beachmollusc ひむかのハマグリ


海辺の浅瀬は水産動物のこども達のゆりかごです
by beachmollusc
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海辺の自然を取り戻そう
 自然の恵みを後世に残すためには、その生態と環境を深く、よく知ることが基本です。

 海岸の浅瀬、干潟や砂浜は資源生物のゆりかごです。
しかし、それにおかまいなしに埋立てや海岸構造物の建設、水質汚染も加わって、日本中の水辺、海辺の環境は撹乱され、破壊されてしまいました。その結果、ハマグリなど干潟の動植物の多くが絶滅危惧種となっています。

 このブログでは、主に砂浜環境の保全を念頭において、日本各地の山、川、海の姿を調べて見てまわったこと、
そして2006年5月に移住した日向市の海辺と里山の様子や生き物などを紹介します。

このブログにリンクを張ることはご自由にどうぞ。

    - 自己紹介 -

大学院博士課程修了後7年間の海外での研究と28年余り大学教員をしていました。

海の無脊椎動物(貝、ヒトデ、サンゴ、クラゲなど)が専門、自称の学位は Doctor of
Underwater Marine Biology
(DUMB:バカセ)

楽観的な悲観論者または悲観的な楽観論者:生態的に無理をしている人類の滅亡は近いだろうが、それも自然の摂理じゃないのかな

せっかちな慎重派:ゆっくり
見極めて急いで集中的に
お仕事します

好きなもの:日本蕎麦が一番、パスタ・スパゲッティ、うどんもよし、つまりメンクイです

嫌いなもの:人混み、投棄ゴミ、マスゴミ、脳衰官僚

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川は一直線に流れるものと法律で決まっているらしい

小倉ヶ浜南部、平岩地区で進められている「河川改修」工事の進捗状況を見てきました。砂浜に段差ができたので滑り落ちるヒトが怪我をすると市の怠慢が責められるから工事をしているのかと思ったら、なんと川の蛇行を直して真っ直ぐ流れるようにしていました。

早朝、6時前の曇り空で写真ははっきりしませんが、重機が2台見えます。
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砂浜の上で蛇行していた部分は水量が減っていますが、はっきりと水路が見えます。
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砂浜に出た部分から一直線に汀線まで綺麗な「水路」が建設されていました。
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海辺でミッキーが喉を潤しています。飲みやすくて助かります。
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全国の中小河川が直線化されてコンクリートで岸を固められている理由が良くわからなくて困っていましたが、砂浜の上でも同じことがなされていることを見せつけられた結果、日本では「川は一直線に流れるものと法律で決まっているらしい」ことが納得できました。

台風が来て流路が曲がったら、災害復旧工事でもう一度直線化工事をやり直すのかな。
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by beachmollusc | 2010-07-21 13:50 | 海岸

家畜の遺伝子資源の保全

政府が決めた口蹄疫対策マニュアルにみずから反し、特例と称して種牛移動が実行された。これが連鎖的に民間所有の種牛の悲劇を招き、畜産関係者そして関心を持った市民の多くに葛藤と心の傷が残されたのは間違いない。国と県の双方の行政の不手際と事前の準備がなされていなかった油断から、このような悲劇を招いてしまった。

イギリスのDEFRAから発信されている情報で見つけたが、イギリス国内の家畜の希少遺伝子資源を保全する目的で、口蹄疫の発生時に巻き込まれて希少価値がある系統を失う事態を避けるために通常の殺処分と緊急ワクチン(後で殺処分が義務付けられる)接種をしない「例外規定」が設けられている。

下のURLに案内されている情報が、農家に対するガイドラインになっている。希少家畜遺伝子資源の保全のための登録は義務ではないが、いざと言うときに登録されていないと殺処分の免除対象とはならない。
FMD: UK Breeds at Risk Register
http://www.defra.gov.uk/foodfarm/farmanimal/diseases/atoz/fmd/about/riskreg.htm

Article 15 of the European Union Council Directive 2003/85/EC on
community measures for the control of Foot and Mouth Disease
(FMD) places a responsibility on member states to establish a list
of holdings where animals are kept for purposes related to the
conservation of animals that are indispensable for the survival
of that breed or in other words rare breeds, so that they may
benefit from any special measures that may apply at the time of
an FMD outbreak.  (以下略)

EUの規則の中の条項では、希少品種の家畜を保全するための特別な規定は国ごとに定めることになっている。それによって口蹄疫が発生した時に特別扱いされることが可能になる。

イギリスには国内で作出された独自の品種の家畜がそれぞれの動物ごとに沢山あるが、その保全のための取り組みが1973年に設立された民間組織のRare Breeds Survival Trust: (http://www.rbst.org.uk/ )で進められている。イギリス政府はこの機関に業務委託して希少な家畜の登録をしているらしい。牛、豚、山羊、羊だけで、馬や鳥は対象外。なお、豚はその他の家畜と別個に登録される。

