beachmollusc ひむかのハマグリ


海辺の浅瀬は水産動物のこども達のゆりかごです
by beachmollusc
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海辺の自然を取り戻そう
 自然の恵みを後世に残すためには、その生態と環境を深く、よく知ることが基本です。

 海岸の浅瀬、干潟や砂浜は資源生物のゆりかごです。
しかし、それにおかまいなしに埋立てや海岸構造物の建設、水質汚染も加わって、日本中の水辺、海辺の環境は撹乱され、破壊されてしまいました。その結果、ハマグリなど干潟の動植物の多くが絶滅危惧種となっています。

 このブログでは、主に砂浜環境の保全を念頭において、日本各地の山、川、海の姿を調べて見てまわったこと、
そして2006年5月に移住した日向市の海辺と里山の様子や生き物などを紹介します。

このブログにリンクを張ることはご自由にどうぞ。

    - 自己紹介 -

大学院博士課程修了後7年間の海外での研究と28年余り大学教員をしていました。

海の無脊椎動物(貝、ヒトデ、サンゴ、クラゲなど)が専門、自称の学位は Doctor of
Underwater Marine Biology
(DUMB:バカセ)

楽観的な悲観論者または悲観的な楽観論者:生態的に無理をしている人類の滅亡は近いだろうが、それも自然の摂理じゃないのかな

せっかちな慎重派:ゆっくり
見極めて急いで集中的に
お仕事します

好きなもの:日本蕎麦が一番、パスタ・スパゲッティ、うどんもよし、つまりメンクイです

嫌いなもの:人混み、投棄ゴミ、マスゴミ、脳衰官僚

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<   2009年 11月 ( 29 )   > この月の画像一覧


庭でリンドウが咲いた

奥野川の上流にある谷津田のあぜ道にリンドウがわずかながら残っていて、秋が深まると枯れ草の中から綺麗な花が咲くのを楽しみにしていました。ところが、今年は畦の草刈が除草剤が使われたり、放置されたりして、わずかな数が極めてわずかになっています。

竜胆の花を自宅でも咲かせたいと思って、わずかな数を損ねないように、種だけを採取して持って帰り、鉢に撒いて育てていました。しかし、これがなかなか難しい相手です。失敗を重ねてやっと理解したことは、乾燥に極めて弱いということです。鉢の土が乾いてしまうと速攻で枯れます。野外で成育状況をよく見たら、湧き水があって、日当たりが良い所に局限されています。

鉢植えのリンドウ栽培は失敗していますが、デタラメに種をばら撒いておいた成果が出ました。勝手口から外に出た足元の周辺に合計4株出ていました。そのうち2つは踏み歩く場所なので急いで掘り出して鉢に移植し、鉢の底皿に水が溜まるようにしておきました。残る2つは、それぞれ3つずつ花が咲いていて綺麗です。
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最近雨が多かったので、周囲が湿った状態が続いたのが良かったのかもしれません。花が咲かなければ雑草と間違えて(抜き取ったかもしれない)と思います。

夕方には花を閉じていました。
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by beachmollusc | 2009-11-30 17:32 | 植物

シマサルナシの採取

そろそろ熟し始めるかも知れぬと、採取時期を図っていた山ノ神山のシマサルナシ目指して北川の松瀬・歌糸林道を走りました。同行してもらったのは、前にウラジロマタタビ採集で助っ人となった、木登りが得意の大工の黒田さんです。

林道の途中で路面の舗装が大型車両の轍でぐちゃぐちゃになって突き出ている部分を叩いてへこます作業もやってもらいました。そのまま走ると前回のように車体の下の部分がぶつかってしまいます。壊れている路面の舗装が薄いことに黒田さんはとても驚いていました。

林道建設工事を請け負った事業者は完成検査の時に調べられるような場所以外は出来るだけ資材を節約して建設して、経済効率をあげているのでしょう。舗装面が壊れていても滅多に車は通りませんから、壊れていても苦情は出ないし、補修も特に必要なしということのようです。

シマサルナシはそのままジット待っていてくれました。すでに葉の色が黄色くなっていて落葉開始の状態ですが、まだ実が固くてすぐには食べられません。

黒田さんがシマサルナシが絡んでいる木に登って買い物袋いっぱいに実を採取しました。
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持って帰った実はエチレンで追熟させる必要がありそうです。
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by beachmollusc | 2009-11-29 19:08 | サルナシとマタタビ

日本海のハマグリ

柏崎のハマグリの謎を追って、日本海全体の対馬海流の流域に分布するハマグリ類の情報を整理しています。

過去にサンプルが計測されていた隠岐、そして貝塚からハマグリが出土している佐渡のどちらも現生集団は残っていないようです。

九州と本州沿岸では、玄界灘と丹後半島、そして富山湾に現生集団がありますが、どこでも海岸と河口の改修工事などで生息環境が危うくなっています。

その例外は福岡県、前原市の加布里です:
天然ハマグリ漁:前原・加布里湾で始まる /福岡 - 毎日jp(毎日新聞) 2009年11月3日
http://mainichi.jp/area/fukuoka/news/20091103ddlk40040349000c.html

