました。
e0094349_10292120.jpg
e0094349_10293295.jpg

裏庭では一面に霜が降りていて、白い朝となりました。
e0094349_10301469.jpg

[PR]

by beachmollusc | 2008-11-20 10:38 | 日記

砂丘の「安定化」という治山思想

東シナ海に面した鹿児島県の吹上浜では、かつてはチョウセンハマグリ漁業が行われていた。地元の知人によれば、海底の砂の中に潜んでいる貝の目(水管)を、船の上の漁師が箱眼鏡を通して見つけて獲ることができたそうである。また、吹上浜北部の市来、矢房川流域にある川上貝塚からは干潟のハマグリと一緒に砂浜のチョウセンハマグリの殻が出土しているので、古くからこの貝が地域住民の食材に利用されてきたことがわかる。

吹上浜の砂浜全域でチョウセンハマグリの打ち上げ殻を探索した際には、海岸イベントの時に放流されたらしいシナハマグリの貝殻しか見つからなかった。つまり、漁業資源としてのチョウセンハマグリ集団は存在していないばかりか、地域集団がほぼ消滅しているのかもしれない。その詳細を調べるには海岸が広大すぎるので、憶測に過ぎないが、砂浜侵食の激化が関係していることを疑わざるを得ない。

吹上浜の海岸砂丘は日本三大砂丘の一つとして知られている。この海岸の内陸部には砂丘が続いていて、過去に海に向かって砂浜が拡大していったことを明瞭に示している。しかし、近年では砂丘の付け根が激しく侵食され、万之瀬川の河口付近では見上げるばかりの切り立った砂の崖が見られた。 (下の写真、2003年3月20日撮影)
e0094349_13503073.jpg
e0094349_13504112.jpg

上の4年後の2007年2月20日に撮影した大体同じ場所の状況:
e0094349_10153135.jpg

e0094349_10154898.jpg

この海岸に流れ出ている万之瀬川の河口ではハマグリが一般市民の潮干狩りの対象とされていて、さらに地元のスーパーの鮮魚コーナーや道の駅で販売されていたので、小規模漁業も行われていたようである。しかし、チョウセンハマグリ集団について稚貝や打ち上げ死殻などを調べてみたところ、河口の外側の砂浜では存在が全く感知できなかった。

九州の西岸では、長崎の平戸島沿岸、熊本の白鶴浜そして鹿児島の吹上浜などで外海に面した砂浜の侵食が進んでいるようである。ただし、長崎の五島・福江島の高浜と鹿児島北部にある阿久根市の脇本海岸は例外的である。これらの海岸付近の験潮記録を見ると、特に海水準の大きな変動は起こっていないようであって、侵食を引き起こしている要因は不明である。しかし、長崎や鹿児島では沿岸部で海砂の採掘が特に盛んであって、それが要因の一つとなっている可能性が考えられる。

やや古い、一昔前の情報であるが、瀬戸内海を中心に海砂採取問題に関して中国新聞が特集記事を出している。その中で、吹上浜の海砂採取と海岸侵食・漁業被害などを報告した。
緊急・鹿児島 吹上浜からの報告
<中> 採取後、急激に進行/浜が細る ('98.5.15)
http://www.chugoku-np.co.jp/saisyu/fukiage/980515.html

砂浜侵食が起こる以前の吹上浜では、飛砂によって砂丘の発達が進んでいたようであり、内陸部の飛砂被害防止のための調査研究が行われ、その報告書が1966年に出ている。

海岸砂丘の研究 吹上浜砂丘地帯における前砂丘造成による安定法の研究
西力蔵・木村大造 1966、九州治山協会、143頁

宮崎県を含む全国各地の砂浜海岸で撮影された1960から1970年代の空中写真を見ると、多くの海岸で後浜から海岸砂丘の部分で(クロマツの)植林や海浜植物の植栽とそれを防護する堤防の建設が盛んに行われていたことがわかる。

上の研究報告では海岸砂丘についての概説があり、吹上浜の砂丘と対比させる形で宮崎平野の海岸砂丘についての記述がある。その説明に(9頁)使われていた現場写真として、一ツ葉海岸の砂丘における植生(その1)と松の植林の初期状態(その2)、を下に引用する。撮影年月日は示されていないが、1966年以前である。この時代の海岸林を人工的に植林していた状況が良くわかる貴重(希少)な写真であろう。空中写真では砂丘上に升目状の区画が認められるが、その現場の状況が撮影されている。

e0094349_135366.jpg

この報告の著者達は宮崎の海岸砂丘について、植物による被覆が行われていて「静止系」であり、植物による被覆は行われない「活動系」(日本海沿岸の砂丘と同様)タイプの吹上浜と区別した。

この研究報告では、活動系の砂丘が発達する吹上浜の砂浜海岸において飛砂を足止(安定化)させる砂防の技法、特に砂のトラップとなる垣をつくり、前砂丘を造成する方法が考案され、それに関する物理的環境条件などの測定が行われた。