DEFRAサイトには農家向けのチラシが掲載されている。
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対象となる動物の品種のリストが公表されているが、下がそのファイル。
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イギリスと日本とで種牛などの作出や維持管理のシステムが異なるだろうが、このような事前登録で遺伝子を保全する上で重要な家畜を登録し、口蹄疫が発生した時に特別扱い(処分対象にしないように)することは可能になるはずである。EUがこのような制度を決めている事実は、OIEコードと矛盾していないことを意味するだろう。

日本政府、農水省が、海外の口蹄疫対策情報、特に発生時のきめ細かな改善努力に対して注意を向けていなかったことが、今回の種牛問題で露見したと思われる。10年前と同じマニュアルのまま、移動制限のなかで貴重な遺伝子資源を守る問題に直面してしまったので、整合性の無いやり方でルールを牛だけに曲げて適用し、その結果が今回の混乱を招いてしまった。特別措置法はワクチン接種の強制を盛り込んだが、重要な遺伝子を持つ個体の保全策を(もちろん感染拡大のリスクを広げないように厳重な方法をとることを条件にした上で)盛り込まなかった。接種を強制するルールで農家に圧力をかけ、抵抗できないようにする対策を採っただけであり、救済は全く想定されていなかった(法を制定した時に民間の種牛の存在は知られていた)。

政府によるルール違反はお構いなしのまま、民間の種牛がルールにしたがって(半強制的)殺処分された、この官尊民卑に思える行為のねじれと理不尽さには大きな疑問が残る。
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by beachmollusc | 2010-07-20 20:15 | 口蹄疫

柿の木の生命力

昨年巌さんや天敵さんたちが上の枝を切り落とした渋柿の大木が元気に復活中です。

木が大きくなりすぎて、3mの高切鋏でも届かず、実の収穫が難しくなった木をリセットしました。
下は2009年11月12日、ばっさりやった時の写真です。
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詳しくは下の過去記事で見てください。
http://beachmollu.exblog.jp/11571566

今日の様子は下の写真のように、枝葉が幹をびっしり包むようにしています。
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足元を見たら、ヒコバエと思われるものが多数出ていました。
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大きな傷を負った木でしたが、上も下もたくましく再生中です。

ところが、びっくりしたことに、3年前に杉が伐採された時に巻き添えで切られたもっと大きな柿の木の切り株の根っこからヒコバエが生えているようです。この木は切らないで欲しかった見事な大木でしたが、伐採作業の邪魔になっていたらしく、真っ先に切り倒されました。
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同じ時に同じように伐採された100本以上あった杉の木は1本も復活していませんが、柿の生命力は驚くほど強いものと思われます。柿の切り株の周囲で枝葉を燃やして片付けていたため真っ黒に焼けて、完全に死んでいたものと思っていたものが3年経過してから地下で生き残っていた根っこから再生し始めたようなので、これからまた大きく育つ姿を見守りたいと思います。
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by beachmollusc | 2010-07-20 17:10 | 日記

2010年、宮崎で発生した口蹄疫ウイルス

農水省からOIEに提出された報告で、今回宮崎県で発生した口蹄疫ウイルスの由来について「不明」とされている。このウイルスがどこからどうやって日本国内に侵入したのかという情報は、今後の再発防止に非常に重要な点であるが、農水省はほとんど何も表明していない。由来が分かっていても何かの理由で表に出さない(出せない)のであれば、それをちゃんと説明すべきであろう。

FAO、国際食料農業機関の口蹄疫情報にはイギリスの動物衛生研究所で解析された世界中の口蹄疫ウイルスの類縁関係を系統樹として示し、個別のケース、例えば日本の今回のO/JPN/2010(NIAH)についての詳細がHPで公開されている。

塩基配列が解析された検体数が日本から1例だけというのが腑に落ちないが、配列が国内に入ってから変異を重ねていれば、その解析によって伝染経路が推定できるはずである:イギリスでは2007年にそれが実際に行われ、全経路が把握されている。日本の動物衛生研究所で同様な疫学調査が行われているのだろうか。

1例しか記録されていないが、その情報を韓国や中国のウイルスのデータにつき合わせて比較すれば類縁関係が近いかどうかが分かる。

Reference Laboratory for Foot-and-Mouth Disease (WRLFMD)
Genotyping Report
Date: 5 May 2010
FMDV type O
Country: Japan
Period: 2010
No. of isolates: 1

http://www.wrlfmd.org/fmd_genotyping/2010/WRLFMD-2010-0000J%20O%20Japan%202010%20v2.pdf
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上の図のように、宮崎のウイルスはホンコンのものと一致率が最も高く(634/639)、韓国のものともかなり近い(630/639)。このデータは国内ですでに報道されているものであるが、その後に追加されるていてしかるべき情報が見当たらない。VP1だけでなく、全塩基配列を読み取る作業も行われているはずであるが、まだ作業が終わっていないのだろうか。

