beachmollusc ひむかのハマグリ


海辺の浅瀬は水産動物のこども達のゆりかごです
by beachmollusc
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30
検索
カテゴリ
海辺の自然を取り戻そう
 自然の恵みを後世に残すためには、その生態と環境を深く、よく知ることが基本です。

 海岸の浅瀬、干潟や砂浜は資源生物のゆりかごです。
しかし、それにおかまいなしに埋立てや海岸構造物の建設、水質汚染も加わって、日本中の水辺、海辺の環境は撹乱され、破壊されてしまいました。その結果、ハマグリなど干潟の動植物の多くが絶滅危惧種となっています。

 このブログでは、主に砂浜環境の保全を念頭において、日本各地の山、川、海の姿を調べて見てまわったこと、
そして2006年5月に移住した日向市の海辺と里山の様子や生き物などを紹介します。

このブログにリンクを張ることはご自由にどうぞ。

    - 自己紹介 -

大学院博士課程修了後7年間の海外での研究と28年余り大学教員をしていました。

海の無脊椎動物(貝、ヒトデ、サンゴ、クラゲなど)が専門、自称の学位は Doctor of
Underwater Marine Biology
(DUMB:バカセ)

楽観的な悲観論者または悲観的な楽観論者:生態的に無理をしている人類の滅亡は近いだろうが、それも自然の摂理じゃないのかな

せっかちな慎重派:ゆっくり
見極めて急いで集中的に
お仕事します

好きなもの:日本蕎麦が一番、パスタ・スパゲッティ、うどんもよし、つまりメンクイです

嫌いなもの:人混み、投棄ゴミ、マスゴミ、脳衰官僚

リンク

ひむかのハマグリ(ブログオーナーのハマグリ情報サイト)
合津マリンステーション(熊本大学の逸見教授のブログ)
ハマハマ通信(国立環境研、中村泰男博士のハマグリ研究情報)
鹿児島の貝
海辺の散歩
きんのり丸漁師生活30年
しじみ漁にまつわるブログ
みやざきの自然
みやざきの緑と風
さるなしの里
NPO子どもの森(門川町)
宮崎と周辺の植物
高原町の自然をたずねて
一般社団法人エコシステム協会
NPOアンダンテ21
防災ブログ
日本の写真集(デジタル楽しみ村)
野のものたちの記憶(岩手県のfieldnote さんのブログ)
~自然彩々~夢庵
おっちゃんの何でもニュース
里山再生計画
原体験コラム
こやま・裏山・里山 リンク
自然と遊ぶリンク集
その他のジャンル
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧

<   2011年 02月 ( 20 )   > この月の画像一覧


海岸砂丘の重要性

小倉ヶ浜の南部、吉野川河口周辺には国道10号線まで達する二重の照葉樹林の潮害防備保安林ができていますが、そのさらに海側に松が拡大植林されています。

吉野川の砂浜上の流路の直線化だけでは飽き足らず、今度は河口の北で拡大植林のさらなる拡大をはじめたようです。植えた苗を守るためでしょうが、防風フェンスが建設されました。
e0094349_19412368.jpg
e0094349_19413332.jpg

この工事現場は昔の赤岩川の流路であって、現在は湿地になっているところでしょう。「お倉ヶ浜海岸の自然」という日向市が発刊したデータブックには、この場所にコウボウムギ群落などがあり、周囲は「主要な自然観察コース」として海岸湿地の植物群落を紹介し、その保全を提言しています。

吉野川の工事現場の南側の川岸から海水浴場の駐車場までは古い(垂直の穴あき)護岸があります。1960年代に行われた松の砂丘上への拡大植林の際に建設されたようです。この護岸は河口付近では砂に埋没していませんが、駐車場側の半分はほとんどが砂に埋もれ、護岸の海側で砂丘化が進んでいます。
e0094349_19565092.jpg

