beachmollusc ひむかのハマグリ


海辺の浅瀬は水産動物のこども達のゆりかごです
by beachmollusc
検索
カテゴリ
海辺の自然を取り戻そう
 自然の恵みを後世に残すためには、その生態と環境を深く、よく知ることが基本です。

 海岸の浅瀬、干潟や砂浜は資源生物のゆりかごです。
しかし、それにおかまいなしに埋立てや海岸構造物の建設、水質汚染も加わって、日本中の水辺、海辺の環境は撹乱され、破壊されてしまいました。その結果、ハマグリなど干潟の動植物の多くが絶滅危惧種となっています。

 このブログでは、主に砂浜環境の保全を念頭において、日本各地の山、川、海の姿を調べて見てまわったこと、
そして2006年5月に移住した日向市の海辺と里山の様子や生き物などを紹介します。

このブログにリンクを張ることはご自由にどうぞ。

    - 自己紹介 -

大学院博士課程修了後7年間の海外での研究と28年余り大学教員をしていました。

海の無脊椎動物(貝、ヒトデ、サンゴ、クラゲなど)が専門、自称の学位は Doctor of
Underwater Marine Biology
(DUMB:バカセ)

楽観的な悲観論者または悲観的な楽観論者:生態的に無理をしている人類の滅亡は近いだろうが、それも自然の摂理じゃないのかな

せっかちな慎重派:ゆっくり
見極めて急いで集中的に
お仕事します

好きなもの:日本蕎麦が一番、パスタ・スパゲッティ、うどんもよし、つまりメンクイです

嫌いなもの:人混み、投棄ゴミ、マスゴミ、脳衰官僚

リンク

ひむかのハマグリ(ブログオーナーのハマグリ情報サイト)
合津マリンステーション(熊本大学の逸見教授のブログ)
ハマハマ通信(国立環境研、中村泰男博士のハマグリ研究情報)
鹿児島の貝
海辺の散歩
きんのり丸漁師生活30年
しじみ漁にまつわるブログ
みやざきの自然
みやざきの緑と風
さるなしの里
NPO子どもの森(門川町)
宮崎と周辺の植物
高原町の自然をたずねて
一般社団法人エコシステム協会
NPOアンダンテ21
防災ブログ
日本の写真集(デジタル楽しみ村)
野のものたちの記憶(岩手県のfieldnote さんのブログ)
~自然彩々~夢庵
おっちゃんの何でもニュース
里山再生計画
原体験コラム
こやま・裏山・里山 リンク
自然と遊ぶリンク集
その他のジャンル
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧

<   2009年 09月 ( 27 )   > この月の画像一覧


藪の中に咲く赤い花

雨があがっている間に朝の散歩でしたが、林道脇の薄暗い藪で見慣れない花が咲いていました。
e0094349_74336.jpg

田んぼのあぜ道では遅咲きの彼岸花が咲いています。そだつ途中で草刈にあって、伸びなおしたものでしょう。他の場所ではほぼ咲き終わっていますが、この花はこれからです。
e0094349_74534100.jpg

濡れた花がきれいだったので、おまけです。
e0094349_7464931.jpg

[PR]

by beachmollusc | 2009-09-30 07:46 | 植物

小倉ヶ浜の名前の由来

9月26日は宮崎市で(ひむかの砂浜復元ネットワーク)勉強会でしたが、今度は10月10日に日向市で「海辺の勉強会」(日向市ふるさとの自然を守る会の主催)の講師を務める予定です。テーマは「奇跡の砂浜 -小倉ヶ浜」としました。何が奇跡なのか、その内容は発表まで内緒です。

勉強会のための勉強をやっていますが、小倉ヶ浜の地名表記の問題がいまだにくすぶっています。地図や行政文書、その他の案内文書などで「小倉ヶ浜」と「お倉ヶ浜」が併用されていて、統一されていません。私は国土地理院発行の地形図に従って、前者の表記を使っています。どちらを使っても他に紛らわしい浜が無いようなので、特に問題は起こらないのですが、統一された方が良いでしょう。奇跡の砂浜として全国的に認知されるようになれば、複数の表記のままでは不都合になります。

宮崎県のサイトには「宮崎の神話と伝承101」という記事があって、7番目に「お金ケ浜・お倉ケ浜」があります(著者:甲斐亮典)。
http://www.pref.miyazaki.lg.jp/contents/org/chiiki/seikatu/miyazaki101/shinwa_densho/index.html