FAOが公表した既存のデータを見ただけで、常在国の中国から日本と韓国にホンコン経由で拡散したような印象を受ける。アメリカの専門家がPROMEDという情報交換サイトで広東由来というようなコメントを出していたが、FAOのデータを詳細に分析すれば分かるのかもしれない。

最近、中国から日本に観光目的で来る制限が緩和されたが、すでに多くの観光客が中国と韓国から宮崎県にも入っている。宮崎県では特にゴルフ観光が目玉になっているらしく、プレー料金が高くて季節が限定される韓国からの客が多いようである。国内客が減少して経営が苦しい宮崎県のゴルフ場は積極的に誘致しているのだろう。日向市の市議会議員の一人も誘致に熱心である。

高病原性鳥インフルエンザの時も(渡り鳥でなく)アジア起源であって、おそらく人間が運び込んだウイルスが発端だったに違いないと想像している。渡り鳥の飛来は基本的に南北の回廊があって、東西ではない。3年前に「ヒトの関与について」疫学調査を厳密にやっていなかったようであるが、そのツケが今回取り立てられたとしか思われない。国境防疫について県も国も丸腰のまま、口蹄疫に関しては10年前のそのままであった。

海外からの観光客について統計数字をオンラインで調べてみたが、国別などがさっぱりつかめない。それはともかく、国外から宮崎に入るルートで、日本人が先方に出かけて帰国する場合も含め、入国者の防疫対策がしっかりとられていたのだろうか。その情報は探しても見つからないが、国の責任でしっかりやってほしい。
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by beachmollusc | 2010-07-20 14:03 | 口蹄疫

チョウセンハマグリの加入状況と資源管理

平岩のハマグリ漁師のTさんのところに柏崎のハマグリ報告と益田市のアンダンテ21が出したチョウセンハマグリのレポートのコピーを持っていって、しばらく雑談してきました。小倉ヶ浜のチョウセンハマグリ漁は現在底をついているそうです。今は禁漁期ですが、以前から漁船がハマグリ漁に出ていないことは海岸でチェックして見ていました。

今世紀になってからの不漁続きを受けて、2006年に県の水産試験場が緊急資源調査をした時には稚貝の加入が相当な量で見られ、それが過去2008年までの漁獲を支えていたようです。しかし、昨年の夏に大量斃死があったりして、その後は今年にかけて全くの不漁のようです。

砂浜で干潮の時に潮が引いた砂の表面を見れば2~3才の稚貝が潜っている様子が目視でわかります。これがカラスと密漁者に狙われて、大きくなる前に減ってしまいます。おまけに海の中ではツメタガイやエイが狙っています。この浅瀬で育つ数年間を守ることが資源維持のキーポイントです。稚貝を種苗生産して放流する技術は割合簡単ですが、放流したらすぐカラスなどの餌食になりますので、効果が上がらないでしょう。

今朝の潮は早朝に引いていたので、砂の上に見られる稚貝の様子を見ておきました。2007年生まれの2-3センチクラスは相当高い密度ですが、2008年生まれ(1センチ前後)は見当たりません。2009年生まれは多分5ミリ未満で、前年組と一緒に沖のサンドバー周辺にいるかもしれません。

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小倉ヶ浜の潮間帯で数センチのチョウセンハマグリの稚貝が成育する奥行きは最大で100m幅、海岸線の長さが全長4キロ足らず。この場所で穴の分布密度を見ると1平方メートル当たり数十個体です。もし海岸線の全てでこのような密度であれば小倉ヶ浜全体で1000万個体レベルが成育中と計算されますが、実際は一桁低いでしょう。しかし、もしも現在100万の稚貝がいて、2~3年後に漁獲サイズになるまで10%生き残れば10万個で数千万円分になります。

資源動態を決める重要な情報となる死亡(生存)率のデータが全く得られていないので、資源管理もへったくれもないまま、乱獲で縮小再生産が起こっているのかどうかもわかりません。少し努力して稚貝加入の変動と死亡要因の追跡と見積もり、生存率の推定などを数値化すれば、何がどうなっているのかわかり、管理のポイントが見極められるはずです。肝心なことをやらずに形だけやっつけ調査をダラダラと長年やってから、今は何もやらないという状態です。何のために県に水産試験場があるのかわかりません。
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by beachmollusc | 2010-07-18 18:46 | Meretrix ハマグリ

九州のツキノワグマ

自然界の報道写真家の宮崎学さんの新刊「となりのツキノワグマ」新樹社のサイン本が送られてきました。いやーーこれは文句なしに面白い、一気に読んでしまいました。野生動物に少しでも関心、興味がある日本国民の必読書です。

学さんのブログで出版までの経過をフォローしていましたが、まとまったお話となっているので著者の思想がはっきりと伝わります。環境省や熊の保護と被害対策で悩んでいる都道府県の関係者は、学さんに依頼を出して各地で講演会をやってもらわないといけません。大型哺乳類の学者さんたちの話が行政にあまり役に立たないことがわかります。