護岸の天辺は埋没していませんが海側の砂丘化したゾーンには松が自然繁殖して育っています。
e0094349_19581445.jpg
e0094349_19582850.jpg

e0094349_19585136.jpg

駐車場の階段まで護岸の上を散歩できます。
e0094349_19593124.jpg

過去半世紀の間に垂直護岸の南側では1m以上ある護岸を埋めながら砂丘形成が進みました。

この護岸のある場所では、浜の乾燥したゾーンが幅広くあって、波が護岸に当たるのは台風の大波だけでしょう。何年、あるいは何十年に一度の大波が砂を海に戻し、その後、浜に押し上げられた砂が飛砂となって砂丘形成を続ける自然のサイクルを繰り返せば、砂浜の地形は長期的に安定し、防災に効果的でかつ優れた景観が維持できるはずです。防災を名目にしていても、自然の優れた防災の仕組みを無視した海岸工事は有害です。
[PR]

by beachmollusc | 2011-02-28 20:07 | 海岸

フィラデルフィアの博物館にあるハマグリ標本(2)

フィラデルフィア自然史博物館は歴史が古いだけでなく、日本との交流が古くからあります。さらに、生物多様性の情報センターとして、収蔵標本のオンラインカタログ化に取り組んでいて、世界的に重要な拠点の一つとなっています。
The Academy of Natural Sciences in Philadelphia is America's oldest natural history museum and is a world leader in biodiversity and environmental research.
http://www.ansp.org/

今回は現生の貝ではなく、貝塚出土のハマグリの殻です。

標本の登録番号がANSP-254296でラベルにはOmori Moundと Japanの間にShimane Pref.つまり島根県と書いてあります(書き足したものか?筆跡がこの部分で異なるような気がします)。
e0094349_1924035.jpg

Morseは大森貝塚の研究で有名なEdward Morse,すなわち1877年に東京帝国大学の初代動物学教授となった貝類学者のことです。彼が「発見」した大森貝塚は東京にあるので、なぜ島根県と明記してあるのか、またまた謎が増えました。(おそらくアメリカ人の誰かが間違えて書き込んだのでしょうが、なぜ「島根県」が出てくるのか???)

日本海産のハマグリについて情報を集めた中に島根県の貝塚からハマグリが出たという記録はありません。

このラベルにはex. A. R. Cahn coll'n、つまりCahnの蒐集したものに由来しているとあります。

A. R. Cahnは終戦後にGHQ連合軍総司令部が行った日本の水産資源調査の中で貝類について報告しています。1951年に出版されたCLAM CULTURE IN JAPANについては以前のブログで紹介しました。

beachmollusc ひむかのハマグリ : GHQのチョウセンハマグリ情報 2009年2月9日
http://beachmollu.exblog.jp/9571230/

Cahnによるフィラデルフィア自然史博物館のハマグリ標本としては、これ以外にもいくつかありますが、別途紹介するつもりです。

MorseとCahnは半世紀あまり時代が違いますので、二人の間で何らかの接触があったとは思われません。

博物館の名称が印刷されたラベルには学名が記入されていませんが、白紙のラベルには、手書きで学名が記入されています:
Meretrix meretrix
Omori mound
(Morse)
が記入されています。

Meretrix meretrixはハマグリとチョウセンハマグリが一緒に同じ学名で呼ばれていた大正時代から昭和の太平洋戦争前後までの学名表記です。ちょうどMorseが日本に来た頃にCythereaからMeretrixに属名が変えられましたが、このラベルにはMeretrixが使われています。

大森貝塚は東京湾の奥にあって、出土した貝はハマグリMeretrix lusoriaだけです。写真の貝殻はハマグリですので特に問題はありません。
[PR]

by beachmollusc | 2011-02-26 20:06 | Meretrix ハマグリ

フィラデルフィアの博物館にあるハマグリ標本(1)

フィラデルフィア自然史博物館収蔵の日本産ハマグリ属貝類のラベルにある採集者の一人はLoomis, Dr. H. です。この採集地がYokohama(Osakaが一緒に書かれているのが謎)であり、学名の使われ方から明治から大正時代に採集(登録)されたものと思われます。

ANSP 43464 Cytherea meretrix Rve. Yokohama, Japan
    49612 Meretrix lamarckii Desh Yokohama, Osaka, Japan
    49613 Meretrix lamarckii Desh Yokohama, Osaka, Japan
フィラデルフィア自然史博物館のオンラインリストにあった以上の3点の写真は撮影されていませんが、下の3点の写真をシェリルさんから送ってもらいました。