これは欲張りをいましめる説話として弘法大師を登場させる同様な話の一つのバージョンですが、お金とお倉という二人の女性の名前に由来して浜の名称が付けられたことにされています。そうであれば、なぜ「お金ヶ浜」としないのでしょうか。

弘法大師が金ヶ浜ではハマグリが獲れないようにしたはずですが、実際は平岩の漁民が潜って獲っています。水無川伝説では(普段は)実際に水が枯れている川筋の姿を説明する説話として、欲張りバーサンと弘法大師を登場させて納得させることが出来ます。しかし、実際にはハマグリが獲れなくなってはいない金ヶ浜の現状に対して、伝説は意味を成しません。

このような矛盾に対して、昔、金ヶ浜からハマグリが消えた時代があって、それを戒めるための話であると解釈している人があったようです。

「ようこそ宮崎」サイトには民話のコーナーが設けられていて、お倉とお金の話も取り上げられています。
http://www.0503ak1025.net/minwa1.html

このサイトでは面白い説明が出ていました。

「金ヶ浜にもお倉浜と同じくこんにちではハマグリがとれるのに、とれないという民話がなぜおこったのか。たしかに以前は金ヶ浜ではほんとうにハマグリがとれなかったからこそ生まれた民話であると考えられるが、その原因はたたら製鉄の鉄穴流しで川の水や海が赤く濁ったためではないかということになる。」とは佐藤忠郎著の「郷土の地名雑録」の「金ヶ浜」に関する記述の一部です。

氏は同著の中で、金ヶ浜に意地悪な女性がいたためにハマグリがとれなくなったという民話は古代の公害かくしではなかったかと推論して、また、金ヶ浜は砂鉄が多くあって昭和の初期には砂鉄の採取が行われていたことをなどを紹介しています。
 (引用おわり)

砂鉄は比重が大きいので、砂浜海岸では波で砂鉄が選別され、まとまった層を作ることがあります。種子島や鹿児島南部では、海岸の砂がほぼ純粋な砂鉄として採れるところもあります。

種子島には地名としても「鉄浜海岸」があり、サーフィンの名所になっています。鉄砲鍛冶の鉄が良質な砂鉄資源に依存していたことは良く知られています。
http://www.furusato-tanegashima.net/kaigan/kanehama.html

金ヶ浜に砂鉄があったとしても、昔のたたら製鉄では山から切り出した土砂の中から砂鉄を渓流で選鉱したものであって、海辺の砂鉄を使っていないのではないかと考えられます。

たたらの話 「近世たたら製鉄では鉄穴ながしと言う手法で砂鉄を採取します。」
http://www.hitachi-metals.co.jp/tatara/nnp020605.htm

金ヶ浜には河川と呼べるような流れが浜にありません。雨が降れば砂の上にいくつか水の流れる筋が出現しますが、「鉄穴ながし」はとても出来ないし、砂浜の砂鉄は海辺で選鉱済みです。ということで、公害隠しというのは思いつきだけで出された珍説ではないかと考えられます。

写真は昨年6月18日撮影の金ヶ浜の様子です。アカウミガメの上陸した足跡が残っていました。
e0094349_8535636.jpg
e0094349_854572.jpg

[PR]

by beachmollusc | 2009-09-29 09:17 | 海岸

犬の散歩を禁止する公園

小倉ヶ浜には松林を伐採した場所に建設されている総合公園があって、これからの季節の週末には色々なスポーツ行事が行われ、にぎわうでしょう。公園の一番奥の駐車場を利用するサーファーが赤岩川の河口沿いに歩く姿、そして犬の散歩や波打ち際のウオーキングなど、数は少ないながらも公園の駐車場利用者がいます。

この公園は基本的に運動公園として施設設計されたようであり、小倉ヶ浜とその海岸林の利用は副次的に見られているという印象です。駐車場所が他にはほとんど無いので、海岸中央部の運動公園の駐車場を使うことになります。

公園のゲートから駐車場までの通路脇には各種の「禁止」看板がびっしり並んで立てられています。掲示しなくても当然守られるべき事項は看板が見苦しいだけです。そして、犬の散歩をしないでくれという準禁止の注意看板は公園の利用者を馬鹿にしています。