中型哺乳類の方はアナグマやタヌキの研究が、そして小型哺乳類はカヤネズミの熱心な研究者が国内にいますので、大中小哺乳類に関する「動物愛誤、情緒中心でない」科学的啓蒙活動のスポンサーをやって欲しいものです。トキに無駄金(トキは金なり、と落語家に揶揄されていますよ)を使うよりもずっと意味のある使い方になります。環境省の方が脳酔省に比べてまともな官僚がいたはずと記憶しています。

さて、九州の熊については諸説紛々で、現在生き残りがいるかどうか分かりませんが、一般には絶滅したといわれています。学さんは九州山地を自分で見た印象から、熊が残っていてもおかしくないと、この著書で述べています。

早川孝太郎全集、第4巻 山村の民俗と動物 未来社、1974年刊、
「小鳥と熊の話」269‐272頁、初出は「山」2巻5号、昭和10年(1935年)。
その中の熊については九州の熊に触れています。271頁をスキャンしました。

民俗学者の書いた伝聞記録ですが、具体的な情報が記載されているので信頼度は高いでしょう。
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<おまけ>

熊と一緒に論じられている「小鳥」には熊本の山村などでメジロなどの小鳥が愛玩されていることを記録している。NPO法人エコシステムの虎丸さんが熱心に取り組んでおられる「小鳥の密売問題」のルーツがここにありそうだが、昔の狩人や山の住民たちは雛から大事に育てていつくしんでいたようである。瑠璃色の翼を持った「ズー」が一番人気だったと書いてあるが、それはオオルリだろう。当時の値段で5円で取引されていたと書いてある。昭和初期の公務員の初任給は75円(巡査とか教員は45円)と値段史年表にあるので、今の1万円以上だろう。(当時の5円で、うな重10杯、カレーライス50杯)
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by beachmollusc | 2010-07-17 17:59 | 日記

チョウセンハマグリの稚貝が異常行動

今朝は小倉ヶ浜の南部、平岩のサーフィンスポットを見てきました。

以前から続いている吉野川の河口部、砂浜の上での蛇行が進んで、流れでえぐり取られた部分が落差1mくらいになっています。昨年からずっとまともな大波が来ていないのと、最近の雨で川の流量が増えたことが重なって、蛇行が強まっているようです。このような蛇行現象は河川が砂浜に出る場所では普通に見られるのですが、メカニズムはわかりません。しかし、平野部で川が蛇行することと似た原理が働いているはずです。
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日本の南の海上で雲の渦が巻きだしたので今月末までには台風か低気圧がやってきそうです。

低気圧で水面が上昇し、強風で波高が7m程度まで上がれば、この河口部分に波が当たり、綺麗に平坦になると予想しています。

その河口の蛇行で砂の崖ができたところで「河川改修工事」が行われています。
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なぜ工事が行われるのか、自然の営みに逆らって無駄なことをやっているとしか思えませんが、税金が使われています。口蹄疫で児湯郡が困っているので、日向市の無駄な出費を抑えて、何でもできる方法で助けるような税金の使い方をしてもらいたいものです。

この吉野川の河口周辺では、昨年の夏からチョウセンハマグリの稚貝がたくさん斃死しています。今朝も浜の一部ですが、弱って打上げられたらしい稚貝が多数見られました。砂に潜る力を失っています。
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1円玉は直径2センチちょうどです。稚貝は長径2-3センチで3年前の夏生まれと推定できます。あと1年で5-6センチになって岸近くから沖合へ移動し、6センチ以上で繁殖を開始するはずです。

もともと河口付近の潮間帯にチョウセンハマグリの稚貝が高い密度で集中しているのですが、川から汚水が流れ出ると、その影響をモロに受けるはずです。何が影響しているのか分かりませんが、弱り方を見るとウイルスか原生生物の日和見感染症かもしれません。
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by beachmollusc | 2010-07-16 13:18 | Meretrix ハマグリ

パッションフルーツと木瓜の実

人工衛星画像を見ると、日本の南にある北よりの赤道収斂線の上で積乱雲が渦を巻きはじめている。エルニーニョ・サイクルでお休みだった台風が戻ってくる予感。

梅雨末期の台風襲来があった3年前、7月13日の超豪雨(日向市で一気に新記録の384ミリも降って、時間雨量ピークもほぼ80ミリ、家の下の渓流が岸を越えて休耕田まであふれた:http://beachmollu.exblog.jp/6086452/)が、今年は低気圧の通り道がフラフラと南北移動し、集中豪雨もそれにつられて移動している。おかげで鹿児島と宮崎南部では大きな被害が出ているが、日向市ではダラダラと降り続け、日照時間不足で稲の生育は芳しくないようである。

自宅でたわわに実っていたブラックベリーが実が熟す前に多湿で半分枯れてしまった。ブルーベリーはこれから熟すはずであるが、どうなるだろうか。

意外だったのは、1本だけで放置状態、人工授粉をしなかったパッションフルーツが3個実をつけている。これは昨年から鉢で育てていて、冬は霜に当たらないように屋内に避難させていたもの。
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まだ青いが大きさはフルサイズで卵の大きさで、紫に熟す時期は真夏になりそう。