著者達が認めたように、九州の西(鹿児島の吹上浜)と東(宮崎平野の砂浜海岸)では季節風の当たる方向が異なり、飛砂の発生状況が大きく異なる。また、黒潮の影響で冬でも温暖な気候に恵まれた日向灘では海岸植生がよく発達する。したがって、宮崎海岸では飛砂よりも潮害が重要な問題であり、また高潮や津波から内陸を防備する海岸砂丘と海岸林の維持がより重要な課題だろう。

潮害や高波から内陸を守るためには、遠浅の砂浜と安定した砂丘を守ることが最も効果的であると考えられる。つまり、宮崎海岸では「砂防」の思想を修正して砂丘を含む海岸地形と海岸林の総合的な保全が重要な課題である。

遠浅の緩やかな砂浜海岸は大きな波浪を繰り返し砕けさせ、エネルギーを消費させた後で汀線に波が行き当たる。砂はコンクリートの護岸や消波ブロックなどのように大量に海水の飛沫を発生させない。したがって、機能的な広い前浜を維持することは防波・防潮効果が大きいだろう。さらに、広い後浜に加えて前浜が広く干上がって乾燥することが飛砂を増大させ、それが海岸砂丘を維持・増大させる。砂丘が十分な砂のリザーブとなっていれば、稀に襲来する極めて強い台風の波浪で一時的に砂丘部分までの浸食があっても、前浜から海側に砂丘の砂が移動するだけですむだろう。移動した砂は(ビーチプロセスとして)平常時に後浜に運ばれ、さらに飛砂として砂丘に戻る自然循環(ビーチサイクル)を繰り返すであろう。

海岸砂丘の高まりの頂点から内陸部分に海岸林を造成し、砂丘の海側の前面では自然の海浜植生が砂を安定化させるような姿が、宮崎海岸の自然環境を活かす上で理想的な設定となるだろう。

海岸林として(寒冷地を除いて)全国一律にクロマツの植林を林野庁などが進めてきているが、これは地域特性を無視している。温暖な四国・九州の太平洋沿岸部では、照葉樹を主体とした海岸林がよく成育しているところが多い。串間市の石波海岸では見事な照葉樹の海岸林が国の天然記念物に指定されているほどである。

日向灘の砂浜海岸では宮崎市の海岸だけでなく、小倉ヶ浜などでも同様に、砂浜の後浜部分から前浜に向けたクロマツの拡大造林が1960年代以降に積極的に行われた結果、砂浜が大きく狭まっている。上で論じたように、砂浜の地形・環境を人為的に変えてしまったことは、おそらく全国一律の中央主導の公共事業により行われたことであろうが、結果的に地域の特性を生かしたものでないばかりか、海岸侵食問題の引き金にもなりかねない愚かなことが莫大な税金の投入で行われてしまった、と考えられる。

宮崎市の海岸で深刻化している砂浜侵食には様々な要因が複雑に絡んでいるが、海岸林の拡大造林で砂浜が狭められたことがビーチサイクルを阻害しているに違いない。砂浜海岸の保全には砂丘から後浜・前浜、そして沖合まで含め、砂が循環するシステム全体の構造と定量的な動態把握を基にする必要がある。砂浜海岸のダイナミズムに干渉して固定させようとする「砂防」思想を保持したまま、現行のような、海岸保全を中央政府の縦割り行政で行っている限り、全国で広く起こっている「砂浜海岸の消失」の拡大を、宮崎県において食い止めることは期待できない。砂浜海岸に関する行政が砂浜全体の環境保全と防災機能などの保全を調和させるためには、本来そのような仕事を担当するはずである環境省の直轄とすべきではないだろうか。これは山林の水源涵養林保全行政などでも同様であろう。林野庁や林業公社などによるなりふり構わない奥山での皆伐なども含めて、国の森林保全行政のありかたを根本から変えるべき時がきている。
[PR]

by beachmollusc | 2008-11-19 13:53 | 海岸

タニシ元気

湿田を水路のような形に整えた後で畦にコスモスの種を撒いておいたら、よい感じで花が咲きました。盛りは過ぎでも、まだミゾソバの花と競りああっています。
e0094349_8452353.jpg

e0094349_845055.jpg

旧南郷村から得たヒメタニシが定着して泥の上を這い回り、元気に暮らしています。
(ヤマ?)アカガエルの鳴き声が聞こえていましたが、卵塊は見つかりません。
e0094349_8462873.jpg