普通は朝夕の人が少ない時間帯、特に早朝が犬の散歩時間です。公園のなかに当然あってしかるべきドッグランの設備がないので、毎回、誰もいない砂浜の中でミッキーを走らせるチャンスを伺っています。他の犬や人(犬嫌いがいるかもしれない)が見通せる範囲にいないのを確かめ、ロープから離して思い切り走らせます。

e0094349_16304365.jpg

[PR]

by beachmollusc | 2009-09-27 16:30 | ワンコ

ツタの紅葉

朝の散歩に出るときに気温が下がっているのでミッキーは元気一杯です。しつけ損なっているので、自分が主人のつもりで先を急ぎ、グイグイと綱を引っ張るのでかないません。おかげでよい被写体が現れても撮影は帰り道で、主が息切れした時点になります。

散歩道に見られる植物で紅葉がもっとも美しいのが岩の表面を這っているツタの一種で、名前は知りませんが、ごく小さい葉の種類です。上下の列で色づきのスピードが異なっています。
e0094349_1825075.jpg
e0094349_183169.jpg

このツタは草刈の犠牲にされないので、毎年楽しめます。
[PR]

by beachmollusc | 2009-09-25 18:04 | 植物

水源の森つくり

山ノ神山の尾根筋で大きな実が生っていたシマサルナシを見つけた喜びは前に報告した。

その場所で行われていた緑資源機構の「水源の森つくり」の現場は極めてショッキングな有様だったが、現場を見渡せるような場所がなかなか見つからないので、現状を写真で紹介することはかなり難しい。最新の高解像度の空中写真があれば良くわかるが、県北部の写真はオンラインで公開されていない(延岡の竜巻災害の直後の写真が国土変遷アーカイブにあるだけ)。2005年の集中豪雨の爪あとの写真は撮影した会社が一部を公開しているが、この場所は該当していない。

陸地峠の探訪の後、林道:松瀬・歌糸線の歌糸集落側(国道388号線の沿線)から山ノ神目指して登ってみた。前回はこの林道を途中から勘違いで県道43号線側の集落に降りてしまったので、完走していない。幹線林道や大規模林道には道しるべがあるが、このような一般林道では分岐点での行き先標識がない。GPSの読みではまだ先かも知れないと思いつつ、良い状態の方が主道だろうと判断して間違えたのだった。道路地図や地形図で記された林道はほとんどあてにならない。

歌糸の集落は谷間の渓流沿いにあって、水田の他には茶の栽培が目立っていた。霜害を防ぐための屋外扇風機がポツンと立っているようなのどかな村であった。肝心な林道の標識は全く無いので、勘を頼りに山に向かって進んだら、前に走った山ノ神山の尾根の少し東側に続く尾根筋が見えてきた。
e0094349_1821566.jpg

山頂の南側が見えているのだが、尾根筋が広く伐採されて裸になっている様子が麓から見ても良くわかった。
林道を登りながら見えた山腹の惨状を紹介する。
e0094349_18233196.jpg
e0094349_18233828.jpg
e0094349_18234671.jpg

e0094349_183985.jpg

e0094349_18235353.jpg

林道は部分的に舗装が切れていて、ガレのある砂利道の部分が断続的に現れるからライダー向きではない。道を塞いで通行できなくしているような斜面崩れの場所はないが、舗装面にかなりの落石があった。
e0094349_18264610.jpg

この谷間の林道沿いには砂防や治山の堰堤は見つからなかった。

水源の森を作るということを口実にした林業、しかも大規模な皆伐で山を丸裸にして、その跡地をそのまんまに放置しているように見える。このような状況は九州山地ではごくありふれているようである。

林野行政は山林の手入れを呼びかけ、ボランティアを募集したり、森林税を徴収したりしているが、現場の姿が一般市民の眼に触れないのを良いことに、実際は何をやっているのだろうか。
[PR]

by beachmollusc | 2009-09-24 18:32 | 環境保全

陸地峠、西南戦争の古戦場

北川の河川漁業協働組合は名物のアユ資源を守るため、北川支流の小川の源流域(矢ヶ内川)の山地を「水源の森」として保全する取り組みをやっています。林業による山地の荒廃が進み、河川を痛めつけているため、伐採されないように自分達でお金を出して山林を借りています。

この取り組みは2009年度の第8回MRT宮崎放送環境大賞を受賞しています。
http://www.mrt-miyazaki.co.jp/event/contents/09kankyou/?id=index

水を守る森を残そうかい (北川漁業協同組合)延岡市 北川町

河川流域の多様性の有る雑木林を保全し、豊かな水をつくるため、平成12年より水辺の環境保全の取り組みを行っている。川と親しむイベント、夏の河川プール、障害者を招いてのイベントも行っている。