柏崎にハマグリが湧くように発生したことが、海流の上流域から幼生が浮遊・流動してやってきたという可能性を仮定しても、その供給源がどこになるかを判断する材料が乏しいので、なかなか結論を出すまでには至らないでしょう。もともと昔から柏崎の地元にあった、ということも考えられますが、地元の貝類同好会のメンバーが見つけたのが最近になってからです。

地理的に近い現生集団がわずかにある富山湾ですが、氷見市の朝日貝塚とそれに近い十二町潟の自然貝層の存在を知りましたが、現地訪問で見た氷見市の沿岸にハマグリの成育できる場所は残っていないと考えられます。神通川河口にはかろうじてハマグリが残っているようですが、いつまで持ちこたえることやら。

朝日貝塚から出土したハマグリの殻を市の博物館に見せてもらって、写真撮影と計測を済ませています。これと対比する現生の貝がいないことは残念です。
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殻の写真から内接する長方形を描き、その両辺の長さを画像計測ソフトで読み取ります。これは殻の縦横比を出すことに使えますが、殻の膨らみを測定するためにはもっと面倒な作業が必要ですので、左右の殻が二枚そろいのサンプルを見つけると、直接計測が可能となります。貝塚から出土した殻の左右はバラバラですが、元は一緒だった殻が近くにありますので「左右の殻の貝合わせ」で探し出すことができます。
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by beachmollusc | 2009-11-29 08:40 | Meretrix ハマグリ

コブトリオ復活

富高川で3羽が揃っているのを見つけたので初めてパンをあげてきました。
河岸から土手までが急斜面で、草が滑るので危ないため、橋の下にある臍だしコンクリートの上を降りて、呼び寄せました。顔なじみのオバサンたちと違うけれども何かくれそうだと分かったようで、スイスイと泳いで来ました。安売りの食パン一袋があっと言う間に消えて、パンの切れ目が縁の切れ目、お尻をこちらに向けてスイスイと去ってゆきます。
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by beachmollusc | 2009-11-27 18:43

チョウセンハマグリの斃死、打ち上げ

昨日のお昼前、平岩の市会議員さんが小倉ヶ浜の南部で浜に打上げられたチョウセンハマグリを約80個持参して見えました。
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海岸線の波打ち際にかなり多数のチョウセンハマグリが打上げられていたので(小潮で朝に引き潮時間)、気になって集めて持ってこられたのです。先日来、まとまった雨が降った後に赤岩川がひどく茶色に濁り、耳川と塩見川も白く濁っていることと関連があるかどうか、ということを聞かれました。

サンプルには2個ほど大きい貝(成熟サイズ)が含まれていましたが、その他はすべて3才+の殻長が3~4センチの大きさで、2006年の夏生まれ、来年の夏に初めて繁殖群に加わって再生産できるものでした。成熟サイズになる前に大量斃死が起こることは好ましくありません。

持ってこられた時点で5個は殻を閉じる力を失っていましたが、残りはしっかり閉じていたので中を調べるためにボイルして殻を開かせました。

普段でも少数の打ち上げは見られ、その多くは寄生カニ(ピンノ)が入っていて身が痩せて弱っていることが多いのですが、今回はカニ入りは2割弱でした。オレンジ色はカクレガニのメスの卵巣の色です。
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前に塩見川の河口で大きいチョウセンハマグリが打上げられた大量斃死でも、まとまった雨があった後で何らかの原因で弱ってから嵐の波で打上げられていました。今回も状況が似ていて、雨が何かを洗い流して川から海に影響を及ぼしている可能性が伺えます。
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殻を開けて中の軟体部を見ると、ほぼ全ての個体で、砂が殻の中に入り込んでいました。これは元気な貝では見られないことです。身がやせ細っている様子から見て、健康状態が悪いことは明白です。

このような打ち上げられた貝を海に戻してやっても、砂の中に潜ってゆく元気は無いでしょう。汀線付近に転がっている間に人が拾うか、カラスに突かれて食べられ、それでも残ったものはスナガニなどによって片付けられるでしょう。

小倉ヶ浜でチョウセンハマグリの打ち上げが頻発しているのは水質汚染が関与している可能性が高そうですが、病気が流行っている可能性も否定できません。近年、アメリカではハマグリに近縁のhard clamが原生生物の寄生が蔓延して激減しました(最近では回復中のようです)。日本ではアサリが各地で斃死して激減しています。環境ストレスになる汚染などで、常在ウイルスや原生生物が共生関係から外れてホストの動物を死滅させることもありえます。真珠養殖のアコヤガイが大量斃死した事件もこれが疑われています。

小倉ヶ浜の打ち上げられて斃死するチョウセンハマグリについて、専門家による疫学的な調査が必要です。
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by beachmollusc | 2009-11-26 11:26 | Meretrix ハマグリ

藪蛇をつつく

最近、海の羊さんが藪蛇を連発したものだから、呼ばれて出てきた奴がいます。

今日の昼過ぎは温度が急上昇して18度くらいになりましたが、春が来たと勘違いして出てきたシマヘビが勝手口の前にいました。
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ごく普通のシマヘビ君で、庭で何度も挨拶した間柄です。草むしりしていたら、すぐ目の前に鎌首をもたげていたりして面白い子です。

