beachmollusc ひむかのハマグリ


海辺の浅瀬は水産動物のこども達のゆりかごです
by beachmollusc
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海辺の自然を取り戻そう
 自然の恵みを後世に残すためには、その生態と環境を深く、よく知ることが基本です。

 海岸の浅瀬、干潟や砂浜は資源生物のゆりかごです。
しかし、それにおかまいなしに埋立てや海岸構造物の建設、水質汚染も加わって、日本中の水辺、海辺の環境は撹乱され、破壊されてしまいました。その結果、ハマグリなど干潟の動植物の多くが絶滅危惧種となっています。

 このブログでは、主に砂浜環境の保全を念頭において、日本各地の山、川、海の姿を調べて見てまわったこと、
そして2006年5月に移住した日向市の海辺と里山の様子や生き物などを紹介します。

このブログにリンクを張ることはご自由にどうぞ。

    - 自己紹介 -

大学院博士課程修了後7年間の海外での研究と28年余り大学教員をしていました。

海の無脊椎動物(貝、ヒトデ、サンゴ、クラゲなど)が専門、自称の学位は Doctor of
Underwater Marine Biology
(DUMB:バカセ)

楽観的な悲観論者または悲観的な楽観論者:生態的に無理をしている人類の滅亡は近いだろうが、それも自然の摂理じゃないのかな

せっかちな慎重派:ゆっくり
見極めて急いで集中的に
お仕事します

好きなもの:日本蕎麦が一番、パスタ・スパゲッティ、うどんもよし、つまりメンクイです

嫌いなもの:人混み、投棄ゴミ、マスゴミ、脳衰官僚

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オランダ国境を越えてドイツに鹿が口蹄疫を広げたか

2001年にイギリスで始まった口蹄疫(2000年の日本を含むアジアと同じO血清型、アジアからの汚染された餌が感染源として疑われた)はヨーロッパ大陸に飛び火し、フランス経由でオランダに伝わり、そこでは防疫対策としてワクチン接種を行った。下の記事に、その経緯が簡略に記されている。

FMD hits Netherlands.(foot-and-mouth disease)
Agra Europe| March 23, 2001
http://www.accessmylibrary.com/article-1G1-73001577/fmd-hits-netherlands-foot.html
Outbreaks of foot-and-mouth disease (FMD) were confirmed
on three farms in the Netherlands on March 21, and agriculture
minister Laurens Jan Brinkhorst said he would seek permission
from the EU to carry out emergency vaccination in the areas
surrounding the farms.

The cases were found in the villages of Oene, Olst and Welsum,
about 50 kilometres from the German border. The infection may
have been picked up when some cattle, imported from Ireland,
came into contact with infected animals from the UK in Mayenne
in France (where an outbreak of FMD was confirmed last week),
while in transit to the Netherlands.
  

(後略)

上の報道記事のように、ドイツ国境から50キロ離れていて、国境を越えて家畜に感染が広がることはなかった。しかし、ドイツではオランダで感染した鹿が国境を越えてやってきているかもしれない懸念が残っていたので念のためドイツ国内の国境周辺と対照地域(遠く離れている場所)で鹿の集団が口蹄疫に感染した履歴を抗体として保持しているかどうか調査が行われた。その報告が下のファイルに記されている。

A SEROLOGICAL SURVEY FOR ANTIBODIES AGAINST FOOT-AND-MOUTH
DISEASE VIRUS (FMDV) IN FREE-RANGING ROE DEER (CAPREOLUS
CAPREOLUS) FROM SELECTED AREAS OF GERMANY
Mouchantat S, Haas B, Lutz W, Pohlmeyer K, Frölich K
Verh.ber. Erkrg. Zootiere (2003) 41, 141-144
http://www.izw-berlin.de/de/forschung/fg3/themen/FMD.pdf

In the present study, we assume that during the FMD outbreak in the
Netherlands in 2001 (first case 21/03/01 in Olst/Oene; last case
22/04/01 in Wijhe/Oene) (OIE, 2001) FMDV-infection might have been
transmitted to free-ranging roe deer in German regions near to the
border of the Netherlands. Our objective was to determine whether
seropositive reactors against FMDV occur in free-ranging roe deer in
selected hunting grounds from Germany. Our investigation areas
were located within an approx. 20 km “cordon” along the border of
the Netherlands in the two federal states of Lower Saxony and North-
Rhine Westphalia (Fig. 2). In addition, selected hunting grounds in
Schleswig-Holstein were used as control areas.


(中略、検査方法とELISAの技術についての説明) 以下に調査結果が述べられている。

Until January 2003, two of 111 samples tested were positive for antibodies
against FMDV by ELISA. However, these results could not be confirmed by
VNT. One hundred and nine of 111 samples were negative. The percentage
of animals giving false-positive results in the LPBE varies within the
population studied. Particularly, false-positive reactors can occur at the rate
of 4 % in normal, nonvaccinated cattle and can be as high as 18 % in those
which are stressed (Mackay et al., 2001). 

In conclusion, our preliminary results may indicate that FMDV has not been
transmitted to free-ranging roe deer in our investigation areas during the
FMD outbreak in 2001.


2003年1月までに全部で111検体について検査した結果、109は陰性で2つに口蹄疫の陽性反応が出たが、いずれもVNT(virus neutralization test) では確認できなかった。

ELISA検査による偽陽性の出現率を考慮し、この予備調査の結果からは、2001年の口蹄疫はドイツの野生鹿には広がっていないだろうという判断が得られた。

以上の報告があるように、先進国ではきっちりと調査している。日本で鹿とイノシシの感染の問題がまともに取り上げられていないことは、科学・合理的な思考が行政に備わっていない証拠だろう。
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by beachmollusc | 2010-06-29 13:17 | 口蹄疫

牧場におけるイノシシと牛の接触 - 口蹄疫の伝染

アメリカ、テキサス州のTexas A&M Universityに面白い修士論文があった。

SPATIO-TEMPORAL RELATIONSHIPS BETWEEN FERAL HOGS AND
CATTLE WITH IMPLICATIONS FOR DISEASE TRANSMISSION
A Thesis by AUBREY LYNN DECK
Submitted to the Office of Graduate Studies of
Texas A&M University
in partial fulfillment of the requirements for the degree of
MASTER OF SCIENCE
May 2006
http://etd.tamu.edu/bitstream/handle/1969.1/5884/DECK-THESIS.pdf?sequence=1