受賞の理由:海と山の関係に早くから注目して、主催者と参加者が楽しみながら年間を通じて様々な活動を展開してきた実績と、内水面漁協が380haに及ぶ森林保全に取り組んでいる先見性が高く評価されました。

e0094349_1859237.jpg

前に2回現地を訪れていますが、この看板の写真がうまく撮れていなかったため、土曜日の勉強会で使う写真を本日(23日)撮影してきました。当然、付近の林道のサル・マタ探索もやりましたが本日は収穫なし。

矢ヶ内川の最上流の集落(おそらく宮崎県の集落として最も北に位置する)陸地(かちじ)の先に陸地峠があって、そこが西南戦争の戦場となったことから一度は行ってみたかった場所です。1877年9月24日は西郷隆盛が鹿児島の城山で自刃した日です。

ネット検索してみたら、同じコースで現地を最近訪れたレポートがあり、同じような写真が多数重なっています。

西南役余話 史跡を訪ねて 陸地峠古戦場・1,2,3
http://www.geocities.jp/seinan_eki/ooita/katiditouge-1.html
http://www.geocities.jp/seinan_eki/ooita/katiditouge-2.html
http://www.geocities.jp/seinan_eki/ooita/katiditouge-3.html

陸地集落内にあった案内パネルです。
e0094349_19284437.jpg

陸地の集落から峠までの林道は完全舗装でした。落石が少しありますが支障ありません。
e0094349_1931839.jpg

峠のすぐ下に水汲み場の標識がありましたが、沢は乾いていました。
西郷軍が立てこもった時期は梅雨だったようで、水に困らなかったのでしょう。
e0094349_19294870.jpg

峠の周辺で山腹は激しく伐採されていました。
e0094349_19383927.jpg

e0094349_1937418.jpg

峠で林道がT字路となっていて、ラミネートが汚れてしまった説明文あり。
e0094349_19473096.jpg

e0094349_19393663.jpg

看板の所にあった階段を登って行くと、お地蔵様が待ち受けていました。
延命地蔵尊です。
e0094349_194233.jpg

急な坂を上り続け、その先に石碑を見つけました。
e0094349_19491441.jpg

さらに、奥には塹壕群があるようですが、ここまでで引き返しました。
北の方角、大分県の山なみを遠く見ると、どこもかしこも林道と伐採された跡だらけです。
e0094349_19442944.jpg

峠のT字路で左折すると直川方面に向かい、以前訪れた直川ダムから、さらに超険道の603号線で大越グリーンピア公園に出るはずです。

舗装されたばかりの右折する道は地図に載っていないのですが、標識に「直川・蒲江線」とあったので、蒲江に出ることが出来るなら道も綺麗だしOKだと考えて進みました。しかし、4キロあまり先で舗装が終わりで、工事中の看板も出ていないので、途中で工事が(予算切れ?打ち切り?)中止されているようです。
e0094349_19551792.jpg
e0094349_19552865.jpg

林道の先の方は路面が荒れたダート道のようなので、しかたなく、来た道を通って戻りました。

陸地から降りて、北川と北浦を結ぶ県道43号線から国道388号線に移って古江に向けて走ると、途中で「地下」という集落を通ります。地上にある集落ですが、なぜかこの地名が付けられています。読み方は知りません。地下の周辺では東九州自動車道の建設工事で休日でもダンプカーのラッシュでした。
e0094349_202554.jpg

[PR]

by beachmollusc | 2009-09-23 20:01 | 日記

地すべりと林業

26日に宮崎市で開催される「ひむかの砂浜復元ネットワーク」の勉強会で話題を提供するため、情報収集と分析をしてまとめています。パワポスライド「山幸彦のなげき」の原型が出来上がったばかりですが、最近の林道探索中に気がついた林業の問題、斜面崩壊との関係を広く知ってもらうべきであると考えます。砂浜環境の問題は流域河川の上流の山地で起こっている問題と密接に関係しています。

2005年9月に九州を襲った台風14号は宮崎県の山間部に数多くの大規模斜面崩落をもたらした。これに関する情報は応用地質分野の専門家たちによって多数の論文報告として発表されている。それら参照文献のリストを作っている余裕はないが、読んでいて驚いたことは、地すべりや土石流、斜面崩壊に関する議論では、「斜面の角度」、「地層の特性、特に滑りやすい境界面」、「降雨と地下への浸透、水圧」などの直接的な要因が論じられているが、斜面で土砂と一緒に滑り落ちていた樹木に関する情報が欠けていることであった。