出てきたものの、若干寒かったからか、動作が鈍くて、普通は顔を合わせるとサッサト逃げるのに、同じ場所でじっとしていました。それならピンアップ写真を撮ってあげようと、デジカメを持って出て接近して撮影しました。

最初は普通の顔をしていました。
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尻尾をつついたら、少し嫌な顔をしました。
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それでも逃げないので、さらに突いてやったら、頭を平たくして怒り出しました。
平常心の時と怒り心頭の時の顔を見比べてやってください。
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シマヘビは元気いっぱいで怒った時は、鎌首を持ち上げ、首の後ろのかなりの部分まで平たくして、シューシューと音を立てますが、今回はだんまりでした。
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by beachmollusc | 2009-11-25 17:29 | その他の両生・爬虫類

シマサルナシとキウイフルーツの系統関係

マタタビ属の各種について分子系統を調べた論文が色々と出版されています。日本国内でサルナシがキウイフルーツの先祖であるがごとき情報が広がっていますが、系統分類の研究結果を見るとサルナシとキウイはかなり遠い類縁関係にあるようです。

一方、シマサルナシは相対的にキウイフルーツに近い(祖先が分かれたのは比較的新しい)ようです。見た目もよく似ているので、ミニキウイという商品名を使ったらよいかもと考えています。(サルナシはベビーキウイとかキウイベリーとされて流通しています)

商品名がキウイフルーツと呼ばれているものには2つあり、Actinidia deliciosa(キウイ:オニマタタビ?) とA. chinensis(シナサルナシ)が区別されます。少し古い日本の文献などでは両者が識別されていなかったことで、シナサルナシとオニマタタビは同一とされています。実際には、この2種は緊密な類縁関係にあり、染色体の倍数化によって(2倍体のシナサルナシが6倍体のキウイになった)という仮説があり、それを支持する研究結果が報告されています。

Isozyme Polymorphism in the Genus Actinidia and the Origin of the Kiwifruit Genome
R. Testolin and A. R. Ferguson
Systematic Botany, Vol. 22, No. 4 (Oct. - Dec., 1997), pp. 685-700
http://www.jstor.org/stable/2419435

論文要旨の結論:
Actinidia deliciosa, the kiwifruit, (2n = 6x) and Actinidia chinensis (2n = 2x) share 34 of 40 alleles, and are consequently thought to be by far the most closely related species. Our results are consistent with the hypothesis that Actinidia deliciosa was derived by polyploidization solely from Actinidia chinensis without any other Actinidia species being involved.

シマサルナシの果実はサルナシの緑色の実と見かけがかなり異なっていて、褐色の果皮から見ても、表面的にはキウイフルーツそっくりです。

香川大学の片岡研究室の日本自生のマタタビ属植物の概要(サルナシ,シマサルナシ,マタタビ)のシマサルナシの果実についての部分を引用します。学術的に書かれているので一部を翻訳しておきます。

<果実は10~30gで,緑褐色から褐色で無毛ですが,表面に皮目(ひもく)を生じます.生育場所の環境により果実の色や皮目の発生程度は変化します.果肉は濃緑色で放射状に種子が入ります.可溶性固形物含量は10~18%で滴定酸含量は2%前後です.アスコルビン酸含量は20~50mg/100g果肉新鮮重が含まれ,ポリフェノールも多く含まれています.サルナシとは対照的に,タンパク質分解酵素(アクチニジン)の含量が極めて少ない特徴があります.食味は良好です.>

表面に皮目があることはキウイの果実の表面の皮毛と似ています。

可溶性固形物含量とは糖度に相当しています。さっぱりした甘さとわずかな酸味があります。つまり食味が良いということの背景になっています。

アスコルビン酸とはビタミンCのことです。ポリフェノールと共に抗酸化作用があり、健康維持、特にウイルス対策には効果があると思われます。丁度インフルエンザが流行する時期に実るので、食べると体によい果実の一つです。

アクチニジンの含量が少ないので、キウイフルーツの食感と異なり、しつこさが感じられません。

シマサルナシの固い実を縦と横方向に切って、中を見るとキウイフルーツ(大きい方)の断面とそっくりです。
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固いうちに収穫したシマサルナシの実は放置しただけでは熟さず、追熟にエチレン処理が必要、野外では霜が当たるようになってから熟し、実は落果しないようです。

北浦と北川の境界の山頂(山ノ神山)で見つけたシマサルナシが熟すのは今月末の頃とおもわれるので、天気が良い日に収穫に出かける計画です。
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by beachmollusc | 2009-11-24 14:54 | サルナシとマタタビ

収穫祭り

勤労感謝の日は快晴となり、昼からイワオさん宅でシマサルナシなどの収穫を祝う昼食会に招かれて参加しました。

イワオさんの石窯から煙が出ていて、Nさんが鳥を焼いていました。以前から顔なじみだった、この家の周りで番鳥となっていたシャモがつぶされたそうです。怖い眼でにらみつけられていたのが懐かしく、哀れな思いに駆られます。もっと前には七面鳥の番鳥がいましたが、それもいつのまにかつぶされたと聞きました。
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天敵さんが魚をさばいていました。今朝がた港に行って、自分で仕入れたヒラソウダなどのサシミを作っています。周囲でたくさんの大きなハエがブンブン飛び回っていたのですが、幸いアラの方に集中していました。
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出来上がった料理の数々が屋外に設置されたテーブルに配膳されます。食器は特製の竹の皿と椀とコップです。地面にはムシロが敷かれていました。
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なめたけ汁が運ばれて来ました。
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食べきれない量のご馳走に皆さんが堪能しています。
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イワオさんが栽培しているシマサルナシが熟し始めていて、皆に振舞われて良いデザートとなりました。
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by beachmollusc | 2009-11-23 17:06 | 日記