口蹄疫などの伝染が牛の牧場で起こる可能性について実際の牧場における牛と野生豚の行動パターンについて、GPSで位置座標を記録し、地理的情報解析システム(GIS)で評価した研究である。

論文要旨
It is widely recognized that livestock industries are vulnerable to intentional
or accidental introductions of Foreign Animal Diseases (FADs). Combating
disease is difficult because of unknown wildlife-livestock interactions. Feral
hogs (Sus scrofa) could harbor and shed disease in areas used by domestic
livestock such as cattle (Bostaurus). Extent of risk logically depends on spatio-
temporal interactions between species. I used Global Positioning System (GPS)
collars on cattle and hogs in combination with a Geographic Information Systems
(GIS) for detailed analysis on movement patterns of these 2 species on a ranch
in southwestern Texas, USA. Motion-triggered video recorders were also utilized
to determine interspecific activity patterns. I tested hypotheses that spatio-
temporal distributions of domestic cattle and feral hogs on rangeland overlap
and that interspecific contact occurs. If these posits are true, it is possible that
introduced pathogens like foot-and-mouth disease (FMD) could be transmitted
from feral hogs to cattle. Using a rate of 1 GPS fix/15 min (96 fixes/day), I found
that spatial distribution of individual hogs and cattle overlapped on both the 95%
and 50% kernel area use among 4 seasons. Both cows and feral hogs used
Clay Flat, Clay Loam, and Rolling Hardland more so than other range sites. During
Summer 2004, riparian zones were the most used feature, identified at 14%
(2,760/19,365) of cattle and 70% (445/632) of hog fixes. Other than brush strips,
cattle and feral hogs primarily interacted at riparian zones, fencelines, and roads.
There were no direct interspecific contacts evident from GPS data, but 3 cases
were recorded from video data. Indirect interspecific contacts that may be
sufficient for disease transmission occurred much more frequently (GPS = 3.35
indirect contacts/day, video = cows follow hogs: 0.69 indirect contacts/day and
hogs follow cows: 0.54 indirect contacts/day). Research results suggested that
both species often travel along the same roads and fencelines to water and food
sources, especially during extreme heat and low-precipitation conditions. This
research provides basic information needed to improve models for management
of FMD outbreaks in the U.S., based on specific knowledge of landscape usage
and movement patterns of feral hogs and cattle.

この研究結果で牛と野生豚の直接的な接触は見られないが、餌や水を求めて移動する経路(河畔、道筋やフェンス沿い)が共通していること、高温で少雨の時にそれが顕著に見られることを明らかにし、口蹄疫の種間の感染が起こる可能性があることを示唆した。

GIS、地理的情報の解析技法は地図上に様々な情報を示してパターンを解析する、コンピュータの能力が発揮できるシステムである。

口蹄疫の発症例を地図上で示し、それを時系列で見ることはウイルスの伝染のパターンを知ることにつながる。家畜ごとに畜産農家の位置情報があれば、どこが発生していてどこが近接していて感染の危険度が高いか、などの情報を即座に知ることができる。気象災害では洪水予測などで行政によってすでに実用化されているが、家畜伝染病の場合は何もなされていない。口蹄疫は一旦発症すると、移動制限や相互訪問の禁止などの強い規制がかかるので、それぞれの農家が自分達の置かれている状況を把握できないでパニックとなる。これを助けるための情報の収集と伝達に使えるGISを県や市町村単位で導入するべきであろう。
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by beachmollusc | 2010-06-28 22:09 | 口蹄疫

口蹄疫とイノシシの生態

唐津市がイノシシ駆除へ、口蹄疫感染防止で(2010年6月12日 読売新聞)

 宮崎県で感染が拡大している口蹄疫問題に絡み、イノシシが媒介する恐れについて、11日の唐津市議会一般質問で取り上げられ、市は19日~8月末に集中的に駆除する方針を示した。
 宮崎卓議員が「もしも唐津に口蹄疫が入れば、経済も停滞する懸念がある。畜産農家が恐れているのが野放しになっているイノシシ。口蹄疫に感染する豚と同じ偶蹄類で、でんぱしていけば大変なことになる」と対策をただした。
 これに対し、岩本秀行農林水産部長は、5月24日に開いた臨時の唐津地域有害鳥獣広域駆除対策協議会で、「畜舎に侵入して口蹄疫を媒介する恐れのあるイノシシを重点駆除することを決めた」と説明。畜産農家の多い市西部の上場地区で、イノシシの出没する場所、畜舎周辺を対象に捕獲オリ、ワナなどで駆除することを明らかにした。


口蹄疫に感染すると問題を複雑化させるかもしれないイノシシの情報も調べておこう。

九州における鹿やイノシシについての全体像を論じた論文が公開されていたので、その「さわり」の所を部分的にピックアップして下に引用:

九州における狩猟鳥獣の変化に関する研究
九州森林研究: Kyushu J. For. Res. No. 57, 34-38 (2004)
飯田繁 (九州大学大学院)
http://ffpsc.agr.kyushu-u.ac.jp/jfs-q/kyushu_forest_research/57/57po009.PDF

先に成立した森林・林業基本法,そしてそれに伴う森林法の改
正によって,新たに森林・林業基本計画を樹立することになった。
その基本計画の一つの柱が「森林と人との共生林」であり,野生
鳥獣と共存する森林を作ることである。それは日本の林業政策に
動物学を再び取り込もうとする点で注目されるところである。ま
た,そのことは,林学・森林科学を標榜する大学に動物学の導入
を迫るものである。しかし,法律(計画制度)の基本的な精神は
人間社会と動物の関係を棚に上げ,野生鳥獣だけの社会(英語で
Wilderness の世界)を前提にしたもののようで,日本の実情と
かけ離れている。
(中略)