昨年は同じ仲間のチャボトケイソウを試してみて、果実はできたが食味は期待はずれだった。パッションフルーツとの交雑は失敗に終わった。鹿児島から来た品種もうまく育たなかったので、沖縄で育てていたのと同じ品種のパッションフルーツを越冬させながら実らせて食べるしかない。燃料を使わずに越冬させる工夫を考えてみたい。

パッションフルーツはすばらしい香りを楽しむのと、ジュースやアイスクリームとブレンドして味が楽しめる優れものだが、知名度はまだ低い。宮崎県北ではほとんど誰も知らないらしい。霜にあたらなければOKなので青島では路地で育っているから、日南や串間の海岸近くでは生産できるはず。

天下一という名前につられて購入したボケも1個だけ実をつけている。
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薬膳というが、これの食べ方はどうするか知らないので、後で調べてみよう。
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by beachmollusc | 2010-07-16 05:34 | トケイソウ

葛の栽培と活用、特に畜産飼料として

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岐阜県の森林研究所では林業のやっかいもの対策としてクズに注目しています(下に引用)。

 アメリカでは、クズの葉の栄養価が高いため、クズを家畜の飼料として利用しています。もし、クズが樹木に巻き付きさえしなければ、日本の林業において悪者にならなかったはずです。それどころか、土壌を肥えさせる肥料木として造林木と一緒に植栽されるようになったかもしれません。結局、クズが自然環境の中で生きていくために身につけた、樹木に巻き付くといった性質が、林業という人間の社会環境に合わなかったということでしょうか。
http://www.com.rd.pref.gifu.jp/~forest/rd/ikurin/9609gr.html

宮崎県では畜産、特に牛の飼料作物の自給生産に努力するべきでしょうが、なぜクズが注目されていないのでしょうか。

宮崎県の夏草の伸び方は半端でないです。クズを育てる生産力がどのくらいか調べてみたい。牧草の種を平面に撒いて大きくするのは時間がかかり、生産回数も限られますが、クズの新鞘の伸びる部分を立体的に刈り取れば生産力をフルに利用できるはずです。元手を温存し育てながら収益も出るという都合が良いシステムを開発してみたい。

ちなみにカリフォルニア沖では、ジャイアント・ケルプ、昆布のオバケみたいな海藻が水面で広がって伸びる部分を専用の船で刈り取って収穫しています。WIKIによれば1日に60センチ、年間(生育期)に45メートル伸びる
They can grow at a rate of two feet a day to reach over 45 metres (148 ft) long in one growing season.
つまり、本体は温存されてたまま、急速に成長する先端部分を収穫するのです。

クズの蔓の伸びもすごいものです。

太陽の郷の小径 > くず(葛)被害への対策
http://www.taiyonosato.co.jp/topicslink/promenade/promenade_kuzu.html
最近、くずの被害(くずが繁茂し、樹木を枯らす)がひどくなり、様々な対策を試みましたところ、成功率の高い方法がみつかりましたのでお知らせします。
現在、茅ヶ崎で繁茂しているくずは、以前のものと品種が違うのか、大根のような太い直根がなく、残念ながらくず粉をとる楽しみはありません。そこで、くずを退治し絶やすことだけに話を絞ります。

今、茅ヶ崎に広がっている“くず“は、一本の根元から放射状に数本のつるが伸び、半径10mの地面を覆います。背の低い野草は勿論、ススキのような背の高い草まで覆い隠し、日光を独り占めしています。近くに樹木があれば、1年で3m以上のぼり、樹冠を完全に覆ってしまい、奇怪な形の”くずの木“が出現することになります。刈ってもかっても成長力は衰えず、かえって株の密度が増加して扱い難くなります。


刈り取られることで、かえって成長が加速されているかもしれません。

岡山理科大学、波田研の「植物雑学事典」サイトの情報
クズ Pueraria lobata  (Willd.) Ohwi (マメ科 クズ属)
http://had0.big.ous.ac.jp/plantsdic/angiospermae/dicotyledoneae/choripetalae/leguminosae/kuzu/kuzu.htm

伐採跡地や放棄畑、道路端などに繁茂し、大群落を形成していることも多い。盛夏には1日で1m程も伸びると言われるほど成長し、太い茎を伸ばして繁茂する。

クズはマメ科植物であるので痩せ地にも生育できる。牛馬を飼育していた時代は優秀な飼料であり、刈り取られて持ち帰られたり、ツルは薪の結束に用いられたりした。茎の繊維からは葛布も織られ、根からの葛粉の採取など、それなりに利用価値は高かった。現在では厄介者にしかなっていない。