キカラスウリの試食

21日はミカン狩りで延期した都農町のシマサルナシの異常な果実のサンプリングに出かけました。

GPSで記録した場所にシマサルナシはありましたが、異常な実は全く無しで、みごと空振りです。しかし、そのようなことは織り込み済みで、ついでに近い場所のカラスウリ類のチェックをしました。

モミジカラスウリの場所に行ってみたら、枯れ果てた姿で実は残っていません。やはり、仲間内で一番気が早い種のようです。美味しいとされた実に今年はありつけませんでした。

次に、キカラスウリの実を求めて、以前から見ていたので、記憶しているあたりを探しました。薄暗くなっていたので現場の写真を撮影していませんが、キカラスウリはたくさん実っていて、まだ緑色の実もかなり残っています。これがカラスウリの仲間で一番遅れて実の熟す種のようです。

2箇所で採取して実だけ持って帰りました。一箇所は某公民館脇の防火用水のフェンスと立ち木に絡んでいたもので、道路向かいの家のワンコに吼えられながら採集しました。次は県道沿いの家の生垣に実っていたものです。家主さんにお願いしたら、こころよく採取OKということで、緑色から黄色の色々な状態の実が採取できました。この家のワンコにも吼えられましたが、すぐ仲良くなりました。

写真は右の少ないのが公民館で左の多い方が生垣から採取した実です。
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一番黄色が濃い実を縦に切り開いて中を見ました。若干嫌なにおいがして、食欲はおきません。
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中身の黄色も好感が持てませんが、味見だけはしておきました。甘みはありますが、えぐい味が同時に感じられました。完熟したらもっとましな味になるかもしれませんし、別の蔓の実は味が良いかもしれません。しかし、昔はおやつになっていたというほどの果実とは思えません。
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このキカラスウリの種はやや膨らんだ部分がありましたが、カラスウリの種とは違って、モミジカラスウリやオオカラスウリの種に近い形です。つまり、宮崎県産のカラスウリ類では、カラスウリだけが極めて特異的な形(カマキリの頭に似た姿)の種をつくるということです。

天花粉の製法の記述があったので、孫引きです:引用元は
http://www.i-apple.jp/medicinal/02/0320.html

キカラスウリ Trichosanth
大正時代の植物事典 (大植物図鑑 "キカラスウリ")

前種と同じく各地の竹林叉は樹林中に自生する攀登性宿根草本なり。概形前種に酷似すれども本種の葉は胡瓜に似て毛茸なく光澤あり。葉腋毎に鬚ありて物に絡み、夏の半に白花を開くこと等亦前種に同じ。果實は前種より稍々大形にして短く、熟すれば黄色を呈す。

【食】 果實は胡瓜の如く鹽漬として食用に供し種子よりは油を搾り、叉藥用に供す。

【藥】 本植物の根より製出したる澱粉を天瓜粉と稱し藥用に供す。去れど前種カラスウリの澱粉を天瓜粉と稱し賈る者あり。叉之れを交へて賈る者あり。其他葛粉、しょうふ?を交へて賈る者あり。純正の天瓜粉は純白色の澱粉にして主として汗疹(あせも)濕疹(しっしん)等に散布して特効あり。

天瓜粉の製法 秋の末若しくは冬季中に根塊を掘り大根おろしにて可成丁寧に磨り卸し、之れを米かし桶に入れて淸水を注入しよく攪拌し白色に濁れる水を他の桶に移せば、最初の桶の底には皮の粕、繊維等を殘留す。此の殘留物は尚澱粉を含有する見込あらば更に水を注ぎて採取する必要あれども、左もなき時は捨て去るべし。斯くして次の桶に入れたる白濁水を屢く靜置するときは澱粉は桶底に沈澱す之れ天瓜粉なり。去れど可成純白なる精撰品を採取する方が良きものなれば、再三淸水を入れて攪拌沈澱せしめて採取し、最後に布袋等にて水分を濾過し乾燥するなり。此乾燥したるものは即ち天瓜粉なれば直ちに市場に出し販賈せらるるなり。


薬になる植物 (68) キカラスウリ   笠原義正 (衛研ニュース 2005)
http://www.eiken.yamagata.yamagata.jp/news/files/138.pdf

薬理効果の中に細胞死を誘導する成分が含まれていて、皮膚炎やアレルギーを抑える効果あり、とされています。湿疹や飛び火に治療効果があるということで、食用よりも民間療法の材料として重宝するでしょう。

果肉を練りこんだ薬用石鹸や、化粧水とかクリームなどが製造販売されています。
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by beachmollusc | 2009-11-22 11:31 | その他の果物

