タケノコガイのミステリー

青島海岸で9日の昼に採集し、飼育中のオリヴェラ(10個体）から食べかすの貝殻が吐き出されてくるだろうと期待して待っていますが、まだ何も出ていません。

ところが、タケノコガイの一種(9個体）からチョウセンハマグリの稚貝が3個体吐き出されて？いるようです。これもオリヴェラと同様にチョウセンハマグリ稚貝の天敵かもしれません。この貝は、ホソシチクガイモドキかと思っていましたが、写真を撮影して拡大して見ると「ムラサキタケ」のようです。殻長は25ミリまでで、殻の表面の色はコゲチャイロから濃い色でほとんど黒く見えるまでの個体変異が見られます。その成長初期、多分卵のう（カプセル）の中で卵発生する型でしょうが、その時代には薄い色で個体差は特にないようです。

しかし、驚いたことに3個体の稚貝のうち1個体は生きています。殻長約2.5ミリで、ごく短いながら水管が形成されています。足を伸ばして盛んに移動しようとしていました。

他の2個体、どちらも殻長約2.0ミリ、は死んでいるようですが、そのうち1個体は殻の中の軟体部は健在で、消化されていなかったようです。1個体は間違いなく死んでいて、内部組織は崩壊中で、周辺ではせん毛虫がうごめいています（バクテリアを食っているのでしょう）。

どのチョウセンハマグリの稚貝も一度はタケノコガイの体内に取り込まれていたはずですが、餌として消化吸収されていなかったようです。チョウセンハマグリなどの二枚貝は殻を閉じたままでかなり長時間生きているはずですが、他人の胃袋の中に入っても生きて出てこれる能力があるとは驚きました。