地形・地質、降雨などの自然要因が重要であることは否定できないが、大規模な斜面崩壊や土石流の発生で崩れ落ちた樹木や現地の環境改変(植林や林道建設)状況について興味・関心が全く寄せられない(らしい)ことはとても不思議に思われた。岩石、土砂だけを見ているだけでよいのだろうか。

かだいおうち(鹿児島大学応用地質学)サイトで(2004年に退職された)岩松名誉教授が記された:
「九州山地の大規模崩壊、大規模崩壊の地形的特徴」から引用する。
http://www.sci.kagoshima-u.ac.jp/~oyo/collapse.html

 これは宮崎県椎葉村大河内の写真です。一見して一番よくわかるのは、山腹にいわゆる「はらみ出し」地形が見られることでしょう。この部分には崖錐堆積物(崩壊土砂)が厚くたまっており、幹曲がり樹木も見られます。常時ずるずる滑っている(クリープしている)証拠です。植物の背地性という言葉を思い出してください。幼木の時地面のすべりによって傾いたため、真っ直ぐ上へ伸びようとして曲がったのです。
 また、山頂部を歩くとクラックや二重山稜(尾根)も観察されます。山腹がクリープしてずり落ちたため、頂部に引張の力が働いたことがわかります。さらに、下部には小規模な崩壊が見られます。山腹のはらみ出しに伴う末端崩壊です。これを単なる小さな山崩れだと見過ごすと大変です。この斜面はまだ大規模な崩壊を起こしていませんが、はらみ出し部分がせり出してきて耐えきれなくなると、いずれ一気に崩壊する恐れが強いと思います。  (後略) 以上、岩松・下川(1986)による
  

上の論説に使われている写真の引用については、まだ著者の了解を得ていないので、画像リンクのURL。
http://www.sci.kagoshima-u.ac.jp/~oyo/gif/okawauti.gif

同じ著者が退職後に書いた雑文からも引用する。
老眼やぶにらみ地すべり学―次世代に期待する― 
岩松 暉(斜面防災対策技術協会地すべり防止工事士技術講習会)
http://www.geocities.jp/f_iwamatsu/retire/hyperopia.html

1.はじめに―私の懺悔―

 1986年、「片状岩のクリープ性大規模崩壊」という論文を書いたことがある。その中で、宮崎県椎葉村本郷地区の山腹に凸地形(いわゆる胎み出し地形)があり、その下部に末端崩壊がある。この末端崩壊は大規模崩壊の前兆現象であって、やがて崩れるであろうと述べた。その写真を鹿児島大学のホームページ「かだいおうち」にも載せておいた。ところが、2005年9月6日、台風14号により、まさにその場所が大規模崩壊を起こしたと、メールを頂戴した。さて、20年前の予言が当たったとして胸を張って良いのであろうか。過疎地のため、人的被害がなかったからよいものの、もしも人命が失われていたら、恐らく責任を追及されたに違いない。学術雑誌の片隅に書いておいただけで、住民にも行政にも警告しなかったからである。その後、崩壊地頭部に林道が建設されたことも知らなかったが、当然、ルート変更を提案すべきだった。なぜ、積極的に働きかけなかったのか。「やがて崩れる」というだけで時間の目盛が入っていないことが示すように、遠い将来と考えていたからである。活断層の話でも、明日動いても不思議ではないし、1,000年後かも知れないなど言って、地質家はひんしゅくを買っている。われわれの世代の地質学では、人間の寿命のオーダーでの予知予測が出来なかったのである。次の世代の方々にはぜひ土砂災害でも短期予知が可能になるくらい学問を進歩させていただきたいと願っている。  以下略 (2008年7月)


この「大河内における大規模斜面崩壊」の現場を9月14日に自分の目で見てから、これに関する情報を集めてみたが、岩松さんの文章がヒットする前に南九州大学の高谷精二・鈴木恵三の共著の報告を見つけた。

高谷 精二・鈴木 恵三 (2007) 2005年台風14号による宮崎県内に発生した巨大崩壊 
日本地すべり学会誌 : 地すべり = Journal of the Japan Landslide Society : landslides 44(2) pp.90-96