 まず初めに狩猟による九州における動物の捕獲数の変化につい
て述べる。全国的な傾向と同じように九州でも1970年代に捕獲数
が増加する。しかも,70年代にはウサギの捕獲数(約12万頭)が
もっとも多く,頭数で動物全体の7割程度を占めていた。次いで
イノシシ(約2万頭),タヌキ(1~2万頭)の順で捕獲された。
しかし,80年代以降様相が変わり,ウサギの捕獲数が減少し始め
る。代わってイノシシ,シカの比率が増大するようになる。そし
て2000年の今日では,イノシシの捕獲数(3.4万頭)が最も多く,
4割を占め,シカ(1.6万頭)も約2割を占める。かつて第1位
であったウサギ(2.7万頭)は3割に減少する。なお,その他の
動物は合計で10%にも満たない(表-1参照)。
(中略)

 他方,第2グループの特徴は,シカ,イノシシ,サルといった
比較的大型の動物であり,オオカミなどの捕食者がいないため,
増加を食い止める自然の仕組みがないという点である。マングー
スも事実上奄美大島などで動物の頂点に君臨する動物である。し
たがって,狩猟による捕獲がなければ生息数を抑制することはで
きない。しかし,現状では狩猟による捕獲数の増加があるものの,
それ以上に生息数が増加しているため,農作物に対する被害も増
加し,有害鳥獣による捕獲数も増加するという連鎖が起こってい
るのである。

(引用おわり)

上の論文の著者は山間部における人間の生産活動に野生鳥獣が強く依存していて、営農の変化が餌の変化とリンクしての動物集団の個体数増減が起こっていることを強調している。つまり、自然の中の「野生」動物ではなくて「人獣の共生関係」にある人への鳥獣の従属関係を認識し、山村における「森林の野生鳥獣との共生関係」の管理のありかたを考えるように主張している。ただし、そのための具体的な提言は出されていない。

生物科学という学術啓蒙雑誌が(社団法人)農山漁村文化協会から出版されている。その昨年の2号に「イノシシ」特集があった。

特集 野生動物との共生 イノシシ被害を考える 
生物科学 60(2), 66-104, 2009-02

イノシシ被害とは何か 江口 和洋, 66-68

イノシシ被害対策の歴史(シシ垣)とGPSテレメトリーからみた近年の被害地におけるイノシシの動向 高橋春成, 69-77

中山間地域における集落の実態とイノシシ被害 作野広和, 78-88

中山間地域における農林業構造の変容と資源管理--九州の森林問題を中心として 
佐藤宣子, 89-93

イノシシSus scrofaによる農作物被害への対策とその課題 小寺祐二, 94-98

獣害対策の現状と今後の研究の方向性 仲谷淳, 99-104

上の雑誌のバックナンバーはオンラインで購入できるので早速注文した。猪による農作物の被害は全国的に増大していて、それについての行政関係の報告は多数あるが、基本的な生態、個体群動態などに切り込んだ論文はとても少ない。

冬期の寒地型牧草地はイノシシ(Sus scrofa L.)の餌場となる
上田弘則, 高橋佳孝, 井上雅央  日本草地学会誌 54(3), 244-248, 2008-10-15

… 冬季の牧草地がニホンジカの餌場になることが指摘されているがイノシシについては不明である。 … そこでイタリアンライグラスを播種した寒地型牧草地のイノシシの利用実態を明らかにした。 … 10月から3月までの5ヶ月間の牧草地におけるイノシシの糞塊数は1904個/haであり,1月と3月に回収した糞の内容物は単子葉草本の占有率が高かった。

鹿と猪の餌場となってしまっている牧場で、もし牛が口蹄疫ウイルスを出すと、きわめて濃厚な接触、つまり感染の危険があることが良くわかる。

イノシシ : 生態と感染症から見た安全な付き合い方(<シリーズ>森の危険な生物たち13)
仲谷淳、宇仁茂彦 森林科学: 日本林学会会報 (57), 27-30, 2009-10-01
この雑誌は提供学協会の意向により、刊行後2年の間はご利用いただけません。情報を出すことに存在意義があるはずなのに、ケチな学会ですね。

野生のイノシシからE型肝炎に感染する事例が出ているらしく、医学と農学の両方の分野で研究報告が出ている。しかし、上に引用した論文(有料閲覧もできない)をはじめとして、オンラインで公開され無料閲覧できるものはほとんどない。


鳥獣関係統計の説明・資料 (インターネット自然研究所)
http://www.sizenken.biodic.go.jp/wildbird/flash/toukei/07toukei.html
鳥獣関係統計は、鳥獣保護及び狩猟行政に資する基礎資料として、毎年度の狩猟や鳥獣の捕獲許可の状況、鳥獣保護区の設定状況等の情報をまとめた唯一の資料です。

上のサイトにアクセスしたが、非常にわかりにくい。内部資料としているのは分かるが、グラフなどにして明快に示さないと市民レベルでは全く役に立たない。

新富町農業振興課
課からのお知らせ2010年04月27日 有害鳥獣駆除許可について
現在、町内全域において、有害鳥獣による農作物等への被害が発生しており、駆除班による駆除を下記のとおり許可しております。町民の皆様のご理解と注意をお願いします。
駆除許可鳥獣及び数量
イノシシ 10頭
サル   20頭
カラス  200羽
ドバト  200羽
駆除許可期間平成22年4月23日(金曜日)から平成22年6月21日(月曜日)まで
駆除許可区域町内一円
駆除方法銃器使用・捕獲用罠使用

新富町で口蹄疫の発生中にイノシシを捕獲したかもしれませんが、どうなったのでしょう。他の市や町では?