ANSP 119908 Meretrix (Cytherea) lusoria Chem  Osaka, Japan
この登録番号には2枚の古いラベルが付いています。
  Cytherea lusoria Chem 
  M. castanea Lam (Meretrix); Osaka, Japan Dr. H. Loomis #133 

このcastaneaという種名は、ラマルクが茶色のハマグリを別種に分類したものです。
e0094349_2115280.jpg

Cythereaという属名は19世紀後半(明治時代の初期)まで使われていました。

ChemはChemnitzの略です。ChemnitzはSystematisches Conchylien-Cabinet という貝類図譜を出版しました。ハマグリはその6巻(1782年)にあります。下にある図版32の340図です。
e0094349_2134520.jpg

同図譜のハマグリの学名はVenus lusoria Japonicaとされています。
e0094349_215671.jpg

Die japanische spieltasche, oder auch die chinesische spielmuschel.
ゲームに使われる貝という説明文があるのは、日本の貝合わせに使われていた、つまり貝殻の内側に絵が描かれていた貝だったからです。

ドイツ語の説明では中国と日本が一緒になっています。貝合わせという遊びは日本で独自に生まれたはずですが、なぜ中国が一緒にされたのかわかりません。

17世紀半ばより前、つまり江戸時代初期までに貝合わせの絵が描かれたハマグリの殻はヨーロッパに渡っています。おそらくオランダ人が伝えたのでしょう。当時のオランダ領インドネシアで貝類標本を集めてヨーロッパに送っていたランフィウスが出版した17世紀末の本(E. M. Beekmanにより英語に翻訳されThe Ambonese Curiosity Cabinetというタイトルで、Yale Univ. Press、1992年出版)には日本の貝合わせの内容が詳しく説明されていますが、中国に関して何も言及されていません。

Chemnitzが引用しているランフィウスはハマグリをChama laevisと命名しました(Chamaは丸い二枚貝でlaevisは殻の表面がツルツルの意味でしょう)。

Chemnitzが使った全ての学名は国際規約で採用条件を満たさず、ハマグリの学名にはMeretrix lusoria (Roeding 1798)が現在使われています。

ANSP 119920 Meretrix (Cytherea) morphina Lam Yokohama, Osaka, Japan
     various color patterns M. petechialis Lam; Dr. H. Loomis
e0094349_2161781.jpg
e0094349_2162517.jpg

この標本の学名はMeretrix petechialis Lamarckつまりシナハマグリとなっています。しかし、写真からハマグリであることは明白です。そして、殻の後方の伸び方が直線的でよく伸びることは東京湾のハマグリ集団に見られる特徴です。ただし、大阪湾産のハマグリは見たことがなく、地域絶滅しているので比較できません(瀬戸内海西部のハマグリ集団は九州沿岸各地と同様で後端はあまり強く伸びず、輪郭が全体的に丸くなっています)。

博物館で登録された名前がMeretrix (Cytherea) morphinaですが、morphinaは現在無効となっている種名です。(チョウセンハマグリMeretrix lamarckiiとM. morphinaは同種の可能性が考えられます)

ラベルに (with ANSP 49612)と書かれています。49612の写真がないので正体がはっきりしませんが、そのラベル上の学名はMeretrix lamarckii、つまりチョウセンハマグリです。東京湾内にチョウセンハマグリは生息していないので、種の誤認があったかもしれません。Loomis標本のほかにもフィラデルフィアの博物館では種の査定がかなりデタラメになっています。当時のヨーロッパでのハマグリ属の分類の混乱がアメリカにも影響していたと考えられます。

Yokohama, Osaka, Japanというラベルにある産地名になぜOsakaがついているのか、またラベルによってOsakaとYokohamaの順序が反対になっているのは何を意味するのか、さっぱりつかめません。また、標本番号119908はYokohamaがなしでOsakaだけになっていますが、これだけが「例外」なので、おそらくYokohamaの転記での書き忘れでしょう。

ANSP 119930 Cytherea petechialis Lam Yokohama, Osaka, Japan
      M. petechialis Lam; Dr. H. Loomis; #156
e0094349_217646.jpg