一ツ瀬川上流、大河内における斜面崩壊の詳細がこの報告に含まれているが、高谷研究室のホームページには現場で撮影された、崩壊した2005年の12月と2007年8月の写真が掲載されていた。
http://takayalabo.web.fc2.com/index.html
下のURLリンクは2005年12月9日撮影の斜面崩落現場の正面から見た全景写真である。
http://takayalabo.web.fc2.com/sokuhou/hongou/h-shoumen.JPG
これと自分が先週撮影した写真を見比べてみた(クリックすると拡大します)。
e0094349_9515792.jpg

この写真では良く見えないが、崩壊斜面の最上部には林道が修復・建設されている。
下はその林道部分を拡大した写真である。ガードレール、フェンス、そして林道下の斜面の土止めが見える。
e0094349_9571289.jpg

高谷研の2007年8月の写真では、林道補修建設の途上の写真があった(下のURLはそれぞれ全景と林道補修建設現場)。
http://takayalabo.web.fc2.com/sokuhou/hongou/070824-2.JPG
http://takayalabo.web.fc2.com/sokuhou/hongou/070824-7.JPG

そもそも、ここで補修された林道が最初にいつ建設されたのか、また周辺の植林の履歴がどうなっているのか、など知りたいことはどこにも記述がない。

上に引用した岩松が述べた「その後、崩壊地頭部に林道が建設されたことも知らなかったが、当然、ルート変更を提案すべきだった。」というコメントは、斜面崩壊前にすでに林道があったことを示すだろうが、1986年の論文が書かれた時点ではどうであったのだろうか。

念のため、空中写真の閲覧サービスで国土地理院の1976年撮影のカラー写真を見たが、オンラインでは解像度不足で良くわからない(ただし、1976年までに行われた大河内周辺の山中で大規模な森林伐採の痕跡が見える)。

急斜面で尾根まで植林されたスギの高密度に育った大木が斜面を不安定にさせているようにも思えるし、集中豪雨の際に林道が川筋のようになり、谷間に雨水を集中・浸透させるようにはなっていないのだろうか。また、そこに治山ダムや砂防ダムがあれば、その部分では何が起こっているのだろうか。

高谷研究室サイトには、各地で破壊された砂防ダムの写真集があったが、そもそもこれらのダムの機能はどのように考えられ、設計されているのか、さっぱりわからない。斜面を安定化させるという建前で建設されていることは知っているが、実際にそのような構造物が期待された機能を発揮しているかどうか、いくら探してみても実証されたような情報は見当たらない。

林道と地すべりに関する報告はいくつもあるが、林道建設を含む林業の山地斜面の崩壊とのかかわりについて実態を深く調べている報告は少ない。下に参考例をメモしておく。

末峯章 「林道建設と地すべり活動について2」
http://www.dpri.kyoto-u.ac.jp/web_j/hapyo/05/p17.pdf

松元 正美 (2006) 「台風14号による林道被害状況」  鹿児島大学農学部農場技術調査報告書 14, 28-29

2年前に樫葉オートキャンプ村を訪問した時は、その先に進んで椎葉村の大河内に出る林道が(路面崩壊で)全面通行止めだった。
e0094349_14223597.jpg

また、キャンプ場手前の林道が谷を渡る場所には橋があり、その下に砂防(治山?)堰堤の列が土砂で満杯になっていたが、何時崩れ落ちてもおかしくないように思われた。
e0094349_1423465.jpg

さらに、もう少し前の場所では治山ダムの周囲で山地が崩壊していたが、このダムはどう見ても意味の無い状態になっていた。
e0094349_14254051.jpg
e0094349_14254885.jpg
e0094349_1425578.jpg
e0094349_1426549.jpg

この光景を見てから、県内各地で山地の谷間に建設されているものすごい数の堰堤の姿を注意してみているが、何のためにその場所にあるのか、さっぱりわからないものがほとんどであった。

水を溜めるダムでも決壊したら下流では大変なことになるが、土砂を溜め込むダムは決壊したらもっと危ないのではないか。

以前、砂防ダムによる防災キャンペーンで小中学生にポスターを作らせてコンクールなどをやっていた情報を見たが、「砂防ダムがあるから土石流なんて怖くない」という子どもが書いたキャッチフレーズを見てゾッとしたことがあった。

http://www.pref.shiga.jp/h/sabo/06_hou/files/e-shinbun/boshu/nyusyosakuhin.pdf
上の滋賀県だけでなく、各県で同じコンクールを続けているらしい。宮崎県でも募集案内があった。