<おまけ>

■[メモ]狩場の悲劇 (リストから宮崎県での狩猟事故を抽出)
都道府県 発生年月日 年齢*1 狩猟経験*2 概要

宮崎県 1998/12/19 67 22 ワナにかかった猪に向って発砲したところ発砲と同時に足が滑って銃内の残弾が暴発。真横に立っていた被害者の下腹部に命中。
宮崎県 1999/1/2 71 30 待場の手前300mの所で倒れていた。脳内出血
宮崎県 2001/7/25 62 27 有害鳥獣駆除に出猟し、脱包をせずに猟銃を車の助手席に置いて走行中、振動若しくは側溝への脱輪により、助手席に置いてあった猟銃が暴発、散弾が左胸部を貫通し死亡。
宮崎県 2001/11/28 62 4 急斜面から猟銃を発砲した際、バランスを崩し転倒した。その際に弾が残っていた猟銃が暴発、散弾が胸部を貫通し死亡。
宮崎県 2002/4/28 50 7 有害鳥獣駆除に出猟し、シカに向かって(上方に向かって)発砲したところ、シカの後方にいた被害者に流れ弾が命中し死亡した。
宮崎県 2003/11/26 51 10 ミカン園を渉猟中、枯葉を猟銃で払ったため、自動装填式の銃が暴発し、左胸部を3号弾が貫通し死亡。
宮崎県 2004/12/27 72 33 左下方で音がして黒いものが見えたため、シカだと思い発砲した
宮崎県 2005/12/25 66 26 シカ猟中、共猟中の仲間をシカと間違えて誤射
http://d.hatena.ne.jp/trivial/20081128/1227875546
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by beachmollusc | 2010-06-28 14:12 | 口蹄疫

DEFRAの口蹄疫情報

イギリスのDEFRA (Department for Environment, Food and Rural Affairs) は家畜伝染病に関する政府機関であり、口蹄疫について真正面から取り組む責任を負っている。

その役割、目的は:

Our purpose is "to secure a healthy environment in which we and future
generations can prosper."

「私たちと次世代が繁栄できる健全な環境を保証するために」、オンライン自動翻訳でもこの程度はOK。

イギリスは口蹄疫のパンデミックで繰り返し散々な目にあった先輩国であるが、終息したらすぐ忘れるような国ではない。疫学調査を徹底して行う国であるが、2007年の場合はトンデモの世界が暴露された。

2007年の疫学調査結果の報告書から「まとめ」の一部を引用する。

http://www.defra.gov.uk/foodfarm/farmanimal/diseases/atoz/fmd/documents/fmd_epidreport2007.pdf

Executive Summary
1. The virus strain, type O1BFS, that caused the outbreak of Foot and Mouth
Disease (FMD) in Surrey in August 2007 has been shown beyond reasonable
doubt to originate from the nearby Pirbright site where a commercial vaccine
production plant and a research and diagnostic laboratory are co-located.
(2007年8月にサレーで発生した口蹄疫のウイルス01BFS株は発生場所の付近にある民間のワクチン製造所と検疫・研究所が一緒にあったPirbrightの施設内から出たものであることは疑う余地はない。)

5. Investigations indicate that release was most likely due to escape of live
virus from the drainage system that connects the vaccine production plant
to the sodium hydroxide treatment tanks on another part of the Pirbright
site. Movement of the virus off site was most likely from movement of fomites
created from soil, water or other material contaminated by effluent, and
deposited on the road from which the track to IP1 leads.
(ナマの口蹄疫ウイルスが漏れた経路は、ワクチン製造プラントから施設内の苛性ソーダ処理タンクとを結ぶ排水管からであったものと見なされた。ウイルスの施設外への移動は、漏れた排水で汚染された土壌、水、その他の汚染物が動いて、道路上に落ちていたものが初発農場へ運ばれたことによるらしい。)

外の項目で、施設から空気中の漏れ出しは否定されている。とにかく、オソマツでイギリスの面目丸つぶれである。しかし、きっちりと何が起こったかを検証し、後の改善につなげることが大切なので、不都合な真実の隠し事はしない所は見習うべきである。

日本からイギリスのDEFRA本部にテレビ局の取材チームが押しかけたが、先方は上のこともあって相当面食らっただろう。たしか、この問題の責任とか法的な係争はまだ決着がついていないし、DEFRAサイトのポータルページに口蹄疫の項目が出ていないのはなにか問題があるからだろうか。

DEFRAには一般の農場での口蹄疫に対する防疫指針を(fact sheet)、つまり要点を分かりやすいパンフレットとして公開している。これの日本語版を翻訳して日本の家畜農家に配布することを農水がやるべきだろう。
http://www.defra.gov.uk/foodfarm/farmanimal/diseases/atoz/fmd/documents/factsheet2.pdf

日本をはじめ東アジア各地におけるO血清型の口蹄疫に関する情報を取りまとめ、それを踏まえてイギリスでの対応を論じた記事がDEFRAサイトに掲載されている。(6月9日時点での情報)
http://www.defra.gov.uk/foodfarm/farmanimal/diseases/monitoring/documents/fmd-eastasia100610.pdf

これによると、中国の広東省で発生した株の口蹄疫ウイルスが日本と韓国の共通株であるとされている。ホンコンの土着株から変異したものが各地に拡散しているのかもしれない。

日本発の(農水の公式発表)日本語をGOOGLEの自動翻訳で英語に直した(そのため、若干間違っているかもしれぬ)と注釈があった。もちろん、OIE に提出された英語報告にもよっている。
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by beachmollusc | 2010-06-27 16:24 | 口蹄疫

近所のウシ小屋

日向市の口蹄疫発生農場は市内では最南部に近い場所だったため、移動制限(そしてワクチン接種ゾーン)の10キロ圏の北端が国道327号線ギリギリ、つまりわが家のすぐ南までとなっているらしいが、正確な境界位置は分からない。

自宅から327号線に出るまでの農道・集落の生活道、約3キロの間、道を走りながら渓流の向こう側や農地越しに見えるウシ小屋は少なくとも5戸あり、さらに屋敷内で数頭飼養しているらしい農家が数戸ある。その他に、道端の塀越しにも小屋があるようだが、その中にウシの気配はない。

これらのウシさんたちの処遇がどうなったのかは全く分からないが、小屋の中でうごめいているウシの姿が見られるところも残っている。車の窓を開けて走っていると、牛舎付近では独特の臭気が漂っているが、車内ではワンコの匂いの方が強い。

これまで余り気にしていなかった牛舎を改めて見ると、その周囲は草ボウボウだったりしていて、サシバエややぶ蚊、そしてヌカカなどが沢山繁殖していそうである。

谷間の一角にやや規模が大きい畜舎があるが、その他は皆規模が小さく、牛舎は開放的である。
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シートで周囲を囲んで目隠しをしているところもある。
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これらの小さいところは今後どうなるのだろうか。
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by beachmollusc | 2010-06-27 09:13 | 口蹄疫