この標本の学名はMeretrix petechialisシナハマグリですが、シナハマグリではなくハマグリであって、小型のハマグリの殻の色彩変異が見られます。

H. Loomisという名前について調べてみたら、明治時代1872年に宣教師として来日し、横浜に43年暮していた人物が見つかりました。
http://webcatplus.nii.ac.jp/webcatplus/details/book/3271245.html
貝類とのつながりはわかりませんが、ルーミスシジミという蝶の和名は発見者としてです。

ルーミスシジミは、1877年アメリカの宣教師ヘンリー・ルーミスが現在の千葉県君津市鹿野山で最初に発見したもので、和名は発見者の名前に由来しています。
http://www.bunka.pref.mie.lg.jp/haku/osusume/149ru-misshijimi.htm

ハマグリを採集したDr. H. Loomisとヘンリー・ルーミスが同一人物である可能性は高そうです。

以上、Loomisの標本は、おそらくすべてが東京湾産で、明治時代に採取されたと思われるものです。東京湾では1980年代にハマグリが消滅しましたから、フィラデルフィア自然史博物館に残された(1世紀前の)標本はとても貴重な存在です。
[PR]

by beachmollusc | 2011-02-25 21:07 | Meretrix ハマグリ

塩見川の残党

一気に春の陽気となったら、塩見川に浮かんでいた、そして川べりのこんくりーと階段で日向ぼっこしてくつろいでいた水鳥がほとんどいなくなりました。
e0094349_1619844.jpg
e0094349_16191660.jpg

農協のホームセンター脇に少しだけ残っているほかは、本流だけでなく支流にもほとんどいません。カルガモとオオバンと小型のカモの一種だけで、あわせて50羽くらいの残党でしょう。多いときは1000羽に近かったはずですから、9割以上が北に向けて飛び去ったようです。

カルガモの中には夏にも居残るものがいます。わが家に毎年カルガモのペアが来るのは田植え頃です。餌になる浮き草はたっぷりあるのに、そのペアが冬の間に姿を見せない理由がよくわかりません。
[PR]

by beachmollusc | 2011-02-25 16:22 |

砂浜の川の直線化(再び)

小倉ヶ浜の南部にある吉野川の河口で砂浜の上の蛇行部分が「矯正」されて直線化された後、自然の力で再び蛇行が進んでいました。

そろそろ直線化工事の前の状態に戻ったかもしれないと思いながら、良い天気に誘われて、現場の状況を見てきました。

以前のレポートは下の記事でみてください。

直線化された流れのその後(2010年11月16日)
http://beachmollu.exblog.jp/13645406

川は一直線に流れるものと法律で決まっているらしい(2010年7月21日)
http://beachmollu.exblog.jp/12980831

宮崎県の土建財政は豊かだ!(2010年9月4日)
http://beachmollu.exblog.jp/13180524

3ヶ月前の予想(下)が先取りされていました。

来夏には再び直線化工事をやるのだろうか。

痴呆行政の絵に描いたような実例が記録できそうです。


すでに2回目の直線化工事が終わっていて、またまた蛇行が始まったばかりの状態です。ただし、冬場の渇水で流れている水量が少ないため、当面は大きな変化(蛇行の回復)はしないでしょう。
e0094349_12372996.jpg
e0094349_12373786.jpg

この吉野川の河口の海岸部分には、松林とタブの木の2重の海岸林があり、その前に護岸がありますが、なにやら林の中で工事が進められているみたいです。重機がうごめいていて、飯場のようなプレハブ小屋が見えました。
e0094349_12374433.jpg
e0094349_12375298.jpg

このような税金の無駄遣いを続けることが許されるという、日向は実に財政にゆとりがある、とても恵まれた良いところです。
[PR]

by beachmollusc | 2011-02-22 12:39 | 海岸

スダレハマグリ

19日、大潮の干潮に合わせ、門川町の庵川干潟(海浜公園のある側)の潮干狩りの様子を見に出かけました。干潟には7,8人出ていて、澪筋の泥砂を掘っている人たちと、礫が岩の間に溜まっている場所で掘っている人たちが半々でした。
e0094349_8374330.jpg