幸いなことであるが、宮崎県内の多くの堰堤は崩れても特に人的な被害が出そうにも無い、何も守るべきものが無い場所に建設されているようだ。
[PR]

by beachmollusc | 2009-09-22 10:20 | 評論

小倉ヶ浜の誤岸と高潮

今朝は小笠原方面を通過した台風14号がもたらしたウネリの大波が寄せている小倉ヶ浜を見てきました。
赤岩川の河口に出ましたが、さすがにサーファーの姿は見られません。
e0094349_8272020.jpg

波打ち際にサギと上空でツバメが数羽飛び交っているだけでした。河口の不思議なコンクリート構造物に波が届いていました。
e0094349_8234782.jpg
e0094349_8235512.jpg

河口の階段護岸の一部にも波が届いて濡れていました。砕けて寄せて滑らかになってから届いた状態であって、波浪として当たらなかったことがわかります。海岸植生にはギリギリで波が当たったようです。
e0094349_8264998.jpg
e0094349_8265869.jpg

この護岸の無意味さ、有害無益であることを広く認識してもらい、できるだけ早く撤去されるように願っています。
[PR]

by beachmollusc | 2009-09-20 08:29 | 海岸

山ノ神の恵み

18日の林道探索のターゲットは、シマサルナシを狙って北川と北浦の境界をなす尾根筋を走りました。

林道、松瀬・歌糸線は国道10号線と388号線を結ぶ県道43号線の松瀬の赤い橋を渡ったところが起点で、松葉小学校(6月に北川やっちみろ会のホタル博士育成講座で現地鑑賞会を実施した場所)の約3km南になります。
e0094349_8451139.jpg

この林道は麓に近い部分はかなり古い時代にしっかりと舗装されたらしい様相を示していましたが、上に登ると路面が相対的に新しい舗装となり、しかも重量物を運んだトラックによってぐしゃぐしゃにされたような、わだちの凹みのある路面が続きました。どこの林道でも似た傾向がありますが、新しい舗装部分は極めて弱いようです。

大型機械の導入で林業を振興させるという建前ですが、それにあわせた林道の開設や舗装の強化では「手抜き」工事が広がっているのでしょうか。痛んだ路面補修が追加受注につながるので、出来上がり検査で表面だけ見てもわからないし、適当に壊れやすく工事がなさているのかもしれないという気がします。

尾根に上るまでの林道は壊れた路面に集中させられて周囲を見る余裕がありませんでした。猿が目の前を横切っただけで、鹿の姿はなし。

尾根筋の標高は500mくらいで、道の両側が急傾斜で谷になっています。しかし、樹木が茂ったところが大部分ですから、万一車が転落しても木にひっかかって助かるでしょう。道幅は十分あるのでスピードを控えれば問題はありません。

尾根筋では日当たりの良い斜面下から伸びた樹木に絡んで林道脇まで登って茂ったシマサルナシとウラジロマタタビが次々に出現しました。その中で、今まで見た中で最大級の大きさの果実をたくさん実らせたシマサルナシがありました。ひどい道を我慢して走ったのが結果オーライです。
e0094349_916505.jpg
e0094349_9165947.jpg

大きさも実の付きも良いので、味がよければ栽培する元株候補の筆頭となることでしょう。

この場所の近くに今は亡き「緑資源機構」の看板が残っていました。
e0094349_9203318.jpg

この民有林での造林の費用を負担したのが廃止された緑資源機構で、看板の地図表示がH11年度です。造林は民間の事業者が受注したようです。地主は判を押す以外は何もしないでよいのでしょう。
e0094349_931890.jpg

緑資源公団は平成15年に独立行政法人化されて緑資源機構と名称変更され、平成20年に機構が廃止されたので、この看板が立てられたのは、その間のことでしょう。とにかく、かなり新しい看板です。

見取り図(地図)にある区画内の林道を少し歩いて現場を見ましたが、一面に茂ったススキ(カヤ)の背が高くて見晴らせません。
e0094349_933857.jpg

この場所では、造林(植林)する前の段階で皆伐されて、一部でスギが植林され、他はそのまま放置されたような印象を受けました。

緑資源機構は大規模林道だけでなく、このような民有林での分収林契約での山地環境改変に手を広げていたことがわかりました。このような事業は林野庁の天下り機関である独立行政法人が公金を使ってやってよいことだったのか、大きな疑問符がつきます(巨額の負債を積み重ねるだけ)。そして、何十年もの期間の契約事項を守ることなく廃止され、後始末は名前だけ変えた森林農地整備センターによるわけです。