ウイルスの水平伝播と吸血昆虫-アブについて

ダニとかブユも嫌な虫であるが、田舎では真夏になるといきなり上空から人間をめがけて襲ってくるアブは厄介者である。衣服の上から刺されても相当痛い。屋外にいる犬めがけても執拗に襲ってくるので、頻繁に捕虫網でキャッチして踏み潰している。このアブたちが出現する時期は口蹄疫シーズンとはずれているようなので、今の問題に関連しないだろうが、何か外の病気に関係しているかどうか調べてみた。

Bloodmeal Residues on Mouthparts of Tabanus fuscicostatus (Diptera: Tabanidae)
and the Potential for Mechanical Transmission of Pathogens
Authors: FOIL, L. D.; ADAMS, W. V.; McMANUS, J. M.; ISSEL, C. J.
Journal of Medical Entomology, Volume 24, Number 6, November 1987
pp. 613-616

Abstract:

Bloodmeal residues on the mouthparts of Tabanus fuscicostatus Hine,
which were interrupted in feeding on a pony, were measured using an
enzyme-linked immunosorbent assay (ELISA) for equine IgG. The
residues were estimated to be ca. 10 nl when the mouthparts were
harvested and assayed immediately after feeding. This estimate is
consistent with reported transmission of equine infectious anemia
virus by one T. fuscicostatus from a donor with ca. 106 infective
doses per ml of serum. The usefulness of this kind of study in evaluating
the potential for hematophagous Diptera for mechanical transmission of
pathogens is discussed.

上の論文はかなり古いものであるが、病原体ウイルスが吸血昆虫によって水平伝播される危険性を調べる研究調査の手法をアブの一種について適用したものである。

アブの仲間は吸血昆虫の中でも大型であり、ウシアブなどのように家畜を襲って吸血する場合、病原性ウイルスを大量に取り込んで次の獲物を襲って伝染させるかもしれない。飛翔力もありそうで、広く分散するかもしれないので、要注意であろう。

日本語の文献で見つけたものを下に2つ示す。

抗体陽性牛を吸血したアブからの牛白血病ウイルスの分離
石田 秀史 , 若林 光伸 , 本間 裕一 , 樋口 良平 , 渡辺 大成 , 鍋谷 政広 , 鳥屋 雄司
日本獣医師会雑誌 50(9), 519-522, 1997-09-20

野外における吸血アブによるウシ白血病ウイルスの水平伝播について
大島 寛一 , 岡田 幸助 , 沼宮内 茂 , 米山 陽太郎 , 佐藤 繁 , 高橋 喜和夫
日本獸醫學雜誌 43(1), 79-81, 1981-02-25

Risk factors associated with within-herd transmission of bovine leukemia
virus on dairy farms in Japan
Sota Kobayashi ほか6名
BMC Veterinary Research 2010, 6:1 
http://www.biomedcentral.com/1746-6148/6/1
この最新報告には、ウシ白血病の水平感染リスク、つまり同じ農場内で広がるリスクについて検討した結果を報告している。その中で、アブが多い場合に感染率が高くなったことが示唆されている。

下のかなり古い総説論文にはアブの仲間が媒介する病原体のリストがある。

ANIMAL DISEASE AGENTS TRANSMITTED BY HORSE FLIES AND DEER FLIES
(DIPTERA: TABANIDAE)
Author: Krinsky, William L.
Source: Journal of Medical Entomology, Volume 13, Number 3,
8 December 1976 , pp. 225-275

アブの仲間が媒介する病原性ウイルスに関しては:
"tabanids are mechanical vectors of the viruses of equine infectious anemia,
vesicular stomatitis, hog cholera, and rinderpest"

馬伝染性貧血 http://ss.niah.affrc.go.jp/disease/fact/17.html
水胞性口炎 http://ss.niah.affrc.go.jp/disease/fact/06.html
豚コレラ http://ss.niah.affrc.go.jp/disease/fact/19.html
牛疫 http://ss.niah.affrc.go.jp/disease/fact/01.html

以上の家畜伝染病のエース級が含まれている。
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by beachmollusc | 2010-06-26 21:50 | 口蹄疫

宮崎県内の鹿の数は?

農水のHPにある口蹄疫の関係省庁リストをチェックしてみたが、
環境省がありません。
http://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/katiku_yobo/k_fmd/kankei_syoutyou.html

口蹄疫ウイルスのキャリヤーとなる可能性がある(すでになっているかもしれない)ニホンジカの生態や行動などの情報をオンラインで探してみたら、結構見つかった。特に熊本にある森林総合研究所九州支所の矢部恒晶を中心にした調査・研究報告が出版されている。

森林動物研究グループ
http://www.ffpri-kys.affrc.go.jp/situ/zoo/main.htm
グループのメンバー (2005.12.27 現在)
グループ長
矢部 恒晶(やべ つねあき)
研究テーマ 鳥獣研究(おもにシカ)

上のウエブ・サイトには鹿に関する情報は開示されていない。また鹿に限らず業績目録やそのpdfファイルの開示も行われていない。5年前のスタッフリストが出ていたが、HP情報の更新を行う係がいないのか。

研究調査の報告を調べるツールは複数あるが、CiNiiで「ニホンジカ」と「九州」のキーワード検索で19件ヒットした。ただし、pdfファイルで内容が読めるものは10件だけ。

九州におけるニホンジカ特定鳥獣保護管理計画の現況
矢部 恒晶
哺乳類科学 = Mammalian Science 47(1), 55-63, 2007-06-30

上の報告には九州各県における「特定鳥獣保護管理計画」について概観が述べられている。

宮崎県内の鹿の推定数は大雑把に6万頭程度、熊本でも同じくらいと想定されているらしいが、推定精度は極めて低いようである。これらは糞粒の数からの推定である。

樹木年代学的手法による山地流域のニホンジカ生息密度・分布域の時間的変化の再現
櫻木 まゆみ , 丸谷 知己 , 土肥 昭夫
日本林學會誌 81(2), 147-152, 1999-05-16