まるばえ川の河口になっている澪で掘られている貝を見せてもらったら、ほとんどがスダレハマグリです。
e0094349_839787.jpg

ハマグリも混ざっていますが、ごくわずか。シオヤガイもあります。

ハマグリの新鮮な合弁の死殻を狙って拾っていたら、大きなトリガイの殻がありました。
e0094349_846454.jpg

殻長が約8センチあって、中身があったらご馳走になるはずで、京都府の日本海側にある宮津湾などで養殖されている貝です。
トリガイ養殖 http://www.pref.kyoto.jp/kaiyo/torigaiyousyoku.html

スダレハマグリはハマグリという名前が付けられていますがハマグリ属ではありません。熱帯に広く分布している貝で、沖縄では八重山の干潟に(かつては)普通でした。

黒潮に乗った温暖種(縄文時代に見る地球温暖化):
地球の温暖化と寒冷化のサイクルが、貝類の地理的分布の時代変化でわかります。
http://nh.kanagawa-museum.jp/kikaku/ondanka/pdffile/wt_15v101.pdf

沖縄県では準絶滅危惧種とされています。
http://www.jpnrdb.com/search.php?mode=map&q=110505030071500

愛媛県のレッドデータブックを見ると絶滅種です。
http://www.pref.ehime.jp/030kenminkankyou/080shizenhogo/00004541040311/detail/08_01_003820_2.html

分 布   県内:宇和島市以南 
      県外:高知県・九州・沖縄;インド太平洋 

生息状況, 選定理由
主に1940年代以前に採集された中原東五氏や河野通徳氏の標本中には多数の生貝標本が見られる。現在、宇和島市以南の河口干潟で古い死殻が採集されるだけで、すでに絶滅したものと思われる。

特記事項 北限域の分布地であった。


宮崎県の改訂レッドリストで絶滅危惧種に追加されています。
http://www.pref.miyazaki.lg.jp/parts/000097439.xls

「海:エコロン」ブログを見たら沖縄本島北部の羽地内海の干潟でスダレハマグリとアラスジケマンガイを採取して酒蒸しにして食べたそうです。この干潟も埋立て予定とありました。
http://ecoron.ti-da.net/c129907_1.html

羽地内海では、戦前に熊本産のハマグリの放流試験が行われたという記録が残っています。(佐敷干潟では熊本ハマグリの蓄養が行われていました)。数年度繰り返された放流後の生き残りの報告が見当たりませんが、環境が極端に違う場所に放流した結果はおそらく消滅でしょう。

羽地内海に流れ出ている川の上流には大規模な養豚団地があって、河川流域、そして河口付近の環境が大きな影響を受けています。羽地内海で潮干狩りして貝を食べて大丈夫かどうか、気になります。
[PR]

by beachmollusc | 2011-02-20 09:06 | その他の貝類

ハマグリ属の誤査定

わが研究室に外国人留学生として在籍し、立方クラゲ類についてとても面白い研究成果を出したカナダ人のシェリル(ルイス・アメス)さんは現在アメリカの首都ワシントンにあるスミソニアン自然史博物館で働いています。彼女が、フィラデルフィアにある科学アカデミー自然史博物館に出かけて日本で採集されたハマグリ類の標本を写真撮影し、画像を送ってくれました。

フィラデルフィア自然史博物館においては、ほぼ1世紀前に日本の平瀬貝類館(大正時代に京都にあった日本で最初の貝類博物館、現在は西宮市貝類館に受け継がれている)を開設していた平瀬父子から、博物館の当時の貝類学者の ピルスブリー(Henry Augustus Pilsbry)に多数の貝類標本が贈呈され、新種として記載された沢山の貝類のなかにキュウシュウナミノコ(Donax kiusiuensis Pilsbry, 1902)があります。

平瀬貝類館の古い写真を子孫の方がHP(英文のみ)で紹介しています:
http://hirasefamily.com/default.aspx
西宮市貝類館はまだ訪れていませんが、黒田徳米が見ていたハマグリ類標本をチェックする必要がありますので、そのうち立ち寄るつもりです。
http://www.nishi.or.jp/homepage/kairuikan/

話を元に戻します。

シェリルさんが撮影した標本写真で真っ先にチェックしたのは「沖縄産」ハマグリでした。フィラデルフィア自然史博物館サイトで収蔵標本の一覧から見つけて、最重要として写真をお願いしてありました。