クズの戦略-クズは帰化植物?-
 クズの生活史を見ていると、帰化植物ではないかと思えてくる。盛夏を過ぎて秋風が吹く頃になっても旺盛な成長を続けている。秋深くなっても緑葉を維持し、霜が降りて始めて枯れ葉となる。このようなライフスタイルは日本の在来種としては特異なものである。日本の在来種の多くは、夏にはそろそろ店じまいを始め、秋風が吹き始めると成長よりも来年に向けてエネルギーを貯蓄し始める
 クズは春から初秋までの期間は葉で形成した光合成した生産物を貯蓄に回さずに勢力拡大に使用し、お盆を過ぎる頃になってはじめて貯蓄を開始する。したがって、刈り取る場合にはお盆の頃に実施すると最もダメージを与えることができる。秋まで光合成産物を貯蓄にまわさず、ひたすら生長に振り向けて勢力を拡大するのがクズの戦略である。
 おまけに図体の割には稔らせる種子は小さく少ない。得た利益は主に根にため込んでいる。ため込んだ大量のエネルギーで来シーズンに更に勢力拡大を狙っている。このようなライフスタイルはどうも日本の調和的とも言える植物たちとは違っている。大昔に丸木船に乗ってやってきた植物なのかもしれないと思う。

http://had0.big.ous.ac.jp/plantsdic/angiospermae/dicotyledoneae/choripetalae/leguminosae/kuzu/kuzu2.htm

クズの根茎(芋)が大きくなれば、それを分割して苗作りができるかもしれないので、サツマイモやジャガイモ栽培と基本は同じであろうか。蔓の成長を支える枠組みがあれば立体的に栽培でき、枝葉を刈り取るのはお茶の栽培の刈り取りと原理は共通で、機械化できるかもしれない。栽培システムが構築できれば、クズは雑草対策が不要、肥料の窒素分は自分で固定してくれるので、不足する栄養素の補給を考えればよい(恐らく希釈海水の散布で十分)。どのような地形の耕作放棄地であっても栽培でき、ほぼ放置状態の「耕作」で収穫できるだろう。

上のようなことを4年前から考えていたところ、同じ頃から吉野葛の本家の奈良県では栽培・利用開発にまじめに取り組んでいました。これは健康食品として食材として付加価値をつける取り組み。

農業総合センター 奈良新聞掲載記事集 雑草「クズ」を栽培化
http://www.pref.nara.jp/dd_aspx_moduleid-38130.htm

根以外は厄介者のクズですが、最近の研究では茎に多くのイソフラボノイドを含有し、その抽出物の骨粗鬆症治療効果が報告されています。クズの栽培に関しては家畜飼料や土壌の侵蝕防止のための被覆植物として作付けされた例はありますが、田畑において栽培された例はなく、隣接地への侵出を防ぐ手段も不明でした。そこで農業総合センターでは、JST・奈良県地域結集型研究開発プログラムの一環としてクズの茎葉の収穫を目的とした栽培技術を研究しています。

奈良県では平成18年1月から奈良県地域結集型研究開発プログラム「古都奈良の新世紀植物機能活用技術の開発」において、クズの「蔓」や「葉」の機能性や栽培技術などの研究を行っており、それをもとに食品を開発し、地域産業の活性化を目指しています。
 この度、県内の畑で栽培された安心・安全なクズの葉を練り込んだ手延べそうめんが開発され、お中元シーズンを前に新発売されます。この製造方法については、奈良県工業技術センターと株式会社三輪そうめん山本が共同で特許出願しています。

http://www.pref.nara.jp/dd_aspx_itemid-46882.htm

以前のブログでも紹介しましたが、再度抜粋しておきます。

beachmollusc ひむかのハマグリ : クズの成分の利用(アルコール依存症)
http://beachmollu.exblog.jp/10853252

アルコール依存症にクズエキスが有効か
Maggie Koerth-Baker for National Geographic News August 13, 2009
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=54604584

アジア原産のクズは、伝統中国医学ではアルコール依存症の処方薬として昔から利用されてきた。1800年代にアメリカにも持ち込まれたが、あっという間に繁殖し南部の固有種を追いやるようになった。

 そして現在、10年以上にわたる研究の末、クズのエキスがアルコールに対する欲求を抑制し、アルコール消費量を削減できることがわかったという。この植物を医薬品に精製する方法として、2つの研究チームがそれぞれ独自の道を切り拓こうとしている。


以前、クズについて調べまくっていたときにこの情報を見つけていましたが、上のようにナショナル・ジオグラフィックのニュースで取り上げられていました。アメリカではkudzuと呼ばれています。

クズがアメリカ南東部で大活躍していて、そしてアメリカでは多くのサイトがクズを取り上げています。その中で傑作はkud-zoo、駄洒落ですが大きなクズの蔦が色々な動物に見立てられています。
http://www.jjanthony.com/kudzu/kudzoo/index.html

前のブログでは紹介しなかった「葛の世界」サイトでアメリカ人から見た葛の話の一部を紹介します。葛に関する1問1答です

Kudzu World  "Programming is an art form that fights back"
http://www.kudzuworld.com/faqs/kudzu/index.en.aspx
The Kudzu plant FAQ

How fast does kudzu grow? (葛の成長の速さは?)
Kudzu can grow up to 7 feet (over 2 meters) per week if conditions are right. In the American South it very often does grow at this rate because of the climate and soil.
(条件が良ければ1週間に2メートル以上伸びます。アメリカ南部は葛の生育に適している気候と土壌のため、このような速さで育つことが普通です。)

Where is kudzu from? (葛はどこから来たの?)
Some say kudzu is from another planet, but it is really from Japan. Kudzu is not native to the American Continent. In Japan kudzu grows normally like any other plant. But in the American South it met its perfect climate and grows like crazy.