上の論文では林業で幼令樹を増やして造林地で鹿の繁殖を増大させたことが記録されている。

宮崎県の全面積の約7割が山林であって、その山林面積の約7割が人工林、つまり林業地となっている。言い換えれば県の面積の約半分で林業をやっていて、その多くが放置林となっているのが現状である。鹿の個体数の増大は、自然林を伐採して植林面積を増大させた結果と考えられる。そして、植林された杉やヒノキの若い樹木の幹の皮を鹿が「食害」、つまり餌に利用するので木が枯死する「林業被害」が生じている。山の麓では農地に美味しい餌がたっぷりあるので、そこにも大挙してやってくる。もちろん牛の放牧地でも常連である。鹿を人間が一生懸命増やしている一方で、補助金での駆除事業ということになり、宮崎県内だけでも毎年6000-8000頭の鹿が狩猟などで殺されている。

上の論文以外に、宮崎県椎葉村にある九州大学演習林をフィールドとした研究報告がいくつかあった。

宮崎演習林における哺乳類目撃数のモニタリング 著者多数(2010年)
九州大学農学部演習林報告 || 91 || p29-33
https://qir.kyushu-u.ac.jp/dspace/bitstream/2324/17059/1/bkuf_091_029.pdf

上の報告で、演習林内で鹿が圧倒的多数目撃されている(1年間の調査期間中、日中業務の最中に見かけた鹿はのべ2000頭近くで、猪は25頭)。これから鹿は日常的に見られることがわかる。

CiNiiでは出てこないが、別途学術情報検索で出てきた報告のなかに有益なものが2件あった(下)。

九州大学演習林近辺で発信機をつけて放したオスメスそれぞれ1頭の鹿について行動範囲を追跡した結果が報告されている。メスの行動範囲は狭いようであるが、雄鹿は繁殖行動に伴ってとても広く動きまわるようである。頭数が少なく、期間限定であるので全貌を知るには程遠い。このような重要な研究テーマに経費を投入しないで、林業被害の対症療法対策、駆除捕獲事業ばかりやっている行政の問題である。

九州中央山地におけるニホンジカのホームレンジ
矢部恒晶, 小泉透, 遠藤晃, 関伸一, 三浦 由洋
日林九支研論文集, No. 54, 131-132, 2001年
http://ffpsc.agr.kyushu-u.ac.jp/jfs-q/kyushu_forest_research/54/54pr014.pdf

上の論文の続報があれば見たいものである。

シカ用生け捕りワナEN-TRAPの試作·適用
遠藤 晃, 土肥 昭夫, 伊澤 雅子, 矢部 恒晶, 辻 高史
哺乳類科学 Vol. 40 (2000) , No. 2 pp.145-153
http://www.jstage.jst.go.jp/article/mammalianscience/40/2/40_145/_article/-char/ja

琉球大学理学部の伊澤教授(私がつけたあだ名は「猫娘」)が著者のメンバーとなっているが、これは沖縄でケラマジカ捕獲作戦に参加したため。

このワナで動物を傷めないで捕獲して生態調査を行う、ということらしい。矢部さんも加わっているし、宮崎県での口蹄疫の疫学調査には生け捕りワナを活用したらよいかもしれない。今後の調査・研究で鹿の感染実験やキャリヤー化の確認も必要であろう。
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by beachmollusc | 2010-06-24 19:42 | 口蹄疫

ヌカカの仲間が媒介する偶蹄類のウイルス病

ミシシッピ大学の昆虫学と植物病理学学科から出ているオンライン雑誌にヌカカの類が鹿の伝染病ウイルスを媒介するという情報があった。Bluetongue (直訳すれば青い舌)という牛も感染する病気である。

Midsouth Entomologist
An online publication of the Mississippi Entomological Association and the
Department of Entomology and Plant Pathology, Mississippi State University

http://midsouthentomologist.org.msstate.edu/pdfs/Vol3_1/vol3_1_012.pdf

Current Topics in Medical and Veterinary Entomology: Results of a Roundtable
Discussion [pdf] これから該当する部分を抜粋して引用する。

Bluetongue is a vector-borne disease of ruminants caused by a virus
of the Reoviridae family and biologically transmitted by the Culicoides
midge. Deer in Mississippi have succumbed over the past few years to Blue
Tongue (BT), which might look like foot and mouth disease (FMD). The biting
midge (Ceratopogonidae) has been shown to be a BT vector and there was
a large deer die-off in Louisiana during the summer of 2008.


2008年にルイジアナ州で鹿の大量死がこの病気で起こったとあるので、さらに調べてみた。

VECTOR-BORNE DISEASES, SURVEILLANCE, PREVENTION
http://ddr.nal.usda.gov/bitstream/10113/41316/1/IND44341525.pdf

Detection of Bluetongue Virus RNA in Field-Collected Culicoides spp.
(Diptera: Ceratopogonidae) Following the Discovery of Bluetongue
Virus Serotype 1 in White-Tailed Deer and Cattle in Louisiana

M. E. BECKER, W. K. REEVES, S. K. DEJEAN, M. P. EMERY, E. N. OSTLUND,
AND L. D. FOIL
J. Med. Entomol. 47(2): 269-273 (2010)

ABSTRACT

In November 2004, bluetongue virus (family Reoviridae, genus Orbivirus, BTV)
serotype 1 (BTV-1) was detected for the first time in the United States from
a hunter-killed deer in St. Mary Parish, LA. In 2005, sera surveys were
conducted on three cattle farms near the area where the deer was found,
and BTV-1-seropositive cattle were found on two of the three farms; in 2006,
sera surveys from the cattle on the three farms did not detect any BTV-1-
positive animals. The purpose of this study was to survey ceratopogonid
populations at the three farms and test field-collected specimens for the
presence of BTV and epizootic hemorrhagic disease virus (family Reoviridae,
genus Orbivirus, EHDV). Miniature CDC light traps and New Jersey traps were
used to capture ceratopogonids on the three farms from January 2006
through November 2007. In total, 3,319 ceratopogonids were captured,
including 1,790 specimens of 10 different species of Culicoides. IR-RT-
polymerase chain reaction (PCR) was performed to screen for BTV and
EHDV in 264 pools representing 2,309 specimens collected at the farms.
All positive samples were sequenced for serotype determination. Five
pools of 275 (1.8%) were positive for BTV. Pools of four species of
Culicoides were found to be positive: Culicoides crepuscularis (Malloch),
Culicoides debilipalpis Lutz (two pools), Culicoides haematopotus Malloch,
and Culicoides furens (Poey). The amplicons of the positive specimens
were sequenced and found to be identical to both BTV-17 and BTV-13. During
our study, no BTV-1 transmission was detected in cattle, and no BTV-1 was
detected in specimens of ceratopogonids.