高森山のミカン園でミカン狩り

20日は天気が持ち直した午後になってから尾鈴山方面に行ってみようかと思い立ち、尾鈴サンロードを走っていました。この広域農道のループ公園を過ぎて、谷にかかる橋のすぐ前に左折する枝道があり、そこにミカン狩りの案内の看板を見つけました。
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ミカンのストックが切れていたので、その補給をかねて、このミカン園のある高森山(341.8m)に初登山というわけです。以前、鳥インフルエンザ騒ぎの頃、この辺の林道をさまよっていた時に、道路まで消毒されて真っ白けの鶏舎をいくつも見たことがありました。

ミカン園は広域農道沿線に多数ありますが、ミカン狩りを呼びかけているのは、この場所以外では見たことがありません。日向市の中心部から車で15分くらいの距離で、手ごろな高度の見晴らしの良い山があり、そこにしっかりした舗装道路があって山頂まで登れることは知りませんでした。山頂のすぐ下にミカン園があって、日向市と小倉ヶ浜方面を見渡すことが出来ます。

ミカン園では、経営者の黒木さんが携帯電話での呼び出しにすぐ応じてくれました。
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今月一杯ミカン狩りが出来るそうです。ミカンの木々にはメジロが飛び交っていました。
日向市を一望の下に見渡せる場所となっていて、夜景がとても綺麗だろうと思われます。
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このようなすばらしい場所が市内のすぐ近くにあったことを知らなかったのは不覚でした。日向市の市民の間でもあまり知られていないようです。(観光案内などで見たことがありません)

ミカン園のすぐ近くの高台に石碑があったので、何だろうと見てみたら、道路と農地開拓事業の詳細が記述されています。
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(上はクリックすれば画像が大きくなって読みやすくなります)

国営パイロット事業とやらの一環であったようですが、サルナシの多い乙羽山と同様に、山頂まで舗装された農道が張り巡らされています。農地開拓事業の途中で養蚕が消え、ミカン栽培も厳しくなったと思われます。

しかし、その後、柑橘類は様々な品種が作出され、輸入オレンジと対抗しています。ここのミカン園でも、温州ミカンから新品種の清見オレンジ(温州みかんとトロビタオレンジを交配させた新しいオレンジ)に作付けを変えるそうです。熟す時期をずらせながら、多品種(ポンカンやデコポンなど)で観光農園経営をする戦略だそうです。味が良いキヨミは春に熟します。

この記念碑のある見晴台から展望した小倉ヶ浜の北側の景観です。
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中央の赤岩川の河口とゴルフ場が見えます。
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さらに南側の吉野川の河口付近も見えました。
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下に1970年の国会で行われたパイロット事業に関する質疑の記録を抜粋して引用する。

http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/063/0230/06311100230035a.html

第063回国会 農林水産委員会 第35号
昭和四十五年十一月十日(火曜日)