(地球外惑星から来たなどと言う人もいるようですが、実際は日本からです。もともとアメリカ大陸の住民ではありません。日本で葛は外の植物と同じように育ちます。しかし、アメリカ南部のばっちりの気候では狂ったように育ちます。)

In 1876 kudzu was shown at a botanical exhibition in Philadelphia. From there it escaped and began its takeover.

(1876年にフィラデルフィアで開催された植物祭で展示された葛が逸散して蔓延し始めました。)

The Japanese love kudzu and make a sweet tofu from it and even consider it a bit of a delicacy. The Japanese think the Americans are crazy for trying to kill it.

(日本人は葛をとても好んでいて、葛(粉)で美味しい「豆腐」をつくり、それをちょっとしたご馳走にしています。また、葛を始末したがるアメリカ人は狂っていると考えています。)

How to grow kudzu? (葛の栽培法は?)
Growing kudzu is not the problem. Not growing kudzu is. Asking how to grow kudzu is like asking how to get your two year old to make some noise.

(葛を育てることは問題ではありません。問題は葛が育たないようにすることです。どうやって葛を育てるかを問うことは、2歳児に(静かにしないで)と頼むようなことです。)

宮崎もアメリカ南部と同様な気候で、葛は狂ったように荒地で育っています。これをうまく扱って、未利用資源の活用をしながら放棄されている耕作地を活用したいものです。

クズの家畜飼料としての栄養価を調べた論文があります。

R.N. Corley, A. Woldeghebriel, M.R. Murphy
Evaluation of the nutritive value of kudzu (Pueraria lobata) as a feed for ruminants
ANIMAL FEED SCIENCE AND TECHNOLOGY
Volume 68, Issue 1, Pages 183-188 (September 1997)
http://www.animalfeedscience.com/article/S0377-8401(97)00038-2/abstract

Abstract
Kudzu (Pueraria lobata) was separated into aerial (leaf and stem)
and tuber (root) parts to determine its potential nutritive value as a feed
for ruminants. Proximate analyses, together with measurements of neutral
detergent fiber (NDF), acid detergent fiber (ADF), Ca, Fe, K, and Mg, and
kinetics of in situ dry matter and in vitro dry matter digestion were
performed. For the leaf, stem, and tuber parts, respectively, crude
protein (17.5, 10.3, and 8.6%), NDF (48.1, 73.1, and 39.8%), ADF
(38.2, 44.0, and 53.3%), Ca (0.7, 0.1, and 0.4%), Fe (162.3, 156.5,
and 3600 mg kg−1), K (1.0, 1.0, and 0.3%), and Mg contents (0.3, < 0.1,
and 0.1%) were comparable to other forages commonly fed to ruminants.
In situ digestion kinetics of the aerial and tuber parts of kudzu,
respectively, estimated that 29.1 and 38.1% was soluble, 48.6 and 31.2%
was potentially degradable, 22.4 and 30.7% was indigestible, and that
the fractional rate of digestion was 10 and 7% h−1. The estimated
fractional rate of digestion of kudzu was slower than values reported
for lucerne hay, but seemed to compensate by having a higher potentially
digestible fraction. In vitro dry matter digestion of the leaf and stem parts
of kudzu (64.8 and 73.7%, respectively) were superior to values for lucerne
and bermudagrass hays. The tuber part was similar in digestibility to lucerne,
but more digestible than bermudagrass hay. As a whole, chemical composition
and digestibility characteristics of kudzu were very comparable to other
commonly fed forages which shows its potential as a feed for ruminants.
Further study is needed to evaluate voluntary intakes and animal performance.