話が込み入っているようであるが、野生の鹿にbluetongueウイルス血清型-1がアメリカで初めて見つかったのは最近のことで、その近辺の農場で牛に抗体が検出されたことで、ヌカカの体内にウイルスがあるかどうか調査された。

検索してみたら、ベルギーなどでも同じウイルス病が牛に発症していて、ヌカカの調査が行われている。感染する動物は口蹄疫と共通で、偶蹄類である(ただし、豚は含まないらしい)。

Quantifying the wind dispersal of Culicoides species in Greece and Bulgaria
E. Ducheyne, R. De Deken, S. Bécu, B. Codina, K. Nomikou, O. Mangana-Vougiaki,
G. Georgiev, B.V. Purse, G. Hendrickx
Geospatial Health, 2007

Abstract.

This paper tests the hypothesis that Culicoides (Diptera: Ceratopogonidae)
species can be propagated by wind over long distances. Movement patterns
of midges were inferred indirectly from patterns of the spread of bluetongue
outbreaks between farms (using outbreak data from 1999-2001 for Greece,
Bulgaria and Turkey) and then matched to concurrent wind patterns. The
general methodology was to determine wind trajectories to and from each
outbreak site based on the horizontal and vertical wind components of the
European ReAnalysis-40 (ERA-40) dataset from the European centre for
medium-range weather forecast (ECMWF). Forward trajectories (downwind
or where the windvectors pointed to) and backward trajectories (upwind or
where the wind-vectors originated from) were calculated for each outbreak
for the period from one week before to one week after it had been recorded.
These wind trajectories were then compared with the general outbreak
patterns taking into consideration the different serotypes involved.
It was found that the wind trajectories could be matched to the temporal
distribution of the outbreak cases. Furthermore, the spread of the infected
vector via the calculated wind trajectories was corroborated by molecular
evidence. The conclusion is that the methodology presented is appropriate
for quantifying the risk of spread of infected Culicoides midges by wind and
that this approach could form an important component of a regional
early-warning system for bluetongue.

bluetongue病のヨーロッパ各国での発生データを気象(風向)と照らしあわせて解析し、ギリシャ、ブルガリア、トルコの間に広がったパターンは風でウイルスを持ったヌカカが運ばれて伝播したものとして説明できる。南ヨーロッパでは、このウイルス病の広がりのリスクを予報する手法として適していると結論した。

ヌカカの仲間はとても小さい昆虫であるが、刺されると極めて痛い。いわゆる「ブユ」である。
(訂正:ブユはヌカカと異なるグループの吸血昆虫であって、しばしば混同される。)

この仲間には種類も沢山あって、複数の家畜の病原体ウイルスを媒介することが確認されている。口蹄疫についての情報はないが、それに良く似た病気であるbluetongue病を媒介するし、野生動物と家畜の間の感染リンクともなっているらしい。

家畜の監視伝染病 > 届出伝染病 > ブルータング
http://ss.niah.affrc.go.jp/disease/fact/27.html
編集:動物衛生研究所・動物疾病対策センター・疫学情報室、文責:九州支所、山川 睦生

ブルータング(bluetongue)
対象家畜:牛、水牛、しか、めん羊、山羊
1.原因
 レオウイルス(Reoviridae)科、オルビウイルス(Orbivirus)属、ブルータングウイルス(Bluetongue virus:BTV)群に属するウイルス。10分節からなる2本鎖RNAをゲノムに持つ。24の血清型の存在が確認されている。
.疫学
 日本を含む世界中の熱帯・亜熱帯・温帯地域に分布し、牛、水牛、しか、めん羊、山羊等の反芻動物に発生する。ウイルスに対する感受性はめん羊が最も高い。ウイルスは吸血昆虫(主に体長1~3mmほどのヌカカ)によって媒介され、伝播するため、その流行には季節性(夏~秋)がある。接触感染はない。
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by beachmollusc | 2010-06-23 22:30 | 口蹄疫

ヌカカは口蹄疫ウイルスを媒介するだろうか

サシバエに関する情報を一通り調べて、オンラインで見える資料や文献の内容を把握できたので、次はヌカカの問題も調べてみる。

日向市の山間部に移住してから、心配だった蚊はほとんど気にしなくてよいことが分かったが、その代わり、気温が20℃を越える時期になると、ヌカカの訪問が盛んになり、肌を露出させることができなくなる。屋外にいる犬の周りにものすごい数のヌカカがまとわり付くので屋外用の蚊取線香を常時点火している有様である。飛翔する時間帯は朝夕が中心で、日中と夜間は少なくなる。

わが家の1キロ圏内には鶏舎と牛舎が複数あるが、おそらくそれらの周囲がヌカカの発生源となっているのだろう。犬の散歩中にメマトイも襲い掛かってくるが、それについては後で調べてみる。

家畜の病気を媒介する吸血昆虫(ヌカカ)の調査と採集装置の改良
動物衛生研究所、九州支所 堀脇浩孝
http://konarc.naro.affrc.go.jp/oshirase/2009/support/03_horiwaki.pdf

1.背景
わが国では、西日本を中心に、牛の流産・早産・死産ならびに奇形胎子の出産(いわゆる異常産)を起こす牛の疾病が毎年のように流行している。これらの疾病の一部はヌカカなどの吸血昆虫によって媒介されるアルボウイルスの感染によって引き起こされる。
牛のアルボウイルスを媒介するヌカカ(Culicoides 属)(図1)とは分類学上はハエ目に属し、体長は1~3mm 程度の微細な昆虫で、世界中で1,400 種以上が知られている。なかには、ほ乳類や鳥類から吸血し、吸血の際に人や家畜のウイルス、寄生虫などを媒介する種類もいる。ヌカカは、その微細さのため、捕集や取り扱いが難しく、わが国では動物衛生研究所以外では専門的に調査を行っている機関はない。
牛のアルボウイルス病の予防のためには、その流行状況の把握、ウイルスを媒介するヌカカの分布や活動時期ならびに、ヌカカからのウイルス分離、分離ウイルス株の性状解析が欠かせない。これらの調査には、専門的な技術や長時間の作業を要するものが多く、しかも継続的に行う必要がある。本発表では、一般の人にはなじみの薄い衛生害虫ヌカカを紹介し、その調査の一連の作業内容とそれらの効率化のために技術的な改良を加えた点を紹介する。