○瀬野委員 次に、宮崎県日向市を中心として一市二町村にまたがるところの美美津地区の国営パイロット事業について、農地局長にお尋ねをいたします。
 この国営パイロット事業は地域面積が千七百ヘクタールで、昭和四十二年から四十四年について開拓基本計画の調査が行なわれ、四十五年度全体実施設計が行なわれ、いよいよ四十六年度着工予定で、五十一年から五十二年度には完了予定であると聞いております。この開拓パイロットの開発構想といたしましては、ミカンが七百九十ヘクタール、養蚕八百三十ヘクタール、畜産八十ヘクタールとなっておりまして、参加農家戸数は九百七十一戸、総事業費が七十億円で事業実施の計画のようでございますが、この事業も営農指導など開発構想について、基本方針をまずお伺いをいたしたいのであります。
○岩本説明員 宮崎県の美美津地区のパイロット事業につきましては、ただいま先生の御質問にございまましたように千七百ヘクタールの農用地造成を計画しておりまして、その内訳としましてミカン園七百九十ヘクタール、桑八百三十ヘクタール、牧草八十ヘクタールの造成を計画いたしております。これら作目に関する生産団地の育成を行なうことによりまして、集団的な営農により、また機械の導入によりまして、高能率の営農を行なえるように計画を取り進めておる最中でございます。
○瀬野委員 ただいま答弁いただきましたが、この開発構想によりますと、いまも申されましたようにミカンが七百九十ヘクタール、養蚕八百三十ヘクタール、こういうことでございますが、ミカン、養蚕に重点が置かれておりまして、先ほども質問がございましたように近年ミカンの過剰生産、グレープフルーツの自由化等が懸念されまして、ミカンの生産農家は地元でも早くも心配をいたしておるところであります。 また、過日私から農林大臣に質問した海のバイパスといわれる日本カーフェリーが来年三月一日から就航することになっておりまして、これによって宮崎県では新しい産地の形成策として大型畑作の団地づくり、計画的な農産物の生産、出荷体制の整備等を行ない、食糧基地として意欲を燃やしておるのでありますが、この美美津地域の国営パイロット事業の全体開発構想の計画を若干修正、変更すべきじゃないか、かように思われるのであります。この点について従来計画した四十二年度からかなり経過をいたしておりまして、米の生産調整等の問題も起きておりますゆえに、その点あわせまして御見解を承りたいのであります。
 したがって、質問の第一点は、ミカンの栽培計画が多いが、将来の価格面等で不安がないかということでございます。
 第二点は、カーフェリー就航によって野菜づくりを導入するなど若干の計画変更は考えられないか、この二点を質問申し上げるわけでございます。その見解をお伺いしたいのであります。
○岩本説明員 この地域は平均の傾斜度が二十五度という傾斜地でございます。そういう地形条件と気象の条件を考えますと、やはり計画の内容といたしましては、ミカンと桑に重点を置いたほうがよろしかろうと考えております。特にミカンにつきましては、価格面等で御不安があるということでございますが、この計画は農林省が公表いたしております果樹農業振興基本方針の示す方向に沿いまして濃密生産団地の形成を行ない、機械の導入によりまして生産性の向上をはかり、そうして計画的かつ効率的なミカンの集出荷体制の整備をはかる前提のもとに計画をされておるわけでございます。したがいまして、この開発によってかなり高能率なミカンの生産団地が育成されるはずでございますから、将来不安はないというふうに考えております。また、カーフェリーの就航によりまして、むしろミカンや桑から野菜に計画を変更してはどうかという御指摘でございますが、冒頭に申し上げましたように、この地帯は平均傾斜度二十五度という傾斜地帯でございますので、普通の畑作物は地形から見ましてむしろ不利ではないかと考えております。もちろん米の生産調整等と関連をしまして非常に大きな条件の変更もありますし、またカーフェリーの就航ということで地元の受益者の御希望等もございますれば計画変更について考え直すことに関し弾力的であることにやぶさかではございませんけれども、ただいま申し上げました理由によりまして、耕地の造成方法と省力的な営農方式の導入を考える限り必ずしも野菜作に転換しないでも不安がないというふうに考えております。いずれにしましても、現地の御希望等を十分に承りまして、今後不安のないような開発を進めてまいる所存でございます。
○瀬野委員 ぜひ今後検討いただきまして、不安のないような開発をしていただきますようによろしくお願いします。
 なお、この美美津地域の国営パイロット事業の千七百ヘクタールの中に林野関係の林地が三百十五ヘクタールございまして、この国有林野を払い下げて活用することが含まれておるわけであります。この約三百十五ヘクタールの国有林野は私の調査では五、六年生から十年生の幼齢造林地が約百五十ないし百六十ヘクタールございまして、すでに所属がえも終わっております。土地代と幼齢木の払い下げ代金が、地元では約五、六千万円もかかるのではないかと推定いたしておるようでありますが、林野庁当局は事前に支払うことをたてまえとして要求されておると聞いておりますけれども、地元ではこの五、六千万円の負担を一時に支払うということになりますと、たいへん地元負担が重く、苦境に立たされておるのでございます。この負担についてまた支払いについて、分割支払いまたは別途考慮はできないものか、この点林野庁長官にお伺いいたしたいのであります。
○松本説明員 国有林を農地局に所属がえをいたしまして売り渡す場合には防風林等を除く以外の幼齢木の場合、農地法上の所属がえの対象になっておりません。そのために年賦払いも認められておらない。現行制度の上ではそのような方法がいまないわけでございます。そこで、この事例の場合どうしたかということでございますが、補償額が約四千七百万円でございます。それを宮崎県が営農育成資金を創設いたしまして、その資金で受益者が営林署に対しまして即納をして、この問題は解決をいたしております。
 なお、国有林野活用法案、いま継続審議になっておりますが、その活用法案が成立する場合には、そういった場合に二十五年の延納が認められるというたてまえになるわけでございます。

...................................................................................................................................
1986年の国会で行われた意見陳述を抜粋して引用する。
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/104/0230/10403180230005a.html
第104回国会 農林水産委員会 第5号
昭和六十一年三月十八日(火曜日)