茎葉と根茎を別々に評価しています。全体として反芻動物の飼料として使われているバーミューダグラスなどと比べて栄養価において遜色ないという結論が出されています。

アメリカではクズ退治について多くの情報がありますが、利用の面でも様々な工夫がされています。

<追加情報>

生命力旺盛なクズと人間との関わり : アンケート調査の結果
豊原 英子 , 猪谷 富雄
日本作物学会中国支部研究集録 (43), 22-23, 2002-08-01
http://ci.nii.ac.jp/els/110001725442.pdf?id=ART0001894985&type=pdf&lang=jp&host=cinii&order_no=&ppv_type=0&lang_sw=&no=1279190663&cp=

クズを生活の中に活かすことについて肯定的な意見は全体の中に占める割合はかなりあるが、10代と60台でもっとも少ない、また70台と80台には「必要ない」と言う意見が多い。

若い世代は存在を知らないので関心がないことは分かるが、高齢者に否定的な答が出ていたので驚いた。林業と農業従事者がアンケート対象に多く、その人たちがクズを嫌っていたということがこのような結果を出したらしい。アンケート調査は対象者と設問の聞き方で結果が左右されること。
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by beachmollusc | 2010-07-15 04:53 | 植物

農業情報研究所の記事(食料・農業・農村政策審議会)

職場を去ってから一人で研究所を立ち上げ、余生を将来の希望に託す情報伝達にささげる同世代の人たちが色々な分野に見られる。

今日発見したのはそのような私設研究所からの記事である。

<海外の事情を十分に、また適切に知らされていない日本国民 の情報ギャップを多少なりとも補い、適切な行動の選択に資したいというのがこのボランティア活動の動機です。>

これは、わが意を得たり、の活動。
口蹄疫関連の記事があったので、丸ごと引用したい。

農業情報研究所http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/index.html
<当研究所の所員は、およそ30年間、国立国会図書館調査及び立法考査局で、農業・食料・農村、環境、国際貿易等の問題の調査・研究に携わり、2000年に定年退職した北林寿信一人です。(自己紹介から)>

今日の話題:(一部の)過去記事

7月8日に開かれた「食料・農業・農村政策審議会 平成22年度 第3回 畜産部会」が「生産から流通、販売にわたる酪農及び肉用牛生産のあり方を根本的に考え直す時期にきており、中長期的な視点に立ったビジョンを示し、政策の転換を図らなければならない」とする「酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針(案)」を答申した。

 「酪農及び肉用牛生産は、そもそも人間にとって食料にならないものを牛に給餌し、牛肉、牛乳・乳製品等の形で人間に食料を供給するのが本来の姿である。また、酪農及び肉用牛生産は、人間にとって重要な動物性たんぱく質の供給源であるとともに、飼料生産による水田の有効利用等を通じた農地や環境の守り手であると同時に、地域を支える重要な産業、食育の場であるなど、様々な役割・機能を有している。こうした酪農及び肉用牛生産の役割や機能を維持・発展させていくためには、輸入飼料への依存体質から脱却して、自給飼料を有効活用し、食料自給率の向上と環境負荷の低減、資源循環に資する酪農及び肉用牛生産に転換し、地域や経営における生産条件、生産者の創意工夫や主体性を活かした多様な経営の実現を図らなければならない」という。

 まさに、輸入トウモロコシを主体とする配合飼料に依存する戦後の規模拡大・効率化路線からの大転換である。特に「肉用牛については、食肉卸売市場における評価が脂肪交雑に偏りがちであることから、主に黒毛和種の生産においては、その特徴である脂肪交雑の多い霜降り牛肉の生産に重点を置く傾向が強く、結果として、このことが輸入された飼料原料を主体とする濃厚飼料への依存度を高める一因となった。一方で、消費者においては、霜降り牛肉だけでなく、健康志向の高まりを背景に、脂肪交雑は多くない牛肉に対する嗜好も増えている」からと、「適度な脂肪交雑の和牛肉等の生産を促すとともに、こうした牛肉の販路の確立を図る必要がある」としたことは画期的だろう。

 飼料価格の高騰もこのような「基本方針」の転換を促すことはなかった。この転換を後押ししたのは、明らかに口蹄疫である。飼料価格高騰は、多くの犠牲を生みながらも何とかやり過ごすことができた。しかし、土地非利用型大規模畜産は、今回のような口蹄疫見舞われればひとたまりもないことがはっきりした。それが転換を決定的にしたとすれば、口蹄疫の教訓は最大限に生かされたことになる。


口蹄疫問題は多面的で複雑な要素が絡まりあっていて、「〇〇が悪かった」という表面的な問題だけでなく、現在も混乱を続けている種牛問題の背景にも切り込まないと、国と県の対立の根底が見えてこない。

霜降り牛肉信仰を背景にした高価な嗜好食品で金を稼ぐことを県の畜産振興の政策に置いていることは、輸入飼料の依存性から、その価格高騰などによって収益性が不安定になる結果をもたらした。これは輸入に依存する石油燃料を使ってハウスで熱帯果樹を栽培することも同様である。嗜好品の生産は一時的に儲るかも知れないが、生産者が自立して持続的に経営できるかどうか疑問である。

宮崎県は、国内はもちろん世界的に見ても、太陽と水に恵まれた自然環境を活かし、持続的で健康的な農業生産に今後の活路を見出すべきではないか。自然豊かな環境を守り、グリーンツーリズムと健康食品生産基地としてのイメージアップこそが「セールスポイント」として重要視される時代となっている。その認識ができない金の亡者は県を滅ぼすに違いない。
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by beachmollusc | 2010-07-13 20:27 | 口蹄疫