標本番号はANSP #325438、ラベルには沖縄本島の(上本部村、124号線近く、具志堅の東)と産地が英語で詳しく書かれていました。オンラインで記載が無かった採集者の氏名(G. M. Davis)と採集年月日(1968年3月24日)もわかりました。
e0094349_183199.jpg

ところがどっこい、貝殻の写真を見たらハマグリ属の貝ではありません。
e0094349_1844663.jpg

リュウキュウバカガイMactra maculataだろうと思います。

1968年頃のこの博物館には二枚貝が識別できる学芸員がいなかったのでしょう。
Pilsbryは1862生まれ - 1957年(心臓発作で没、その年95歳まで博物館で現役、3000以上の論文を執筆)です。

沖縄を私が最初に訪れたのは1970年3月で、本土復帰前、パスポートのようなものを携行して旅行しました。ドルが通貨で、カリフォルニアオレンジがものすごく廉かったのを憶えています。

沖縄産の現生ハマグリ類の殻標本を期待していたのが見事に肩透かしになりました。しかし、東京湾産の現生ハマグリ標本など、古くて新しい標本が各地から集まっているので、これからゆっくり楽しめます。

バカガイMactra属だけでなく、Pitar属の二枚貝も殻の表面がツルツルしていてハマグリと見かけが似ているため、間違える人が多いようです。和名にも「なんとか」ハマグリとついている種が多いのも混乱を招きます。

2005年にフィリピンの標本貝類のオンライン・販売カタログで見つけたMeretrix meretrixを注文したらPitarがやってきて、出費が無駄になったことがありました。カタログに写真が出ていたけれども肝心な識別ポイントであるちょうつがいの部分が見えなかったので騙されました。
e0094349_18274935.jpg

集団としてまとまった数のサンプルが欲しかったので、メールで特注して、100個以上集めてもらったものです。

オンラインで貝類標本として販売されているハマグリ類には種の誤査定は日常的ですが、属まで違っていたのは、今のところこれだけです。
[PR]

by beachmollusc | 2011-02-18 18:31 | Meretrix ハマグリ

赤岩川の異変

赤岩川が小倉ヶ浜の砂浜の上を流れている蛇行部分で大きなボラがまとまって死んでいたこと、そして生き残っていたボラの体表にデキモノのような斑紋が広がっていたのが気になって、さきほど再確認に出かけました。

北風がかなり強く飛砂がありましたが、天気は晴れです。先日ほどのまとまった数はいませんが、10羽くらいのカラスがいました。遠距離からコンデジで撮影しました。
e0094349_1539070.jpg

近寄ると飛んで逃げますが、その前に遠くから撮影した画像をクロップしました。
e0094349_1540454.jpg

なにやらついばんでいる様子が見えたので、えさになっている物を確認しました。
e0094349_15405589.jpg

体長が50センチ余りの大型の魚で、もしかしたらアカメ(日向ではマルカ)かもしれないと思ったものの、顔つきが違うので、多分スズキさんでしょう。先日の骨だけになっていた大きな魚もスズキだったと思います。

頭部、腹部、尾部のアップを撮影して、状態を記録しておきました。カラスったちの攻撃が本格化する前だったようです。
e0094349_15434028.jpg
e0094349_15434926.jpg
e0094349_1543564.jpg

体表にあやしげな斑紋が広がっている姿は、先日のボラと同じようです。

大きな魚がこのような異様な姿で死んでいることは原因調査が必要でしょう。

日向市の行政でこの問題に対応できるかどうかわかりませんが、とりあえずお知らせしておきます。
[PR]

by beachmollusc | 2011-02-15 15:47 | 環境保全

ジョウビタキは冬鳥

ジョウビタキが春に渡りで日向から消える前に一回ぐらいは撮影しておきたいと思っていました。

わが家の周りにはオスが2羽いて、普段は100m以上お互いに離れています。ところが、2羽のそれぞれが縄張りの巡回中に、たまたま接近して威嚇し合っている姿も見かけます。