○黒木参考人 ただいま御紹介をいただきました黒木でございます。
 私は、現在宮崎県の美々津地区土地改良区の事務局長をいたしておる者でございます。今回の土地改良法の一部改正につきまして、現場において土地改良の実務に携わっておる者としての立場から御意見を申し上げる機会を与えていただきましたことは大変ありがたいことでありまして、深く感謝申し上げる次第でございます。
 まず、私の意見を申し上げます前に、美々津地区農用地開発事業の概況及び経過を申し上げたいと存じます。
 美々津地区は、宮崎県の中北部沿海地帯に位置する日向市、東郷町、都農町の一市二町から成る地区面積一千百六十五ヘクタールで、背後地は尾鈴山系の畑倉山等、標高八百メートル前後の連山より成りまして、東面は日向灘に面した緩傾斜地帯でございます。耳川を挟みまして南北に二十キロにわたる標高五十メーターから四百七十メーターの地域でありまして、地層の形成は第三紀層に属し、海岸寄りの平坦地は第四紀沖積層となっております。黒潮暖流の影響で暖かくて、年平均気温は十六度から十七度と高温で、降雨量も年間二千二百ミリから二千四百ミリと多いわけでございます。また、地区が谷間を挟んだ起伏の多い地形なので、局地的にはかなり変化に富んだ気象条件となっております。
 交通事情を申し上げますと、短距離輸送につきましては、南北に国道十号線が走り、宮崎市へ一時間四十分、北九州市へは約六時間。長距離輸送につきましては、日向市細島港より川崎、大阪、神戸間に日本カーフェリーが就航して比較的便利でありますけれども、農家経営の安定、近代化のためには輸送時間の短縮を図ることが必要な地域でございます。
 この地域の農業は、山間、谷間に開けた水田を主体に行われておりましたが、地形的条件から零細農業地区でありました。また、この地区の中央を水量豊かな耳川が流れていながら、畑地帯は全く利用できる水もなく、不安定であったために、農外所得に依存を余儀なくされている地域であります。
 このような状態を打開すべく美々津地区の事業計画の構想が出されまして、土地改良長期計画の調査に基づき、かつ一方では宮崎県の新産業都市計画に対応して背後地域における農業開発、つまり県政の方針であるところの農工併進の行政の方向を当地域に具体化すべく、昭和四十二年七月に大規模開拓パイロット事業の開拓基本計画が採択され、調査計画が行われ、昭和四十五年七月に基本計画の決定がなされたものであり、地区面積は当時一千九百六十六ヘクタール、うち国有林の活用面積が二百九十六ヘクタールあります。これを対象に一千六百ヘクタールの農地造成、参加農家八百二十六戸の全体計画を完了して本格的に農地開発に取り組むことになりまして、昭和四十六年度から昭和五十三年度の八カ年計画で、総事業費七十五億五千万円の国営農地開発事業として着工され、農家の経営規模を拡大し、機械化営農に対する道路網、畑地かんがい施設等を施行し、営農作物としてわせ温州ミカン、桑園、牧草を選定、導入することによりまして地域の農業構造改善を図り、農家経営の安定と所得の向上を図るというものでありましたが、厳しい農業情勢の変化、中でも温州ミカンの新規植栽抑制措置とか価格の低迷、農業従事者の老齢化等による参加農家の農業生産に対する意欲の減退及び地形による開墾不適地等によりまして、造成面積が大幅な減少を余儀なくされたものであります。

 この事業実施につきましては、一般会計予算では予算の伸びが悪く事業完成までには長年月を要し、計画年次どおり完成しないので、昭和五十一年度に参加農家の同意を得まして、特定土地改良事業として特別会計に切りかえ、移行し、事業の
早期完了を図ることといたしたものであります。
 この時点で一番問題となりましたことは、財政投融資資金の建設利息が問題となり、県、市町で種々協議がなされまして、道路事業費の負担は市町負担とすることになり、また利息分についてはなるべく農家負担を軽くするとの話し合いがなされたものであります。
 また、参加農家は未墾地取得資金とか植栽資金、経営資金等の借り入れの返済、さらには昭和五十六年二月末の当地区の異常寒波の被害によりましてミカンの枯死等による収益城、価格の低迷が重なり、畑地かんがい施設、それに伴う維持管理費の負担等で極めて困難な状態になったので、このような実情から参加農家のかんがい施設工事の除外の陳情、請願等が出されました。県、市町の行政当局としては、水施設の必要性を受益農家に対して啓蒙されたのでありますけれども、農家といたしましては農産物価格の低迷、維持管理費の増大等、農家経営の不安定等で水計画は断念せざるを得なくなったのであります。経営状態が安定したるときは、県営とか団体営等の他事業による水施設を導入することとして、国営事業による水計画を除外することといたして、受益農家の計画変更の同意を得たものであります。
 土地改良区の設立につきましては、美々津地区の事業内容が国営事業一本やりで、県営、団体営等の末端事業もなく、本来なら事業認可申請時点で土地改良区を設立することが常道であると思いますが、この地区の事業推進は一市二町の行政主導の促進協議会で進められたものであります。昭和五十四年度より、計画変更の説明会と一緒に、土地改良区の設立も並行して進められて設立が図られたものであります。
 この地区、団地の説明会で、計画変更の水の問題のほか、事業費の地元負担金軽減のことが受益農家より強く出されましたので、土地改良区といたしましては農家の負担軽減に努力してまいり、幾分かの負担金軽減がなされたものであります。
 土地改良区は、昭和五十七年六月県知事の認可を受けて設立され、ようやく三年七カ月の改良区でありますが、国営事業が昭和五十九年度、六十年三月に十四カ年の長年月と総事業費百四十七億円で工事並びに換地業務としての換地処分及び清算事務も同時に完了となりました。
 この工事の完了に伴いまして、昭和六十年度、六十一年三月より事業費の据置期間の償還に入ることになっております。この地元負担金につきましては、国、県、市町において、それぞれ負担額の引き上げが図られましたので、農家負担が幾分か軽減されましたが、これは農業振興を図るとの観点で、県条例で地元負担は四十六年から五十七年までが一一%、五十八年、五十九年が五・六%となったものであります。農業情勢の厳しい折からであるので、農家には頑張っていただくよう、改良区の役職員一体となって努力いたしているところであります。
 本土地改良区の問題点を申し上げますと、第一点として、土地改良区の運営の問題があります。御承知のように、兼業農家がふえてまいりますと、農家の考え方も多様化して、せっかくの有意義な事業を実施いただいても、組合員の土地改良区に対する関心が薄れてまいることであります。
 第二点としては、維持管理について、昭和五十九年の法改正で排水処理等については改善が図られておりますけれども、耕作農道等については、地方交付税も五十九年度より五カ年間で減額補正されることになっており、新規の農道については交付税の算定基準の対象から外されております。弱小の土地改良区といたしましては、市町との助成の話し合いもなかなかであります。維持管理等のことの問題が出てくるわけでございます。
 第三点といたしましては、山林原野を開墾して、また急傾斜地でありますので豪雨等による災害の心配があることであります。この災害防止のために農地保全事業を行政当局へお願いしておるところでございます。
 第四点といたしまして、事業費負担金の徴収の問題がありますが、負担金は確定いたしましたので、組合員に十分に説明を申し上げております。また、前に述べたとおりでございますが、農業情勢が厳しいので、償還条件あるいは税制面等の緩和はできないものかと思っております。
 今回提出されました改正法案につきまして簡単に意見を申し述べさせていただきます。
 土地改良事業は、農業の生産性の向上、農業構造改善の推進を図る上で重要な事業であることは申すまでもありませんが、しかしながら、近年の土地改良事業におきましては、工期の延伸、完了の遅延で工事費の増加等の事態が生じておりますことは、土地改良事業に参加する農家にとっては甚だ迷惑なことであります。参加者、また土地改良区としても、計画どおり一日も早く工期を短縮して早く事業効果が生ずることを望んでいることであり、また、事業参加者は事業負担金が幾らかということが最大の関心事であります。事業負担金のいかんで事業の遂行も左右されるというものであります。
 今回の土地改良法及び特定土地改良工事特別会計法の一都改正につきましては、借入金をもってその財源とすることができる国営事業の範囲が拡大されることは、土地改良事業遂行、推進上、土地改良事業の早期完成が図られること、農家の負担が増加しない等のことでは期待が持てるわけであります。事業が計画どおり実施されれば、本当に一定の評価はできると思います。しかし、県、市等の地方財政事情も厳しい折からでありますので、国としても配慮していただきたいと存じます。
 そのような意味におきまして、今回の提案されている改正案につきましては時宜に適したものと考えられますので、ぜひとも委員の皆様方のお力によりまして、できるだけ早く成立を願いたいと思う次第でございます。
 以上述べまして、私の意見といたします。どうもありがとうございました。(拍手)