カワニナも放流してありますので、おそらくヘイケボタルの幼虫はここで、幸せな環境で育っていることでしょう。

ゲンジボタルの幼虫は室内で飼育を続けていますが、あまり大きくなっていません。
先日、O川の上流で探索したら体長5mmくらいのゲンジボタルの幼虫を1個体だけ発見しました。野外でもそれほど大きくなっていないことが不思議です。これから冬になってしまうので、その間に餌も一緒に活動(成長)低下となれば、春先に最終令の幼虫に育ってから上陸できるのでしょうか。
[PR]

by beachmollusc | 2008-11-17 08:51 | 田んぼと里山

小春日和

雨上がりの暖かい日差しの中でトンボやチョウチョが飛び回っています。
シラカシの木に止まって日向ぼっこしているアオイトトンボ?を撮影しましたが、せっかく相手がじっとしていてくれたのに、ピントあわせが極めて難しく、何とか見えるものも色合いが妙な感じとなったり、文字通り尻切れトンボになりました。
e0094349_1873799.jpg
e0094349_1874849.jpg

アカトンボは沢山いて、縄張りを主張していました。アキアカネか?
e0094349_1884849.jpg

ドラムカンの赤い色をバックにしていた擬態トンボもいました。
e0094349_18101156.jpg

[PR]

by beachmollusc | 2008-11-16 18:10 | トンボ

小倉ヶ浜 - 11月10日朝

冬に入る前の砂浜の様子をスナップに残しておきます。
小倉ヶ浜の中央部、赤岩川河口の護岸がある北側部分ですが、平坦な砂浜となって、満潮線の上で少し盛り上がってバームが出来ていました。
e0094349_19551186.jpg
e0094349_19552374.jpg
e0094349_19553374.jpg

チョウセンハマグリのフレッシュな死殻がかなり多く打ち上げられるようになっています。
継ぎ足された階段護岸の白い部分(最近修復工事があった)は上から8段目から9段目の間に砂が堆積しています。これを目印にしておいて、冬の嵐の波が護岸に届くかどうかチェックします。この部分が台風の高潮の波浪で壊されるギリギリの場所であれば、通常の時化の波が到達する可能性は低いでしょう。
e0094349_200134.jpg

[PR]

by beachmollusc | 2008-11-13 19:55 | 海岸

散歩道の路傍を彩る草花

朝の冷え込みが強まり、上っ張りを着てワンコと朝の散歩に出ました。
今が盛りの綺麗な浜を咲かせているのはツリガネソウ、ミズヒキ、ノコンギク、その他です。
名前を知らない小さなムラサキの花がひときわ綺麗に咲いている場所を見つけたので撮影しておきました。
e0094349_902267.jpg
e0094349_903475.jpg
e0094349_904570.jpg

[PR]

by beachmollusc | 2008-11-12 09:00 | 植物

九十九里浜 - 海岸砂丘はどこにある?

10月20日、九十九里浜まで埼玉(旧浦和)からドライブしました。3大砂丘の続きです。
とにかく遠かった。千葉の内陸部を見たことがなかったので、一般道路を走ったのが失敗。
九十九里浜北部に到着した時にはすでに太陽が西の空、約60キロの海岸道路の北側は海岸が見えず、南側の有料道路までひたすら走り、片貝地区から南の様子を3箇所の海岸でちらっとながめてお仕舞となりました。帰路は有料道路を突っ走って晩飯に間に合いました。

事前情報を確認したかったことの一つ、海岸道路沿いに天然ガス・ヨード採掘用の地下水くみ上げ施設が並んでいて、その工場らしきものも宮崎平野と同じ会社の看板を見つけました。砂浜侵食が騒がれている南部海岸ですが、地下水汲み上げの影響で地盤沈下が起こっていることが基本要因であるはずなのに、それが(科学的な研究調査でさえ)スルーされている現場の確認でした。

海岸道路沿いにある松林はボロボロ、海浜植物も貧相で、砂丘らしい高まりも見当たらず、これが有名な砂浜海岸の成れの果てという姿を見せ付けられました。

3箇所の海岸の名称をメモしなかったのですが、まずは北側の砂丘もどきがあった場所です。
e0094349_1072825.jpg
e0094349_1073964.jpg
e0094349_1075052.jpg

海岸の有料道路よりもさらに波打ち際によって自転車道路がありました。
九十九里浜に産卵上陸するアカウミガメの数は少ないといっても、このような舗装
道路は邪魔になるでしょう。
その舗装部分は砂に覆われていました。海水浴場の監視塔にしては贅沢な施設が、
近いうちに自転車道路と共に近いうちに波に飲まれるようになるかもしれません。
(津波が来たときに浜で逃げ遅れた人がよじ登るためのタワーなのか)
e0094349_10103335.jpg
e0094349_10104561.jpg
e0094349_10105563.jpg

夕暮れが迫っていたこと、人気もほとんどなく、わびしい九十九里浜の訪問でした。
下の場所では他所から土砂を運んできて海岸の「養浜」をやったような感じでした。
自然の砂浜海岸の美しさを失っている姿が目に付いた九十九里浜でした。
e0094349_1012251.jpg

[PR]

by beachmollusc | 2008-11-11 10:25 | 海岸