ヌカカの吸血源と発生源 東北農業試験場
http://www.tnaes.affrc.go.jp/periodical/singijutu/H12/pdf/chiku_pdf/709.pdf

研究のねらい
ヌカカ(写真)はウシの異常産や流行熱などの病原を媒介する吸血害虫である。ところが体長が1~2mmと小さいために種の同定が困難なうえ、成虫の吸血源や幼虫の発育場所すら不明な種が多く、防除に関する研究も一般に不十分である。そこで、ヌカカの生態を明らかにするため、季節消長、吸血源、発生源を調査した。


研究の成果
① 盛岡市内の放牧地と牛舎において、ライトトラップによりCulicoides 属(双翅目、ヌカカ科)に属する15種のヌカカを採集した(表1)。個体数の多い種のうち、ミヤマヌカカ、シナノヌカカ、ニワトリヌカカは年に複数回の発生であったが、ナミヌカカは年1回の発生であった。
② 吸血個体が得られた8種の吸血源を酵素結合抗体法(ELIZA)で調べたところ、2種がウシとヒツジから、4種がウシから、2種がニワトリから吸血していた(表2)。
③ 放牧地では、流水やその周辺の湿った土壌からウスシロフヌカカ、キブネヌカカ、ホシヌカカ、ニワトリヌカカが発生し、牛糞の混入した日陰の裸地土壌からマキバヌカカが発生した。牛舎周辺では、堆肥場やパドックの牛糞が混じった土壌からキヤマヌカカが発生することがわかった(図)。

(図表は引用していないが、元のpdfファイルから参照できる)

ヌカカの飛来には光が関係していて、ライトトラップで効果的に捕獲できるし、窓の反射を防ぐことで飛来数を抑えることができるそうである。

牛や鳥などの温血動物ごとに特化したヌカカの仲間、多数の同類が種分化しているようである。そしてウイルス性の様々な疾病を引き起こしているということであるから、口蹄疫の伝染に関しても、ひょっとすると関与しているかもしれない。

わが家に飛来している種類を突き止め、発生源を推定できれば、この悩みからある程度開放されるかもしれない。田舎暮らしを楽しむためには、この意外な厄介者の対策を必要としていることを移住前には気がつかなかった。畜産が盛んな地域の田舎暮らしを考えている場合の重要な注意事項の一つであろう。
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by beachmollusc | 2010-06-22 16:47 | 口蹄疫

サシバエによる豚のウイルス病の感染実験

アメリカ昆虫学会の2008年の学会発表でサシバエが豚のウイルス病のヴェクターになるかどうかを検証した実験結果の報告があった。下のURLに発表要旨があったので、読んでみた。

The 2008 ESA (Entomological Society of America) Annual Meeting,
November 16-19, 2008
http://esa.confex.com/esa/2008/techprogram/meeting_2008.htm

Monday, November 17, 2008 - 9:59 AM
0570
Vector potential of stable flies (Stomoxys calcitrans) for transmission of porcine
reproductive and respiratory syndrome virus (PRRSV)

Kateryn Rochon, Wes Watson and Rodney B. Baker

PRRS virus is responsible for important financial losses in the swine
industry in the U.S. and worldwide. The virus replicates in macrophage
cells of infected pigs resulting in pneumonia and late-term abortions in
sows. The link between outbreaks in separate farms within an area
despite biosecurity measures remains unclear. House flies (Musca domestica)
and mosquitoes (Aedes vexans) can transmit the virus from pig to
pig under laboratory conditions. Stable flies are commonly found around
swine facilities and their persistent biting gives them potential as
mechanical vectors of PRRS virus. We have investigated the vectorial
potential of stable flies in the transmission of PRRS virus under laboratory
conditions. Groups of stable flies fed blood containing PRRS virus or flies
intrathoracically inoculated with the virus were sacrificed at different time
intervals to determine virus persistence in the gut and hemolymph.
In transmission experiments, groups of virus-fed flies were also placed
on naïve pigs for four subsequent blood meals, and the pigs monitored
for signs of the disease. Active virus was recovered from stable fly guts,
but detectable virus decreased with time, suggesting no virus replication
in fly tissues. Intrathoracically inoculated stable flies had ~1,500 times
more PRRSv copies/ml 48 h post inoculation compared to virus-fed flies.
Transmission of the virus to naïve healthy pigs was unsuccessful under
the current experimental conditions although all fly groups tested positive
with virus isolation.

豚に肺炎と流産を引き起こすウイルス病の病原体porcine reproductive and respiratory syndrome virus (PRRSV)がどうやって防疫体制が厳重になされている一定区域の離れた豚舎の間で伝染するのかわかっていない。(実験室でハエと蚊は豚の個体間でウイルスを伝染させることがわかっている)。

この研究観察では、サシバエの体内でこのウイルスは増殖しないで、消化管と血リンパ内で減少した。ウイルスに汚染された血液を吸血したサシバエを豚と一緒にしておく感染実験で、設定された条件では豚に感染は起こらなかった。

以上のように、サシバエがウイルスを持っていても豚に感染を引きおこさなかった事例が報告されている。満腹状態だったサシバエが豚を刺さなかったのか、刺しても豚の防御レベルを圧倒するパワーが足りなかったのか、よくわからない。

狙った結果が出なかった研究成果であっても学会発表するのはアメリカらしくて偉い。日本だったら、狙った結果が出るまで食い下がるか、「良い結果」が出なくて結局あきらめるかだろう(日本人の学生の実験指導をしていた経験では、ねらい目が外れるとすぐあきらめる傾向がみられた:失敗から学ぶことが重要であることを高校教育まで否定され続けているからだろう)。

サシバエの吸血嗜好性は牛と馬に極めて強いらしい。英名stable flyは馬小屋で馬糞から発生することが多かったから命名されたのだろう。豚の実験で結果が出なくても、それほど驚かなくても良いのかもしれない。
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by beachmollusc | 2010-06-21 21:20 | 口蹄疫