植林された樹木が何十年も経過して大きく育った後で伐採して、その販売代金を地主、業者と主催者(緑資源)で山分け、分配するのが分収林契約です。ここでもスギ畠を作っているようですが、スギは水源涵養に役立たないでしょう。

山の斜面を丸坊主になるまで伐採して「水源涵養」とはこれいかに。一番肝要なポイントを言葉巧みにごまかすことは役人の得意芸です。

また、単一種で全国的に大規模に造林して需要と供給バランス無視では経済性が怪しくなるのは当たり前です。緑のオーナー制度という「原野商法詐欺」は分収林契約の行き詰まり(相手の山林所有者が見つからない)から考案されたもののようです。マスゴミは緑資源機構の談合事件で盛り上がったようですが、その裏に隠れている根本的な問題は見えていないようです。

看板には「山ノ神山」という地名が書かれていたので、この辺は山ノ神の在所でしょう。今回、山ノ神からシマサルナシの優良株という山の幸を恵まれたのは幸せでした。しかし、この山を荒らした天下り法人の元締め官庁に天罰が降るのは何時になるでしょうか。
[PR]

by beachmollusc | 2009-09-19 09:44 | サルナシとマタタビ

ジャケツイバラの種

4年前の10月にはじめたこのブログの1000番目の記念すべきエントリーです。

16日に樫葉オートキャンプ村の廃墟を抜けてから林道を登っていたら、ジャケツイバラが斜面側に見えました。そして茶色のマメ鞘があることに気づいたのです。
e0094349_8182715.jpg

鏡山など山道でジャケツイバラの姿を繰り返し見てきましたが、種が欲しいと探しても見つかっていなかったので、天の恵みと勇み立ちました。ところが、その鞘が高切鋏の到達限界を越えています。イバラの中に踏み込んで動けなくなるのはイヤだし、斜面がきつくて登ることも出来ません。

そこで、いよいよ、かねてからサル・マタ・ハントのために用意した、伸縮式の脚立兼梯子の出番です。

アルインコ社製の四脚伸縮脚立PRE-90F 高さ:0.68~0.98 梯子長さ:1.46~2.10 重さ5.7 kg
http://www.kana7.com/kiyatatu31.htm

軽量でコンパクトであり、足場が平坦でなくても脚の長さを調節して使えるので、車に常備しています。それを梯子にして使いました。それでも、やっとこさで届きました。
e0094349_8285827.jpg

ほとんどの鞘が口を大きく開いていましたが、中身はかなり残ったままです。
また、口の閉じたものもありました。
e0094349_829492.jpg

種はマメそのものです。乾燥してカラカラになっていましたが水に漬ければ発芽するでしょうか。
e0094349_8303613.jpg

ジャケツイバラの成分には薬効があり、西米良村では痛み止めの民間療法に使うとして川の駅「百菜屋」で販売していました。そこでは苗も売っていたので買って持ち帰っています。

ジャケツイバラは花が綺麗で、愛好家がかなりいるようですが、棘を恐れて観賞用に栽培している所はほとんど無いようです。しかし、バラやブーゲンビレアなどが栽培されているのですから、イバラの管理ができれば栽培してもよさそうです。葉も美しいので盆栽向けになるかもしれません。

沖縄や南洋では、これに近いナンバンサイカチ(愛称ゴールデン・シャワー)の花を楽しむことが出来ますが、温帯でもジャケツイバラの花が身近に楽しめる存在となるかもしれません。

ジャケツイバラはハワイなどでは「外来種」として敵視されているようです。同じ外来種のゴールデンシャワーが愛されているのに、ずいぶん不公平な話です。
Caesalpinia decapetala (Roth) Alston  (cat's claw, Mysore thorn, wait a bit)
http://www.botany.hawaii.edu/Faculty/Carr/cae_dec.htm
wait a bit(ちょっと待て)というジャケツイバラの英語名はcat's claw(ネコの爪)よりも面白いと思います。Mysoreというのはインドの地名をつけたらしいので、欧米にはインド原産のものが流れたのでしょうか。

このサイトでは、ハワイでの種子の散布について、ネズミや鳥よりも人が主役だろうと言っています。
The medium-sized seeds may be dispersed by rodents and granivorous birds, but man is almost certainly the principal dispersal agent in Hawai'i.
[PR]

by beachmollusc | 2009-09-18 08:38 | 植物