ジョウビタキは、カメラ位置に接近してくれないし、同じ場所でじっとしていないのと、とても小さいので望遠レンズでを使っても撮影がなかなかうまく行きません。

さきほど、やっと見られる写真が1枚撮れました。
e0094349_12443462.jpg

10m余り離れたところの電線の上にとまっている時のショットからクロップしました。

ウイキによると<チベットから中国東北部、沿海州、バイカル湖周辺で繁殖し、非繁殖期は日本、中国南部、インドシナ半島北部で越冬する>そうです。

鳥インフルエンザウイルスを運ぶ可能性は無きにしも非ずでしょう。
[PR]

by beachmollusc | 2011-02-13 12:48 |

宮崎県で渡り鳥の飛来数が増えたのだろうか

環境省>自然環境・自然公園>渡り鳥関連情報
http://www.env.go.jp/nature/dobutsu/bird_flu/migratory/ap_wr_transit/index.html
には過去2008年からの冬鳥の渡り鳥飛来数調査データが公開されています。(現在は途中経過)
これを見ていると、鳥インフルエンザ関連ニュースで言われている:今年の宮崎に飛来している渡り鳥が多いだの、九州の他県よりも多いなどという話が嘘であることがわかります。

時事ドット・コムのニュース記事:
http://203.183.152.33/jc/c?g=soc_30&rel=j7&k=2011021000977

厳冬で鳥インフル拡大か=感染渡り鳥が集中?-宮崎
 宮崎県は10日、県内で高病原性鳥インフルエンザの感染確認が相次いでいる問題で、県庁に大学教授ら有識者を招き意見交換した。会合後に会見した出席者は、他県と宮崎の防疫体制に大きな差は見られないとした上で、例年よりも寒さが厳しいことがウイルスに感染した野鳥を多く集めた可能性を指摘した。
 会合の出席者によると、北から飛来する渡り鳥が今年の厳冬により、例年よりも南方に飛来し、宮崎に集まった可能性があるという。県内で鳥インフルエンザが発生した2007年も、例年より寒かったとした。昨年12月のある調査では、同県高原町の池で、野鳥の数が例年よりも多かった。ただ、池に近い新燃岳の爆発的噴火後には半減していた。
 出席者の一人である宮崎大学農学部の堀井洋一郎教授は、宮崎で11件の感染が確認されているのに対し、隣県の鹿児島は1件にとどまっていることについて「(鹿児島と違い)雪が降らず、好天が続く宮崎の方が野鳥が生息しやすい」可能性を指摘した。ただ、両県の野鳥数を比較する具体的なデータはなく、それだけで10倍を超える発生件数の差を説明できるとは言い切れないとした。(2011/02/10-20:32)
-------------------------------------------------------
環境省の飛来数調査データを見ると場所ごとに飛来する種類構成が異なり、渡りルートも種類ごとに違っていて複雑なので、地点間で単純比較はできません。例えば、鹿児島の調査地点はツルの飛来地である出水平野であってカモ類の飛来数はもともと少ないようです(餌の環境が違うことを意味しているのでしょう:カモ類は水生植物を食べているようです)。

宮崎県では鹿児島県との県境近くにある霧島鳥獣保護区(御池)と宮崎市の二ツ立調整池(一ツ瀬川河口付近)での調査データが公開されています。それぞれの数値からカモ類で飛来数の多い種のデータを抽出してグラフにしてみました。

御池に飛来するカモ類で多いのは、下のグラフのマガモ、カルガモ、そしてヒドリガモの3種です。
e0094349_1161858.jpg

一ツ瀬川河口ではコガモとオナガガモも上の3種と同様に数が多いので加えてグラフにしました。
縦軸のスケールは数が多い年度に合わせて比較しやすいようにしてあります。

グラフで見ると、御池では今回と過去2回の冬と比べると、1年前の2009-2010年がやや少ないようですが、3年間で特に大きな変化はみられません。

一ツ瀬川河口では2008-2009年の冬に比べ、最近の2回の冬でマガモの飛来数が減っています。
e0094349_118051.jpg

いずれにせよ、今回の冬の渡り鳥の数が特に増えているわけではなさそうです。

日向市の塩見川では、一ツ瀬川河口と同様に、今年はカルガモが多いような印象を受けています。この冬の御池でカルガモが前年より少ないことと対照的です。

具体的なデータを詳しく吟味せずに先入観や思い込みでお話をする「幽識者」がいるみたいですね。
[PR]

by beachmollusc | 2011-02-11 11:18 | 鳥インフルエンザ