 (これに続く質疑応答は省略)

国営パイロット事業は日向市とその周辺の山間部に多くの耕作放棄地をもたらす結果に終わっている。周辺の現状としては、みかん園を中心とした小規模な農業に加えて養鶏場と産業廃棄物関係の企業が立地している。また、広域農道とその枝道である農道、林道の舗装道路が都市部へのアクセスを容易にしているので、粗大ゴミの不法投棄が目立つ。

国会での質疑・証言を見ていると、この事業で目指したミカン類栽培の先行き不安が論議の的となっていたが、養蚕については問題視する意見が見られない。

塩見地区の家の周囲もかつては桑畑だった(それが栗園と杉畠に変わったらしい)。これから見て、近代養蚕業の発展が当時の山間部の農地開拓の目的に掲げられたことは、(拡大造林と同じく)農水省による基本的な政策課題となっていたと理解できる。

貿易自由化の時代になってから、養蚕業と林業の先行きを読めない(わかっていたがわざと無視した?)中央官僚が、各地でこのような大規模な開拓事業を展開した事実は極めて不可解なことである。個人ではできない、行政が本来やるべきソフト面の支援を充実させる投資、関連する技術開発、試験研究などは置き去りだったように思える。

養蚕業についてその歴史を総括した論文を見つけたが、1962年に繭と生糸が輸入自由化され、その後の約20年間で国内の生糸生産は事実上消滅状態となっている。引用した1986年の国会での意見陳述の中で養蚕:桑畑について全く言及されていない。

現代蚕糸業の社会経済的性格と意義  -持続可能な農村構築への示唆-
矢口克也 (2009) レファレンス No. 705, 平成21年10月号
http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/refer/200910_705/070502.pdf

このように、中央官僚が計画した事業が地方に降ろされて、大きな不安要素を抱えながら破綻するまで強行された結果、現地で事業計画に巻き込まれていた開拓農民の苦難は計り知れない。この美々津地区の国営パイロット事業はなぜ(どのような政治力が働いて)強行されたのだろうか。これは農業の発展というよりも、土建事業の推進が本当の目的であったのではないだろうか。

みかん生産の問題について、オレンジの輸入自由化後、1995年に発表された論文がある。これによると輸入自由化でみかん生産が直撃を受けたのではなく、むしろ時代の流れで消費動向の変化(少数品種の多量消費から多品種の少量消費)が問題となったらしい。需要と供給の動きが消費・生産と直結しているのであるから、生産計画の基盤整備は市場の動向が読めない中央官僚任せにするべきではないことが教訓となる。

麻野尚延 (1995) 輸入自由化と柑橘産業.  愛媛大学農学部農場報告(Bull Exp Farm Col Agr, Ehime Univ), 16, 85-92
http://web.agr.ehime-u.ac.jp/~farm/16(11).pdf

中山間地農業を安楽死に導く施策を考えて(煙草の煙に消えるだけの)零細補助金をばら撒き、上から押し付けの不合理な規則で縛り、偽装農家を産んで育て、民間の知恵と努力を働かせる自発的な取り組みの足を引っ張るような行政組織は誰のためにあるのだろう。
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by beachmollusc | 2009-11-21 09:39 | 日記